古代インドのストゥーパと五重塔

古代インドのストゥーパと五重塔------------------------------------------------------------------------

 五重塔の原型は、ストゥーパである。ストゥーパとは、仏舎利(釈迦の遺骨)を納めるために紀元前300年頃から造られ始めた仏塔のことである。ストゥーパを音写したのが、墓に立てる卒塔婆(そとうば)である。古代インドのストゥーパは饅頭(まんじゅう)形(半球形)のものであったが、この形式が中国に伝えられると、楼閣(ろうかく)建築の形式を取り入れて高層化するようになった。

 塔の上にあるアンテナのような部分(下の図)は相輪と言い、9輪あり、その上に宝珠が乗っている。相輪は上から宝珠(ほうじゅ)、竜車(りゅうしゃ)、水煙(すいえん)、九輪(宝輪”ほうりん”)、請花(うけばな)、伏鉢(ふせばち)、露盤(ろばん)の7つの部分から成る。塔の中では相輪が最も重要なものであり、ここに仏舎利が納められる。相輪の中央を貫く心棒は、刹管(さつかん)または擦(さつ)と言う。

・宝珠(ほうじゅ):仏舎利を納める。
・竜車(りゅうしゃ):高貴な人を乗せる乗り物。
・水煙(すいえん):火炎の透し彫り。火を嫌うことから水煙と呼ばれる。
・宝輪(ほうりん):9つの輪。五大如来と四大菩薩を表す。
・請花(うけばな):前記までのものを受ける飾りの台。
・伏鉢(ふせばち):墓の原型。
・露盤(ろばん):伏鉢の土台。

 この7つの部分は、“イナンナの冥界下り”の「生命の樹」の7段階を表す。宝輪(ほうりん)と宝珠(ほうじゅ)を合わせると10個であり、「生命の樹」に於けるセフィロトの数である。そして、両者の間には竜車(りゅうしゃ)と水煙(すいえん)がある。竜と水は切っても切れない関係のため、これで一まとまりと見なすと、隠されたダアトに相当する。竜は蛇であり、蛇は知恵の象徴である。

 また、五大元素とはアダム・カドモンに於ける五体満足を暗示し、隠されたダアトを含めた11個のセフィロトを象徴している。アダム・カドモンとの対応は、足から膝が“地”、膝から肛門までが“水”、肛門から心臓までが“火”、心臓から眉間までが“風”、眉間から頭頂までが“空”である。
 つまり、五重塔自体が「生命の樹」でもある。なお、塔は必ずしも五重とは限らず、三重や七重などもあるが、いずれも奇数である。これは、七五三のゲマトリアに於ける陽数であり、十字架を形成する。
 また、ラジャスとタマスは“大”という力の塊となり、自己感覚としての5つの微細元素を生み出すと同時に、その器官として11根(こん)を生む。これは、人間の11器官に対応し、隠されたダアトを含めた11個のセフィロトを象徴している。