ドゥムジとイナンナの愛

ドゥムジとイナンナの愛-----------------------------------------------------------------------------------

 この頃、祝福された出来事として始まり、恐ろしい事件として終末を迎えた出来事があった。エンキの一番下の息子ドゥムジは、ナンナルの娘イナンナを好きになった。エンリルの孫娘イナンナは、牧羊(ぼくよう)の主に魅了された。見境を知らない愛が彼らを飲み込んだ。情熱で彼らの心は燃え上がった。その後長い間数多くの愛の歌が歌われたが、イナンナとドゥムジの愛の歌はその最初だった。彼らは歌により彼らの愛を語り合った。



 エンキは一番下の息子ドゥムジにアブズの上の大きい領土を与えていた。それは「黒い土地」という意味のメルッハがその名前だった。そこはエジプトのアスワンからスーダンの北部までの古代王国ナビアの場所だった。高地には木が茂り、水は豊富だった。大きい雄牛が川の葦(あし)の間を歩き回り、蓄牛の数は膨大だった。山からは銀が採れ、銅は金のように光り輝いていた。ドゥムジはとても愛されていた。アサル(オシリス)の死後エンキの最愛の子だった。マルドゥクは一番下の弟に嫉妬した。
 イナンナは両親ナンナルとニンガルに愛されていた。エンリルは彼女の揺りかごのそばに座った。彼女は表現できないほど美しかった。武術でアヌンナキの英雄と彼女は競い合った。天の旅行と天空の船について兄弟のウツから彼女は学び、彼女自身の飛行船を地球の空を飛び回るため、アヌンナキは彼女に贈った。


 大洪水のあと、着陸場のプラットフォームで、ドゥムジとイナンナは互いに目を交わした。エクル(ピラミッド)の奉納の儀式のとき、彼らは心温まる出会いをした。彼らは最初躊躇した。彼はエンキの一族、彼女はエンリルの子孫だった。ニンハルサグが氏族間の論争に平和をもたらしたとき、イナンナとドゥムジは何とか他の人たちから離れた所で一緒になることができ、互いに愛を告白した。彼らは一緒に散歩しながら、甘い愛の言葉を互いに語った。並んで横になり、心と心で語り合った。彼女の腰のまわりにドゥムジは腕を回し、野性の雄牛のように彼女を欲しがった。彼女は優しく彼に口付けし、それから彼女の母親のことを彼に告げた。
「母にどんな言い訳をしたらいいのかしら?あなたはニンガルに何と言いますか?私達の愛を母に伝えましょう。喜んで杉の香水を私達に振りかけてくれるでしょう!」

 イナンナの母ニンガルの住居へ、恋人たちは行った。ニンガルは彼らを祝福した。イナンナの母はドゥムジを認めた。
「ドゥムジ様、あなたはナンナルの義理の息子になる資格があります」
と、彼女は彼に言った。ドゥムジはナンナル自身により花婿として歓迎され、イナンナの兄弟ウツは、「そうあれかし!」と言った。
「この結婚により氏族間に本当の平和がもたらされればいいが!」
 エンリルは皆に言った。

 ドゥムジが愛と婚約について父親と兄弟たちに話したとき、ドゥムジの兄弟たちはマルドゥクを除いて全員、その結婚を喜んだ。ギビルは婚約用の金のベッドを作り、ネルガルは青い色の宝石を贈った。イナンナの好きな果物、甘いナツメヤシの実を、彼らはベッドの横にたくさん置いた。その果物の下に宝石の数珠球(じゅずだま)を彼らは隠した。イナンナが発見するのを期待して。