エンキの苦悩

エンキの苦悩-------------------------------------------------------------------------------------------------

 魂の抜けたドゥムジの体を大きい湖(ビクトリア湖)からニナガルが引き上げると、その体は下の方のアブズ(アフリカ南端)にあるネルガルとエレシュキガルの住居へ運ばれた。

 エンキの息子ドゥムジの死体は、石板の上に置かれた。その出来事についてメッセージがエンキへ送られると、エンキは服を引きちぎり、額に灰をかけ、「息子よ!息子よ!」と、彼はドゥムジのために嘆き悲しんだ。
「どういう罪の故にこういう罰を私は受けるのか?」彼は声を張り上げて尋ねた。
「私がニビルから地球へやって来たとき、私の名前はエア、「水を家とする者」だった。天の戦車の推進力を私は水から得、そして海に着水した。それから大津波により地球は飲み込まれ、孫のアサル(オシリス)は海で溺れ、今ドゥムジは水で命を落とした。私は全てのことを、正しい目的を持って行った。どうして私は罰せられるのか、どうして運命は私を見捨てるのか?」
 そうエンキは嘆き悲しんだ。ゲシュティナンナから事の真相を聞いたとき、エンキの苦悩はさらに増した。
「長子マルドゥクもその行為により苦しむようになる。」
 
 “下の方のアブズ”にあるネルガルとエレシュキガルの住まいに遺体が運び込まれたので、冥界は下の方にある、あるいは天に対して地の底にあると考えられるようになった。それが、後に天国と地獄というような概念へと変貌した。