フェニキアの都市

フェニキアの都市-------------------------------------------------------------------------------------------

 フェニキア本土の四大都市はテュロス、シドン、ビュブロス、アルワドである。聖書に於けるシドン人とは、およそカナン人あるいはフェニキア人の総称である。ヒッタイト時代にはシミュラ、ビュブロス、アルワドといったフェニキア北部の商都が利益を得ていた。
 ビュブロスはフェニキア海岸の主要都市の中で、青銅器時代初期からBC1,000年紀まで切れ目無く人が住んでいたことが解っている唯一の都市で、ウガリトと並んで地中海東岸最大の商都だった。ビュブロスは海岸の町トリポリスを経由して内陸への通路を使っており、BC2,000年紀の初めには、エジプトを相手としたメソポタミア貿易の大きな玄関口となっていた。ビュブロスの王たちは、自分たちで統治できるようになるまでは、女神から命令を受けていた。王は自分に祝福が与えられることを、そして末永くビュブロスの王であることを、女神イナンナに祈願した。別名はマリであり、これが転じて“マリア”となった。
 マリはまた、ユーフラテス川中流の西岸にあった古代シュメール及びアムル人の都市国家で、マリの最高神は西セム系の穀物神で嵐の神ダゴン(イシュクル)で、ダゴンに捧げられた神殿があったほか、豊穣の女神イシュタル(イナンナ)に捧げられた神殿、太陽神シャマシュ(ウツ)に捧げられた神殿もあり、シャマシュはすべてを見通す全能の神として知られていた。

 聖書の語源となったビュブロスは重要な都市だった。その主神が女神イナンナで、“マリア”の語源だった。よってイエスにまつわる話には、マリアという女性が登場する。母マリア、イエスの復活を最初に見たマグダラのマリア。特に、マグダラのマリアは後にヴァチカンの仕業で娼婦に仕立て上げられてしまったが、聖書のどこにもそのような記述は無い。しかし、仕立て上げられるような下地があった、ということである。それは原型がイナンナだからで、そして、マリではやはりイナンナと共にイシュクルとウツが祀られていた。特に、すべてを見通す全能の神の大元はエンキだったはずだが、ここでウツがその役割を担ったことが良く解る。
 太陽神・天照大神が最高神だというのは、このシャマシュが原型の1つなのである。そして、言語学的にも。フェニキア語は北西セム語群カナン語グループの中では最も発達した言語で、後のアルファベットの発祥言語だが、フェニキア語は最初は縦書きにも横書きにもされた。しかし、やがて横書きが主流となり、読み書きの方向は右から左だった。現在のアラビア語も右から左へ書くのはこの流れだと言え、昔の日本語もそうである。さらに日本語には縦書きもあるので、日本語の根源の1つに、フェニキア語があってもおかしくない。