世界の宗教のオリジナルは同じ② 大洪水

世界の宗教のオリジナルは同じ② 大洪水--------------------------------------------------------------

 各神話の共通点はあらゆる専門家が述べているが、その中で各国の大洪水伝説(ノア)を比較してみる。

・インド
 人間の始祖マヌが手を洗っていると、小魚は、自分を救って世話をしてくれたら、あなたを救ってあげましょうという。小魚はマヌに、大洪水にそなえて箱舟をつくり、その中に入るよう告げる。小魚はやがて大きくなったので、マヌは海に放ってあげた。そして大洪水のとき、マヌは魚にいわれたとおりに箱舟に入ると、どこから現れたのか、あの魚がやって来て箱舟を引いて海を渡り、山の頂の安全な場所まで導いてくれた。こうして、すべての生き物のうちマヌだけが生き延びることができた。                               

・ラオスとタイ
 そのむかし、ゼン王が天界の王国に住み、下界には3人の偉大な人々、プレンスン、クンカン、クンケットがいたという。ある日、ゼン王は敬意を示すために人々に食事をする前にその一部を自分にささげなさいと命じた。人々が拒絶したので、怒ったゼン王は洪水を起こし地上を壊滅させた。そのとき、三人の偉大な人々は筏(いかだ)を組み立て、その上に小さな家を建て、たくさんの女性と子供を乗せて船出した。このようにして彼らとその子孫は洪水を逃れた。

・韓国 環峰(コリボン)伝説
 大洪水が世界を襲ったとき、朝鮮半島の環峰の山頂だけは水に侵されずに残った。人々は鳥、動物、家具、飲食物を船にのせて洪水の中を漂っていたが、船が流されないように、船をこの山頂に網で結びつけた。洪水が退いたときは人々は船から出て、この山頂に避難した。浸水の証拠として、この山からは魚介類の殻、海の土や白砂が出るという。

・中国の神話
 伏羲(ふっき)と女媧(じょか)の父がかつて自身が閉じ込め、自分の子供たちによって解放された雷公と戦ったが、雷公が洪水を起こして攻めたために二人を残して人類が滅亡してしまう。兄妹は雷公を助けた時に彼からもらった種を植えて、そこから育った巨大な瓢箪(ひょうたん)の中に避難して助かり、結婚して人類を伝えたとある。

・メキシコ、中央アメリカ
 コスコストリという男と、その妻のソチケツァルの二人は、神から事前に大災害が起こることを警告されていた。彼らは神の指示に従い巨大な船を造って災難を逃れ、高い山の頂上に着いた。そこで地上に降り、多くの子供を作ったが、ハトが木の上にとまり言葉をプレゼントするまで、言葉がしゃべれなかった。(アステカ族)

 神テスカティルポカは人類を洪水で破滅させる決心をした。だがテスピとその妻と子供たちだけを大きな船にのせ、助けることにした。この船には人間が生き残っていくのに必要な、動物たち、鳥、穀物や種などが積まれた。船は水面に露出した山の頂上についた。神テスカティルポカが洪水の水を引かせるようにしたからだ。上陸しても大丈夫かを調べるために、テスピはコンドルを放った。・・次にほかの鳥を放ったが、ハチドリだけが口ばしに枝をくわえて戻ってきた。これをきっかけとして土地は姿を現し、テスピとその家族は船から下り、人口を増やし地上を満たした。(メチョアカネセクス族)

 この、船が山の頂上に着き、その後鳥を放って様子を見るのは、聖書、シュメールの古文書、アメリカ先住民ホピ族の神話にも見られるパターンである。もちろん、このメチョアカネセクス族の話はスペイン人が大陸に来る前からある伝承神話である。

・ハワイ
 かつて太平洋にはハワイからフィジーに達するような巨大な大陸があった。しかし、kai aka hina alii(首長を破壊する海)という名前の大洪水が起こった。マウナケア山などの高い山をのぞいて全ての土地が沈んでしまった。ヌウという神官がこの洪水を予知して、家付きのカヌーで逃れ、マウナケアの山頂で洪水の終わりを迎えた。

・オーストラリア
 オーストラリアの先住民は自分たちの起源を、景色と社会を変えてしまった大洪水に求めている。

・バヌアツ(ニューへブリデス諸島)
 クアトは平野で大きなカヌーを作っていた。それを見た兄弟は笑った。「おい、どうやって海までもって行くのか?」。クアトはカヌーに家族と生き物、そして蟻(あり)まで乗せた。そして雨を呼ぶ呪文を唱えた。すると洪水が起こり、水路ができて、あっという間に海まで流されてしまった。平野だったところは湖になった。このため彼は島で最もよいものだけを積んで船出した。

・ギリシャ
 神ゼウスは「銅の種族」すなわち地球人を滅亡させるという重大な決定を下したとき、デウカリオーンは神プロメテウスから事前に忠告をされ、木の箱をつくり、「必要なものをすべて」を中におさめ、ピュラーとともにその中に入った。神々の王ゼウスは天から大雨を降らせ、陸地のほとんどのものを水没させた。この大洪水で高い山の頂に逃れた少数の人々を除いて、人類はすべて死滅した。箱はギリシャ中部の山パルナッソスに漂着、二人は神にいけにえをささげた。

 こういった大洪水の話は世界に500くらいあると言われ、ほとんどの話が今挙げたものと似ている。

⑴ 怒った神が人類を破滅させることにした
⑵ しかし、人格者の家族にはそのことを知らせた
⑶ 船もしくは箱をつくる、その中に動物たちと入る
⑷ 大洪水が来て、船は山の頂上に着く
⑸ 鳥を放って様子を見る

などである。大洪水の話はメソポタミアのギルガメシュ叙事詩、アッカド神話(バビロニア神話)、旧約聖書、インド神話などにも見られる。