ニビル崩壊

ニビル崩壊---------------------------------------------------------------------------------------------------

 人類に介入しないと決めていた神々だが、またしてもエンキの勝手な行動にエンリルは腹を立てていた。しかし、エンキは地球に、エンリルは火星に居たため、大きな争いにはならなかった。
 エンリルたちのミッションが完了間近という時、ニビルからの緊急の通信がエンリルの下に届いた。アヌからの直接の言葉であった。「もはや、ニビルの大気は地球の金(きん)だけではもたない壊滅的な状況に近い。すぐにでもラーム(火星)と月に基地を増設し、我々はこの星から脱出しなければならない!そのため、お前たちは即座にその任務について欲しい!」
「何てことだ!地球から追い出される上に、我らが故郷へも永久に帰還できなくなるとは!やはり、エンキとマルドゥクが諸悪の根源なのだ!」
とエンリルが叫んだ。
「待って、お兄様。これも、私たちが地球人を創ったことに対する“宿命”なのよ、きっと!そして、“万物の創造主”の御意志でもあるのだわ。もう、対立なんて、いい加減にして!」
とニンフルサグが言った。その言葉を聞き、また、かつての別れ際のエンキの言葉を思い出し、エンリルは態度を軟化させた。そして、地球に残っていたエンキ、イナンナ、ウツ、イシュクル、ニンギシュジッダも呼び寄せ、再会を喜ぶ間も無く、事の次第を話し合った。

 会議の結果、エンリルの指導の下、ニビルからの大移住計画が遂行されることとなった。月は重力の関係から、中継基地としてのみ使われることとなり、メインの移住地は火星と決められた。しかし、以前の大接近の際に大気や水分はほぼ壊滅状態となったので、地下に大都市が建造されることとなった。それと、一部の者は、既に一部のイギギたちとシュメール人の末裔が暮らす地球の地下都市への移住が決められた。
 地球人の行動を間近で観察するため、遠い将来、地球人たちを導くという任務を担うために。

 火星に居たイギギの一部が先導役となり、ニビルからの大船団を導いた。アヌたちは再会を喜んだものの、母星が崩壊の危機に瀕している以上、心からは喜び合えなかった。そして、エンキらは地球へと戻った。大移住が完了して、しばらくしてからニビルは完全に崩壊した。

 ニビルではかつて大戦争が発生し、終結して和平が結ばれたものの、また権力闘争が起きてしまった。その闘争が地球まで引き継がれた。つまり、アヌンナキのエゴは解消されておらず、とうとう、遺伝子操作まで行って、人類という新たな生命体を創り出してしまった。そして、核戦争まで引き起こした。後に人類は、まったく同じ過ちを犯すことになってしまった。つまりエゴが解消されていなかったので、ニビルも最終的に崩壊したわけである。