ドゥムジの死

ドゥムジの死-------------------------------------------------------------------------------------------------

 習慣として、イナンナに香水をつけ衣服を着せるためドゥムジの姉妹が送られた。ゲシュティナンナが、義理の姉妹となるべき彼女の名前だった。

 イナンナは心に浮かんだこと、ドゥムジとの将来について、彼女に話した。
「偉大な国家の夢を私は抱いています。ドゥムジは偉大なアヌンナキとしてそこで立ち上がるでしょう。私達は皇子の地位を分かち合い、反乱する国家があれば一緒に鎮圧します。私はドゥムジに状況を報告し、国を正しく導きます!」
 イナンナの支配と栄光の夢が、ゲシュティナンナにより彼女の兄マルドゥクに報告された。イナンナの野心はマルドゥクの心を動揺させ、彼はゲシュティナンナに秘密の計画を告げた。ゲシュティナンナは、兄弟ドゥムジの所、羊飼いたちが住んでいる所へ行った。美しく着飾り香水をつけた彼女は、兄弟ドゥムジに次のように言った。
「あなたの若い妻と抱擁しながら眠りに入る前に、あなたは姉妹を通して合法的な継承者を得なければなりません!イナンナの息子は継承権への資格を得るべきではありません、あなたのお母様の膝の上では彼は育てられないでしょう!」
 彼女は彼の手を自分の手の中に置き、彼の体に自分の体を押し付けた。
「弟よ(又は兄さん)、私はあなたと一緒に寝ます。花婿よ、あなたにより私達はエンキの仲間をもうけます」
 高貴な子孫を自分の胎(たい)からもうけるため、ゲシュティナンナはドゥムジにそう囁いた。ドゥムジは彼女の胎に精液を注いだ。彼女に愛撫されながら彼は眠りに落ちた。夜中ドゥムジは夢を見た。死の前兆を彼は見た。夢の中で7人の強盗が彼の住居に侵入するのを彼は見た。「主人が我々をあなたのもとへ送った。」
 彼らは言った。
「彼らは彼の雌羊を追い出し、子羊や子山羊も追い払った。彼らは彼の頭から領主のかぶりものを剥ぎ取り、王の衣服を彼の体から引き裂いた。彼らは羊飼い用の杖を折り、台の上に載っていたコップを投げ捨てた。裸で素足の彼を彼らは捕まえ、鎖で彼の手を縛った。“皇子の鳥と鷹”の名に誓い、彼らは彼を殺すため置き去りにした』
 驚き狼狽したドゥムジは真夜中に目を覚まし、ゲシュティナンナにその夢について話した。
「それは余りいい夢ではありません」
 ゲシュティナンナは心を乱しているドゥムジに言った。
「あなたが私を強姦(ごうかん)したと言ってマルドゥクはあなたを非難し、彼はあなたを逮捕するために悪の密使を送るでしょう。彼はあなたを審理し、はずかしめるよう命令するでしょう、エンリル一門との連絡係を断ち切るために。」
 ドゥムジは傷ついた獣のように唸り声を上げ、「裏切り者!裏切り者!」と叫んだ。
 イナンナの兄弟ウトゥ(ウツ)に、「助けてくれ!」とメッセージを送った。魔よけのために父エンキの名前を彼は唱えた。「蛇の砂漠」とも呼ばれるエムッシュ砂漠を通って、ドゥムジは逃げた。悪人たちから身を隠すため彼は大きい滝のある場所へ向かって走った。水がほとばしっている所の岩は滑らかで滑りやすく、ドゥムジはそれに足を滑らせて落ちた。急流は魂の抜けた彼の体を白い泡の中に飲み込んだ。