4章 食と農業 : 拡張プラウト主義

○食の在り方

■肉食

 米を主食とした日本の伝統食は戦後、動物性タンパク質を多く摂る肉食生活へと変化していった。それ以来、肥満、糖尿病、高血圧、ガン、脳卒中、肝臓病、骨粗しょう病などが生活習慣病となり、食べ過ぎ、偏食、運動不足、過労、ストレス、喫煙、飲みすぎなどが原因で、誰の身にも起きる病気となっている。肉・卵・牛乳など動物性タンパク質はガンの増殖を抑える免疫を破壊し、ガン細胞を増殖させる。これら肉食ガンのほとんどは肉食を避けることで大幅に防ぐことができ、反対に菜食者の免疫は肉食の人物よりも強くなっている。

 狭い場所に閉じ込めて飼育される工場の鶏、牛、豚などは、地球上で最も薬漬けにされている生き物と言われている。肉類はそもそも動物が排泄するはずの老廃物を含んでいるので、それを食べるとその肉の老廃物まで人体が負い込むことになる。一般に肉・魚・卵・牛乳・乳製品などは栄養価の高い食品と考えられている。これらの食品には栄養学的に理想とされるタンパク質が多く、体内で分解され、血肉となり、力をつけ、スタミナの源泉になると信じられている。しかし動物性タンパク質をとり過ぎると胃腸で分解されるまで多くのエネルギーを消費する。時間がかかるため腸内で腐敗醗酵を起こし、たくさんの毒素が生産され、活性酸素も作られる。これらは強烈な組織毒で、老化を早め、ガンを含め多くの慢性病の原因になる。また腸内で作られた毒素を解毒するためにも多量のエネルギーが使われることになる。筋肉を使ったり集中力を高めたりするエネルギーが消化のほうへ回されるので、結果としてエネルギー不足に陥る。食事から肉を取り除くとタンパク質が不足して健康に悪いのではないかと考えられるが、米、いも類、ブロッコリ、ほうれん草、えんどう豆、豆腐などからも良質のタンパク質が摂取でき、大豆は8つの必須アミノ酸をすべて含み、人体が吸収できる有効タンパク質の量も、肉より多い結果となっている。

■動物愛護

 そして肉食をやめることは動物への虐待行為も失くすことになる。現在の飼育工場では、動物をむごく扱うことが当たり前の運営形態となっている。食用に飼育される動物は住環境、餌、輸送、屠殺などで、人間が直視できないほど残酷な苦しみに耐えなければならず、市場できれいに包装されている肉からそのことに気づくことは少ない。仔牛肉用の牛は生まれてまもなく母親から引き離され、一生を暗い場所で身動きのできない状態で過ごす。これらの子牛の多くは貧血、下痢、肺炎にかかっている。鶏もほとんどが工場の鶏小屋で何十万羽と収容されている。狭い金網の中に6羽ほどの産卵鶏を入れ、それが鶏に多大な心理的重圧を与えるため、つつき合いでケガをしないようにくちばしを焼き切る。工場では年間何億というオスの鶏が生まれ、生きたままゴミ袋に放り込まれ処分される。卵も産まず、肉としても経済価値がないからである。また毛皮、ウール、カシミア、革製品など服飾関係の生産の為にも動物が殺され、さらに動物実験の為に足を砕かれる動物や、金儲けの為にペットが大量生産され、売れ残りや捨てられたペットはガス室で殺される。

 こういった例を挙げればきりがないが、栄養学的に見ても動物保護の観点から見ても動物を殺す必要はなく、むしろ動物は自然の循環と秩序を構成する生き物であり、人間はその恩恵を受けているので動物とは共生していかなければならない。これは魚介類にも当てはまり、原始時代のように生存の為に動物を食べる必要があった時代とは異なるので、死んだ動物を食べることや皮を剥いで作った装飾物で身を飾ることは、道徳的に控える必要がある。

■トランス脂肪酸

 このように肉食は人間にとって不要ということを見てきたが、さらに現在の人間はどういった物を口にしているのかを見ていく。例えば油を多用した料理や菓子類を食べると顔に吹き出物ができ、胃がもたれることは多い。食後に胃がもたれることが体にとって善か悪かと聞けば多くの人は悪と答えるかもしれないが、そうとはわかっていてもその悪影響はほんの一瞬にしか感じず、再び食べてしまう。誰もが口にする油食品には、その生成過程で形成される人体にとって有害なトランス脂肪酸が含まれている。これは加工食品を焼いたり揚げたりする過程や、油脂に高い熱を加えた場合などに発生するもので、悪玉コレステロール、動脈硬化、心臓疾患、ガン、認知症、不妊、アレルギー、アトピーなどを引き起こす。身近なものではマーガリン、バター、マヨネーズ、コーヒーのクリーム。菓子類ではケーキ、アイスクリーム、チョコレート、クッキー、クラッカー、菓子パン、ポテトチップス、ドーナツ。レトルト類ではカップヌードル、インスタントラーメン、缶のスープ、シチューやカレーのルー。ファーストフードなどではチキンナゲット、フライドポテト、フライドチキン、パイ。冷凍食品関係ではから揚げ、ケーキ、ピザ、コロッケ、天ぷらなどがある。また牛などの肉や脂肪にも少量含まれている。これらは現代人が日頃口にするものとなっている。

■添加物

 普段口にする食品の中には様々な添加物が含まれているが、その量は平均的な日本人で1年に約4キロにもなると言われ、なかには毒性のある物質も含まれている。一般的に見かけることの多い添加物には次のようなものがある。
 ガムベース、軟化剤、イーストフード、凝固材、かんすい、酵素、光沢剤、香料、酸味料、苦味料、乳化剤、pH調整剤、膨張剤、調味料、甘昧料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色剤、防力ビ剤、乳酸。

 例えばガムベースはガムで使用され、化学物質の塊と言える。軟化剤もガムを柔軟に保つために使用されている。かんすいは中華麺類の製造に用いられ、リン酸塩類には骨の脆弱化、腎障害などの恐れがある。光沢剤は食品のつや出しや防湿効果として使われ、安全性については研究が少なく不明な点が多い。酸味料のなかには急性毒性、染色体異常を示すものもある。
 添加物には必ず何らかの毒性があり、中毒症状、発育遅滞、発ガン促進物質、遺伝毒性、血圧降下、胃陽障害など様々な病気を引き起こし、長期的に摂取し続けると自分だけでなく生まれてくる子供にも悪影響を与える。こういった添加物は「食品が綺麗に見えるために」「長期保存できるように」「おいしく感じるように」するために使用され、消費者に気に入られ、購入され、利益になることを目的に使用され、つまり金銭で成り立つ利益社会が生み出した産物といえる。

■砂糖

 そして現代人は昔とは比較にならないほど大量の砂糖を摂るようになっている。駄菓子、ジュース、缶コーヒー、チョコレート、ケーキ、菓子パン、アイスクリーム、ケチャップ、ドレッシングなど、加工食品には多量の砂糖が含まれている。砂糖の摂り過ぎもまた多くの現代病を引き起こす原因となっている。砂糖は血液を汚し、赤血球や細胞を崩壊させる。よって細菌に感染し病気になりやすい身体を作り、アトピー、アレルギー、吹き出物、冷え性、頭痛、貧血、便秘、虫歯、胃潰瘍、糖尿病、心臓機能低下などを引き起こす。
 砂糖の過剰摂取は人間の健康にマイナスの影響を与えるが、現代人が大量に摂取している砂糖の多くは精製された白砂糖となっている。これはビタミンやミネラルなど栄養素がほとんどない精製糖であり、料理に使用すると空腹は満たされるが栄養が補充されることはない。代表的な物に菓子があるが、砂糖は消化・吸収の工程が非常に速く、摂取後短時間で血液に運ばれ血糖値が急激に上昇する。チョコレートなど甘い物を食べると数分後には顔に吹き出物ができていることからも消化吸収の早さを知ることができる。そしてこういったことを繰り返すとやがて血糖値を下げるためのインスリンの分泌量が減り、いずれ分泌されなくなり、血糖値が高いままの糖尿病の状態になる。栄養素がなく様々な病気を引き起こす砂糖は人間にとっては食べる必要はないが、脳のエネルギー源となるブドウ糖は、米やパンなどの穀物からも得ることができる。穀物は約90%がデンプンで構成され、デンプンはブドウ糖の分子が集まってできている。穀物の糖分はゆっくりと吸収されるため体への負担が少ない。ただ同じ糖分でもサトウカエデの樹液を煮詰めるとできるメープルシロップはミネラルが豊富で、血糖値を上げにくいものとなっている。ただこれも食べ過ぎには気をつけなければならない。他の良い糖分としてはナツメヤシを乾燥させて粉砕したデーツシュガーや甜菜糖(てんさいとう)などがある。

■塩

 塩も調理によく使われるが、化学的なものではなく自然のものを食すという観点から考えると、現在一般的に販売されている食卓塩ではなく、藻塩(もしお)や岩塩など自然のミネラルを多く含んだ自然塩が拡張プラウト主義では推奨される。藻塩とはホンダワラなどの海藻の成分を含んだ塩のことで、適度なにがり成分を含み、カルシウム、カリウム、マグネシウム、海藻のミネラル、海水酵素、活性炭などを含み毒消しの作用があるアルカリ性食品である。現在の一般的な低価格の食卓塩は明治時代に日露戦争の財源確保の為に始まった塩の専売制による流れもあり、効率化と大量生産によってミネラルが排除されたものが多くなっている。

■白米と発芽玄米について

 一般的には白米が主食として食べられることが多いが、米を食するのであれば発芽玄米などが適している。発芽玄米とは玄米をわずかに発芽させたもので、眠っていた酵素が発芽によって活性化し、出芽のために必要な栄養を玄米の内部に増やしていく。そのため玄米よりも栄養価が高くなる。
 玄米は白米に比べ栄養価が高く、白米に含有されないビタミンB1やミネラルを豊富に含んでいるが、発芽玄米は更に栄養豊富で、食物繊維、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リン、鉄などのミネラルも含まれ、血圧上昇の抑制やストレス軽減などの働きを持つガンマアミノ酪酸が玄米よりも多く、白米の約10倍程度含有されている。基本的に未精製で発芽した穀物は栄養が多く含まれ、これは小麦などにも当てはまる。発芽玄米の作り方は玄米を水に浸けるだけである。室温で夏なら半日〜1日、冬なら2日〜3日ほどで発芽する。

■食べる量

 次に食べる量についてはどうか。例えば外食で食べ過ぎて食べ疲れ、店で休憩したり重い胃を我慢しながら店を後にするというような経験は誰にでもあるが、これとは反対に油物をほとんど使わない料理を腹八分目以下の量で食べると、胃もたれもなく適度に空腹が満たされ、食後も快適に行動ができる。胃がもたれる食事ともたれない食事の食後の体調を比べると、直感的にどちらが健康的かはすぐにわかる。現在の常識ではたくさん食べることが良いとされているが、食後に現れるこの単純な症状から考えると、現在の食の常識は体を疲れさせるため、蝕むために食事をしている感がある。
 では反対に全く食べなければ体にどういった症状がでるのか、ここからは1つの注目すべき点が見えてくる。現在花粉症は多くの人にとって悩みの種だが、1日だけ朝昼の食事を抜けばその日の花粉症を抑えることができる。しかし再び食事を取り始めると、鼻づまりや目のかゆみなどの症状が現れる。次に1週間食事を取らない断食を行えば、その期間は花粉症が治まり、吹き出物なども消える。そして再び食事を取り始めると今度は肌がすべすべで健康になる。
 現在の食の常識では食事を取らないことは死を連想させるが、生まれてから働き続けの内臓を1日以上休ませることで内臓の機能を回復させる意味合いがあり、そうすることで体調が内面から向上する。

 人間は近年、科学技術の進化で本来口にするべきではない化学物質が含まれた食物を食べ続けてきた。1回の食事からはその悪影響を感じることは少ないが、その蓄積が最終的に致命的な結果を招く。つまり現在の食の常識は病気になるために食べているのであって、全く食べなければ本来の健康な状態へ戻る。しかし人間である以上食べないわけにはいかない。このように両極端の症状について見てきたが、重要なことは何を食べてはいけないかではなく、人間は本来どういったものを、どれだけ食べるべきかを知ることにある。

■マクロビオティックとビーガン

 次にマクロビオティックという食の在り方について見ていく。マクロビオティックの特徴は、食材を丸ごと使い切り、皮や根も捨てずに調理することや、季節の作物や住んでいる土地の作物を主に食べること、そして食品添加物や農薬などが使われていない自然の食材を使うことや、過剰な下ごしらえなどをせず調理すること、また味噌・しょうゆ・塩など和の伝統調味料や調理方法を基本に料理することなどがある。マクロビオティックの基本的な食事の割合は次のようになる。

・穀物(主食)   40%〜60%
・野菜       20%〜30%
・豆類、海草類    5%〜10%
・味噌汁など     5%〜10%

 肥満や生活習慣病の原因は動物性食品の食べ過ぎによるもので、ここまで見てきたとおり人間の体は肉や化学製品を食べるようにはできておらず、穀物・豆・野菜・果物など、土から出来るものを食べて生きていくようにできている。そしてこういった菜食主義者が動物に由来する食べ物や衣類などを一切断つことをビーガンと呼ぶ。ビーガンは穀物類、豆類、野菜、果物、きのこ類、海藻類のみを食し、豚、牛、鳥肉などの動物肉や、魚介類、卵、牛乳、乳製品、はちみつも食べず、また皮や毛を使った衣類なども身に着けない。ビーガンは食用、衣料用、その他の目的のために動物を苦しめたりすることは一切せず、動物性のすべての物を食べず身に着けずで生活する。こういった場合、牛乳の代わりとなるカルシウムは大根、パセリ、モロヘイヤ、えんどう豆、大豆、ひじき、ごまなどからも得ることができる。
 人間も自然の一部で、その循環に加わるのであれば、苦痛を与えて動物を殺し食物を得る行為や、樹木などに実った果実をすべて摘み取るような行為は、一方的に自然の循環を乱す行為であり控えなければならない。人間の食の在り方をどこまでも原点に戻って考えると、食事はあくまで最低限のエネルギー確保の為であり、現代のような食の在り方はあまりにも傲慢な在り方と言える。

■食の在り方

 現在世界には様々な食の在り方が存在する。肉を食べず穀物類と野菜中心のベジタリアン、マクロビオティック、ビーガン。食物酵素を多く取るため加熱調理は極力避け生の野菜や果物を食すナチュラルハイジーン、ローフード、リビングフード。インドの伝統的医学で加熱調理も取り入れている菜食主義のアーユルヴェーダ。松の実やヨモギなど山菜や薬草などを主として食す中国の伝統的な医学の薬膳。果物を主食とするフルータリアン。水やフルーツジュースなど液体のみで栄養を取るリキッダリアン。全く何も食べず太陽や空気からエネルギーを得るブレサリアン。こういった様々な形態が世界中に存在し、これらの共通点と現代食を比較すると、穀物、野菜、果物、植物など自然な食材を現代よりもっと少ない量で食すということである。なぜ少ない量を奨めているのかというと、内蔵の消化活動は人間にとって大きなエネルギーを必要とし、基本的にそれが人間の体を疲れさせ老化を早めていると考えられているからである。

 では少ない量とはどれほどを指すのか?この量に関してもそれぞれの食形態によって異なっている。現代の栄養学上、1日に必要なカロリーは女性で2000キロカロリー、男性で2600キロカロリーとされているが、三食で1700キロカロリーが良いとする形態もあれば、一日一食500キロカロリー以下でも生きていけるというものもある。果物は消化に良く、食後二時間でなくなるので一日に六回や七回食べても良いという考え方もある。また一日に野菜ジュース一杯で100キロカロリーのリキッダリアンもいれば、ブレサリアンなど不食主義の場合は限りなく0キロカロリーである。
 ここで一つ、摂取カロリーを減らしていった実験的生活の結果がある。それまで肉を食べる一日三食の生活から朝食を抜いた一日二食約1200キロカロリーの菜食生活の第一段階目と、次に一日一食へと減らし約500キロカロリーで過ごした菜食生活の第二段階目に起こった体の変化についてである。
 第一段階では体は少し痩せるが体力的にそれほど大きな苦しみはなく、慣れれば三食食べることがむしろ苦痛となり、体が自然と多く食べることを受けつけなくなる。しかし三食の時と精神的に何が違うかと問われるとあまり変化を感じない。ただこの間化学製品が体へ入る量が減り、それにより体調不良などがなくなり、体の健康と人生の質は食でコントロールできるということを理解することができる。
 第二段階では一日500キロカロリー以下で過ごした結果だが、体は痩せ細り、疲れやすくなり、筋力も落ちる。症状だけ見れば悪くなったように思えるが、実際この期間中はこれまで貯めてきた老廃物が体から排出されるデトックスつまり解毒が行われたように感じる。それは一時的に現れる吹き出物や倦怠感などの好転反応が見られたからである。また重労働は体力的に厳しいが、頭を働かせる作業はそれなりの集中力を発揮することができる。しかし体調が良いことはなく、体が軽いという感じもない。ただ小食が体に良いのではと思わせた結果として、睡眠時間が通常の8時間から6時間程に減り、肌は常に滑らかな状態となった。断食期間中の睡眠時間は4時間程で十分だが、これらの結果を受けて、消化エネルギーがどれほど体を疲れさせ、油の多い食事や化学物質はどれほど体を汚していたのか認識することができる。ただ一日一食の場合、一日分のエネルギーを一回で取ろうとして反対に食べ過ぎることもあり、食に対する欲が消えずストレスになることもある。数人の不食主義のブレサリアンが言うには、それまで三食や二食の食生活に慣れてきた人間の体が不食や液体食に向かうと、何度も体が痩せ細る段階を経るのが慣例となっている。解毒は一回では完全でなく何回も行われなければこれまでの毒素は浄化されない。
 また同じ期間中、ナチュラルハイジーンなどで奨められている加熱調理を行わない生食を行った結果では、人によってはそわそわして落ち着きがなくなるというアーユルヴェーダで言われている症状を体感することができる。つまり加熱調理した温かい物を食べる必要性を感じたわけだが、40度以上で加熱を続ければ食材が持つ食物酵素が破壊されるので避けるべきだというナチュラルハイジーン、ローフード、リビングフードの考え方と矛盾することになる。ただその後、加熱した料理を食べたことによって落ち着きがでてきたという結果もある。現在は40度前後で調理する低温調理という調理法も存在し、食物酵素を破壊せずむしろ活性化させた状態の調理法もある。

 こういった様々な食の在り方に加えてどの食材と食材は相性が良く、どの食材同士は食べ合わせが悪いため避けたほうがよいなど、食の在り方についてはあまりに複雑で、それぞれを比較すると矛盾した部分が出てくるので答えが出なくなる。しかし実際にこれら様々な食形態を経験し視点を変えて物事を見ると1つの答えが出てくる。それは、「それぞれの食形態はそれを考え出した人物に合っていたのであって万人に当てはまるものではない。つまり各個人が自分に合った調理法と食べる量を模索し、自身の体で体験し、実践していくものである」という結論である。ただどの食形態にも共通する重要なこともある。
「肉、白砂糖、添加物、人工的な食品などは避け、農薬や肥料が使われていない自然の食物を食する方が良い。」
「消化を意識して食するほうが良い。」
「一日に食べる量や回数はその人の生活環境と考え方などによって異なるが、直感と体の声に従い、体に無理のない量を楽しんで食するほうが良い。」
 ということである。他にも比較的共通して述べられてることがある。それは体の24時間周期に合った食事をすることが良いということである。

•午前4時〜正午 排泄の時間帯(体内の老廃物と食物カスの排泄にふさわしい時間)
•正午〜午後8時 摂取と消化の時間帯(食べることと消化することにふさわしい時間)
•午後8時〜午前4時 吸収と利用の時間帯(栄養が体に同化するのにふさわしい時間)

 午前中に食べる物として良いのは果物など消化に良いもので、昼からしっかり食べることが良いとする食事法は多いが、このようにして肉食から菜食へ移行することで、現代人の健康が改善され、医療にかかる負担も減り、動物も守られることにつながる。
 またマクロビオティックでは100回前後噛むことを奨めているが、よく噛むことは食べ過ぎを防ぎ、だ液の分泌によって虫歯を予防し、脳を活性化させ、胃腸の調子を良くし、快眠をもたらす。腹痛、胃もたれ、便秘、不眠は噛む回数が少ない場合にも起こることがあり、飲み込まなくても自然となくなるまで噛み続ける。食物は胃の中で粥状にされるので、口の中で粥状にすると内臓の負担が減り、栄養吸収も良くなる。低カロリーメニューでは1回の食事で平均2000〜3000回噛むことになる。
 また食事を摂ると消化活動が起こるので、少なくとも就寝前3時間は食事を避ける。食事の約10分後、胃内の軟らかい物から順に次の十二指腸へ移動し始め、2〜6時間後には全て移動し消化は終了する。食物は胃で1ミリ以下にまで消化されるが、炭水化物、肉、魚などを組み合わせた食事は消化に8時間もかかり、多くのエネルギーを消費する。組み合わせの悪い食事は胃で完全に消化されず、未消化のまま腸に入れば腸内で腐り、病気の原因となる。人間は食べ物を消化するために多大なエネルギーを使っているので、脳や体を休める睡眠前に食べると寝ている間も内臓は働き続けている状態となり、疲れが取れない結果となる。

 ここまで食の在り方を見てきたが、現代人の病気のほとんどは食生活に問題があり、日々の体調は食事に大きな影響を受ける。肉類、魚介類、乳製品、卵などの動物性食物、添加物など化学製品、食用油による加熱料理、砂糖や人工的な食卓塩は避け、穀物、野菜、果物、豆類、芋類、薬草などの料理を食する。穀物は発芽玄米などできるだけ未精製の全粒穀物を口にする。そして1回口へ運ぶごとに100回前後噛み、飲み込まなくても自然となくなるまで噛み続ける。こういった基本から離れれば体の内外に何らかの病状が現れる。つまり基本を守れば人間そのものは大病にならないようにできている。

■食材の栄養の減少

 ここまで食の基本的な在り方を見てきたが、現在の食物は農薬が使われた栄養素の少ない土で栽培され、栄養素が少なくなっている。日本食品標準成分表で1982年から2000年の18年間の間に、ほうれん草100g中のビタミンCが65mg→35mgに、小松菜は75mg→39mgへと約半分に下がっているという見方があり、その他の野菜果物も同じように低下し、現在の野菜は戦前の物と比べると約8分の1の栄養素になっているとされている。つまり昔は食材の栄養が豊富だったため粗食で栄養を十分補えたが、現在は農薬が使われた栄養素の少ない土地で作られているため食物も栄養素が少なく、こうした食材を食べる量で補ったのが現代栄養学であり、食べる量が増えればその分化学物質も多く取ることになるので病気が増える。
 このような悪循環に陥っているのが現状だが、現在では栄養豊富で無農薬の食材を得ることは難しく、自分で作って収穫する以外に方法はなくなっている。ただ自分で作るとなると時間、金銭、物資において現実的に考えることは難しくなる。しかし常識的な農業ではなく自然の在り方そのものに着眼し成果をあげた人物がいる。それは自然農法の福岡正信氏であるが、自然農法は人間が手を加えず様々な植物が生い茂り、昆虫など様々な生きものが生息した土地は肥沃で、そこからは栄養が豊富に含まれた作物が育つという原点に回帰した考え方である。マクロビオティックやビーガンは食べる量が減ることもあるが、自然農法からの食材には多くの栄養が含まれているので、少量の食事からでも栄養を得ることができる。つまり食の量が減ったとしても、栄養は増える。そして消化活動の負担も減ることから健康面が向上し、化学物質が含まれていなければ花粉症などのアレルギーや生活習慣病も改善される。次の文章は福岡正信氏の「無Ⅲ 自然農法」からの引用である。

○自然農法

 自然農法の山には地鶏が放し飼いにしてあり野菜が茂る。この田は30数年もの間かつて1度も鋤(す)いたことがない。化学肥料も堆肥も施したことがなく消毒剤もかけたことがない。何もしない農法だが、これで麦も米も10アール(約33m四方)当たり10俵(600キロ)に近い収穫がある。なぜ何もしないで米麦が出来るのか、それは人間が作らなくても自然が作ってくれるからである。よく考えてみるとこの世の中で、これは役に立つ、価値がある、こうするとよい、と言われるようなときには、すべて人間があらかじめそのことに価値が出るような条件を作っているものである。田に水を入れ、耕耘機(こううんき)でかき回せば、土は練られて壁土のようになってしまう。土が死んで固くなれば毎年耕して軟らかくしなければならない。つまり耕耘機が役立つよう条件を作っておいて、耕耘機に価値があると喜んでいるだけである。地上の植物で耕された土でなければ芽が出ないような弱い植物はない。人間が鋤かなくても、微生物や小動物による自然の耕耘がなされているのである。耕耘機と化学肥料で生きた土を殺し、夏中深水にして作物の根を腐らせ、軟弱な病体の稲を作っているから、速効性の化学肥料と消毒剤が必要になっただけのことである。人間が何もしなくても山の土は年々深く肥沃になる。逆に農薬によって土地は荒れ、公害が生ずる。
 自然は本来、生もなく死もない。大小、盛衰、強弱もない。害虫だ、天敵だ、自然は弱肉強食の荒々しい矛盾に満ちた相対界だと騒ぐのは科学だけを信じている者の言うことである。自然にはもともと正邪、善悪はない。人間が勝手に区別しただけだ。農業の本来の在り方である自然農法は手も足も出さない農法である。土は土、草は草、虫のことは虫にまかす農法である。クモやカエルがごそごそしていて、大きな殿様バッタが飛び立ち、田の真上の空にだけ赤トンボがいつも群がる。ウンカが大発生すればかならずクモの子が湧くほど発生する。
 鋤鍬で耕しても耕せる表土の深さはふつう10センチから20センチにしかすぎない。これに対して草あるいは緑肥をもってすれば、その根は30センチも40センチ以上も耕してくれるのである。緑地の根が深く土地に入れば、その根と共に空気も水も地中に浸透していく。その根の枯死とともにいろいろな微生物が繁殖し、その死滅や交代と共に腐植は増加し、土は肥沃化し軟らかくなる。腐植のある所にはやがてミミズが増え、ミミズがいれば、モグラもまた土の中に穴をあけてくれる。
 自然の田は1平方メートル当たり300本の穂で、一穂に平均200粒の籾(もみ)をつけ、10アール15俵どりの収穫をあげる。害虫がいても天敵がいればバランスはとれるのである。そして出来た作物にも栽培過程にも公害を発生する要素は皆無で、土壌は永久に肥沃である。これらの点は現に長年実績をあげているので間違いなく、誰にでもやれる農法である。この一切無用の自然農法の原則は、無耕耘、無肥料、無除草、無農薬である。

 このように自然農法では人間がすることはほとんどないが、次に収穫した作物から種子を採取し、保存する方法を見ていく。

○採種と保存

■野菜の場合

①追熟
 追熟とはしばらく常温で置き完熟させることで、未熟な野菜や果菜から種を採るときはできるだけ追熟させるほうが良い。未成熟果は完熟すると種が発芽しやすくなる。

②洗浄
 種に付着した果肉はザルに取って水洗いして落とす。果肉が残っているとそこからカビが発生し、種の腐敗の原因になる。また種の周りのヌメリなどは発芽を抑制する休眠物質なので、取り除いた方が発芽しやすくなる。

③乾燥
 中身が充実していない種は水に浸けると浮くので沈んだ種だけを保存する。しかしカボチャなどの種は良いものも浮く。洗浄後、種をザルに広げ十分に乾燥させる。カビ防止に日光に当てる時は短時間に留め、基本的に陰干しが良い。

④保存
 採取した種は2〜3年程度は保存可能で、湿気のこもらない容器に入れて冷暗所や冷蔵庫などで保存する。湿気対策には紙封筒など通気性の良い容器を使用し、除湿・調湿効果のある木炭などを一緒に置くとよい。容器には品種と採種日を記入しておき、年々発芽率が悪くなるので早めに蒔くよう心がける。

■果樹の場合

①洗浄
 種に果実の繊維が付着している時は落とす。残った果肉からカビが発生し種の腐敗の原因になることがある。

②保存
 土の中と同様に暗く冷たい場所で保存する。湿らせたペーパータオル、砂や土など保水性のある素材で種を包み、乾燥を避ける。果樹の種は干乾びると死ぬ。果樹には冬を経験しないと発芽しない「低温要求種子(バラ科植物)」が多く、室内なら冷蔵庫で保存することで低温処理を済ませられる。大体1〜2ヶ月ほど4℃位の低温状態に置けば発芽が可能となる。また食べた後すぐに種を植え、春の自然な発芽を待つことも良い。バラ科植物には、サクランボ・ウメ・モモ・アンズ・ナシ・ビワ・リンゴ・プルーン・スモモ・アーモンドなどがある。

○粘土団子

 福岡正信氏の自然農法に粘土団子というものがある。粘土団子の作り方は簡単で、とにかく手当たりしだいにいろいろな種を百種類以上集めて混ぜ合わせ、それを粘土といっしょに混ぜて団子状にする。こうして作った粘土団子を適当にばら蒔く。するとその中で一番その時どきの環境と時期に合った種が芽を伸ばし、やがて根を張って育っていく。百種類以上もある種の中からどれがまず芽を出すのか、それは自然そのものが決める。生命力のない種やその土地の環境に合わない種はとうぜん芽を出すことはない。つまりそこで育つにふさわしい種だけがまず芽を出し、土に根を張っていくというわけである。
 粘土団子は砂漠の緑化にも用いられる。まず粘土団子をばら蒔いて、砂漠の中で芽を出す最初の植物に期待する。その点ではハヤトウリなどが適種で、ハヤトウリなら1本が根付けばかなり広い面積を緑の葉で覆う。問題は砂漠のようなところでいかにして根付かせることができるかという点だが、そこに粘土団子にして蒔くということの意味がある。1つの粘土団子には水分も養分もちゃんと含まれているので、その分だけでも1日に4、50センチもの根を伸ばすことができる。こうして粘土団子の力に支えられて芽を出し、根を伸ばし始めたハヤトウリの根が3メーターも伸びれば、砂漠とはいえその辺りには必ずある湿った土に向かって伸びる。そして根は地下にある水源に向かってさらに伸びていく。その結果ついに水脈に届くことになる。ハヤトウリが砂漠に根づけば1株で1000平方メートル(約33m四方)もの空間を緑で覆う。そうすれば灼熱の太陽に焼かれていた砂漠の地表であっても温度が下がる。すなわちハヤトウリがそれまでの砂漠とは全く違った自然環境を新しく作りだしてくれる。これはインドで実際に行われた事実である。

○自然の復元時間

 拡張プラウト主義の世界では、地球の自然環境を原生林があったような状態へ戻し、その中で自然農法によって食物を栽培し、本来の食生活を行うことが基本となるが、では一体どれほどの期間で地球の自然環境は元通りになっていくのか。その参考例になるのがアメリカのThe History Channelにて放送された「Life After People」という番組である。これは人類がある日忽然と姿を消してしまったら、人間のいなくなった都市、住居、発電所、残されたペットなどはどのような運命を辿るのかを専門家が予測するといったもので、1日後から1万年後までを予測している。
 この内容で人類滅亡1年後には、タンポポの芽などが道路の隙間などに入り込み、やがて道路全体を植物が覆うようになる。植物の生命力はとてつもなく、人間に妨げられなければどこででも成長し、建物へもくい込み、動物は人間がいないことに気づき始め都市で繁栄し始める。そして人類滅亡5年後には世界中の都市では道路が姿を消し、あたり一面緑の植物が生い茂っている。建物や公園なども植物に覆われ、鬱蒼とした森へと姿を変えている。街に緑が増えてくるとその草を食べる草食動物が増えてくる。さらにその草食動物を狙って肉食動物が狩りを始める。人類滅亡20年も経てば、サッカー場などのグランドなどは落葉樹の森林へと姿を変えるほどに植物が繁茂している。

 このように人間が自然に手を加えなければ、2〜3年後には都市にも自然農が可能な土地環境を作り出すことができ、3年から5年経てば森へと変貌し、あらゆる場所は自然が生い茂った環境に変わる。では次に、1人の人間が自然農によって自給自足をするには、どれほどの土地がいるのかを簡単な計算で表してみる。

○必要な土地の広さ

 成人1人が市販の米5キログラムを食べきるのに、1日3合で計算すれば2週間と数日かかり、約3ヶ月で20キログラムを消費する。よって1人で年間80キログラムの米を消費することになる。米は300坪(33m×30m)の田から60キログラム1俵が7〜10俵取れると言われているので、仮に8俵480kg取れるとすると、1人分の米80キログラムを作るには、約6分の1の52坪(17m×10m)の土地が必要となる。野菜は季節ごとに適切な種類の野菜を育てることを前提にすれば、3m×3mの畑で充分に1人分を収穫できると経験者は述べている。よって1人に対して1年間に必要な土地は次のようになる。

・米   52坪(17m×10m)
・野菜   3坪(3m×3m)
・合計  55坪(18m×10m)

 1人約55坪あれば1年間自給自足が可能になるという計算になり、1万人の地域では約1.5km四方の農地になる。福岡正信氏は1世帯4人が食糧を自給するには、10アール(約33m四方)あればよいと述べ、ある農家では一家4人の分量なら、野菜類だけで1アール(10m四方)もあれば充分だという意見もある。作物の種類、場所などにもよるが、低カロリー食を基本とすれば5人の家族が暮らしていくには33m四方の土地があれば、1年間の米と野菜の自給自足が可能になる。必要なものは自然が生い茂った土地である。

○米作り
 現在は水稲が一般的だがここでは陸稲を用い、さらに福岡正信氏の米作りの方法を発展させ自給自足社会に適した米麦作りを見ていく。一つの参考として考えてみてほしい。

1、「十月の稲刈り前」 麦種を稲穂の頭からばら播く。
2、「その約2週間後」 数センチに伸びた麦を踏みながら稲刈りをする。稲刈りは穂の部分だけを石包丁で刈り取る。稲刈り後、稲の種籾を直播もしくは土団子でばら播く。そして5月の麦刈りまで何もしない。
3、「5月中旬」 麦を刈る。麦を刈るときには籾が数センチに伸びている。あとは放任する。
 これが1年の間にすることとなる。これは春から秋にかけて稲を作り、秋に収穫して翌年の春までは麦を作る二毛作だが、ある地方の米と米の二期作では、1回目は3月中に籾蒔きをして7月中に収穫し、2回目は7月中に籾蒔きをして1月ごろに収穫する。

 稲を収穫する際は現在では根元から刈り取っているがそうはせず、穂の部分を掴んで穂先へ向かって引き、籾だけを手で引き落としていく。これは腰を曲げて収穫する必要がなく、立ったまま作業ができる高さなので腰にかかる負担がない。1つの穂には約100粒前後の籾がつくので、30回籾を引き落とすと茶碗1杯分の約3000粒になる。1日3合の米を1年間食べれば1095回米を食べることになるので、約33000回籾を引き落とすと、1人が食べる1年分の米を刈り取ったことになる。この引き落とした籾を密閉された容器で低温保存すると、1年の長期保存が可能となる。また1人1年分の米は、約1643粒の籾を撒くと育つ。
 籾1粒からは約2000粒の籾が取れるが、これは年間1095回の食事分の米を、籾1粒から作り出せることを意味する。果物なども種1粒が木になり、何百個の実と何千粒もの種を作る。つまり自然は1粒を何千倍にも増やす力を持っている。
 陸稲の他に冷害や干ばつに強い雑穀は安定した収穫量が見込め、長期保存が可能となっている。小麦、米、とうもろこしを世界の三大穀物というが、それ以外のヒエ、アワ、キビ、大麦、アマランサス、ソバ、大豆、小豆などの穀物はまとめて雑穀と呼ばれている。日本ではアワ、ヒエ、キビ、ハト麦などを、白米や玄米に混ぜて食べてきた歴史があるが、コレステロールや血糖値の低下作用、アレルギー患者に対する代替食など、その機能性は明らかになっている。

○天然更新

 自然農において初期は自ら種を播き収穫することになるが、それも数年、数十年のうちに天然更新で自動的に食物が得られるようになる。例えば木に果物が実れば、すべて収穫せずあえて残しておくことで、自然に落下した種から再び樹木が育つ。また動物が実を食べれば種を遠くへ運ぶ。これを繰り返すことにより、育つ植物もその地に適したものが育つようになり、栄養ある植物が豊富になっていく。自然そのものが栄養が増せば植物や樹木は大きくなり、それらを食べる人間や動物も自然と大きくなっていく。
 これからの社会においては、人間の食べる量が減ることや自然が増えることによって食の需要よりも自然からの供給が上回る。よって人間は木や土から食物を取る場合は少しだけ分けてもらうという姿勢で取り、鳥や猿など動物の為に、そして天然更新の為に残しておく謙虚さを持つ。そうすることですべてが共存可能となる。苦労して食物を作る必要はなくなり、人間と自然が調和した関係が成り立つ。

○乳児から6歳児までの食事について

 こういった考えを基本とし、次にナチュラルハイジーンを奨める松田麻美子著の「子供のからだは家族が守る!子供たちは何を食べればいいのか」から見ていく。

•乳児にすすめる食事(誕生〜六ヶ月)

 新生児から生後六ヶ月までの赤ちゃんにとって、最も理想的な食事は母乳です。どんな動物のミルクも、その動物の赤ちゃんが成長していくのに必要なものを、最も完璧に満たすことができるようにつくられています。そしてそれは人間にとっても当てはまります。母乳こそはヒトの赤ちゃんにとって自然が与えてくれた完璧な食べ物であることは、何百年もの長い歴史の試練に耐えてきたことが証明しています。

【母乳の出が悪いときの対応策】

 九十五%の女性は授乳可能です。母乳がたくさん出なかった場合には、もっと頻繁に授乳をしてみることです。頻繁に授乳すればするほど、母乳が多く出るようになります。また、水分の豊富な果物をたくさん食べるようにするのも効果的ですが、それでも母乳の出が悪いとしたら、それは母親の栄養摂取が不十分だったり、ストレス過多、睡眠不足などが原因です。

【離乳はいつから始めるべきか】

 離乳はけっして急ぐべきではありません。「長く授乳をしていると独立心がつかない」といわれたりしていますが、それは真実ではないようです。赤ちゃんに離乳の準備ができていないうちに、母親の意思で離乳をさせてしまうのではなく、自然界の動物たちと同じように、赤ちゃんに不安感を与えず、自然のペースで離乳させていくほうが、赤ちゃんにとって幸せで、独立心のある子供に育つことを証明している研究もあるのです。四か月から六か月の間も、母乳にまさる食事はありません。この時期はまだ赤ちゃんの消化器官は固形食を受け入れられるように十分発達していません。消化酵素も揃っていないのです。
 赤ちゃんの体は、最初の二年間は母乳だけでも育つようにつくられているのですから、離乳はその間に徐々に行っていけばよいのです。
 生後四か月から六か月の時期に、母乳と併用しておすすめしたいのが、果物のジュースと野菜ジュースです。果物のジュースはたいていの赤ちゃんが生後二週間から受け入れることができます。
 生後六か月では毎日一カップ程度の果物ジュースを、一回の授乳の代わりに飲ませるようにします。生後六か月近くになると、母乳からの鉄の供給量が低下してくるため、野菜ジュースは鉄分補給に最適です。野菜ジュースは、緑葉野菜(サニーレタス、リーフレタス、小松菜、ホウレンソウ、ケールなど)と、少量の赤ピーマン、セロリ、キュウリ、ニンジン、ビートなどをジューサーにかけます。特に赤ちゃんが汗をかく夏の間は、キュウリはすばらしい水分補給源となります。ただしニンジンは炭水化物系食品で、四か月から六か月の赤ちゃんの消化器官ではまだ十分に消化できませんので、あまりたくさん使わないように注意してください。
 一般には四か月目に入ると穀類(重湯やお粥など)を与え始めるようですが、穀類は一歳になるまで食べさせるべきではありません。みなさんの読んだ育児書には、こんなことは書かれていないと思いますが、ナチュラル•ハイジーンの医師たちは一〇〇年以上も前からそうすすめています。歯が一〜二本生えたからとはいえ、一歳未満の赤ちゃんは、まだ消化器官が穀類を消化できるように発達していないため、正しく消化することができないのです。そのため、消化器官の中で発酵し、消化のトラブルが起こります。
 また、穀類の中のタンパク質(グルテン)は、母親の免疫グロブリンを受け取るために、吸収しやすくなっている腸壁から吸収されていき、アレルギーを引き起こすリスクも高まります。穀類、特に、米、アワ、ヒエ、蕎麦、コーンミール、小麦、オートミール、大麦、ライ麦のようなグルテンを含む穀類は、一歳になるまで食べさせないように注意してください。ただし、キアヌ、アマランサスは、六か月の赤ちゃんでも、問題なく受け入れられるようです。

•離乳食(六〜二十四か月)

【最初の固形食、それは果物】

 赤ちゃんが完全に固形食を食べられるようになったときとは、自分の手で食べ物を持って食べることができるときです。多くの場合、赤ちゃんはお母さんが食べているものを食べたいのではなく、まずどんなものなのか口に入れて試してみたがるのです。おもちゃを調べるのに口に入れて感触から探るのと同じ感覚です。スポック博士は次のように述べています。
「赤ちゃんが固形食を食べるようになるときこそ、親にとって最大のチャンスです。その子が一生を通じてすばらしい健康状態を保てる食習慣をこのとき教えてあげることができるからです。しょっぱいものや脂っこいものへの嗜好はごく幼いうちに形成されてしまいます。赤ちゃんにヘルシーな食べ物を紹介する親は、その子が生涯にわたって持ち続けられる食習慣をつけてやることになるのです」
 そうした点からも、赤ちゃんに食べさせる最初の固形食は、当然果物であるべきです。最初に果物の味覚を覚えさせておけば、塩、脂肪、コレステロールを多く含む食品を好んで食べたがる味覚を形成するようなことにはならないからです。果物は赤ちゃんの未発達の消化器官でもすんなりと受け入れることができ、この世で最もヘルシーで安全な離乳食です。準備に時間がかからないうえ、赤ちゃんの成長に必要な栄養を豊富に与えてくれます。
 果物は必ず完熟したものを選びます。皮が黄色いバナナはまだ熟していませんから、食べさせないように注意してください。皮に茶色の斑点が出てきたときが食べ頃です。熟す過程で、その中に含まれている酵素が予備消化をしてくれるため、バナナの炭水化物は完全に糖に変えられているのです。したがって、消化器官に負担をかけずに容易に吸収し、利用することができます。
 赤ちゃんに新しく紹介する果物は、一度に一種類だけにします。そして、四〜五日は同じものを食べさせるようにします。これは赤ちゃんがその果物に対して、フードアレルギーを起こさないかどうか見るためです。そのサインはお尻に湿疹が出ることです。赤ちゃんにバラエティーに富んだ食べ物は必要ありません。本当にお腹がすいていれば、赤ちゃんは毎日同じ食べ物でも喜んで食べます。こうしているうちに赤ちゃんはその食べ物に慣れていき、次の新しいものを試す準備が整います。
 次の新しい食べ物を紹介するのは、一歳未満では最低二週間おいてから、それ以上では四〜五日おいてからにします。いくつかの果物に慣れてきたら、イチゴ、ブルーベリー、キウイ、パイナップルなどのいずれかをつぶし、アボカドといっしょにミキサーにかけてミックスしたものを食べさせましょう。

【二番目は温野菜、三番目は雑穀】

 新鮮な果物を食べさせてから二〜三週間したら、軽く蒸した野菜をピューレ状にしたものを試してみます。ブロッコリー、ホウレンソウ、小松菜、インゲン、アスパラガスなどの緑葉野菜や、グリーンピース、ズッキーニ、スカッシュ(ウリ科の野菜、スクワッシュ)、キャベツ、芽キャベツ、ニンジンなどを蒸してピューレ状にしたものです。
 小型のグラインダーかミキサーにかければ、ほんの二〜三秒でできてしまいます。サツマイモやジャガイモなどは、オーブンで焼くか、蒸してからつぶして与えます。赤ちゃんはサツマイモが大好きです。オーブンで焼いたジャガイモ(ベークドポテト)に、つぶしたアボカド少量を加えて混ぜてもいいでしょう。
 アボカドはつぶすか、またはそのままスプーンですくって与えます。カボチャは多重層鍋を熱し、四〜五㎝に切ったカボチャを皮が下になるように並べ、ふたをして二〇〜二五分弱火で加熱するだけで、おいしく食べられます。
 砂糖や醤油といっしょに出し汁で煮る必要はありません。こうすればよけいな塩や砂糖をとらずにすむだけでなく、なにより手間がかかりません。赤ちゃんには、果肉の部分をスプーンですくって食べさせます。
 先にもお話ししましたが、一歳以前に与えても消化にトラブルを起こさない穀類は、キヌアやアマランサスなどの全穀類です。二•五〜三倍の水とともに火にかけ、沸騰したら、弱火で水気がなくなるまで炊きます。
 これを少量の水または、加熱したカボチャやサツマイモ、ニンジン、スカッシュ、ズッキーニなどといっしょにミキサーでピューレ状にします。米やパン、麺類、オートミールなどを食べさせるのは一歳を過ぎてからにします。

【母乳のヘルシーな代用品とは】

 母乳に代わるすばらしくヘルシーなミルクがあります。それは、ナッツミルクやシードミルクです。アーモンドやカシューナッツなどの木の実や、ゴマ、ヒマワリの種でつくります。また豆乳も牛乳よりずっと良い選択です。ヤギのミルクが手に入るようでしたら、離乳期を過ぎた段階から、飲ませてもいいでしょう。ヤギは人間の体と大きさが近いため、牛のミルクのようにアレルギーを引き起こすことが少ないからです。
 離乳期に牛乳を飲ませることだけはすべきではありません。牛乳は様々なアレルギー、耳の炎症、小児糖尿病、貧血、肥満、ガンなどと密接に関連しているからです。「七か月から十二か月の赤ちゃんに牛乳を与えると、腸から失う血液の量が三〇%増加し、便の中にかなりの鉄を失う」と『Pediatrics(小児科学)』が報じています。

★ナッツミルク(アーモンド、またはカシューナッツのミルク)

•作り方 アーモンド三〇グラム(約大さじ3を水に二時間以上浸し、熱湯に二分浸して皮を剥いてもの)をミキサーにかけて粉にする。次に、水(蒸留水か湯冷まし)1カップ、デーツ(ナツメヤシの実)1粒(手に入らない場合は黒砂糖小さじ二分の一)、バニラエッセンス数滴を加え、数分撹拌し、こし器でこし、すぐに飲ませる。冷蔵庫で二四時間保存可能。アーモンドの代わりにカシューナッツを使うことも可能。

★シードミルク(種子類のミルク)

•作り方 約二時間水に浸しておいたヒマワリの種大さじ2、洗いゴマ(白)大さじ1の水気を切り、ミキサーにかけてペースト状にする。そこへ水(蒸留水か湯冷まし)1カップ、デーツ1粒または黒砂糖小さじ二分の一(好みで)を加えて、数分撹拌し、こし器でこし、すぐに飲ませる。冷蔵庫で二四時間保存可能。

『乳児の食事スケジュール』

•午前6時 母乳
•午前9時 果物または果物のジュース
•午前11時〜12時 母乳
•午後3時 野菜ジュース
•午後5時 サツマイモかジャガイモ、あるいはキアヌかアマランサスと温野菜をピューレ状にしたもの
•午後8時〜9時 母乳
•深夜 母乳が必要な赤ちゃんには母乳を飲ませる

 離乳はけっして急ぎすぎる必要はありません。果物を与えても赤ちゃんが関心を示さず母乳を欲しがるようでしたら母乳を与えます。離乳には時間をかけ、ゆっくりと固形食に慣らしていくようにしてください。

『離乳期にも動物性食品は必要なし』

 非常に多くの母親たちが、「離乳を始めたら、肉や魚、卵、粉ミルク、牛乳などで栄養を与えないと、赤ちゃんは成長していけないのではないか」と思っています。みなさんの想像に反して、プラントベース(植物性食品中心)の離乳食のほうが、赤ちゃんはずっとヘルシーに成長していくことができます。
 ただし六か月から一歳までの間の成長率は、母乳だけのときと比べると横ばいの傾向があり、赤ちゃんの標準的な成長率よりも低くなっています。これは、ベジタリアンの赤ちゃんにとってはノーマルなことなので、心配するには及びません。
 一般に用いられている赤ちゃんの標準的な成長率の表は、粉ミルクを併用する典型的な育児を基準にしていますので、赤ちゃんはロケット燃料を入れられたように超スピードで成長していくのです。ベジタリアンの食事でも、母乳を飲んでいたときと同じ成長率で成長しているかぎり心配無用です。
 ベジタリアンの赤ちゃんは、一般に身長の伸び率は標準並ですが、体重のそれは標準よりやや少なめです。大人でもベジタリアンの体重は標準値より少なめですが、人生のどの時期でも、太っているよりやせているほうが健康で長生きすることは、さまざまな疫学的研究が証明しています。
 この時期、気をつけなければいけないことは、水分が多くエネルギー濃度(カロリー)が低い果物やジュース、緑葉野菜や生野菜で赤ちゃんの小さなお腹をいっぱいにさせてしまうと、成長に必要十分なのエネルギー(カロリー)がとれなくなり、体重の増加率が鈍るという点です。
 大人は、カロリー量が半分のものを食べるときは、食べる量を二倍に増やすことができますが、消化器官の小さい赤ちゃんにはそれができません。そこで、果物や野菜だけではなく、サツマイモやジャガイモ、キヌア、アマランサス、アボカドなどといった高エネルギー食品を毎日必ず食べさせる必要があります。

【市販のベビーフードについて】

 濃縮ジュースから缶詰、瓶詰、レトルト、フリーズドライなど、いろいろなベビーフードが出回っています。しかし、これらのベビーフードは、離乳期の赤ちゃんにとって、理想的な離乳食ではありません。イギリスのロバート•マッカリソン医学博士は、「中年を過ぎた人を不可抗力で死なせてしまう原因は、有害細菌ではなく、人生の最初に与えられた牛乳か人工的なベビーフードであることがままある」と述べています。
 ナチュラル•ハイジーンの教えるヘルシーな食べ物の判断基準の一つは、それが果樹園や畑からきたものか、それとも工場からきたものかという点にあります。赤ちゃんの主食として食べさせるものが、工場からきているものだとしたら、それらのものには命がありません。死んでいるのです。もちろんたいていの赤ちゃんは、命のないものを食べていても生きながらえることはできますが、人生の初期の頃から、生命力のないものを食べさせられる赤ちゃんは、そのために健康の質を低下させるという大きな犠牲を払いながら、生きていくことになるのです。
 その結果が、マッカリソン博士が指摘している早すぎる突然死や生活習慣病です。繰り返し述べてきたように、生活習慣病は大人になってからの生活習慣の誤りが原因ではありません。幼いときからの生活習慣の誤りの積み重ねの結果です。親が便利さを優先すると、子供が苦しむことになります。
 また、メーカーの言う「着色料、保存料、香料、化学調味料は使用していません」という表示にも注意が必要です。工場でつくられるベビーフードには、たいてい、塩や砂糖、植物油、バター、肉エキス、アミノ酸などが加えられているのです。これらは体にとってヘルシーなものではありません。したがってよほどの場合以外、市販のベビーフードは使用しないに越したことはありません。使用する場合には、オーガニック野菜を使ったものがおすすめです。

•二〜六歳児の食事

【幼児のための食事ルール】

 母乳に加えて、新鮮な生の果物、野菜、温野菜、イモ類、全穀類など、プラントベース(植物性食品中心)の食べ物でお腹がいっぱいになるようにさせます。食べ物の好みは二〜三歳で形成されるため、良い食習慣をつける際に役立つ食事のルールとして、ハーバート•M•シェルトン博士は次のような六項目をあげています。

①自然なものを与えること。すなわち、加熱、加工、加熱殺菌されていないもの、混ぜものをして質が落とされていないもの、薬物が混入していないものを与えること。混ぜものとは、塩、砂糖、油、化学調味料、食品添加物などのことです。ナチュラル•ハイジーンでは、基本的にこれらの使用はすすめていません。和食のときは、砂糖、塩、醤油は不可欠となります。幼児の食事では大人以上に薄味にします。幼いうちに塩への嗜好をつけさせてしまうと、やがて高血圧は避けられなくなるからです。高血圧は遺伝ではありません。家庭のレシピ(おふくろの味)により代々伝えられていくのです。

②食べさせすぎないこと。一日三度、適度な量の食事を食べさせること。

③シンプルな食事を与えること。

④決めた時間以外に食べ物を与えないこと。

⑤熱があるとき、体調の悪いときは食べさせないこと。お腹の調子が悪い、気分が悪い、興奮している、疲れている、ひどくイライラしている、寒けがする、痛みがある、元気がないといった状況にあるときは、食事を与えないこと。

⑥果物は加熱しないこと。

【二歳以上の幼児向けおすすめメニュー】

①朝食
絞りたてのジュースか、新鮮な果物を与えます。ジュースは一度に二〇〇ml以上与えないこと。ゆっくり噛むように飲むことを教えます。果物は二〜三個が目安です。

②昼食
次のメニューのうちからいずれかを選択してください。
★ミカン3個かオレンジ2個、加えてサラダ菜かリーフレタス、セロリ、アボカドを適量
★スモモ、モモ、ネクタリン、リンゴ、ナシ、洋ナシなどを一種類、加えてセロリ、白菜を適量
★イチジク(生)2個、プラム1個、加えてセロリ、レタスを適量
★グレープフルーツ、セロリ、サラダ菜、カシューナッツ(またはクルミ、松の実、ヒマワリの種、カボチャの種)
★マンゴー、セロリ、サニーレタスを適量
★パパイヤ、セロリ、キュウリを適量
など。

③夕食
 次のメニューのうちからいずれかを選択してください。生野菜は小さく切って食べさせます。食べ慣れるまでは、少量にします。なおレタスは、栄養価の低い丸いものではなく、緑の濃いレタス(サニーレタス、リーフレタスなど)を使ってください。

★キュウリ、セロリ、レタス、トマト、インゲン、赤ピーマン、木の実か種子類
(注)アーモンドやクルミなどは、五歳以前ではよく噛めません。親があらかじめ噛んで食べさせるか、みじん切りにするか、あるいはナッツバターやヒマワリやカボチャの種のバターなどを与えます。松の実は食べやすいです。また水に浸しておいた木の実をミキサーでペースト状にし、これにトマトを加えて撹拌し、さらにほかの野菜とともになめらかになるまでミキサーにかけると、野菜のクリームスープができます。
★キュウリ、セロリ、レタス、ピーマン、ブロッコリー(それぞれ生、細かく切る)、アボカド、焼きイモ(好みで)
★キュウリ、セロリ、トマト、ニンジン(生、千切り器で千切りに)、クルミか松の実
★キュウリ、セロリ、絹サヤ(生)、レタス、カボチャ(多重層鍋で加熱)かベークドポテト
★玄米粥、キュウリ、セロリ、赤ピーマン、カリフラワー(それぞれ生、細かく切る)
など。

④おやつ
 おやつを与える場合は、果物、木の実、種子類、スムージー、ドライフルーツでつくったお菓子、または野菜のスティックを与えます。
 これらはこの世でいちばんヘルシーなおやつです。スポック博士もおやつに果物をすすめています。砂糖や塩、バター、トランスファット、精製穀類でできたお菓子類は、肥満やさまざまな病気の要因となるからです。家庭で自然のものだけを与えていれば、外で不自然な加工品を与えられる機会があっても、子供はあまり関心を示しません。
 またお菓子をご褒美として与えないよう気をつけてください。いい子にしていたらチョコレートがもらえる、サラダを食べたらデザートがもらえる、などという取り引きを子供に覚えさせてしまうと、ヘルシーな食習慣をつけさせることができなくなります。
 ついでですが、テレビを自動子守り機として使っていると、子供はコマーシャルの影響で、好ましくない食習慣への好奇心を助長させ、親のコントロールがむずかしくなるので注意が必要です。

◯妊娠中の食生活

【妊婦にとってベストの食事】

 生まれてくる赤ちゃんは、自分の健康の質を自分で選ぶことはできません。赤ちゃんが生涯にわたって保ち続けていかなければならない体の健康は、妊娠中はもちろんのこと、厳密に言えば、妊娠以前から母親が選択し行ってきた食習慣やライフスタイルによって決定されてしまうのです。
 母親のライフスタイルが間違っていると、生まれてくる子供は健康上のさまざまなトラブル(病気や障害)という大きなツケを、一生涯背負っていかねばならなくなります。したがって子供を持つことを考えている女性は、妊娠以前から、「最良の食べ物」を「ベストの組み合わせ」で「適量」とることに、細心の注意を払うようにするべきです。
 妊婦にとってベストの食事とは、すべての人々にとってそうであるように、新鮮な生の果物、野菜、木の実や種子類、イモ類、全穀類、豆類、海藻、スプラウツ(発芽類)などのプラントベース(植物性食品中心)の食事です。
 これらの食べ物を正しい組み合わせでとっていれば、妊婦は赤ちゃんの健全な発育と成長に必要な炭水化物、タンパク質、必須脂肪酸、ミネラル、ビタミン、酵素、抗酸化物質、ファイトケミカル類、食物繊維などの栄養をすべて十分にとることができます。もちろん妊婦自身の健康も維持されます。

【肉や魚、乳製品からタンパク質をとってはいけない】

 妊婦は赤ちゃんの体の細胞をつくるために、良質のタンパク質をたくさんとるように言われますが、妊婦に必要なタンパク質の量はふつうの女性より一日当たりわずか一〇g増やすだけでよく、それは木の実や種子類、豆類や大豆製品、全穀類、緑葉野菜から十分摂取することができます。
 日本の医師や栄養士は「良質なタンパク質とは、赤身肉や魚、牛乳•乳製品のことだ」と信じ込んでいて、植物タンパクのほうがずっとヘルシーな選択であることを理解していません。動物性食品は確かに高タンパク食品ではありますが、コレステロールや脂肪、環境汚染物質も大量に含んでおり、妊婦にとっても胎児にとってもヘルシーなものではありません。
 朝食にはたっぷりの果物と少量(三〇g〜五〇g)の木の実や種子類を、そして昼食と夕食には、積極的に豆類(豆腐、納豆、きな粉などの大豆製品を含む)、あるいは木の実や種子類を利用するようにします。

【牛乳は飲んではいけない】

 たいていの産婦人科の医師は、妊婦の健康と赤ちゃんの健全な発育に必要なカルシウム補給のために、必ず牛乳を飲むことをすすめます。学校給食制度のおかげで、牛乳は妊婦にかぎらず、「すべての人にとって絶対欠かせない必須食品である」といった考えがしっかりと定着してしまいました。
 しかし、私たちは今こそ真実を見極める目を持たねばなりません。牛乳は牛の赤ちゃんにとっては完璧な食べ物であり、すばらしいタンパク•カルシウム源であることは間違いありません。しかし、ホモサピエンスとしての人間の体にとってはふさわしいものではないのです。
 雌牛はけっしてほかの動物のお乳をもらって飲むようなことはありません。それでいてあふれんばかりのミルクを出すことができるのはなぜか、と考えたことがあるでしょうか。牛たちは緑の草を食べて、豊富なミルクをつくっているのです。
 妊婦も新鮮な緑葉野菜や豆類、種子類、海藻を豊富にとっていれば、カルシウムは十分とることができ、生まれてくる赤ちゃんを健康的に発育させ、母乳をたくさんつくることができるのです。
 特に小松菜、カブの葉、大根葉、ツルムラサキ、ロケットサラダ(ルッコラ)、野沢菜、ターサイ、チンゲンサイ、バクチョイ、春菊などの緑葉野菜はカルシウムの宝庫で、牛乳よりもずっと吸収が良いのです。また、ゴマやヒジキもカルシウムを豊富に含む食べ物です。
 ミカンやオレンジなどのような、カリウムとビタミンCを豊富に含む柑橘類は、カルシウムが失われるのをカリウムが防いでくれるばかりか、ビタミンCが骨の形成をスピードアップさせるので、妊婦は積極的にとるようにすべきです。
 日光に当たることも忘れないでください。日光に当たらないと、カルシウムを吸収させるために必要なビタミンDがつくられません。

【鉄分の補給は緑葉野菜で】

 妊娠中は栄養と酵素を胎児に運ぶために、そしてまた胎児の血液をつくるために、鉄がよけいに必要だということから、鉄分を豊富にとることがすすめられますが、全穀類や豆類、緑葉野菜を豊富にとっていれば、妊娠中、鉄分が不足することはまずありません。
 グリーンサラダは一日二回、緑の温野菜は最低一カップとるようにします。貧血症の妊婦は、グリーンサラダやグリーンジュース(緑葉野菜のジュース)をとると、すぐに改善されます。

◯排泄物での健康確認

 便には様々な色や形があるが、便の状態によって腸内の状態が良いのかどうかがわかり、自分の健康状態が解る。ポイントは便の色、臭い、量、形状となる。便の色は食べた物の色素などで一時的に変わる場合もあるが、長期に渡っての変化は体内に異常がある可能性を示す。

【白みがかった黄色】
 便の色は腸内細菌のバランスによって左右され、腸内細菌のバランスが最もとれているのは乳児の白みがかった黄色となる。これには善玉菌のビフィズス菌が多く含まれている。

【茶色がかった黄色】
 成人には白みがかった黄色の便を出すことは出来ず、やや茶色がかった黄色が成人の理想の色となる。

【赤色】
 赤い便は大腸や肛門での出血や大腸ガンの可能性がある。

【灰色】
 灰色の便であれば肝臓やすい臓に異常がある可能性がある。

【黒色】
 便が黒くなれば腸内に悪玉菌が増えている証拠となる。

 便は悪臭漂うものというのが一般的な認識だが、腸内環境が良い人は臭いもそれほどきつくはならない。便の悪臭を生み出しているのは腸内の悪玉菌で、便秘などで便が長い時間腸内に留まると臭いもきつくなる。よって臭いがきつい場合は、悪玉菌が増殖している可能性がある。また腸内細菌は肉類などたんぱく質を分解した際にもきつい臭いの物質を生産するので、肉食の人の便は臭いもきつくなる。

 便の量や形はバナナが理想的とされている。通常の健康な便に含まれる水分量は便全体の70〜80%で、この場合バナナ型の便がスムーズに排便される。便の形は便に含まれる水分量によって変化し、水分量が70%未満になると便が硬くなり、コロコロとしたウサギの糞のような形になる。これは便秘の人物に多い典型的なタイプで、排便も苦痛になる。便に含まれる水分量が90%以上になると下痢の状態になり、便は形を維持できない。