4章 シュメール文明とアフリカ : 地球人のルーツ

■紀元前45万年頃

ニビル星の大気圏の崩壊と地球の金---------------------------------------------------------------------

 ニビル星の大気層は、はじめのうちは有害な宇宙線から守られていたが、年月が経つと次第に大気圏に亀裂が生じ始め、惑星内部まで宇宙線が侵入してくるようになった。そして、ちょうどその頃から、平穏の日々が続いていたアヌ一族にも亀裂が入り地球を巡る領土争いで、一族は二手に分かれて戦い、その危害は地球にも及び始めた。
 地球への移住が始まるまでは、アヌの一族は統治者であるアヌの元で団結した社会を築き、進化したテクノロジーを享受して、創造というネクターを飲み干しながら平和に暮らしていた。しかしながら、ニビル星の大気圏の亀裂が広がることで、ニビル星にも異変が起きはじめた。これが、人工的に造られた星の不自然さであろう。
 いわば、どんな星であろうとも、この銀河には永遠に存在することは許されないのである。白色矮星(はくしょくわいせい)は褐色矮星(かっしょくわいせい)に移り変わり、いずれは銀河の塵となる運命にある。命あるものはすべて、惑星でさえも死と再生を繰り返すのが宇宙の掟である。

 ニビル星の大気の成層圏を修復できる唯一残された方法は、鉱物である金を単原子まで微塵(みじん)に粉砕し、大量に大気圏にばら撒くことだった。


アラルのニビルからの逃亡--------------------------------------------------------------------------------

 アラルがニビルから逃亡したのがその始まりだった。アラルには偉大な理解力が与えられており、彼は学習により多くの知識を得ていた。彼の先祖アンシャーガルにより天と軌道に関する知識が増え、エンシャルにより知識が大幅に増大した。アラルはそれを盛んに学習した。彼は賢者たちと語り、学者や司令官たちに相談した。このようにして原初の知識が確認され、アラルはその知識を得た。「砕かれた腕輪」に金のあることが確認された。「砕かれた腕輪」に金があるということは、ティアマトの上半分にも金があることをそれは示していた。

 アラルはアラルとのもみ合いで亡くなったラーマのように殺されることを恐れ、密かに逃げ出した。“天の二輪戦車”の場所へ大急ぎで行き、ミサイル投下用の二輪戦車に乗り込んだ。“道筋を示すもの”のスイッチを入れると青みがかったオーラで部屋が満たされ、二輪戦車の“大きな爆竹”を活気づけると、赤みがかった光輝が放たれた。そして、ニビルから脱出し、地球へ進路を定めた。“始まり”の秘密、すなわち太陽系創造の歴史により、地球が“打ち出し細工のブレスレット”の片割れであることを知っていたためである。
 “打ち出し細工のブレスレット”は誰も横断したことがなかった。アラルは、迫り来る“打ち出し細工のブレスレット”の巨石に対して“恐怖の武器”を発射して粉砕し、見事、危機を乗り切った。そして、未知なる地球に到達した。地球の頂上と底は雪のように白く、真ん中は青と茶色だった。地球を旋回するため、彼は二輪戦車の停止翼を広げ、“貫くビーム”で地球内部を調べた。多くの金の存在を、ビームが示していた。アラルは二輪戦車を運命の手に委ね、地上に何とか着陸した。


アラルの地球調査-------------------------------------------------------------------------------------------

 アラルの戦車は轟音とともに、偶然にアラビア半島に着陸した。着水地点は、アラビア半島東南のアラビア海である。自分の居る場所を確認するために、光線を使って彼はその場所を走査した。彼の戦車は乾いた大地に降りていて、広い沼地の端に着陸していた。


 彼は鷲(わし)のヘルメットをかぶり、魚の服を着た。この服装は宇宙服であった。最初は大気の適合性が解らなからないので宇宙服を着た。しかし、地球がニビルの衛星の衝突によって形成され、その際、生物種のDNAが地球に蒔かれたので、2つの星は類似していた。まったく他の星系からの訪問者では、大気組成も合わず、そもそも微生物によって体がやられしまう。

 そして戦車のハッチを彼は開けた。ハッチを開けたとき彼はしばし立ち止まり思いに耽(ふけ)った。大地は黒っぽい色をしており、空は青と白だった。何の音もしなかった、彼に挨拶する人は誰もいなかった。彼はただ一人異星の地に立っていた、ニビルから永遠に追放の身になったのではないかと考えながら。
 大地に彼は降り立ち、黒っぽい土壌の上を歩いた。遠くに丘が見え、近くには植物が繁茂していた。前方には沼地があった、彼は沼地の中に歩を進めた。水の冷たさに彼は身震いした。乾いた地に彼は戻った。ただ一人異星の地に彼は立っていた。彼は思いに耽(ふけ)った。配偶者と子孫のことを彼は懐かしく思い出していた。彼はニビルから永遠に追放されたのだろうか?何度も何度も彼はそれを考えた。間もなく彼は、食べ物と飲み物で体を維持するために戦車に戻った。それから深い眠りが彼を襲った、強烈な眠気だった。どのくらい眠ったのか彼には分からなかった。何が彼の目を覚ましたのかも見当がつかなかった。外は明るかった、ニビルでは見たことのないような輝きだった。彼は戦車から竿(さお)を伸ばした、それには試験器が付いていた。その機器は惑星の空気を吸い込み、呼吸可能であることを示していた。彼は戦車のハッチを開け、開いたハッチから息を吸い込んだ。
 もう一度息を吸った、それから更に何度も吸った。キ(地球)の空気は本当に呼吸可能だった。アラルは手を叩いた、喜びの歌を彼は歌った。鷲のヘルメットなしに、魚の服なしに、彼は大地に降り立った。外の明るさは目を眩(くら)ませるほど太陽光線は強烈だった。彼は戦車に戻り、目に保護マスクを付けた。それから携帯用の武器を身に付け、手軽な標本採集装置を取り上げた。彼は大地に向かって降りて行き、黒っぽい土壌に一歩を踏み出した。それから沼地に向かって進んだ。水は濃い緑だった。
 沼地のそばに小石があった。アラルは小石を一つ取り上げ、沼地めがけてそれを投げた。沼地に動くものが見えた。水は魚で一杯だった。濁った水の状態を調べるために、沼地の中に標本採集装置を入れた。水は飲み水としては適していなかった。アラルは大いに失望した。彼は沼地から離れ、丘の方に向かった。植物の間を通って行った。藪(やぶ)が樹木に替わった。そこは果樹園のようだった。木には果物がたわわに実っていた。その甘い香りに誘われ果物を一つもいで、彼はそれを口の中に入れた。甘い香りがした。味は更に甘かった。アラルは大いに喜んだ。

 太陽光線と反対の方にアラルは歩き、丘の方に彼は向かった。木々の間を歩いているとき足元に彼は湿り気を感じたので、近くに水がある印だった。湿り気の方向に彼は向かった。森の中央に池があり、静かに水を湛(たた)えていた。池の中に標本採集装置を入れた。その水は飲み水に適していた。アラルは笑った。彼は笑いを止めることができなかった。空気は良かった、水も飲み水に適していた、果物もあった、魚もいた。アラルは急いで腰をかがめ、両手で水をすくい、それを口に運んだ。水は冷たかった、味はニビルの水とは違っていた。もう一度飲んだ、それから彼は驚いて跳び上がった。
 シュッシュッと鳴る音が聞こえた。池のそばである生き物が滑るように動いていた。彼は携帯用の武器をつかみ、シュッシュッと言っているものの方に光線を放った。動きは止まった、シュッシュッという音もしなくなった。危険かどうかを調べるためアラルは前進した。滑っていた生き物は動かなかった。その生き物は死んでいたが、非常に不思議な光景だった。その長い体は紐(ひも)のようだった、手も無ければ足も無かった。小さい頭には獰猛(どうもう)な目があった。口からは長い舌が突き出ていた。ニビルではこういう動物は見たことがなく、別世界の生き物だった。これは果樹園の保護者なのだろうか?アラルは考えた。これは水の主人なのだろうか?彼は自問した。
 このアラルが見た動物は蛇であり、ニビルにはいなかった。こうして神のシンボルとして、後に蛇が使われる。そして果樹園というのが、聖書ではエデンの園とされている。

 彼は携帯用のフラスコに水を集め、注意しながら彼は戦車の方へ戻った。甘い果物を彼はもう一つもいで、戦車の方へ彼は進んだ。太陽光線の輝きは減(げん)じ、戦車に着いたときは真っ暗だった。1日の短さを彼は考え、その短さに彼は驚いた。日の短さは、地球とニビルの公転周期が関わっている。公転周期は地球が1年、ニビルが約3600年なので、地球での3600年がニビルでの1年である。つまりニビル星人は長生きなのである。


ニビルのアラルの金の発見--------------------------------------------------------------------------------

 沼地の方角から淡い明かりが地平線上に昇って来た。白い色の球体がすぐに天に昇った。彼は今地球の同伴者である月(キングウ)を見ていた。原初の説明が真実であることを彼は今その目で見ることができた。惑星(複数)とその軌道、砕かれた腕輪、キである地球、その月であるキングウ、すべてが創造された、すべてその名前で呼ばれていた。
 アラルはもう1つ重要な事実の確認が必要であることを知っていた。救済の手段である金を発見する必要があった。原初の話が真実であれば、もし水でティアマトの金の鉱脈が洗われたのであれば、切り取られた半分であるキの水の中に、金が発見されるはずだ。アラルは手を震わせながら戦車の竿(さお)から試験器を外した。彼は震える手で魚の服を着た、日の出を今かと待ちながら。日の出と同時に彼は戦車を出て、沼地の方へ足を速めた。水の深い所まで進み、試験器を水の中に差し込んだ。彼は輝いている試験器の表面を熱心に見つめた。心臓は大きい音を立てて鼓動していた。試験器は水の成分を示していた。記号と数字を使って発見した内容を表示していた。それからアラルの心臓の鼓動は動きを止めた。水の中に金がある、試験器がそれを示していた。震える足でアラルは前進した。沼地の更に深い所へ彼は進んだ。再び彼は試験器を水の中に差し込んだ。再び試験器は金の存在を表示した。叫び、勝利の叫びが、アラルののどからほとばしり出た。今やニビルの運命は今や彼の手の中にあった。
 彼は戦車へ戻り、魚の服を脱ぎ、司令官の席に座った。ニビルの軌道の方向を知るために、彼は全ての軌道を知っている「天の文字盤」を起動した。ニビルの方へ言葉を送るために、彼は「言葉を話す機器」を起動した。それから彼はニビルに向けてメッセージを送り、次のように語った。「偉大なアラルの言葉をニビルのアヌへ送る。私は今別の世界にいる、救済のための金を私は発見した。ニビルの運命は私の手の中にある。あなたは私の条件に耳を傾けなければならない。」


ニビルの地球植民化計画と黄金採取計画---------------------------------------------------------------

 ニビルの運命は私の手中にあるのだから、私の条件にあなたは注意しなければならない。これがアラルの言葉、暗い色の地球からニビルへスピーカーにより送信された。アラルの言葉がアヌ王へ伝えられたとき、アヌも御前会議のメンバーたちも賢者たちも驚いた。
 アラルは死んでいないのか?彼らは互いに尋ね合った。彼は本当に別の世界で生きているのか?彼らは信じがたい気持ちで語った。彼はニビルに隠れているのか?戦車(宇宙船)に乗って隠れ家に行ったのではないのか?戦車の司令官たちが呼ばれた。学者は送信された言葉を考えた。砕かれた腕輪の向こうから彼らに話されたのだ。これが彼らの発見であり、彼らはこれをアヌ王に報告した。
 アヌは驚愕し、彼は出来事を思い巡らした。返答の言葉をアラルに向けて送信させよう、集まった人たちに彼は言った。天の戦車のある場所で命令が与えられ、アラルに言葉が伝えられた。「アヌ王はあなたに挨拶として、あなたの安寧を知って彼は喜んでいる」と伝えた。「憎しみはアヌの心にはない。救いのための金が本当に発見されたならば、ニビルは救われよ。」アヌの言葉がアラルの戦車に着いた。アラルは彼らに急いで応えた。
「あなたの救い主に私がなり、あなたの命を救うならば、王子たちを招集し、私の先祖が最高権力を宣言する!司令官たちに私を彼らの指導者とさせ、私の命令に頭を下げさせよ!御前会議に私を王と発表させ、王座のアヌを交代させよ!」
 アラルの言葉がニビルで聞かれたとき、驚きは大きかった。アヌの退位がどうして可能だろうか?御前会議のメンバーたちは互いに尋ね合った。アラルが真実でなく、冗談を言っているとしたら?彼の避難所はどこだろう?金を本当に彼は見つけたのか?彼らは賢者を召集し、智恵と学識のある助言を求めた。彼らの中のアラルの先生だった最長老が話した。
「彼は天地開闢についての教えに耳を傾けた。天の戦闘について彼は学んだ。水の怪物ティアマトとその金の鉱脈について彼は知識を得た。もし本当に砕かれた腕輪を越えて彼が旅をしたのであれば、地球、第7惑星が彼の避難所である!」

 その集会で一人の王子(アヌの子、アヌの配偶者アントゥの胎"たい"から生まれた)であるエンリル(指令の主)が、注意深い言葉を語った。
「条件についてアラルは語れない。災難は彼のなせる業、一回の戦闘で彼は王座を放棄した。それは本当に我々の大気を守るのに十分なのか?どうやって砕かれた腕輪を通ってニビルへそれを運べるか?」
 また他の人たちも多くの質問をした。多くの証拠が大いに必要とされていた、多くの答えが要求されている。そして全員が合意した。集会の言葉がアラルに伝えられ、応答が要求された。アラルは言葉の理非曲直(りひきょくちょく)を考慮し、秘密を伝達することに合意した。旅とその危険について真実の説明を彼は与えた。テスター(試験器)から彼はそのクリスタル(結晶)の内部を取り除き、サンプラー(見本抽出検査装置)からそのクリスタルの心臓部を取り出した。すべての発見を伝達するために、彼はスピーカーにそのクリスタルを挿し込んだ。「証拠が送られた今、私を王と宣言せよ、私の命令に頭を下げよ!」彼は厳しく要求した。

 賢者たちは仰天した。恐怖の兵器(おそらく核兵器)でアラルはニビルに多くの大混乱を引き起こした。恐怖の兵器で腕輪を通って行く道を彼は爆破した。突然のことに御前会議では、多くのうろたえる場面があった。王権の交代は実に重大事件であったからだ。
 アヌは家系のみで王になったのではない。公平な闘いにより王座を彼は獲得した。王子たちの集会で、アヌの息子エンキが立ち上がって話した。エンキはあらゆる面で賢く、賢者たちの間でも評判が良かった。水の秘密について彼は達人であった。水を家とする人、そう彼は呼ばれた。アヌの子としてエンキは長子(ちょうし)であったし、アラルの娘ダムキナを彼は妻にした。「私の生まれながらの父はアヌ王である」と、エンキは言った。
「アラルは結婚により私の父である。2つの氏族を一つにするのが私の配偶者の意図であった。私がこの闘いに統一をもたらす者となろう!私がアラルへのアヌの密使となろう、私がアラルの発見を支持する者となろう!私が戦車で地球に旅しよう、火ではなく、水の腕輪を通過する道を、私は造ろう。地球では、水から貴重な金を獲得しよう。ニビルへそれを送り返そう。アラルを地球の王にしよう。賢者たちの票決が待たれる。もしニビルをそれが救うならば、第22の格闘を行おう。誰がニビルを支配するかそれで決定しよう!」

 王子たち、御前会議のメンバーたち、賢者たち、司令官たちはエンキの言葉を驚嘆して聞いた。それは智恵に満ちていた、闘いに彼らは解決を見出した。「そうあれかし!」アヌは発表した。
「エンキに旅させよ、エア(エンキ)に金を試験させよ。アラルと2度目の格闘をそのとき私はしよう、その勝利者をニビルの王にしよう!」
 決定の言葉がアラルに伝えられた。彼はそれを熟考し合意した。
「結婚による私の息子エンキを、地球に来させよう!水から金を得させよう。ニビルの救いのためにそれを試験させよう。第2の格闘で王権を私かアヌに決めよう!そうあれかし!」
 アラルは集会で命じた。エンリルは立ち上がって反対したが、王の言葉に変更はなかった。

 エンキは戦車の場所に行き、司令官と賢者たちに相談した。使命の危険度を熟慮し、金の抽出・運搬方法を考えた。アラルのメッセージを彼は注意深く調べ、アラルに追加試験の結果を要求した。その使命のための運命のタブレット(書字板)を彼は作った。
 水が力であるなら、どこでそれは補給できるか?戦車のどこにそれは貯蔵できるか、それはどうやって変換されるか?ニビルの一周が瞑想の中に過ぎた。ニビルの1シャル(3600年)が準備のうちに過ぎた。最大の天の戦車がこの使命のために装備された。周期の運命が計算され、運命の板がしっかりと固定された。50人の英雄が使命のため地球へ旅し、金を得るように求められている。旅の認可をアヌは与え、旅を開始する適切な時期のため天文学者たちがその後選ばれた。戦車のある場所に大勢の人々が集まった。英雄たちとその指導者に別れを告げるため彼らはやって来た。
 王の祝福を受けるために、父アヌの前に彼はひざまずいた。
「息子、長子よ、遠い旅にあなたは出発する、危険に晒されている私たち全員のために。あなたの成功によりニビルの災難を追い払おう。行きなさい、そして無事に帰って来なさい!」
 そのようにアヌは息子を祝福し、別れを告げた。

 ニヌル(ニムル)と呼ばれるエンキの母は、胸に彼を抱きしめた。
「アヌにより息子として私に授けられた後で、どうして、あなたは彼に不安な心を与えたのか?行きなさいそして帰って来なさい、危険な道を無事横切りなさい!」
 彼に彼女は言った。優しくエアは配偶者のダムキナに接吻し、何も言わずに彼女を抱擁した。エンリルは腹違いの兄弟と腕を組み合わせた。「祝福あれ、成功あれ!」彼は言った。重い心でエンキは戦車に入り、飛翔するための命令を彼は与えた。


ニビルの宇宙船シェム-------------------------------------------------------------------------------------

 こうして二ビル王アヌの決定により、地球から黄金を採掘(さいくつ)し、大気拡散防止のためのシールドをつくるプロジェクトが組まれた。その方針に基づき、「偉大なるアヌンナキ評議会」において、地球植民化計画および黄金採取計画が具体的に立案され、事前調査として、無人宇宙船による地球探査が実施された。

 アヌンナキの惑星ニビルが地球の太陽系へ侵入を繰り返すその時期が、これからの地球上の大混乱や非常に大きな変動の時期と合致しており、約3600年ごとに定期的に戻ってくることになる。

 豊富な金が眠っている地球を発見した彼らは、地球から彼らの「シェム」と呼ばれる宇宙船に金を積んで、ニビルまで運ぶことにした。そこで金は精製され、me(メ)の装置を使って大気圏にばら撒かれる。金は大気圏に放射されると、放射能を含む有害物質を打ち消すことができる。これによって、再びニビル星はいつもの機能を取り戻すことが可能になる。これはプレアデスのテクノロジーの1つだった。
 要するに、地球はニビルにとって、金を提供するための星となるのである。こうして生まれたカルマを、今、ニビル星人は地球に向けて援助の手を差し伸べることで、完全にカルマを解消させようとしていることは確かである。その時がやってきていることを彼らは知っている。このようにして、地球がニビルの植民地になっていくことになる。

 この「アヌンナキ」と言う言葉で示しているのは、ニビル星の暗黒面を生きる存在である「アヌの戦士」のことであり、ニビルも地球と同じく3次元の惑星であり、地球に光と闇、愛と憎しみといった2元性があるように、ニビル星においてもまた、闇の力と光の力が働いている。つまりニビル星においても、地球と同じように、そこに生きるそれぞれの存在たちに、魂の目覚めや成長がある。
 ニビルに生きる彼らの種族が自由意志で選択したこととはいえ、彼らが負うことになったカルマは、霊的な意味における成長が信じられないほど遅い。意識ある生命のすべては、「至上の創造主」の火花を内に秘めている。ニビル星にも、暗闇を旅しながら、恐れおののく母親や乳飲み子たちがいる。そして彼らもまた、「創造主の火花」を内に宿す「すべてなるもの」の一部であって、地球人以下でもなければ、他の地球外生命体以下でもない。
 アヌンナキはもともとリラ星からやって来た文明であり、地球文明の起源となる文明なのである。彼等は自らをリラ文明の言葉で”アヌ”と呼んでいたので、地球人は自然と彼等を”アヌンナキ”と呼ぶようになった。


エンキの地球への旅----------------------------------------------------------------------------------------

 海からやって来た魚神の伝説はこのように始まった。

 戦車に入ったエンキは、飛翔命令を与えた。宇宙船の司令官の席はエンキでなく、アンズにより占められた。天を知る者が彼の名前の意味であった。それが彼が特別に選ばれた仕事であった。彼は王子の中の一王子であり、彼の家系は王家のそれに数えられた。
 天の戦車を彼は巧みに操縦した。それはニビルから力強く舞い上がり、遠い太陽の方向に彼はそれを向けた。10リーク、100リーグと戦車は進み、1000リーグと戦車は旅をした。小ガガ(冥王星)がやって来て彼らに挨拶をした。英雄たちにそれは歓迎の手を差し伸べた。美しく魅惑的な女性、アントゥの方向に、それは道を示した。彼女を見てアンズは魅了された。「彼女の海を調べてみよう!」アンズは言った。エンキは止まらず(旅を)続けるよう命令を与えた。「それは帰らざる惑星だ」彼は力を込めて言った。

 3番目の惑星である、天のアンの方向へ戦車は(旅を)続けた。彼の横にアンは横たわっていた、たくさんの月が彼の周りで回転していた。テスター(試験器)の光線は水の存在を示していた。エンキにとって必要なら着地をそれは示していた。旅を続けるようにエンキは言った。天の最高の王子アンシャー(土星)の方向に彼は向けた。間もなく魅了するようなアンシャー(土星)の引力が感じられるようになり、色の付いたその輪を恐れを持って彼らは賞賛した。巧みにアンズは戦車を操縦し、衝突の危険を彼は賢明に避けた。

 最高の堅固な惑星、巨大なキシャー(木星)が、次に遭遇する(惑星)だった。彼女の網の引力は強烈であった。優れた技術でアンズは戦車の進路を変えた。怒ったキシャー(木星)は戦車に向けて聖なる光を投げかけた。招かざる者の方向に彼女はホスト(接待役)を向けた。ゆっくりとキシャー(木星)は過ぎ去って行った。戦車は次の敵に遭遇する。

 第5惑星を越えると砕かれた腕輪が潜伏している。エンキは自分の製作物を回転させるよう水推進エンジンを準備するよう命じた。数多くの回転する岩石に向かって、戦車は突進して行った。それが投石器の石のように猛烈に戦車を狙った。エンキにより命令が出された。千人の英雄の力で水が押し出された。それぞれの岩石が顔を背けた。戦車のための道を彼らは造っている。しかし一つの岩石が逃げると、別のが代わりに攻撃してきた。その数は数えられないほどであった、ホスト(接待役)がティアマトを引き裂くために復讐を求めている。水推進エンジンを回転し続けるように何度も何度もエンキは命令を発した。何度も何度も多数の岩石の方向に水が向けられた。何度も何度も岩石は顔をそむけ、戦車のための道が造られた。

 そして遂に道は開け、無傷で戦車は(旅を)継続できた。喜びの雄叫びが英雄たちにより発せられ、太陽が顔を現したので喜びは二倍だった。喜びの最中アンズが警告を発した。道を造るために、過剰の水が消費された。戦車の燃える石に供給する水が、残りの旅を全うするには不十分だった。

 水を使いすぎ、補給の必要が生じたので、彼らは火星に着陸した。火星の帽子は雪のように白く、中央部分は赤みがかり、湖や川がきらきら輝いていた。水は飲むのに適していたが、大気は適していなかった。その火星からは地球が見えた。彼らは地球に向け離陸した。

 そしてアラルの信号を頼りに、地球の海に着水した。海が乾いた土地に接する場所、4つの川が湿地に飲み込まれる場所である。「地球へようこそ」というアラルの声がスピーカーから聞こえた。彼らは二輪戦車で湿地まで移動し、魚のスーツを着て、湿地へ降りた。間もなく、彼らはアラルの姿を見た。


エンキのシンボル-------------------------------------------------------------------------------------------

 エンキたちが立ち寄った火星は水が豊富だった。しかし大気組成は適合していなかった。最初に着陸したのが魚座の時代の始まりだったので、エンキのシンボルの1つに魚がある。オアンネス(アプカルル)と言う地上に最初に降りた半神半魚の神がいたという伝承の原型が、エンキである。このオアンネスが転じてヨハネという名前になった。洗礼者ヨハネと、黙示録を書いたとされるヨハネである。エンキが海に関わりが深いから海神で、水神でもある。その水神の性質が、水を吹き出している水瓶と共にエンキの姿が描かれている粘土板が示している。これは、まさに洗礼を施す様子である。それが洗礼者ヨハネで、他に水に関わるから水鳥もエンキのシンボルである。

 メソポタミアには伝説の生き物のアプカルルという魚があり、バビロニアではオアンネスと表された。発掘された彫像によると、頭から背中にかけて魚をかぶったような姿をしている。それは身体の前部が人間、後部が魚、という姿である。神話のなかでは、アプカルルは古の賢者であり、人々に知恵を授けたとされている。彫像は守護精霊として7体セットで用いられた。
 紀元前3世紀にバビロニアの神官ベロッソスがギリシア語で著述した『バビロニア史』によれば、アルリムのことを「人が動物の如くあった時、下の海(ペルシア湾)から人の頭と魚の体を持った半魚人(オアンネス)なる者が現れてアロロスと民衆に文明と法律を与えた。」としている。


エンキの地球での最初の活動-----------------------------------------------------------------------------

 アラルは義理の息子エンキを歓迎した。エンキ(エア)はアヌの命令どおり、皆の前で地球に於ける指揮官であることを宣言した。やがて、空の色が変化していき、太陽が真っ赤な球となって地平線に消えていく光景に驚愕した。ニビルでは、決して見られない光景だからである。夜が訪れたが、初めての体験に彼らは動揺していて眠れなかった。そして、あっという間に朝が来た。彼らはあまりにも速い地球の自転に戸惑った。これが、地球での最初の1日である。
 2日目には水路と堤防を作って湿地帯との境界とし、飲むための真水を確保した。
 3日目には草と木が茂る場所へ行ってハーブや果物を調査し、食べ物を確保した。
 4日目には粘土からレンガを作り、居住施設を建てた。
 5日目には葦の船を作り、水中の生物を調査した。そして、空の生物も調査した。
 6日目には果樹園の生物を調査した。野生生物(特に爬虫類)の残忍さを知り、防御のためのフェンスを作った。そして、アンズが戦車から“殺しの光線(レーザー光線)”を降ろし、“言葉を送るスピーカー”をエンキ(エア)の住居に設置した。成し遂げたことは、すべてうまくいった。
 よって、7日目は休息の日とされた。7番目の日はいつまでも、休息日とすることをエンキ(エア)が宣言した。エンキ(エア)はこの最初の宿営地をエリドゥ(遠く離れた故郷、の意)と名付け、アラルをエリドゥの司令官とした。アラルはエンキ(エア)のことをヌディンムド(巧みな形作る者、の意)と呼んだ。

 下の図の左の2つが宿営図であり、特にその右側がガド族のシンボル、宿営地のマークであり、五七(ごしち)の桐(きり)の紋の原型である。古代においては、皇室の菊の御紋は裏の御紋であり、五七(ごしち)の桐(きり)の紋が正式だった。五七(ごしち)の桐(きり)の御紋は、初代応神天皇がガド族だったことに因む。浅草神社の社紋も、これが原型である。室町幕府では小判などの貨幣に刻印され、これ以来皇室や室町幕府や豊臣政権など様々な政府が用いており、現在では日本国政府の紋章として用いられている。



 エンキ(エア)は水から金を得る仕事に着手した。6地球日に亘り、水から金が採取された。7日目に検査すると、鉄や銅はたくさんあったが、金は少なかった。地球の時間で1年間、水から金を採取したが、ニビルに送り出すほどの量は無かった。金を集め、ニビルの接近時に届けるように、アヌはエンキ(エア)に命令した。しかし、水からの金だけでは、まったく量が不足していた。そこで、エンキ(エア)はアブガル(エアの司令官の1人)と共に、金鉱脈を探しに出掛けた。夜間、エンキ(エア)は月の運行に魅了された。エンキ(エア)はその周回を“月”と呼んだ。太陽は6ヶ月毎に別の季節を与え、エンキ(エア)はそれらを“夏、冬”と呼んだ。そして、地球の1周回を“年”と呼んだ。

 これは聖書の7日間での天地創造の話で、その原型となった出来事である。ユダヤ教・キリスト教の聖典である旧約聖書『創世記』の冒頭には、以下のような天地の創造が描かれている。

1日目 暗闇がある中、神は光を作り、昼と夜が出来た。
2日目 神は空(天)をつくった。
3日目 神は大地を作り、海が生まれ、地に植物をはえさせた。
4日目 神は太陽と月と星をつくった。
5日目 神は魚と鳥をつくった。
6日目 神は獣と家畜をつくり、神に似せた人をつくった。
7日目 神は休んだ。

 さらにエンキは月の運行に魅了されたので、エンキのシンボルは三日月となった。


恐怖の武器の封印-------------------------------------------------------------------------------------------

 アラルの二輪戦車を修理し、ニビルへ戻れるようにすることを、アヌはエンキ(エア)に命じた。ある晩、アラルの二輪戦車の“恐怖の武器(核兵器)”を全部で7つ取り外した。武器の使用は止める誓いが立てられていたからである。エンキ(エア)とアブガルは秘密裏に出掛けた。そして、秘密の洞窟にそれらを保管した。戻ってから、エンキ(エア)はアンズにアラルの二輪戦車を修理するよう命じた。アンズは二輪戦車に熟練していたので、“恐怖の武器(核兵器)”が無いことに気付いた。彼は怒りで激しく抗議した。
「天空に於いても、“固い土地”に於いても、それらは決して使用してはならないのだ!」
とエンキ(エア)は言った。
「それなしでは、“打ち出し細工のブレスレット”を安全に通過できない。“水推進装置”だけでは、忍耐の度を越えてしまう。」
とアンズは言った。その時、操縦法を知っているアブガルが、危険に立ち向かうことを宣言した。エンキ(エア)はアブガルに“運命の石板”を与えた。「それは君にとって、道を示すものとなるだろう。」
 運命の石板は様々な場面に登場するが、ここでは航路などの情報がインプットされた石、つまり、シリコン製のマイクロチップのようなものである。


ニビルへの一時帰還とエンリルの地球への派遣-------------------------------------------------------

 アブガルの操る二輪戦車は、スピードを増すために月の周りを周回し、ニビルへ向かった。“打ち出し細工のブレスレット”をうまく切り抜け、赤みがかった色に燃えるニビルを目にし、ニビルを3回周回し、ビームによって誘導された場所に到着した。これには惑星の重力を利用して加速・減速するスイング・バイ航法が利用されている。
 ニビルが太陽に接近すると、金の粉はかき乱され、大気はまた、裂け目を開いていった。ニビルはまたもや危機的な状況にあり、それはニビルではエゴが蔓延している証拠でもあった。
 地球に戻り、更なる金の採取をアヌは命じた。アブガルが戻ってくると、エンキ(エア)は調査に出掛け、アフリカに金鉱脈があることを発見し、その地域をアブズ(アフリカのジンバブエ辺り)と名付けた。エンキ(エア)がニビルに情報を送信すると、1人の王子が言った。
「金鉱脈があるという証拠が必要だ。」アヌの息子でエンキ(エア)の異母弟エンリルである。アヌは、エンリルに地球へ行くことを命じ、副官で操縦士のアラルガルと共に、エンリルは地球へと旅立った。


エンリルが地球へ-------------------------------------------------------------------------------------------

 ニビルに上昇のメッセージが発信された。ニビルでは期待が大きかった。地球では自信を持ってアブガルは戦車を導いた。月、つまりキングーの周りを彼は1周した、その網の力で速度を得るために。千リーグ、1万リーグと火星(ラーマ)の方に彼は進んだ、その網の力でニビルへの方向を得るために。
 火星(ラーマ)の向こうには砕かれた腕輪が渦巻いていた。巧みにアブガルはエンキの結晶を輝かせた、開かれた道の位置を決めるために。運命の女神は彼の上に微笑んだ。腕輪の向こうで、戦車はニビルからの光を受け取り、故郷へ、が指令だった。前方、暗闇の中に、赤っぽくニビルが輝いていた。素晴らしい光景だった。今や光の信号により戦車は導かれていた。網の力で速度を落とすために、それはニビルの周りを3回回った。

 惑星に近づくにつれ、大気の裂け目をアブガルは見ることができた。心に圧迫されるものを彼は感じ、運んでいる金のことを彼は考えた。大気の厚い部分を通過すると、戦車は光を放ち、熱は耐え難いほどだった。巧みにアブガルは戦車の羽を広げ、それにより降下(速度)が抑えられた。
 その向こうに戦車の場所があった、最高の眺め。アブガルは戦車を選択した光線で、優しくある場所に降りた。彼がハッチを開けると、群衆がそこに集まっていた。アヌは彼の方に歩を進め、腕を組み合わせ、温かい挨拶の言葉を述べた。英雄たちは戦車に向かって突進し、金の入ったバスケットを運び出した。頭上高く彼らはバスケットを掲げた。集まった人々へアヌは勝利の言葉「救いがここにある!」と叫んだ。

 アブガルは休憩し、同行者たちに全てを語るために宮殿へ導かれた。目も眩むような金を、賢者たちは急いで運び出した。それで最も細かい粉末を作るために、(そして)空に向けてそれは発射された。成形は1シャル(3600年)継続した。試験は1シャル(3600年)継続した。
 ロケットで粉末は天の方に運ばれ、結晶の光線によりそれは分散された。裂け目のあった所に、今や癒しがあった。喜びで宮殿は満たされ、大地の豊作が期待された。地球にアヌは朗報を発信した。「金は救いを与える!金の獲得を継続せよ!」

 しかしニビルが太陽の近くにやって来たとき、金粉がその光線によりかき乱された。大気の癒やしは小さくなり、裂け目は元通り大きくなった。アヌはアブガルに地球へ戻るよう命じた。戦車でもっと多くの英雄が旅をした。戦車の腹に更に多くの「水を吸い込み押し出すもの」が供された。アブガルの操縦補佐となるために、彼らと一緒にヌンガルが旅をするよう命じられた。

 アブガルがエリドゥに戻ると大きな喜びがあった。多くの挨拶と腕の組み合いがあった。新しい水作業をエンキは注意深く考えた。顔には微笑があったが、心は圧迫されていた。1シャル(3600年)の時間に従い、ヌンガルは戦車で出発する準備をした。戦車はその腹に金の入ったバスケットをわずかしか積んでいなかった。エンキは心の中でニビルの失望を予想していた。エンキはアラルと言葉を交わした、分かっていることをもう一度考えて見た。
 もしティアマトの頭である地球が天の闘いで切り取られたのであれば、その首はどこにある?切り離された金脈はどこにある?地球の内部から金脈が突き出ている所はどこだ?天空の部屋に乗り、エンキは山々や渓谷の上を進んだ。大洋で切り離されている大地を彼は「走査機」で調査した。何度も何度も同じ表示があった。
 乾いた地が乾いた地から切り離されている所に、地球の内部が現れる。大地が心臓の形をしている所、その下の部分に、地球の内部からの金脈が豊富にあった。金の誕生の地という意味で、アブズとエンキはその地域に名前を付けた。

 それからエンキはアヌに智恵の言葉を発信した。
「地球は本当に金で一杯だ。海ではなく、金脈から、金を得なければならない。海からではなく、地球の内部から、金を得なければならない。大洋の向こう、アブズと呼ばれる所で、多くの金が得られる!」

 2007年の世界の金鉱埋蔵量は、下記の図のようになっており、南アフリカが非常に多い。

 宮殿では驚きがあった。賢者と御前会議のメンバーがエンキの言葉に思いを巡らした。金を得なければならない、その点は全員が意見を同じくしていた。地球の内部からそれをどうやって得るか、その点については多くの議論が交わされた。集会で一人の王子が話した。彼はエンキの異母兄弟、エンリルであった。
「まずアラル、それから結婚による彼の息子エンキ、海に全ての希望を託した。海中の金による救いを彼らは保証した。何シャルも何シャルも我々全員が救いを期待した。今違う言葉を我々は聞いている、想像を超えた仕事を行うよう。金脈の証明が必要であり、成功のための計画が保証されなければならない。」
 そうエンリルは集まった人々に言った。彼の言葉に多くの人が賛成しながら聞き入った。
「エンリルを地球に行かせよう!」アヌは言った。彼に証明をさせよう、計画を実行しよう。集まった人々は全員一致で同意し、エンリルの使命を承認した。主任補佐官のアラルガーと共に、エンリルは地球に向けて出発した。アラルガーが彼の操縦士だった。天空の部屋には2人ずつ任命された。地球にアヌ王の言葉、決定の言葉が発信された。エンリルはその使命の司令官であるべき、彼の言葉は命令であるべき。

 エンリルが地球に着いたとき、エンキはその異母兄弟と温かく腕を組み合わせた。兄弟が兄弟に会うように、エンキはエンリルを歓迎した。アラルにエンリルは頭を下げ、アラルは弱々しい言葉で彼を迎えた。英雄たちはエンリルに温かい歓迎の言葉を叫んだ。司令官に多くのことを彼らは期待した。巧みにエンリルは天空の部屋を集めるよう命じ、天空の部屋に乗って彼は空に舞い上がった。主任補佐官アラルガーは、操縦士として彼と共にいた。アブガルが操縦する天空の部屋のエンキは、彼らにアブズへの道を示した。彼らは乾いた地を調査し、大洋を注意深く観察した。
「上の海」から「下の海」まで彼らは陸地を調査した、上のものも下のものも全て彼らは考慮に入れた。アブズでは彼らは土壌を試験した。確かに金があったが、土壌や岩石と混じっていた。海の中のように精製されたものではなかった。混合体の中にそれは隠れていた。彼らはエリドゥに戻り、彼らは発見したものについて熟考した。
「エリドゥに新しい任務が与えられなければならない、地球だけでは継続できない!」
 このようにエンリルは言った。偉大な計画について彼は説明し、大きい使命を彼は提案した。英雄たちをもっと連れて来るように、もっと多くの入植地を創設するように、地球内部から金を得るように、混合体から金を分離するように、天の船と戦車により運搬するように、着陸地点から任務を行うように。誰が入植地の責任を持つか、誰がアブズの指揮を執るべきか?このようにエンキはエンリルに尋ねた。誰が拡張したエリドゥの指揮を執るべきか、誰が入植地を監督すべきか?このようにアラルは言った。誰が天の船と着陸地点の指揮を執るべきか?そうアンズは尋ねた。アヌを地球へ来させよ、彼に決定してもらおう!このようにエンリルは応えた。


アヌの来訪---------------------------------------------------------------------------------------------------

 アヌは天の戦車で、惑星を目印に地球へ旅をした。操縦士のヌンガルは火星(ラーム)の周りを1周し、それをアヌは詳しく観察した。かつてキングーであった月を彼らは周り、そして賞賛した。もしかしたらそこで金が発見されるのでは?心の中でアヌは自問した。沼地のそばの海に彼の戦車は着水した。アヌが船で到着するように、エンキは到着のために葦(あし)の船を準備した。上には天空の部屋が舞っていた。彼らは王を歓迎していた。父なる王に最初に挨拶するために、先頭の船にエンキ自身が乗っていた。アヌの前に彼は頭を下げ、それからアヌは彼を抱擁した。
「私の息子、私の長子(ちょうし)よ!」
 アヌは彼に叫んだ。英雄たちが彼らの王を心から歓迎するために、エリドゥの広場に列を作って立っていた。彼らの前に、司令官であるエンリルが立った。アヌ王の前に彼は頭を下げ、アヌは彼を胸に抱いた。アラルもそこに立っていた。どうしていいか彼は迷っていた。アヌは彼に挨拶した。
「同志として腕を組み合わせよう!」
 アラルに彼は言った。ためらいながらアラルは前に進んだ。アヌと彼は腕を組み合わせた。アヌのために食事が準備された。夕方ごろエンキが彼のために作った葦(あし)の小屋へ、アヌは退いた。次の日はエンキが開始した日程に従うと7日目、休息の日だった。王の到着にふさわしく、背中をたたき合ったりお祝いをしたりする日だった。

 次の日、エンキとエンリルはアヌの前に発見物を提出した。何をしたかそして何をする必要があるかを、彼らは話し合った。自分の目で大地を見てみよう。アヌは彼らに言った。彼らは全員天空の部屋で舞い上がり、海と海の間の陸地を観察した。
「金の抽出は難しいだろう!」
 アヌは言った。
「如何(いか)に金が地下深く埋もれていようとも、獲得しなければならない!エンキとエンリルにこの目的のための道具を工夫させよう、英雄たちに任務を割り当てよう、彼らに土壌と岩石から金を分離する方法、ニビルへ純金を送る方法を発見させよう!着陸基地を建設させよう、英雄たちをもっと地球の任務に割り当てよう!」
 そのようにアヌは2人の息子に語りながら、頭の中では天の中継基地のことを彼は考えていた。これがアヌの命令である。エンキとエンリルは合意して頭を下げた。


アヌ、エンリル、エンキのくじびき---------------------------------------------------------------------

 次の朝、彼らは全員エリドゥに戻った。任務と義務を割り当てるために、彼らはエリドゥで会議を開いた。エリドゥを創設したエンキが最初に発言した。
「エリドゥは私が創設した。他の入植地もこの地域に設立しよう、それを「正しい者たちの住居」という意味でエディン(メソポタミア地域)とし、その名前で知られるようにしよう。エディンの司令官には私がなろう、エンリルに金の抽出を行わせよう!」
 この言葉にエンリルは怒った。「その計画は間違っている!」彼はアヌに言った。
「命令と任務の遂行は私の方が優れている。天の船についても私は知識がある。地球とその秘密については私の異母兄弟エンキの方が良く知っている。彼はアブズを発見した、彼をアブズの主にしよう!」

 アヌは怒りのこもった言葉を注意深く聞いた。兄弟たちは異母兄弟である。長子(ちょうし)が法定相続人と武器のような言葉で争っていた。エンキは長子であった。アヌの妾(めかけ)により彼は生まれた。エンリルは、その後生まれた。アヌの配偶者アントゥム(アンツ)により身ごもった。彼女はアヌの腹違いの姉妹、従ってエンリルが法定相続人となる。従って継承順位の2番目の息子が長子を打ち負かし、争いにより金の獲得が疎かになるのをアヌは恐れた。兄弟のうちの一人がニビルに戻らなければならない。継承問題を考えるのは今は避けなければならない、そうアヌは自問していた。彼は大声で2人に驚くべき提案を行った。

「誰がニビルへ王座のために戻るべきか、誰がエディンの司令官を務めるべきか、誰がアブズの主になるべきか、私とお前たち3人が、くじで決定しよう!」
 兄弟たちは沈黙していた、大胆な言葉に驚いていた。
「くじを引こう!」
 アヌは言った。「運命の手により決めよう!」父と2人の息子は、互いに手を握り合った。
 彼らはくじを引いた。くじにより任務が決定した。アヌは支配者として王位に残るためニビルへ戻る。エディンはエンリルに割り当てられた。彼の名前が示すように「指令の主」であるため、入植地をもっと創設し、天の船と英雄たちに責任を持つため、海の境に接するまでの全ての土地の指導者であるために。エンキには海と大洋が領域として与えられた。海の境を越えた土地は彼により支配されるよう、アブズでは主であるよう、発明の才を生かして金を得るために。

 くじ引きで決めるこの一連の出来事は、聖書の原型となり、神威をはかる神道の原型ともなる。

 エンリルはくじの結果に満足し、運命の手を彼は頭を下げて受け入れた。エンキの目は涙で溢れていた。エリドゥとエディンを彼は離れたくなかった。
「エリドゥを永遠にエンキの活動の基地としよう!」
 アヌはエンリルに言った。彼が最初に着水したことを永遠に記憶させ、エンキが地球の主であることを知らせよう。「エンキ、地球の主、を彼の称号としよう!(これまでエアと呼ばれていたが、エンキと改名する)」エンリルは父の言葉に頭を下げて受け入れた。そして彼は兄弟に言った。エンキ、地球の主、あなたの称号は以後そうあるべし、私は「指令の主」として知られるべし。集まっていた英雄たちにアヌ、エンキ、そしてエンリルは決定を発表した。「任務が割り当てられた。成功は目前だ!」アヌは彼らに言った。


アラルとアヌの2回目の格闘------------------------------------------------------------------------------

「今私は、皆に別れを告げることができる、ニビルへ静かな気持ちで帰還できる!」
 アヌの方にアラルが歩を進めた。
「重大なことが忘れられている!」
 彼は叫んだ。
「地球の主は私に割り当てられていたはずだ。私が金の発見をニビルに伝えた時それが約束だった!私はニビルの王位の主張も捨ててはいない。アヌが全てを自分の息子たちと分かち合うのは、忌まわしいことだ!」
 こうしてアラルはアヌとその決定に挑戦した。アヌは最初何も話さなかったが、それから怒って言った。
「2度目の格闘で論争に決着をつけよう、ここで格闘しよう、今それを行おう!」
 軽蔑してアラルは服を脱いだ。同様にアヌも服を脱いだ。裸で王族の2人は格闘を始めた。力強い闘いだった。アラルは膝を曲げ、地に倒れた。アヌはアラルの胸の上に片足を載せ、格闘の勝利をそれで宣言した。格闘により決定がなされた。
「私が王、アラルはニビルへ帰還すべきではない!」
 倒れたアラルの体から足を下ろしながらそうアヌは言った。そして光のように素早くアラルは地から立ち上がった。両足をつかんでアヌを引き倒した。アラルは口を大きく開け、素早い動きでアヌの男性性器をかみ切り、それを飲み込んだ。苦しさのあまりアヌは天に向かって叫び声を上げ、傷ついた彼は地に倒れた。エンキは倒れたアヌに駆け寄り、エンリルは笑っているアラルを逮捕した。英雄たちはアヌを彼の小屋に運んだ。アヌはアラルへ呪いの言葉を吐いた。「正義が行われるように!」
 エンリルは彼の補佐官に叫んだ。「お前の光線兵器でアラルを殺せ!駄目だ!駄目だ!正義は彼の中にある、彼の体の中に毒が入っている!」
 彼らはアラルを葦の小屋に連れて行き、彼の両手両足を囚人として縛りつけた。

 この一連のニビルでの屈辱を晴らす戦いが、セトが兄オシリスの遺体をバラバラにして川に投げ込み、オシリスの男根がナイル川に住むオクシリンコスという魚が飲み込んだというエジプト神話の原型になる。オクシリンコスには、オ・シ・リ・スが入っている。その魚とは、“魚のスーツ”を着て最初に地球に上陸したアラルの暗示だった。



アラルの裁き-------------------------------------------------------------------------------------------------

 そしてその後、地球と火星(ラーマ)で起きたことの説明である。

 葦(あし)の小屋の中でアヌは傷ついていた、葦の小屋の中でエンキは彼に癒やしを与えていた。葦の小屋の中にアラルは座っていた。彼は口からつばを吐いた。彼の体の中でアヌの男性性器は(重い)荷物のようだった。アヌの精液で彼の体は妊娠していた。陣痛のときの女性のように彼の腹部は膨らんでいた。3日目にアヌの苦痛は和らいだが、彼の誇りはひどく傷つけられていた。
「ニビルに私は戻りたい!」
 2人の息子にアヌは言った。
「その前にアラルに裁きがあるべきで、犯罪にふさわしい判決が下されねばならない!ニビルの法律では7人の裁判官が必要で、彼らのうち最高位の人が裁判長となるべきである。」

 エリドゥの広場にアラルの裁判を傍聴するため英雄たちが集められた。「裁きの7人」のために7つの席が設けられ、裁判長であるアヌには、最も高い席が準備された。彼の右にはエンキが座った。エンリルはアヌの左に座った。エンキの右にアンズとヌンガルが座った。アブガルとアラルガーはエンリルの左に座った。
 この時、議長としてアヌが真ん中、右にエンキ、左にエンリルが座った形が、「生命の樹」の3本柱の原型となった。ただそれだけではない。

 この「裁きの7人」の前にアラルが連行されたが、手も足も縛られてはいなかった。エンリルがまず話した。
「格闘は公平に行われ、アラルはアヌの前に王権を失った!何と応えるか、アラル?」
 エンキは彼に尋ねた。
「格闘は公平に行われ、王権を私は失った!」
 アラルは言った。
「アラルは打ち負かされ、アヌの男性性器をかみ切り、そして飲み込んだ。忌(い)むべき罪を犯した。」
 このようにエンリルは犯罪を告発した。
「処罰は死である!」
 エンリルは言った。
「どうあなたは応えるのか、アラル?」
 エンキはアラルの娘との結婚によって父になったアラルに尋ねた。沈黙があり、アラルはその質問に応えなかった。
「我々全員が犯罪を目撃した!」
 アラルガーは言った。
「裁きは(全員)一致していなければならない!話したいことがあれば、裁判官たちの前で話せ!」
 エンキはアラルに言った。

 沈黙していたアラルは静かに話し始めた。
「ニビルで私は王だった。継承権に従って私は支配した。アヌは宴席で、私の酌人(しゃくにん)だった。彼は王子たちをせき立て、格闘で私に挑戦した。9周(3万2400年)の間、私はニビルの王だった、私の子孫に王権が属していた。私の王座にアヌ自身が座った。死を逃れるため遠い地球へ私は危険な旅をした。私アラルが、ニビルの救いを別の惑星で発見した!公平に王位を奪還するために、私はニビルへの帰還を約束された!
 その後地球にエンキがやって来た。妥協により次にニビルを支配するよう彼は指名されていた。次にアヌの継承権を主張しながらエンリルがやって来た。次にアヌが来た。くじで彼はエンキをだまし、地球の主エンキと彼は宣言した。ニビルではなく、地球の主となるように。次にエンリル(のため)に命令が与えられた、エンキは遠いアブズに派遣された。私の心はその全ての故に痛んでいた。私の胸は恥と怒りで破裂しそうだった。
 次にアヌはその片足を私の胸の上に置いた。私の痛い心を彼は踏みつけた!静かにアヌは話した。王家の血統と法により、公平な格闘により私が王位を獲得した。私はお前の子孫を絶やすために、お前の男性性器をかみ切り飲み込んだ!」

 エンリルは話した。
「被告は犯罪を認めた。裁きを下そう、死をもって処罰としよう!」
「死!」アラルガーは言った。「死!」アブガルは言った。「死!」ヌンガルは言った。
「アラルの死は自然にやって来る。腹の中に飲み込んだものが死をもたらす!」
 エンキは言った。
「アラルは地球で生きている限り獄につなごう!」
 アンズは言った。

 彼らの言葉をアヌは熟考しながら、怒りと哀れみの両方が彼を包み込んだ。
「流刑の地での死、これを判決としよう!」
 アヌは言った。驚きのあまり裁判官たちは互いに見つめ合った。アヌの言葉の真意を知りたがった。
「流刑の地は地球でもニビルでもない所にすべきだ!」
 アヌは言った。
「途中に火星(ラーム)がある。水と大気が与えられている。エンキは、エアのとき、そこで休憩し、それを中継基地として私は考えている。その網の力は地球のそれよりも弱い、その長所を考慮すべきである。天の戦車でアラルを連れて行き、私が地球を発つとき彼を私と一緒に旅に連れて行く。火星(ラーム)の周りを回り、アラルには天空の部屋を提供しよう。その中に入り彼は火星(ラーム)に降ろされる。異郷の惑星に独り彼は流刑となり、最後の日まで彼は自分で日を数えるように!」
 このようにアヌは判決を言い渡し、厳かに言葉を語った。全員一致でこの判決がアラルに課せられ、英雄たちのいる中でそれが宣告された。
「ヌンガルをニビル行きの私の操縦士とし、そこから英雄たちを運んだ戦車を再び地球まで操縦させよう。アンズもその旅に加え、火星(ラーム)へ下降するときその責任を担わせよう!」
 そうアヌは命令を発した。

 翌朝出発の準備ができ、出発者は全員舟で戦車まで運ばれた。
「堅固(けんご)な土壌の上に着陸する場所をあなたは準備しなければならない!」
 アヌはエンリルに言った。
「火星(ラーム)を中継基地として利用する方法について、あなたは計画を立てるべきである!」
 喜びと悲しみの両方を持って別れがあった。びっこを引きながらアヌは戦車に乗り込んだ。両手を縛られてアラルは戦車に入った。それから天に向かって戦車は舞い上がり、王の訪問は終わりとなった。

 彼らは月の周りを回った。アヌはそれを見て魅了された。赤い色の火星(ラーム)の方へ彼らは旅をした。その周りを2回彼らは回った。異郷の惑星の方に彼らは降りて行き、聳(そび)え立つ山々と表面の涙に彼らは気付いた。エンキの戦車が一度着陸した所を彼らは観察すると、それは湖のそばだった。火星(ラーム)の網の力で速度を落とし、戦車の中で天空の部屋を彼らは準備した。操縦士のアンズは、予期せぬ言葉をアヌに語った。
「アラルと一緒に火星(ラーム)の堅固な土壌の上に私は降りる。天空の部屋で戦車に戻るつもりはない!アラルと共に異郷の惑星に私は留まる。彼が亡くなるまで私は彼を守る。彼が体の中の毒により亡くなるとき、王にふさわしい形で私は彼を埋葬する!」
 彼らは言う、「アンズはあらゆる逆境の中で流罪の王の話し相手だった。彼は異郷の惑星で未知のものに遭遇した。他の人には見えないものを見た!彼らは世の終わりまで言い伝える、アンズは英雄らしく倒れたと!」アラルの目には涙があった、アヌの心には驚きがあった。
「あなたの願いは讃(たた)えられるべきである」アヌはアンズに言った。
「ここで私はあなたに約束をしよう、手を上げて私はこれをあなたに誓う。」
「次の旅のとき戦車は火星(ラーム)の周りを回り、天の船をあなたに降ろす。もしそれが生きているあなたを見つけたならば、あなたは火星(ラーム)の主と宣言される。火星(ラーム)上に中継基地が設立されたとき、あなたはその司令官となる!」
 アンズは頭を下げた。「そうありますように!」彼はアヌに言った。

 天空の部屋にアラルとアンズは迎え入れられ、鷲のヘルメットと魚の衣服を彼らは提供された。食物と道具を彼らは供給された。周回する戦車から天の船は出発し、戦車からはその下降する姿が観察された。それからそれは見えなくなり、そして戦車はニビルへの旅を続けた。9シャル(3万2400年)の間アラルはニビルの王で、8シャル(2万8800年)の間、彼はエリドゥの司令官だった。第9シャル目に、流刑の地の火星(ラーム)で死ぬのが彼の宿命だった。


アヌのニビルへの帰還-------------------------------------------------------------------------------------

 火星(ラーム)上のアラルがどのように埋葬され、地球上のエンリルがどのように着陸場所を建設したかの説明である。

 ニビルではアヌは喜びを持って迎えられた。何が起きたかについて御前会議で王子たちにアヌは説明した。哀れみも復讐も彼は彼らから求めなかった。これからの任務について話し合うよう彼は彼らに指示した。集まった人々には壮大な未来像について彼は概略を語った。
「太陽の家族が全員一つの王国の下に集まるように、ニビルから地球への中継基地を建設すべきである!まず火星(ラーム)上に建設し、月も計画の中に含まれるべきである。他の惑星やそれを回っているホストにも基地を作るべきであり、戦車のキャラバン隊を絶えず鎖のように供給し守るべきであり、地球からの金は中断することなくニビルに運ばれ、運がよければ他の場所にも金を見つけることになる!」

 御前会議のメンバーたち、王子たち、賢者たちはアヌの計画を考慮し、その計画の中に彼ら全員がニビルの救いへの希望を見出した。賢者たちと司令官たちは天の神々の知識を完成させ、戦車と天の船には新しい種類のもの、ロケット船が加えられた。英雄たちがその任務のために選ばれ、その任務のために多くのことが学習された。その計画はエンキとエンリルに送信され、地球上での準備を急ぐよう告げられた。何が起きたのかそして何をするように要求されているのかについて地球上では激しく議論された。

 エンキはアラルガーをエリドゥの監督者に任命し、自分自身もアブズへ向かうことを伝え、次に彼は地球内部からの金をどこで手に入れるかを決定した。どういう英雄たちがその任務に必要かを彼は計算し、どんな道具が必要かを熟慮し、智恵を駆使して「地球分断機」をエンキは設計し、ニビルでそれを製造するよう彼は要求した。それを使って地球に深い裂け目を作り、トンネルでその内部に達する。アブズで使うため、ニビルで製造できるよう「破砕機(はさいき)」と「粉砕機(ふんさいき)」も彼は設計した。

 他の件に関してはニビルの賢者たちに熟考するよう彼は求めた。英雄たちの健康・安寧の件に関しては必要なものを彼は列挙した。英雄たちにとり地球の回転の速さは耐え難いものであり、昼夜の循環の速さは目まいを引き起こした。大気は良いが、あるものは欠如し、あるものは多すぎるし、食事がいつも同じであることに英雄たちは不平をもらしている。司令官であるエンリルは、地球上の太陽熱により苦しめられており、涼しさと日陰を渇望していた。


ニビル人のタイムジャンプ能力---------------------------------------------------------------------------

 プレアデス星人がニビル星に移住したのも、彼らがタイムジャンプできる能力を備えていたからである。そのようにして彼らは地球を発見し移り住んだのだが、ニビルから地球に降りたったアヌンナキは、地球の時間軸というものになかなか馴染めずにいた。異星人は、地球の時間軸が自分たちのものと違うことを承知していたので、ニビルから来た者たちは、「シャル」と呼ばれるニビルの時間軸単位を地球でも使っていた。寿命が長く、ほとんどインモータル(不死身)の存在に近い彼らにとって、地球の時間軸は短すぎたり、あるいは逆に長く感じることもあり、混乱させられた。特にリニア的な地球の時間軸の特徴は、彼らのタイムジャンプできる能力を徐々に失わせてしまうことになった。
 地球のライブラリーに記録されている、アヌ一族の物語も、地球の時間軸で進行していない。なにしろ、ニビル星の時間軸における一年は、一シャル(地球の時間軸でおよそ3600年)であり、人間の感覚では到底計り知れない長さだからだ。ニビルは地球のバイナリースター(伴星)といえど、まったく異なる環境の星でもあった。
 ニビルのタイムゾーンはプレアデス星のと類似し、地球との次元が違う軸で成り立っていた。けれども、もう少しすれば地球の人間も、彼らのタイムゾーンを経験できるようになる。そして、人間たちが今度はニビルや他の星のタイムゾーンに慣れていくことになる。

 ニビルの時間軸は、地球のものと比べて柔軟性に富み、よりその領域も広がっている。何といっても大きな違いは、領域内では、次元空間を自由に出たり入ったりできることだった。さらに、意図することを自由自在に実現できるので、地球よりも平和的な関係性が保たれているという利点もあった。

 ニビル星人の一部を除いて、一般にプレアデスの存在たちは、自分たちが選択するタイムゾーンに自由にジャンプして出入りできるので、「タイムジャンパー」と呼ばれている。
 タイムジャンプして侵入した領域で起きるであろうイベントを変更したり、リセットし直すこともできる。過去・現在・未来のイベントを、変更させることが可能なのは、彼らが時間軸を理解するマスターだからである。しかし、後になって、ニビル星人たちにもどうにも変更できないイベントもあるということを、地球で経験することになる。

 インターダイメンショナル(次元間的)な旅をするためには、身体的な負担も大きく、タイムジャンプが得意な者もいれば、得意でない者たちもいる。このように、時空の旅には大きな代償があるが、一度この能力に目覚めた者は、その魅力的な遊びに魅了され、自由に旅をし続けるタイムジャンパーになれる。地球の人間は、自分たちの時間に対する概念を捨てないかきり、タイムジャンパーとの距離は開いたままである。逆に、ニビルの住民たちにとっても、地球の時間軸は慣れるのが難しいものでもあった。


地球の巨石遺跡はニビルの科学技術---------------------------------------------------------------------

 アブズにいる間エンキは準備を行い、エンリルは天の船に乗ってエディン(今のレバノン周辺)の広さを調査し、山々や河川を考慮し、渓谷や平原を彼は測定した。ロケット船の着陸場所となる所を彼は探していた。太陽熱により苦しめられているエンリルは、涼しさと日陰のある場所を探していた。エディンの北側の雪に覆われた山々が彼は好きになり、今まで見た中で最も背の高い木々が杉の森の中に成長していた。そこで山の渓谷の上部表面を強力なレーザー光線で平らにした。丘の中腹から英雄たちは大きい岩石を切り出し、寸法に合わせて切断した。天の船のための台を支えるため、彼らはそれを運び据え付けた。エンリルは満足して自分の仕事ぶりについて考えた。本当に信じがたいほどの仕事だった。永遠の建造物!山の頂に自分の住居を作るのが、彼の願いだった。杉の森の中の背の高い木から長い梁(はり)が準備され、それを使って彼の住居の建設を命じ、「北山頂の住居」と彼はそれを命名した。


 地球にある各地の神殿は、このエンリルの避暑地が元であった。それはジグラットである。ピラミッドもそうで、巨石遺跡はすべてニビルの科学技術によって切り出され、積み上げられた。人間ができるものではなく、レーザーで石を切り、"空の船"で積み上げたのである。
 また日本の神社の杜(もり)は、鎮守(ちんじゅ)の森やご神木を意味するが、これは暑さが苦手なエンリルがそれを避けるため背の高い杉の木々の中に建てた神殿が、神社の杜(もり)の原型となっている。


ニンマーの救助と60の意味-------------------------------------------------------------------------------

 ニビルでは新しい天の戦車の出発が準備され、エンキが設計した新しい種類のロケット船、天の船をそれは運んだ。それはニビルから新しい50人を運んでいて、その中には女性たちも選ばれていた。その50人の中には、女性たちもいた。アヌの娘で、エンキとエンリルの異母妹ニンマー(後のニンフルサグ)に率いられた、救助と治療の乙女たちである。

 二輪戦車が火星(ラーム)に着くと、かすかに発せられている信号の元を追った。すると、湖岸の側でアンズを発見した。彼のヘルメットから信号が発せられていたのである。アンズは死ぬ寸前だった。ニンマーはアンズの心臓に着目し、自分のポシェットから“プルセル”を取り出して、アンズの心臓に振動を向けた。また、“エミッテル”を取り出し、生命を与える水晶の放射線を体に向けた。それぞれ60回ずつ向けた。すると、60回目にアンズは目を開けた。そこでニンマーはそっと「生命の水」を顔に注ぎ、「生命の食べ物」を含ませた。アンズは死から目を覚ました。
 “プルセル”と“エミッテル”は死者を蘇らせる道具ではなく、仮死状態あるいは瀕死の状態の者を蘇生させる装置で、AEDのようなものである。


 ニンマーが行ったここでの60回の意味は、単に“ニビル”の暗示である。アヌの王位継承数字の60である。アヌンナキの系図を見れば理解しやすくなる。主要な神々は全部で12柱である。アヌとアンツ、エンリルとニンリル、エンキとニンキ、ナンナルとニンガル、ウツ、イナンナ、イシュクル、そしてニンフルサグ。大神はめったに降臨しないアヌ、その2人の息子エンキとエンリルを合わせて“原初三柱の神々”となる。これは、ニビルを加えた太陽系の12の天体に相当し、イスラエルの十二支族、そしてイエスの12人の使徒の原型でもある。また、ニビルから数えて地球は7番目の星で、エンリルがこれに相当する。これが、神聖数字7の原型である。7は他にも、「生命の樹」の中高世界以下にあるセフィロトが7個で、これは天上ではなく地上での叡智をすべて知ることにも相当している。
 更にこれとは別に、各神には系図に示したような数字が割り当てられている。これは王位継承順位で、シュメールは60進法なので、60が1つの区切りを表す。60に近いほど王位継承順位が高く、アヌが最高の60。この継承数字は様々な暗示に使われ、聖書に於ける数字、例えば、ヘブライの民を40年間荒野で彷徨わせたのはエンキであり、契約の箱アークが移動しなかった年数が最長で20年というのは、太陽神ウツに由来しているということを暗示している。


 洞窟墓の原型と火星の人面岩はアラル-----------------------------------------------------------------

 ニンマーはアラルについて尋ねた。アラルは着陸して間もなく、耐え難い苦痛に見舞われ、自分の内臓を吐き出し、苦しみ悶え、巨大な岩を凝視して死んだ。アンズはその岩に洞窟を発見し、その中に遺体を隠して入り口を石で塞いだ、と言った。彼らがそこまで行くと、アラルの痕跡が見つかった。ニンマーは言った。
「私たちの年代記の中で、初めてニビル以外で王が亡くなった。彼を、安らかな眠りに就かせましょう」そして、洞窟の入り口を再び塞ぎ、その巨大な岩山にアラルの姿を光線で刻んだ。鷲のヘルメットをかぶった姿であり、顔は何も覆わなかった。「アラルの顔には、彼が統治したニビルの方向を永遠に見つめさせよう!」父アヌの名に於いて、ニンマーはそう宣言した。そしてアンズには、火星(ラーム)の中間ステーションの司令官を任命した。アンズは「あなたは命の恩人です。偉大なレディ!アヌには感謝してもしきれません」と言った。

「アラルの似姿が彼が支配したニビルの方向、彼が金を発見した地球の方向を永遠に見つめるようにしよう!」
そうニンマーは、父アヌの名によって宣言した。

 遺体を洞窟に葬って石で塞いだ出来事は、イエス・キリスト=ユダヤの王が葬られた場面の原型である。古代ユダヤ人の家族の多くは、亡くなった人を洞窟かイスラエル各地でよく見られる柔らかい岩をくり抜いて造った墓の中に葬った。

 NASAが隠している火星の人面石は、アラルの顔だった。左下は1976年にバイキング1号が火星の北緯40度、西経6度の地域に位置するシドニア地区で撮影したものである。目、鼻、口がはっきり確認できる。そして、クレーターなどにできている影の方向と、人面石の影の方向が一致しており、作為的な画像ではないことが解る。2001年には探査機マーズ・グローバル・サーベイヤーが同じ地区を撮影したが、それが右側の拡大画像であり、NASAの画像処理によって顔が消されている。



「アンズ、あなたに関しては、アヌ王があなたと交わした約束が守られるべきである!中継基地の建設を始めるために、20人の英雄があなたと共にここに留まる。ロケット船が地球から金の鉱石をここに運び、次に天の戦車がここから金をニビルに運搬する。何百人もの英雄が住居を火星(ラーム)上に作り、アンズ、あなたがその司令官となる!」
 このように偉大なる婦人ニンマーは父アヌの名により、アンズに言った。
「偉大なる婦人、あなたは私の命の恩人です!」
 そうアンズは言った。アヌへの感謝の気持ちは言い表せないほどである。火星(ラーム)から戦車は出発し、地球に向けてそれは旅を続けた。


ニンマーが看護婦の一団と共に火星から地球に到着する--------------------------------------------

 火星(ラーム)からニンマーを乗せた戦車が出発し、地球に向けてそれは旅を続けた。月の周りを彼らは回った、その中継基地を探査するために。彼らは着水に向けて速度を落としながら地球の周りを回った。エリドゥのそばの海にヌンガルは戦車を降ろした。エンリルが建設した波止場に、彼らは歩を進めたので、舟はもう必要ではなかった。エンリルとエンキは彼らの妹姉を抱擁し挨拶し、操縦士のヌンガルと彼らは腕を組み合わせた。
 英雄たちは、男性も女性も、現在の英雄たちにより歓声とともに迎えられた。戦車が運んできたものは全て急いで降ろされた。ロケット船、天の船、エンキが設計した道具、そしてあらゆる種類の食料品だった。

 ニビルで起きたことの全てと、アラルの死と埋葬について、ニンマーは兄弟たちに語った。火星(ラーマ)の中継基地とアンズの指令について彼女は彼らに話した。エンキはそれについて肯定の言葉を語り、エンリルは当惑の言葉を発した。それはアヌの決定であり、彼の言葉は変更不可である!ニンマーはエンリルに言った。
「病気の救済手段を私は携えて来た」と、ニンマーは兄弟たちに言った。彼女は種を土壌に播くために、袋から種の小袋を取り出した。
「多くの藪(やぶ)がその種から成長し、汁の多い果物を生産するだろう。その汁は万能薬となり、英雄たちにとってそれは良い飲み物となる。彼らの病気をそれは追い出してしまうので、それは彼らを幸福な気分にしてくれる!涼しい所に種は播かれるべきだ。温暖と水により育てられる必要がある!」
 そうニンマーは兄弟たちに言った。
「その理想的な場所をあなたに示そう!」
 エンリルは彼女に言った。
「そこは着陸場所が建設された所で、私が杉材の住居を作った!」
 エンリルの天の船で、エンリルとニンマーの2人は空に向かって舞い上がった。雪に覆われた山の杉の森の近くの着陸場所に、兄と妹は行った。大きい石のプラットフォームの上に天の船が着陸し、エンリルの住居に彼らは進んだ。中に入ると、エンリルは彼女を抱きしめ、情熱を込めてニンマーに接吻した。「ああ愛しい、妹よ!」エンリルは彼女に囁いた。彼女の腰を抱き寄せたが、子宮に精子は注がなかった。
「私達の息子ニヌルタについての知らせを持って来ました!」
 ニンマーは彼に優しく言った。
「彼は若い王子、冒険が好きで、地球のあなたの所に来る準備ができています!」
「もしあなたがここに滞在するなら、我々の息子ニヌルタを呼ぼう!」
エンリルは彼女に言った。

 着陸場所に英雄たちが到着し、ロケット船を天の船でプラットフォームに運んだ。ニンマーの袋から種が取り出され、谷の土壌に播かれた。ニビルから持って来た果物が地球で生長するように!天の船でエンリルとニンマーはエリドゥに戻った。

 途中エンリルは彼女に景色を見せ、エディンの広がりを彼は彼女に示し、空からエンリルは彼の都市計画を示した。
「エリドゥから離れた乾燥した土地で、プランヌ川(ユーフラテス川)の川沿いが指揮の拠点であるラルサ、それと双子の都市ラガシュ、2つの都市の中間点から60リーグ先に垂線を延ばした場所に安息の都シュルッパク、更にその延長線上に地球の交差点の場所ニップール(ニブル・キ)を配し、“天と地球を結ぶもの”を築くつもりだ。
そこに“運命の石板”を保管し、すべてのミッションを管理するのだ」ニンマーは、エンリルが何故、困惑したのか理解した。
 ラガシュは灯台都市の役割を担い、大洪水後はニヌルタの都市とされた。シュルッパクはニンマーの治療センター、ニップール(ニブル・キ)は元々の宇宙飛行管制センターで、エンリルの都。アッカド語ではニップールと呼ばれた。下記の図は当時の主な都市配置である。ニップールを中心に同心円を描くと、これらの線上に都市が並ぶ。また、シッパールを起点とした飛行ルートの線と、その線から左右対称に6度間隔で線を結ぶと、これらの線上に都市がすべて正確に配置されている。

「兄さん、5つの町の計画は壮大です!」
 ニンマーは彼に言った。
「癒しの町シュルッパクの創設、私の住居として私のために、それを私は感謝しますが、その計画を越えて、お父様の計画を侵(おか)してはなりません。あなたの兄弟も侵してはなりません!」
「あなたは美しいだけでなく賢明でもある!」
エンリルは彼女に言った。

 アブズではエンキも自分の家をどこに建てるか計画を練っていた。英雄たちの住居をどこに準備するか、地球の内部へはどこから入るか。天空の船に乗ってアブズの広さを彼は測定し、その地域を彼は注意深く調査した。遠くの地にアブズはあった。エディンから見て海の向こうにそれはあり、肥えた土地だった。豊富さで溢れていた。完全に満ち足りていた。その地域を激しい川が流れていた。大きい川が急流をなしていた。流れる川のそばにエンキは住居を自分のために造り、アブズの中央、澄み切った水のある場所にエンキは足を運んだ。
 英雄たちが地球の中心部へ降りていくために、その土地の「深い場所」にエンキは決めた。そして地球に深い裂け目を造るために、「地球分断機」をエンキはそこに設置した。トンネルを通って地球の内部に達し、金脈を発見するためである。近くに「破砕機(はさいき)」と「粉砕機(ふんさいき)」を彼は設置した。金を含む原鉱を破砕・粉砕し、天の船で運ぶために、杉の山の着陸場所に運ぶために、そこからロケット船で火星(ラーム)の中継基地へ運ぶために。

 地球には更に多くの英雄たちが到着し、ある者はエディンで任務を与えられ、ある者はアブズの仕事が与えられた。ラールサとラガシュはエンリルにより建設された、シュルッパクをニンマーのために彼は創設した。そこには彼女と一緒に女性の癒し人たちがたくさん住んだ。それは援助を与える若者たちだった。ニップール(ニブルキ)ではそこから全てのミッションを指令するために、エンリルが「天と地球の絆」を組み立てた。
 エリドゥとアブズの間をエンキは旅行し、そこを行き来して監督した。火星(ラーム)では建設が進行し、英雄たちもその「中継基地」に到着した。1シャル(3600年)、2シャル(7200年)と準備を継続し、それからアヌが命令を発した。地球ではそれは7日目だった。最初にエンキが布告した休みの日だった。あらゆる場所で英雄たちが集められ、ニビルから発信されたアヌからのメッセージを彼らは聞いた。エディンで彼らは集められ、エンリルは司令官としてそこにいた。彼と一緒にニンマーがおり、多くの若者達が彼女のそばに集められた。エリドゥの主であるアラルガーが居た。着陸場所の司令官であるアブガルも立っていた。アブズで英雄たちが集められ、エンキの凝視の下に彼らは立った。エンキと共に彼の大臣であるイシムドが居た。操縦士のヌンガルも居た。火星(ラーム)で英雄たちが集められ、彼らが誇りに思っている司令官アンズと共に彼らは立っていた。

 600人は地球で、300人は火星(ラーム)で集められた。全部で900人だった。アヌ王の言葉を彼らは全員拝聴した。
「英雄たち、君達はニビルの救い主だ!全ての命運は君達の手中にある!君達の成功は永遠に記録される、栄光ある名前で君達は呼ばれるだろう。地球に居る者たちはアヌンナキとして知られるだろう。それは「天から地球へ来た者」という意味である。そして火星(ラーム)に居る者たちはイギギと命名される。それは「観察し見る者」の意味である!要求されたものは全て準備ができている。金を送り始めよう、ニビルを救おう!」


アヌンナキの誕生-------------------------------------------------------------------------------------------

エンリル:アヌとアンツの間に生まれた王位継承者であり、地球に降りたったアヌンナキの総司令官。
ナンナール:イナンナの父で月の神。エンリルの第一子で王位継承者
エンキ:アヌの第一子、エ・ア(水が故郷の君)と呼ばれる水の神。アヌがその昔、火星(ラーム)にイギギが住みつく前に、ヘビ族のイドと結ばれて生まれた息子。レプテリアン(爬虫類族)の母の血を強く受け継いでいる。古代エジプトではプタハと呼ばれる神
ニンガル:イナンナの母。ナンナールの妃。純粋なアヌの血を引くニビル星人

「風の神」といわれているエンリルはナンナールの父であり、イナンナの祖父にあたる大神である。エンリルは、兄のエンキ(水の神)と同様に、アヌの命令を受けてエンキの後に地球に移住した。次にアヌは、娘のニンマーを地球に送った。アヌの子である三神がアヌの命令で発見されてまもない地球に派遣された。そうして初めて地球に降り立った神々のことを「アヌンナキ」とよぶ。

 エンリルは、地球に降りたったアヌの王位継承者であり、エンリルの第一子がイナンナの父神ナンナールである。ナンナールは、地球で初めて生まれたアヌ一族の皇子であり、彼は「月の神」として崇められていた。彼の娘神であるイナンナは、地球で生まれた二代目のアヌンナキである。ナンナール一族は、最初は「ウリム」と呼ばれ、後に「ウル」として定められた都を築いた。

 ナンナールの妃でありイナンナの母であるニンガルもまた、純粋なアヌの血をひくニビル星人だった。彼女はアヌの妃であるアンツと同じように、優しくて慈悲深い女神だった。イナンナは、母である女神ニンガルを常に敬い慕っていた。それにしてもイナンナには、理解できないことがひとつあった。それは、母である女神ニンガルから自分は、どのようにして生まれてきたのかということだった。イナンナにとって、それは明かされることのない母、女神ニンガルの秘密だった。


ニビル星の女神アンツの宮殿-----------------------------------------------------------------------------

イナンナ:天と地の女王かつアヌ一族の神々の中で最もパワフルな女神。古代バビロニア時代ではイシュタール、翼を持つバードゴデス、リリスとも呼ばれた女神
ウツ:イナンナの双子の兄、法の神。後に女神アヤと結ばれるが、イナンナとは永遠の恋人同士。大洪水後、シッパールがあった場所に戻った彼はエバッバル(輝く家)の神殿を建てて、そこにアヤと暮らした

 イナンナが生まれた頃は、ニビル星人は地球を発見したばかりだったので、地球の周波数というものが、ニビル星人のDNAにどのような影響を与えるか、まだ理解できていなかった。イナンナが生まれた頃の地球は、大量の放射能に包まれており、凄まじい磁気嵐が吹き荒れていた。磁気圏の亀裂が地球に生じていたので、決して安全とはいえない惑星でもあった。そのような環境が、どのようにニビルの若い生命体に影響するのかデータさえもない状況だった。
 そんな星に移住した者を、アヌの妃である女神アンツはニビルで心配していた。彼女は特に自分の血を分けた可愛い子孫が地球にいること自体の危険性を強く訴え反対していたのだ。
 人工衛星ニビルでは、永遠に近い寿命を生きるという不老長寿が可能だったので、ニビルの王アヌもいつまでも逞(たくま)しい姿で、彼の妃であるアンツも絶頂の美しさを保ちながらニビル一、いや宇宙一を誇る豪華な宮殿で暮らしていた。

 地球で生まれたイナンナとウツは、成長するにつれて、ニビル星人らしくタイムトラベルも上手くこなすようになっていた。二人は地球を離れて、故郷であるニビル星に遊びに行き、ニビルならではの遊びをしたり、学んだりしていた。アンツは地球で生まれた彼らを常に大歓迎して宮殿に迎え入れてくれた。

 アンツの広大な宮殿は、ラピスラズリの床で敷き詰められ、ラピス独特の石に散らばる金が、宮殿中を眩しく輝かせていた。神殿のラピスラズリは、アヌが彼女のために地球から運ばせたものだった。その煌くフロアの上をアヌの孫たちは、はしゃぎまわって遊んだ。イナンナにとってもラピスラズリは一番好きな宝石であった。
 美しい深いブルーの光を放つラピスラズリが贅沢に敷き詰められている宮殿の中をそよ風が吹くと、広いホールの長く垂れているカーテンをなびかせて通り抜けていく。そよ風はイナンナの黒いカールの髪をそっと撫でると、彼女は幸福感に満たされたのだった。彼女のブルーの肌が一層輝きを増して紺色の床に映えた。

 イナンナは後に地球で落ち着くまでは、アンツの宮殿で過ごしていた。彼女は皆に愛され、美しい世界に囲まれていた。宮殿は、壁などで仕切られていない空間で、広いパビリオンは、地球の建造物のように外側と内側を仕切る隔たりが無かったが、その代わりに目に見えない周波数で空間が分かれていた。そのスペースを彼らはセンサーで感じ取っていた。壁も窓ガラスも必要としないアンツの宮殿の周囲には、様々な種類の庭園が続いていた。

 ある庭園には、銀河の隅々から集められた風変わりな植物や鉱物が集められていた。別の庭園には、エキゾチックな花や蝶や鳥がいた。その中には、「プラマチア」とよばれる、不思議な七色の光線を放つ宇宙虫が生息していた。その虫がイナンナの頭の上に止まると、彼女の体全体が七色の光で包まれるのだった。イナンナとウツはそれが面白くて、プラマチアを探しまわったものだった。そんな不思議な珍しい生き物が、アンツの宮殿の庭では見ることができた。

 庭園の中には、光と音だけを放つ場所もあった。水の庭園では、美しい水のパフォーマンスが永遠に続いていた。ニビルの芸術家は、腕と誇りを競いあってアンツの庭園を完成させた。中でもアンツのお気に入りは、なんといっても、金や銀の岩が美しい光線を放つ宝石の庭だった。宇宙のあらゆる場所から集められた巨大な原石が、不思議な異次元からの光線を放していた。それらの光線をアンツご自慢の特殊な「me(メ)」を使うと、様々なヒーリング効果ももたらしてくれた。きらきらとサファイアが輝く小川もあれば、光線を放つエメラルドの岩もある。強烈な光を放つルビーやダイアモンドの岩肌。イナンナは森の中で静かに座っているだけで幸せだった。

 地球からニビルに運ばれたのは、金(ゴールド)だけではなく、ラピスラズリなど多くの鉱石が運ばれてきた。地球のほとんどの宝石は、人間が発見する以前にその多くのものがニビルのアンツの宮殿に運び込まれたのだった。アンツの宮殿以外にもニビル星には、ユニークな場所がたくさんあったが、それらは彼らが様々な次元からタイムジャンプして得てきたものだった。人工惑星ニビルは、ほぼ完璧に近い環境で創り上げられていた。
 イナンナはそんなニビルを懐かしがって、地球でも似たような宮殿の建設に力を注いだ。新しい文明を地球のどこかでスタートさせる時は、必ずイナンナはまず宮殿を最初に建てた。さらに、各宮殿にその地から選ばれたルル(後に誕生する人類の祖先)の女性をオラクル(神官)や、踊り子として迎え入れた。


ニビル星人のセックス-------------------------------------------------------------------------------------

 イナンナは語る。
「ニビルの住民にとって、性の交わりは、最高の美の追求です。私たちにとってセックスは、神聖な性なる交わりです。セックスは、エネルギーの交換と創造を意味します。私たちアヌンナキも人間と同じように、法悦(エクスタシー)に浸りますが、この感覚を何よりも大切にしているのです。とはいっても、人間の官能を刺激するだけではありません。
 時に、男たちを飲み干す怪物のようにも思われたりしますが、私たちプレアデス出身のニビル星人は、無邪気に快楽を味わうだけなのです。私たちは、相手への執着も人間より大きいかもしれません。それが私、イナンナなのです。当然、アヌ一族も同じであり、地上で繰り広げるドラマもこの感受性の強さが現れているのです。私たちの性への執着もそうですが、そろそろ人間の神々に対する誤解を解かねばならないときが来ています。」

 アヌンナキのセックスへの自由奔放さは、やがて地球の時間軸で歪められていくことになる。今の地球において必要なのは、地球の人々の性への概念の受け取り方を正すことだとイナンナは語っている。それにはまず、彼らニビル星人たちのセックスによって生まれた人類に、彼らがどんな知識を植えつけたのかを知る必要があるのだ。地球で歪められてしまった性的モラルの色メガネさえ外せば、アヌ一族の物語を深いレベルで理解することができるだろう。

 セックスという行為、それは、男女のお互いの周波数の統合という目的があり、周波数を互いに振動させながら交換し合うものであるが、そのエネルギーはパワフルな創造力に転換させることができる。その奥義を地上に伝授したのが、他ならぬイナンナだった。これは今日、タントラとも呼ばれる一種の錬金術でもあり、このエネルギーの交換を利用して、人間はあらゆる創造を可能にすることができる。

 ニビル星人は、このパワーを使ってさまざまなことを具現化してきた。特に、永遠に近い寿命を持つ彼らにとって、セックスとは長い命を退屈にさせないためのものでもあった。アヌンナキたちは、「聖なる結婚」という、特別な性交の儀式を行なって神々は結ばれる。女神たちによってこれは地球に伝えられたが、特にイナンナはこの儀式を通して、子孫を残すだけでなく音楽や舞踏などの芸術的表現や薬草の知識も教えた。さらには黒魔術も伝えたが、それは後に土着の宗教に溶け込み密かに後世に伝承されていった。

 人間はまだ、性的交わりによって生じるエネルギーの使い方を知らない。これは、彼らがそのように人間をプログラムしたからでもある。要するに、彼らと同じ能力は、まだ人間たちの中で眠ったままなのである。彼らが目覚め、それを知覚した時にこそ、性に対する歪んだ概念は、魔法が溶けるように消え去る。知覚から変化が訪れ癒されていくことで、地球は新しい段階(フェーズ)に突入することになるが、それまでは人間界におけるセックスとは、単純な官能と単なる繁殖機能にすぎない。

 アヌンナキの神々は性のエキスパートであり、中でもイナンナは、アヌンナキが生んだ人間たちとニビル星人が結ばれることを積極的に奨励した女神だった。イナンナは彼らと楽しみ、多くの混血の子孫(半神半人)を残した。また、性的パワーを活用できる彼らは、創造したいものを思うがままに具現化させていた。ニビル星人は“究極のアート”をマスターしていたのだった。

 そんな彼らにとっても、人間と味わう性的エクスタシー(恍惚感)は、きわめて原始的な感覚で、その懐かしさゆえにさらに地球人に魅せられていた。人間の快楽も、まんざら捨てたものではなかった。とにかく、ニビル星人の性の快楽には、罪の意識がまったくないといってもいい。創造のソースである創造主から、直接、性のエネルギーを取り込むことに関しては、罪悪感などは存在しない。そのパワーを彼らはまるで電源にスイッチを入れるように自由に取り入れていた。一旦彼らの肉体が、創造主とひとつになると、自発的にレセプタ(受容体)である彼ら自身がリセットされてパワーはますます増大する。そこから得られるパワーは、人間の数千倍にも及ぶほどだった。つまり、それほどのフォーカスパワーがなければ、タイムジャンプも不可能なわけである。

 ニビル星人は、人間が超能力と呼ぶ能力をさらに超越したパワーを備えていた。彼らにはプレアデスのテクノロジーである「me(メ)」と呼ばれる魔法のツールがあった。そのパワー源は、電気的なものであり、彼らはチャージされたエネルギーと一体化することによって、タイムジャンプやバイロケーションを可能にしていた。

 性を神聖化する彼らにとって聖なる結婚の儀式は、きわめて重要な行事だった。アヌ一族は皆、結婚式を盛大に執り行うのが好きだった。
 アンツの宮殿には、壮大な愛の神殿があった。そこでは、アヌ一族のための、聖なる結婚が執り行われていた。神殿には、創造主と直接繋がりエネルギーを受け取る神官(オラクル)がいた。儀式中に神官と創造主のエネルギーの交換が行なわれると、神殿中にエネルギーが振動し、言葉では表現できない周波数のエネルギーが生み出された。それは彼らにとって、究極の癒しのエネルギーであると同時に、喜びのエネルギーでもあった。

 聖なる結婚の儀式で誕生するニビル星人の新しい生命は、とてつもないパワーを受け継いで生まれて来た。アヌンナキの神々の寿命は永遠に等しく、呼吸が静止するその日まで、性の交わりによって創造主から与えられるネクターを飲み干し、生きる限り無限の創造を楽しんでいる。けれども、人間たちの性に対する恥の概念は、残念ながら一部のアヌンナキによって、あえてネガティブな概念が植えつけられたのも確かだった。これも、地球の人間たちを奴隷として支配するための策略でもあった。

 イナンナに「聖なる結婚」について教えたのは、アヌとアンツである。アンツは地上の人間のすべての偉大なる母であると同時に、セックスによって生じるエネルギーに関する知識を完璧にマスターしている。アンツはその知識を娘のニンマーや、イナンナをはじめとするニビルの女神たちに教えた。ニンマーはどちらかというと、あまり関心がなかったが、イナンナのほうは、セックスに注ぐ情熱は、ほかの誰にも負けず、それは永久に同じだろう。愛することの美しさをイナンナに教えてくれたのは、アンツである。彼女はイナンナの大祖母であると同時に、実の母以上にイナンナにとって重要な存在なのだ。イナンナはアンツから多くのことを学びとった。

 セックスによって生じるフリクエンシー(周波数)をどのように表現できるかについても、彼女はイナンナに教えた。そして、アヌもアンツと同じようにそのエネルギーについて教えた。ニビルの学者としても優れた才能を持つアヌは、そのことを哲学的にイナンナやニビルの若者たちに教えた。特に地球で生まれたイナンナのような子孫には、丁寧にアヌは教えた。「イナンナ」という名前は正式には、(イン・アンナ)であり、それは(アヌに愛される者)という意味である。このことからもいえるように、アヌとイナンナは深く結ばれていたのである。アヌンナキの「聖なる結婚」に関するの知識は、地上の人間たちにも伝わったが、人間の性行為のあらゆることが、彼らからはじまっている。


ニビル星人の色と寿命-------------------------------------------------------------------------------------

イナンナは語る。
「誰も私のことを束縛できません。私の暮らしは、あなた方からすれば、まるで楽園にでもいるかのような暮らしかもしれません。そう、その頃のアヌ一族は、何にも束縛されず、自由と愛を楽しんで暮らしていたのです。」

 美しい女神イナンナは、濃いブルーの肌の色をしている。彼女の肌の色は、床に敷かれた濃紺のラピスラズリと映えて、宮殿では皆の視線を一手に集めていた。イナンナはその視線を楽しみ、自分の美しさに陶酔した。もちろん、彼女は美しいだけでなく、自由に生きる崇高の女神として、厚い尊敬の念も受けていた。

 ニビル星人の姿は人間よりもかなり大柄で、身体の作りはほとんど同じだった。肌の色はブルー系統が基本であったが、地球人の肌も微妙に色が違うように様々なブルーの色のスペクトルから成っていた。その神秘に満ちたブルーの肌は、決して絵の具の青のようなフラットなブルーではなく、内側から輝くようなトルコ色の海を感じさせる透明感がある深いブルーだった。
 地球にも太古の昔からブルーの存在たちの伝説は残されている。地球人は彼らのようなブルーの肌をもつ異星人とずっと昔から遭遇していたのだ。例えば、インド神話に登場するクリシュナ神の肌の色はブルーである。クリシュナもニビル星人と同じように、そのルーツがプレアデスにある。なぜ彼らがブルーの肌を持っているかというと、体内の銅成分を増加させ、銀河の中心から降り注ぐ宇宙線から身を守るためだった。彼らの身体には、人間でいえば経絡(けいらく)のエネルギーのようにブルーのエネルギーが流れているのだった。

 アヌの血を受け継ぐ生粋のニビル星人の寿命は、人間からすると気が遠くなるほど長い。そもそもニビルの1年である1シャルは、地球年では3600年に相当し、ニビル星人は、ざらに100シャル(36万年)は生きることができる。特にアヌとアンツのような純粋なプレアデスの血を引く者はインモータルズ(不死身の存在)に近い命が与えられている。彼らの純粋な血を引き継いだイナンナの寿命も人間には測り知れないほど長いが、人間たちの方は、そんな永久に近い命を持つ生命体が存在することを気づかれないように、短い寿命で終わるようにプログラムされていた。ニビル星人は、永遠に愛の営みを楽しみ、愛し愛されることに命を賭けていた。

 現在、アヌンナキやその半神半人と思われる巨人が地球にいた証拠が、地球上の各地から出土している。単純な推測で、足の大きさが人間の2倍であれば、身長3m前後と考える。6倍の大きさの足跡もあるので、アヌンナキやハイブリッド(半神半人)の身長は2.5〜10mと考えられる。



近年、最も身長の高かった人間は272cm--------------------------------------------------------------

  アメリカ合衆国イリノイ州で生まれで、フリーメイソンの一員でもあったロバート・パーシング・ワドロー(1918年-1940年)は、「疑う余地のない医学的な記録がある中で、最も身長の高い人間」としてギネスブックに記載されている男性で、死亡時の身長は272cmという前例のないものであり、体重は約200kgであった。靴のサイズは43cmであった。ワドローは成人後も死ぬまで身長が伸び続け、このような高身長になったが、それは脳下垂体腫瘍(のうかすいたいしゅよう)のため成長ホルモンが過剰分泌され、末端肥大症的な巨人症になった。通常この疾患の死因は血液循環量の過大に伴う心疾患である。


遺跡や壁画などから見るアヌンナキの身長------------------------------------------------------------

 クラウス・ドナ博士が発見したゾウにまたがる巨人の石像。ゾウが4mの大きさであれば、人物の身長は約10mほどとなる。

 沖縄に伝わる伝統芸能「アマンチュ」には3メートルの巨人(アヌンナキ)が出てくる。また伊江島のタッチューというピラミッドの山頂には巨人タンナッパの足跡がある。約50cmの大きさなので、約320cmの身長だと推測できる。

 インドのエローラ石窟群の第29窟デゥマル・レーナはアヌンナキ作だが、その入口の大きさは510cmほどの高さになっている。下記の画像がアヌンナキと関係していることは後述しているが、これらの証拠から人間とアヌンナキのハイブリッド(半神半人)は、身長が3m前後と小さくなったということも推察できる。

 ヨルダンのペトラ遺跡の入口も510cmほどの高さになっている。

  エジプトのアブ・シンベル神殿の入口の高さは630cmほどになっている。

 エジプトもアヌンナキが支配していたが、エジプトの壁画にはアヌンナキや彼らとの半神半人が巨人として描かれている。


 アヌンナキと人間のハイブリッド(半神半人)である仏陀の身長は、壁画から計算すると250cmほどとなっている。

 同じくアヌンナキと人間のハイブリッド(半神半人)であるアケメネス朝ペルシアの王だったダレイオス1世の身長も、250cmほどだったと壁画から推測できる。


エンキとエンリル-------------------------------------------------------------------------------------------

 ニンマーより先に地球に降りたったエンリルは、アヌとアンツとの間に生まれた王位継承者であることから、アヌンナキの代表をつとめる地球総司令官の立場を与えられた。
 ニビル星から移住する者たちは、地球に降りていくグループと、そしてもうひとつのグループは、中間ステーション「火星(ラーム)」に留まる者たちとに分かれた。火星(ラーム)に向う者たちは「アヌンナキ」ではなく、「イギギ」とよばれ、2グループに分かれた。エンリルは両グループを指揮する総司令官として、大勢のニビル星人たちと一緒にシェムに乗り込み、地球へ向けて出発した。


 中間ステーションの火星(ラーム)は、太陽系内を地球と共に軌道するが、そこから地球を観測することも含めて、それがイギギたちの仕事となった。ニビル星から、地球への折り返し地点となる火星(ラーム)に降りた者たちは、やがて「イギギ」とよばれるようになり、同時に総司令官のエンリルと一緒に地球に降りたった者たち、いわゆる「天から地球に降りた者」を意味するアヌンナキ、“アン・ウンナ・キ;AN・UNNA・KI”とはっきりと区別されるニビル星人社会が形成された。

 アヌの第一子のエンキとエンリルは、母親違いの兄弟である。エンキは、アヌがまだアンツを娶る以前に、ニビルからヘビ族が支配する惑星を探検したときに出会ったヘビ族の帝国のプリンセスだったのが「イド」で、彼女とアヌの間に生まれたのがエンキである。イドは、ニビル星に移り住むと「ニムル」という名で呼ばれるようになった。

 そのころの宇宙は、ヘビ族とドラゴン族が激しい戦争を繰り広げていた。そしてたいていは、ドラゴン族がヘビ族を、宇宙の果てまで追い詰める結末となる。

 それにしてもドラゴン族に追い詰められて辿り着く星は、たいがい過酷な条件のもとに暮らすことをやもうなくさせた。彼らはドラゴン族の隙をみては、火星(ラーム)や地球に侵入し、彼らのテリトリーを広げていった。このようにしてついに彼らは、誕生したばかりの地球に辿りついたのだった。それは、まだアヌンナキが地球に降り立つずっと前のことだった。

 もともと、ヘビ族とドラゴン族は、犬猿の仲である。同じ「レプテリアン(爬虫類)」のグループの中でも、彼ら両種族にとって共通するのは、彼ら特融の頑固さとしぶとさである。その冷酷さきわまりない強さで、星から星へとスターシステムに移動しながら追いかけあいを永遠に続ける。そして、彼らの戦いの舞台が地球に移動したのは、ニビルの時間軸からすると、およそ2000シャル(720万年)前のことで、それは太古の昔地球が迎えた、俗に恐竜時代と呼ばれているジュラシック時代よりもはるかに遠い昔だった。

 そんなヘビ族の血を引くエンキが、もうひとつ、ほかのアヌンナキたちと比べてずば抜けていたのが、鋭い直感力だった。機敏さと切れた頭脳の両方を長所にもつエンキは、「水の神」とよばれるほど研究熱心な博士ではあるが、彼はニンマーのような学者タイプではなかった。どちらかというと、「魔法使い」、あるいは「仙人」のような存在なのだが、老人の姿ではなく、むしろ永遠の若々しさと魅力を秘めていた。特に水に関する知識はアヌンナキの誰よりも詳しく、そのため彼は「エ・ア(水が故郷の君)」と呼ばれた。

 エンキは本来なら、アヌ一族の王位受け継ぎに値するアヌの第一子として生まれたが、アヌの王妃アンツがエンリルを生んだことによって、一族のヒエラルキーを曲げて、エンキがアヌの王位継承者につくことはなかった。

 エンキはまた、ニビル一を誇る科学者でもあったことから、アヌは、兄のエンキをエンリルよりも先に地球に送った。エンキは、エンリルが到着するまでに、いち早く金の発掘作業をスタートさせていた。彼は優秀なエンジニアとしてアヌの要望を忠実に叶え、地中の鉱物を発見する「地球分割機」といった機械なども開発して、地中奥深くを探索しては金の採掘にあたった。

 エンキに次いで、その後エンリルもアヌの命を受けて地球に派遣されることになる。地球より4倍も大きいニビルは、それほどまでに金を必要とした。


タイムマシーン「虹のはしご」--------------------------------------------------------------------------

 宇宙連合総司令官ソ・ラーラ:時間や場所さえ存在しない高次元のハイブリッドで男女を超越した存在。創造主の意志で宇宙連合ウエストスターのコマンダーを務める。ウエストスターにはソ・ラーラ以外にも、アシュター、ヴァイアーレス、トーリン、アラールといった最高地位のコマンダーたちがいる。

イナンナ:天と地の女王かつアヌ一族の神々の中で最もパワフルな女神。古代バビロニア時代ではイシュタール、翼を持つバードゴデス、リリスとも呼ばれた女神
ナンナール:イナンナの父で月の神。エンリルの第一子で王位継承者

虹のはしご:me(メ)の一種。タイムマシーンの役割を果たし、ひとつは、ニビルのアンツの宮殿に、もうひとつは地下帝国ナガに、黄泉の国、エクルの中にある
me(メ):ニビル星人たちがもっているプレアデスのテクノロジーが生んだ魔法のツール。さまざまな種類がある


 ニビル星人たちがもっているプレアデスのテクノロジーが生んだ魔法のツールの一種で、彼らにとってそれは最高のお宝であり、もとはといえばそれは創造主から贈りものであり、彼らの宇宙における功績が称えられている証拠だった。中でも「虹のはしご」は、褒美として創造主から彼らに宇宙連合のソ・ラーラを通じて手渡された。
 その全部で三つある「虹のはしご」は、ニビル星人に手渡されたものである。そのひとつは、アンツの宮殿の中庭園の隅に設置された。アンツの宮廷の中庭といっても、それは巨大なスケールのもので、その中の小川の上にかけられたつり橋を渡ってからしか行けないエリアがあり、そこに「虹のはしご」は、アヌの妃アンツによって隠された。
 そこへはアンツは、誰も滅多に案内しない。誰も訪れることのない中庭の片隅に、彼女はクリスタルの塔(パゴダ)を建てさせた。
 そして大きな木の根元を下っていくところに、その「虹のはしご」を隠した。当時それを知っていたのは、当然、彼女と、アヌとそしてエンキだけだった。アンツは宇宙連合司令官のソ・ラーラから直接、その厳重な管理を任されていたので、彼ら以外にその秘密は明かされなかった。

「虹のはしご」は、神さまが使う一種のタイムマシーンであり、それは虹色の雲が積み重なりあった階段のように現れたり、光を放つ柱のような形で現れたりする不思議なはしごだった。天の門に続くエレベーターとしてニビル星人は使い、また、これを逆さに使うと「黄泉の世界」にスムーズに一瞬にして着くことができる。この装置は、いわゆるタイムマシーンである。

 ニビル星人はまさしくこれを使って地球という惑星が存在することを、ニビルの科学者たちは最初から知っていた。しかも、アヌはアラルよりも先にそのはしごを使って、実質的には最初に地球の土を踏んでいた。アヌが最初に探し当てた場所は、地球のパワースポットであるシナイ半島周辺であり、そこを視察してから虹のはしごでアヌは一瞬にしてニビル星に戻るという、アンツの気がつかないところでそのはしごを使った。

 この同じタイムマシーンである虹のはしごは、またエンキがニビルを訊ねるたびに、これをこっそり無断で拝借しては、地球の人間たちに刺激を与えて楽しんでいた。今となっては地球の歴史に残る英雄的人物に、彼はそのはしご差しのべては昇ってくるように勇気づけ、楽しんでいた。たとえば、イスラム教創始者のムハマドにも、登ってくるようにとエンキはそのはしごを差し出した。

 虹のはしごは、イナンナと彼女の父ナンナールにとってもゆかりの深いものだった。なぜなら地球の最後の瞬間に、ナンナールがエンリルに助けを求めたとき、天から差しのべられたのが虹のはしごだった。ナンナールはニンガル(妃)と共に危険な地球から一瞬にして消えた。


イナンナは語る。
「地球を愛する子孫に私たちの秘密を明かすことで、地球に平和と自由が戻ってくると信じています。私たちの血に秘めた謎、そして、私たちが開発したテクノロジーについて、ぜひ知っていただきたいのです。アヌ一族の中でこの私に賛成してくださるのは、きっとエンキさまだけでしょう。ニビル星人の優れたテクノロジーを地球でも活用するときがやってきました。今のところは特に、私たちの“マインドテクノロジー”を知っていただきたいのです。」

 アヌンナキは、人類の遠い親戚でありながら、異次元を出入りできるエイリアンでもあり、地球の近未来の存在たちである。地球では、農業など人類に欠かせない多くの物を与えた神々として崇められた。
 ニビル星人には、“me(メ)”と呼ばれる “打ち出の小槌(こづち)”のような便利なツールがあった。それは、瞬時に願いを叶える道具であり、小さなものから巨大なスーパーコンピューターのようなものまで種類豊富にそろっていた。さまざまな種類のme(メ)はアヌ一族の宝物で、神々がおもちゃのように使う魔法の道具である。
 むろん、アカデの都のアンツの庭園にある虹のはしごもme(メ)のひとつであるし、人間にもたらされた数多くの道具や装置も実は彼らのme(メ)によって開発されたものが多い。
 さらに言えることとして、今の人類にとって近い未来の可能性となる最新テクノロジーへのヒントも含まれている。しかしながらそんな“me(メ)”が原因で、後にエンキとイナンナは苦しむことにもなる。
 その虹のはしごを天への階段としてムハマドに差し出したのはエンキだったが、それとはちがう別の虹のはしごを反対に地に向けて使ったのはイナンナだった。彼女はこのはしごを使って黄泉(よみ)の国に降りて行った。それはアヌンナキが地球に降りてきてからずっと後の話である。


■紀元前44万6400年頃

 3600年周期で太陽系への侵入を繰り返すたびに、ニビルは地球とともに太陽を周回する惑星について知るようになった。火星と同様に、彼らは太陽系の他の惑星も調査し植民地化したが、彼らの関心の的と焦点は常に地球にあった。地球がもっとも魅力的だったからである。彼らは地球のさまざまな表情を観察し、その手つかずの土地の動植物を研究した。しかしアヌンナキは、地球という暖かな光の寝床の中で、人間であるホモ・サピエンスが孵化(ふか)していることに気づいており、彼らを生み出した他の高次元の地球外生命体がそれを見守っていることを知っていた。

 そして二ビル王アヌの息子エンキと50人の地球遠征隊は地球に降りて来た神々として、後のヘブライ聖書では「ネフィリム」と呼ばれた存在である。当時の地球は緑が多く大地は肥沃で、地球の海に着水した彼らは歩いて陸へ辿り着き、地球第一基地のエリドゥを南メソポタミアに建設した。そして前王アラルをエリドゥの監督に任命した。そしてペルシャ湾に黄金採取工場を建設。海水から抽出する方法により、黄金の採取を開始した。さらに大規模治水事業により、沼地を干拓して居住地を整備した。植民地建設に向けて、メソポタミア各地で大開発事業が開始された。この最初の入植地は宇宙飛行管制センターや宇宙船基地、採鉱活動、さらには火星の中継ステーションさえ擁する一大地球ミッションへと発展していた。


ニビルのアカデの港----------------------------------------------------------------------------------------

シェム:空を飛ぶ乗り物でニビル星人の交通手段。自家用ロケットからUFOタイプまでバラエティに富んだ種類があり、やがて「マカバ」ともよばれるようになる彼らのUFO

アカデの港:アンツの宮殿が立つ丘から少し降りたところにある港。大小のシェムが地球とニビル間を往復する賑やかなニビル星の港であり、虹のはしごの場所にも近い

デルムンの丘:「純粋な土地」という意味のニンマーの地球初の病院がある場所。エンキの協力によってニンマーが地球到着後すぐに建設した


 地球に向けてニビル人たちは「アカデの港」から出港していった。エンキと、アヌの妃アンツから生まれたエンリル、そしてアヌとアークチュール星人との間に誕生したニンマーは、アヌの命令で相次いで(28シャル=10万800年の間隔で)ニビルを去り、地球に向けて出発した。
 彼らにとって地球への旅は、下手すれば永久に宇宙のどこかに投げ飛ばされ、あるいはどこかに封じ込められてしまう危険性があった。たとえ彼らが全能の神々であっても難しいことなのである。危険きわまるその旅と冒険を、各々がもつテクノロジーを駆して無事地球に降りたということは明らかであった。
 そうしてタイムジャンパーとしても、つまり次元空間を自由に行き来できる能力を持ったアヌの血をしっかり引いている三兄弟の神々が、地球に下りた。
 エンリルが地球に降り立った後、ニンマーはアヌの勧めによって地球行きを決心した。彼女はエンキやエンリルのような好奇心や野心を地球行きに託していたわけではなかったが、彼女はただその不思議な惑星地球の生態圏を研究したいだけだった。ニンマーが地球行きを決断した頃はというと、エンキとエンリルの地球ミッションが始まったおかげで、地球に関する興味深いデータが沢山上がっている時代であり、ちょうど地球の未来が彼らによって方向づけされようとする段階を迎えていた。ちょうどその頃、地球に金を採掘に来たアヌンナキたちのニーズを満たすためにニンマーは、アヌによって地球に派遣されたのである。後に「すべての母」という称号を受けたアヌンナキの女神は、その母の系統を受け継いだヒーラーだった。

 彼女はその母に似て、アークチュール星人のすべてを覆い込むような見事な天使並みの大きな白い翼をもっていた。ときにして彼女はアヌンナキたちをその白い羽で覆うような姿で患者を治療したといわれており、ニンマーはアヌンナキの健康を管理する医学として、またニビルを誇る最高位の遺伝子工学博士として、さらには純粋なアヌの血を引いている彼女をなによりも先にアヌは地球に送った。

 当時ニビルでは、「シェム」と呼ばれる彼らの乗り物が地球に向けて出港する港が生まれ、そこから彼らは荷物を積み込み、飛びたっていった。そこは「アカデのの港」とよばれた。そこから地球に向けて、忙しく出港するシェムの数が増えていくうちにアカデの港は賑わい栄えた。アカデの港はニビル星人が集う、賑やかなスポットとなって繁栄していった。

 様々なニビルのテクノロジーを駆使した道具や装置を積んだ大小シェムがその港から出港し、また戻ってくる。地球という新しい環境で生存できるとわかった彼らは、その新しい星に移り住みたいアヌンナキ志願者を毎回50名ほど乗せては地球に向けて旅立った。アカデの港は、実はこれも女神アンツの宮殿の一部に位置し、彼女の目の届く距離にあった。その辺一帯が煌びやかなエネルギーに包まれているのを、アンツは自分の宮廷のバルコニーから、いつも嬉しそうに笑顔を浮かべて見ていた。
 アカデの港は洗練されたニビルのポートタウンへと発展し、アンツ自身もアカデの港をよく訪れ、その港から出港していくシェムを祝福し、見守り、見送る姿も見ることができた。
 アカデの港を出港していったのは、男のアヌンナキばかりではなく、ニンマーが女神軍団を連れて地球に到着した。つまり彼女は、ニビル初の女神派遣団なのである。

 ニンマーは、大勢のニビルの女性看護婦たちを連れて地球に降りたった。そのときニンマーといっしょに地球に移住した別のアヌンナキの女神たちも、地球で自分たちが役立つように、治療や救助の仕方など、多くの知識をアンツやニンマーから十分に訓練を受け、知識を得て派遣された。
 ニビルの王アヌの娘であるニンマーは、アンツに次ぐ偉大なる女神として、地球に移住したアヌンナキたちからも崇拝される存在となった。彼女は地球に降りたつや否や、勇敢にも初めての星である地球を探索し、その場所に病院を建てた。むろん、兄エンキの協力を得て建設されたが、そこをニンマーは「デルムン(純粋な土地)の丘」とよんだ。彼女は早速、そこでアヌンナキの治療に専念することにした。


■紀元前44万2800年頃

 3600年周期でニビル星が地球に近づいていたこの頃、地球では大きな氷の広がりが小さくなり始め、近東の地域では心地良い気候が続いていた。地球の気候の温暖化に伴い、二ビルより多数のアヌンナキが移住した。エンキの異母妹ニンマー(ニンフルサグ)も、医療隊長として地球に着任した。
 彼らは体が大きく、骨は10m以上あり、体重は700kg前後である。ニビルにはたくさんの種族のETがおり、それらの遺伝子が混ざり合っているが、それがアヌンナキである。

ニンマー------------------------------------------------------------------------------------------------------

 アヌ一族にはもめごとが多い。というのも、やはり神々それぞれの個性の豊かさがゆえにである。彼は競い合いながら、出来るだけアヌンナキの血を濃く受け継ぐ女神たちと結ばれようとした。このように、血族関係を巡る醜い争いというのも、人間だけではなく、彼ら宇宙人もそうであり、地球にそれを刻印したのは彼らなのである。やがてそれが、地球に大混乱を引きおこすことになる。しかしながら一つ確かなのは、彼らはそれを予期していなかったということである。

 ニンマーは後に「ニンフルサグ」と呼ばれるようになったが、この名前には“偉大なる母女神”や、“命の母”、“山の母”といったような意味が込められている。彼女は、エジプト時代には、「ハトホル」と呼ばれた。ハトホル神は、牛の頭を持つ女神の姿で大抵は表現されているが、これは、エンリル家のシンボルである雄牛(おうし)を象徴している。
 古代エジプトの時代にはまた、ハトホルは癒しを司る女神として崇拝された。これが実はアンダーグラウンド的な女神信仰として発展し、後に聖母マリア信仰へと形を変えて広く受け入れられるようになる。こうして聖人、天使、聖書における重要出来事やたとえ話、教会の歴史を画いた女神的イコンの絵は、いつの時代でも必要とされてきたのである。


 ニンマー(ニンフルサグ)は、アヌンナキからも人間からも崇拝され、愛された女神であるが、イナンナは、大叔母(おおおば)にあたるニンマーから特別に愛され、多くの知識を授かった。
 ニンフルサグは、アヌンナキを代表する遺伝子工学の一任者であり、彼女の医学的知識も豊かだった。遺伝子工学の分野においては、彼女の右に出るのは、きっと兄のエンキぐらいのものだろう。アヌは、この優秀な娘に大きな信頼をおき、ニビル星最高位のアヌンナキの地位を彼女に与えた。そしてニンフルサグも、やがて二人の兄たちと同じように地球に派遣されることになる。

 アークチュール星人の母を持つニンマーは、アンツとは異なり、ニビル星人特有の派手さは無く、どちらかというと、勤勉で学者肌の存在である。アークチュール星では、もちろん彼女の母もそうだが、すべての存在たちがヒーラーであり医者なので、病人もいなければ、医者も必要ない。彼らは天使界の者たちと同様に、大きくて、白く輝く翼をもっている。ニビル星よりも高い次元にあるアークチュール星では、病や死さえが克服されている。そんなアークチュール星人の血を引く、ニビル星人とのハイブリッドがニンマーで、ニビル星で誕生した彼女は、異次元の研究に没頭した。けれどもそんなニンマーであっても地球に辿り着くと、やはりアヌンナキの女神として自分の正式な後継者を残しておこうとした。

 地球に移住したニンマーは、後にエンキと共に地球上で偉大なる遺伝子研究の功績を残すことになる。しかし一方で彼女は地球で自らのヒーリング能力を生かし、金の発掘現場でケガをしたアヌンナキの労働者たちに手厚い看護を施した。そして、人類に命の息吹をふきかけたのも彼女だった。


■紀元前41万6000年頃

 黄金を海水から抽出する方法は効率が悪いため中止となり、代わりに金坑から黄金を採掘する方法が採用された。エンキはアフリカに金坑アブズ(現在のアフリカのジンバブエ地域)を開き、黄金の採掘を開始した。プロジェクト拡大のため、エンキは二ビル王アヌに対し、アヌンナキの地球派遣部隊の拡大を申請した。これを受けて二ビル王アヌは、アヌンナキ移住団を率いて、エンキの異母弟エンリルおよび前王アラルの孫クマルビとともに地球を来訪した。これにより地球のアヌンナキ人口は大幅に増加した。そしてエンリルは、エンキとともに地球開発プロジェクトの共同指導者に就任した。

 エンキはニビル星では地球にやってきた最初の指揮官だが、地球ミッションの指揮権が異母兄弟でライバルでもあるエンリルに渡されることになった。代わりにエンキには地球の主という称号を与えられたが、それでもその屈辱は消えることはなかった。

ニビルの近親相姦(きんしんそうかん)-------------------------------------------------------------------

 近親相姦(きんしんそうかん)は人間の世界では、当然のように堅く禁じられている行為である。それはモラル的にも決して許されないというだけでなく、遺伝的な危険が絡む。しかし、ニビル星人にとっては、地球人がタブーと認めている行為は、実はそこに彼らの秘密が隠されている。
 あからさまにも彼らは人間のDNAに違いを残した。その神々の行為の内には、アヌの血の濃さを競う、ときには醜くもみえるアヌンナキたちのエゴがからんでいた。イナンナは次のように述べている。
「だからその能力を私たちは自然に広めて、地上にルネッサンスを開花させることも、地球を破壊することもできるのです。これが、神と人間との究極的なちがいであり、それがいつ地球上に現れたか、神々の神話以外にそこにたどりつく方法がわかりません。そのようなことが、我々神々の業であり、同時に私たちアヌンナキの人間に対するカルマの解消であり、ときには両刃(りょうば)の剣(つるぎ)のような戦いとなって、バイナリースターシステムが辿る運命をともにするのです。
 実際にこの神々の秘密が、つまり彼らの特権が、人間たちには譲られなかった・・・こういうところです。こんな遺伝子操作の背景には、やはり、ニンマーが深く関わっていました・・・。ニビルから地球にやってきた私たちのようなアヌ一族(アヌンナキ)の女神も、やはり、血を分けた男のアヌンナキを地上で産むことが、アヌによって暗黙の了解として課せられていたのです。むしろアヌンナキの女神たちは、それを地上でいちばん望んでいた、というのが事実なのです。」

 アヌの血をどれほど濃く受け継いでいるかどうか、それによってアヌンナキの開拓地である地球にどれだけの領土が分け与えられるか、つまりアヌ一族に実際に存在するヒエラルキーがはっきりしていた。それにしても、いちはやく地球に降り立った彼らは、地球で人間たちと、いずれは結ばれることになる。彼らの血を引く“半神半人”が、たくさんいたという地球の歴史を思い出さねばならない。
 半神半人はアヌンナキに比べて、寿命は短いものの、現在の人間の寿命と比べれば、比較にならないほど長く、その生命力を持続させる力をもっていた。人間と比べて、寿命は永遠に近いアヌンナキの、はたして彼らのタイムラインはどれほどのものか。それは地球とは別の星にあったからだ。つまり、別のタイムラインからやってきた、ということがいえるわけで、聖書に登場するアブラハムやノアにしても何百年間も生きたという記録が残っている。なかば彼ら半神半人は、地球で多くの子孫を産み、どんどん人口を増やしていった。当然、人間の寿命だけでなく、肉体や魂のさまざまな可能性を封印してしまったのも彼らなのである。
 しかしながら視点を変えると、かりに人間に不死が許されていたら、地球の資源はとっくの昔に枯渇していたはずである。それに人間が、アヌンナキのような、オムニパワー(全能力)をもて遊んだとしたらどうなっていたか。彼らと同じように、エゴにまみれて人間たちは、互いに戦い合い、とうの昔に滅亡していたにちがいない。そのシナリオもあるということを、彼らは今、人間たちに思い起こしてほしいと思っている。
「すべてアヌンナキの仕業だ!」と、こういうこともいえるわけだが、イナンナとしては地球を、すべての人間と一緒に共有できるパラダイスを創造してみたいと考えている。なぜならアヌンナキの女神たちは皆、人類を愛しているからである。

イナンナは語る。
「さて、アヌ一族に、もめ事が多いというのも、実は神々の個性の豊かさがゆえに起きたことです。結局のところ私たちは、戦争を地上で、いや銀河のあらゆる場所で繰り広げました。私たちアヌンナキは、親子兄妹同士が結婚することによって、確実に自らのパワーを手に入れてきました。特に、アヌの息子たち、兄弟の神々は、つまりエンリルとエンキは、ちょうど二手に分かれ互いに対立する運命にありました。」

 彼らは互いに競い合いながら、出来るだけアヌンナキの血を濃く受け継ぐ女神たちと結ばれようとした。このように、血族関係を巡る醜い争い、というのも彼ら宇宙人が地球に運んできたものである。やがて彼ら神々が起こした戦争によって、彼らの領土である地球のあちこちが、大混乱に落とし入れられる。彼らは事実それを予測できなかった。
 彼らはその感情体においては、その肉体が人間のより、3倍から4倍大柄というだけあって、彼らは時にしては、激しい流星のように大粒の涙を落下させる。彼らの感情体も人間からするとあまりに大きい。
 なにごとにも大げさなのがニビルの神々である。よって、そのいちばんの頭の神さまであるゼウスのようなアヌと、その妃偉大なるアンツのスケールの大きさは桁外れであるということと、その他大勢のアヌンナキの神々の特徴もやはり多分にアヌと重なり合っている。
 そしてアヌンナキが、いくら性に関して自由奔放であっても、しかし、一つだけ彼らにとって許されないことがある。それは、「殺人(殺神)とレイプである。それだけは許されない。それは宇宙連合ソ・ラーラのもとに決められた、この宇宙全体にいきわたる秩序なのである。よって彼らにはそれに関しては、人間以上に厳しい罪が課せられた。


■紀元前41万2000年頃


 このころ二ビル王アヌは、二ビルに帰還するため地球を出発。帰途、前王アラルの孫クマルビ(このときはアヌの側近であった)の攻撃を受けた。
 当時アヌは、前王アラルの一族を、懐柔策をもって扱っていた。前王アラルは黄金発見の功により免罪され、地球第一基地エリドゥの総督に任命されており、アラルの孫のクマルビはアヌの側近に取り立てられていた。しかし、アヌに対するアラル一族の恨みは根強く、権力奪回を虎視眈々と狙っていたのである。
 アヌはクマルビを倒し、これを火星(中間ステーション)に駐在するアヌンナキ集団(イギギと呼ばれる)が、クマルビの監視にあたった。

■紀元前41万年頃

 この頃、長期にわたって氷河期が地球規模で広がった。地球総司令官エンリルは、地球植民地の効率的運営のため、エディンに7つの都市を建設。首都エリドゥには黄金分離施設、バド・ティビラには黄金精錬施設、シッパールには宇宙港、ニップールには航空管制センター、シュルバックには医療センターが置かれ、ララクとラルサは誘導するビーコン都市として機能した。
 また、アブズ(アフリカのジンバブエ地域)―メソポタミア―火星(中間ステーション)―ニビルを結ぶ黄金輸送網が整備された。こうして、エンキの監督下にあるアブズ金鉱で採掘された金は、エンリルが管理するエ・ディンで加工、溶解、精錬されるというシステムが完成した。


ニンマーとエンリルの恋-----------------------------------------------------------------------------------

ニンリル:ニンマーがニビル星から連れてきた看護婦でエンリルと結ばれる前は「スド」と呼ばれていた。
ニヌルタ:エンリルの第一子。エンリルが若い頃、ニンマーと恋をして生まれてきた息子

エディン :北にエンリルの城があるレバノン杉に囲まれた森林地帯
エリドゥ:第一の都市。アラルにエンキが与えた領土で、アラルの死後エンキは王妃ニンキ(ダムキナ)をニビルから迎えて移り住んだ。エリドゥの都はアヌンナキの第一の都として栄えた。
アブズ;エンキの領土で、エクル周辺も含めて広大な範囲に及ぶ

イギギ:(観測し、見る者)ニビル星から地球に行ったアヌンナキと同時期に、火星(ラーム)に送られたアンシャガルの子孫たち


 研究熱心なニンマーにとって、兄のエンキは刺激的な存在だった。アヌは、自身の純粋な血統を守るためにエンキかエンリルのどちらかにニンマーと結ばせるつもりだったが、最終的に選ばれたのは、長男のエンキだった。それにしても物事は計画通りにはいかない。まだ恋を知らない乙女だったニンマーは、弟のエンリルに夢中になっていた。なぜならば、エンリルはエンキよりも10シャル(3万6000年)ほど年が若いだけでなく、彼のその透き通った淡いブルーの肌は魅力的で、ハンサムな貴公子だったからである。もちろん、エンリルの方もニンマーに恋心を抱いていたので、二人はたちまち恋に落ち入り、愛の戯れからニヌルタという男の子が生まれた。
 このようにして生まれたニヌルタは、エンリルの息子ということであるが、エンリルの正式な妻ニンリルから生まれたナンナールの母違いの兄になる。ナンナールはイナンナの父。これは、まだ彼らの地球行きが決まっていないずっと昔の出来事だった。

 エンリルがニンマーと交際しているという噂は、やがてアヌの耳にも入ってきた。アヌは、ニンマーとエンキの縁を望んでいたので腹を立てたことからふたりは罰せられた。アヌによってニンマーは、永久に配偶者を持つことを禁じられた。それはきわめて重い罪を負うことになった。
 そして、ニンマーとエンリルの間に生まれたニヌルタは、ニビルのアンツの宮殿でアンツに育てられることとなった。ニンマーはひどく落ち込んだが、一旦物事が決まると以外にも立ち直るのが早いのがニンマーという女神である。彼女はすっかり心を入れ替えて、再び研究に没頭した。ニンマーに流れるアークチュール星人の血がそうさせるのである。冷静さにかけては、アークチュール星人はシリウスの存在たちと同じように、常に自然に冷静さを保っておける。ニンマーにしてもそれは同じで、あのときのアヌの判断が正しかったことにやがて気づく。

 しかし、ニンマーの気持ちを蒸し返すようなことが、恋の終わりから数シェルが過ぎてから起きた。ニンマーとエンリルが再開することになったからである。つまり、彼女の地球派遣が決まったからだ。
 ニンマーは大勢の女神の看護婦たちと大型シェムに乗り、ニビルのアカデの港から出航し、無事地球に到着した。そのとき地球でニンマーたちの到着を大勢のアヌンナキたちは出迎えた。当然、兄妹のエンキとエンリルも先頭に姿を見せていた。ニンマーは、久しぶりに会う二人の兄に一族の話やニビルの近況を夢中になって語った。特に二人の兄たちが知りたかったのは、アラルの死についての詳細だった。

 ニンマーは二人の兄に特別な土産も準備してきた。それは、自身が調合したニビルの薬草で作るエリキシル(万能薬)だった。早速二人はそれを飲んでみた。するとみるみるうちに彼らの身体にエネルギーが満ち溢れてきたので、ふたりは顔を見合わせた。
「私の地球での使命は、アヌンナキの労働者を癒すことです」とニンマーは微笑みながらいった。「ならばニンマー、私がこの地球に建てた城をぜひ、あなたに見てほしい」そうエンリルは誘った。
 ニンマーは一瞬それを拒否しようとしたが、うれしい気持ちに満たされ、それを受け入れた。側にいたエンキも彼女が喜びを隠せないでいるのを見抜いていたので、アヌの彼らへの処分を知っているエンキだったが、ふたりに反対しなかった。ふたりは小型シェムでエンリルの城に向った。それはレバノン杉で覆われた高い山々が連なる場所にあった。

 アヌからニンマーとの交際をたち切られたエンリルは、地球に旅だった。到着すると涼しい場所を求めて方々を旅した。そして、「エディン」とアヌンナキがよんでいる北にあるレバノン杉の地(ニップール)を彼は選んだ。エンリルはエンキとはちがい、太陽に弱い肌をしているからだ。
 エンリルはアヌからもらったme(メ)を用いて、その山肌にあった巨大な岩を一瞬にしてフラットに切り落とし、そこをまず、シェムの滑走路にした。さらには同じくme(メ) で、冷涼な山の頂きに高層の城を完成させた。そのご自慢の城に彼はニンマーを招き入れた。
 エンリルのニンマーへの思いは冷めたわけではなく、そんな彼の気持ちを知りながらニンマーは必死で自分のアークチュリアンの理性を保とうとした。思う存分語り合ったふたりは、自分たちの間に生まれた息子ニヌルタのことにも言及した。
「せめてもニヌルタが地球に来れば、君の慰めにもなるだろうに。ニヌルタを君の元に送ることを約束するよ」
 エンリルはニンマーにそう告げると、彼女とラボと病院があるデルムンの丘を目指して飛びたった。エンリルは、ニンマーのことが諦められず未だに独身を貫いていた。愛する妹のためにと、あるとき彼は自分が住む城からほど近い谷間のある場所に、彼女の病院を建ててやった。ニンマーは感激し、その場所をシュルッパク(安息の都)と名づけた。彼女はニビルから持ち込んだ薬草をその周辺一帯に育てた。ニビル星の植物が地球で育つを見ることが女神ニンマーのいちばんの喜びだった。

 エンキが、アラルの娘ダムキナを娶ることに決まったのは、彼がニンマーと結ばれることを断念して間もなくのことだった。父アヌの要望で、アンシャガル一族との絆を強めるための、これは政略結婚であったが、幸いにもダムキナはエンキが一目惚れするほど美しい女神だった。
 エンリルより先に地球に到着したエンキは、義理の父アラルが亡くなってからは、アラルの着陸所があるエリドゥの都に住んでいたが、しばらくすると、金の採掘量が多い南方の灼熱の太陽が照りつけるアブズに移った。アブズのある湖畔に彼も屋敷を建てた。そこからエンキは地中を採掘するスプリターと呼ばれる、見事に地面をかち割ることができるme(メ)を使って、地球奥深くに探検に出ていた。

 ダムキナはアヌンナキの正式な妻として地球に迎え入れられると「ニンキ」と改名した。ニンキとは、もちろんエンキの妃であることがわかる名前であるが、その意味は、彼らのことばで、“地球のレディー(淑女)”という。女神ニンキと結ばれたエンキは、ニンキが暮らすエリドゥと、金の採掘現場であるアブズを忙しく往復した。

 ちょうどそのころ、アヌンナキの総司令官エンリルは、ユーフラテス川沿いに5つの都市計画を進めていた。第一の都市は、地球移住計画がスタートしてエンキが開いたポート都市エリドゥで、第二の都市は、エンリル自らが管理する北の軍事基地ラルサ。三番目は、ラルサの北東に位置するラガッシュ。四番目は、ラガッシュより北のシュルッパク。エンリルがニンマーに捧げたレバノン杉に囲まれた山麓の病院が建つ都市である。
 そして最後は、シュルッパクより北西部に位置し、エンリルにとって最も重要な都市となるニップール(天と地を結ぶ都市)で、ここがアヌンナキの首都として定められた。そしてそこには地球初の宇宙管制センターをがおかれた。ニップールは、ニビルと地球間の往復のために必要な管制センターとしての役割を果たすだけでなく、宇宙観測天文所としての重要な役割があった。 

 そのころはまだ、ニビルと地球間の折り返し地点に火星(ラーム)を経由していたが、この火星(ラーム)を経由する必要が無くなればとエンリルは常に考えていた。
 ニビル星人の地球派遣がはじまると、アンシャガル一族は中間ステーションの火星(ラーム)に移り住んだ。そして彼らは「イギギ」とよばれ、アヌンナキとは区別された。しかしアンシャガル一族は、アヌ一族とはっきりとした容姿のちがいがあった。
 彼らはアヌ一族とはまた異なるタイプのニビル星人であることから、なにかと差別を受けた。そうするうちに彼らの気高さはどんどん消えていき、火星(ラーム)の厳しい条件下に暮らしているうちに気性も荒く好戦的傾向が強くなっていった。
 彼らの肌もプレアデス系のアヌ一族とはちがい鮮明なブルーではなく、茶褐色がかった濃いブルーの者たちが多かった。ニビル星から火星(ラーム)に移住したアンシャガルの子孫たちは、イギギ(観測し、見る者)と呼ばれ、アヌンナキとは区別され、ニビル星人の二つの社会が形成されていった。

 エンリルはイギギたちを、アヌ一族の中でも特に彼らを嫌っており、彼らとはトラブルを起こしたくなかったので、ついに地球ニビル間の直行ルートを発案する。この計画には、「運命の石板」と呼ばれる最高クラスのme(メ) が重要な役目を果たした。地球に派遣されることが決まったときに彼はアヌから引き換え条件として、この貴重なme(メ)を手に入れる。


■紀元前36万年頃

運命の石板を授かったエンリル--------------------------------------------------------------------------

運命の石板:エンリルがアヌから拝借したアヌ一族の貴重な宝物。ニビルと地球間のルートを随時表示したり、色々なことを可能にするme(メ)の装置。ブンブンという音を発する一種のバイオコンピューター
ティティル:小型ミサイル・me(メ)のミサイル

 エンリルは、この願ってもない宝物の石板(タブレット)をアヌから手に入れ、それをニップールの居城に運び込み、大事に隠していた。その石板というのは、外見はいくようにでも変化するそれ自身が生きているような一種の有機質であり、あるときは特殊な水晶の板として現れ、また七色の光を放つ鉱石として現れることもあり、その表面のモチーフは、そのひとつひとつの呼吸と共に変化しながらブンブンと音を放つ不思議な石板であった。奇妙な暗号が図やシンボルとして現れたりして、さまざまな謎が埋め込まれている石板で、それをエンリルは特別に造らせた豪華な箱の中に入れて、それを厳重に鍵をつけて、さらには、その部屋の前に監視までつけて大切に保管した。この宝物を持つということ自体、エンリルが地球最高の地位にいるということを誇った。

 運命の石板は、実はニビル次元をずっと超えてプレアデスのテクノロジーに由来するものであるが、これ自体はプレアデスからニビル星への移住が決まったとき、ニビルに初めて降りてきたアンに宇宙連合総司令官ソ・ラーラが特別に授けた宝物である。
 それは創造主からの贈り物として渡された。まさに「神々の道具」といえるものだった。それがアヌ一族に渡り、一族の中でもアヌとエンリル以外には、だれもこのme(メ)については知らなかった。

 エンリルは、この「運命の石板」を使って、ニビル星と地球間の通行ルートとそのタイミングを計算して、新しいルートを発見することができた。これによって、多量の金が以前よりもずっと楽にニビルに輸送されるようになった。それでニビルの大気層の亀裂が徐々に修復され、住民たちがまた安心して暮らせる時代を取り戻した。つまりニビル星を地球の金で救った神さまなのである。


エンリルの監視塔とプロビデンスの目------------------------------------------------------------------

 地球で採掘された金はニビルで微細な粉にされ、天空に打ち上げられ、大気の裂け目は徐々に修復されていった。エンキはエリドゥに輝く住まいを造り、その地でマルドゥクに知識を授けた。ニップール(ニブル・キ)では、エンリルが圧巻的な“天と地球を結ぶもの”を設置した。その中央では、ひっくり返ることのないプラットホーム(平らな場所)の上に、天に向かって高くそびえる柱が設置されていた。そこから、エンリルの言葉が入植地に広がった。サーチライトの光線が高く上げられ、すべての土地の深奥部(しんおうぶ)を捜索することができた。その両目のレーダーはあらゆる土地をスキャンし、その網は望まないものの接近を不可能とした。


 また「生命の樹」のケテル(王冠)のようなエンリルの監視塔が、そのそびえ立つ家の中心で遠い天空を凝視し、地平線を見つめ、天の頂点を完成させていた。これは「すべてを見通す目(プロビデンスの目)」である。これに対して、エンキは三日月と関連させ、「ニニギク、ニンイギク(目の清い神)」と言われた。ニニギノミコトやニギハヤヒの“ニニギ、ニギ”という言葉の原型である。
 その暗く神聖な部屋には、太陽の家族が12個の紋章で表され、“メ”には天空の神々の秘密の公式が記録されており、“運命の石板”が光彩を放っていた。エンリルはそれらによって、すべての到着と出発を監督した。

 “万物を見通す目”の根源は、エンキの“ニニギク(輝く目の支配者)”とエンリルの“すべてを見通す目”である。
 また、覗いている目の下のピラミッドの段数は13段であり、ピラミッドの冠石に相当する三角形がピラミッドの頂上に接地しておらず、空中に浮かんでいる。この意味は、次の通りである。
「生命の樹」に於いて、マルクトからケセドまでの7個のセフィロト、6個のパス、合わせて13の段階を経ることにより、“知識の門”の前に達する。これ故、13は神聖数字であり、13段はこれに由来する。そして知恵を身に付けることにより、知識の門を通過して精神的に神界に達する。カッバーラは“一方的に授けられるもの”であるから、神界=至高世界に達することができるかどうかは、神の意思のみに依る。それ故、至高世界はそれより下の人間世界から隔絶され、浮かんでいるのである。
 本来、石工の職人組合であったフリーメイソンにとって、ピラミッドは「生命の樹」そのものであるから、彼らにとって理想的で完璧な建造物である。しかし、フリーメイソン自体がサタニスト(悪魔主義者)たちによって乗っ取られ、“ルシファーの目”を植え付けられたことにより、「死の樹」へと変貌した。これが、1 ドル札に描かれ、現在のフリーメイソンの象徴として描かれるピラミッドと“万物を見通す目”の真相である。なお、ピラミッドは柱ではないため、「死の樹」に変貌したことが解りにくいが、“目の向き”で判断する。


地球に招待されたアンズ----------------------------------------------------------------------------------

 さて地球の金の発掘現場はというと、アヌンナキたちが重労働に対して、いよいよ抵抗を表しだした。つまり、地球行きを希望して移住してきた直接金鉱で重労働を課されているアヌンナキたちが、エリキシル(万能薬)の配給が少なくなったとか、食事の質が悪くなったと文句を言いはじめた。さらには中間ステーションにいるイギギたちも、火星(ラーム)と地球間の往復の際に地球にゆっくり立ち寄れないことに不満を抱くようになった。
 イギギたちは火星(ラーム)の指揮官のアンズと共に密かに、なにか暴動を起こす計画を練っているという噂が起きた。それはやがて、アヌンナキの耳にも入ってきた。エンリルはアヌとそのことで相談しあった。エンキも呼び寄せて、アヌンナキの緊急会議が開かれた。
 まず、イギギたちの反乱を抑えなければならないことが提案された。そのためにもイギギの代表であり、優秀な操縦士であるアンズを地球に招待し、丁重にもてなすことが大事だと決まり、早速アンズは火星(ラーム)から地球に招待された。

 地球に着いたアンズは、高い管制塔が立ち並ぶ地球上初の「宇宙観測センター」を見学することになった。むろんエンリル自らが同行した。アンズは興奮を隠せない様子で、エンリルもまた、アンズがイギギであることをつい忘れてお互い打ち解けた。そうして楽しんでいるうちに、ついにエンリルは城の塔がある最上級のチェンバーへとアンズを案内した。
 エンリルはその部屋の前に立っている護衛兵にその部屋の扉を開けるように命令した。厳重に保管されている箱の中からエンリルは「運命の石板」を取り出しアンズに見せた。エンリルは自慢話をしながら、アンズがどう反応するか見てみたかった。そのときエンリルは、火星(ラーム)の神アンズにアヌンナキの5つの都市計画について打ち明けた。そして当然のこととして、彼に苦境に暮らすイギギたちへの救済措置を約束した。

「運命の石板」は計画を具現化するための、そのシミュレーションをすばやく緻密なレベルまで計算できる。地球とニビル間の、スムーズな運行ルートが計算されるために、アヌンナキにとってはきわめて重要なツールであり、これがないとたとえ彼は神といえど物理的なニーズは満たされない。まさに「打ち出のこずち」のみならず、神さまたちはスーパーコンピューターどころか、それよりも数千倍すばらしい道具をもっていた。ニビル星人がまさに、創造主からさずかった神のツールだった。
 運命の石板は、天然石がはめ込まれた石の板であるにもかかわらず、雲のような軽さだった。これを使うと、宇宙のあらゆる星との距離を正確に測ることができた。またこれは一瞬にして目的地に着くことができるタイムジャンプには欠かせない方程式が埋め込まれていたのだった。
 エンリルは、秘密の部屋に篭って石板と向い合っていることが多かった。その石板に秘められた威力につい彼は圧倒された。

 ところで、アンズがイギギのリーダーとなった理由は、彼がただ優秀な操縦士というだけではなく、アンシャガルの血を引く皇子だったからである。それもあって、アンズはエンリルに対して、常にライバル意識があった。彼はエンリルの自慢話を黙って聞いていたが、つまり表向きは誠実な家来を装いながらも、エンリルのポストを常に狙っていた。そして、当然のこととして、「運命の石板」を奪いたいと思った。

(運命の石板さえ手に入れば、イギギだけではなくアヌンナキを支配することも朝飯前にちがいない・・・)
 運命の石板の場所を知ったアンズはつぶやいた。

 そのころになるとアヌもエンリルと同じように、よりダイレクトでニビルと地球間を往復できるルートを望んでいた。そうなると、ニビルに金を早く届けられるだけではなく、イギギとの問題も生まれない。そのためにはまず宇宙観測所が必要で、そこで金を確実にニビルに送り届けるという、重大な任務を背負っていた。しかしそれ以外はエンリルも、「運命の石板」に秘められた、あらゆる可能性を探ることに没頭した。

(今、「運命の石板」によって確実に、火星(ラーム)の役割が終わろうとしている・・・)
 とエンリルは心の中でそう希望を抱いていた。


運命の石板を奪い去ったアンズ--------------------------------------------------------------------------

 アンズの心の中は邪な考えで一杯になった。アンズは王子の中の王子であり、天空と地球の指示系統を掌握し、エンリルから権限を取り上げようと目論んでいた。疑念の無いエンリルはアンズを聖域の入り口に立たせておき、聖域を離れ、泳ぎに出掛けた。ここぞとばかりに、アンズは“運命の石板”を奪い、“空の部屋”で飛び去った。“着陸場所”には、謀反(むほん)を起こしたイギギが彼を待っていた。彼らは、アンズが地球と火星(ラーム)の王であることを宣言する準備をしていたのである。聖域では輝きが衰え、ブンブンという音が静かになっていた。アンズは、「運命の石板があればもう大丈夫。アヌンナキの腰ぬけどもに渡してたまるものか!」と盗んだ石板をシェムに積んで、シナイ半島の山々の上空を逃亡していた。彼は隠れ場所を探そうとした。


エンリルの息子ニヌルタのアンズ退治------------------------------------------------------------------

 この落ちるアンズの話は、ギリシャ神話“イカロスとダイダロス”の原型となる。

【アヌンナキでの話】
 エンリルらはアヌに助言を求め、石板を取り戻すこととなった。ニヌルタが母ニンマーにけしかけられ、反逆者に立ち向かう任務を負った。アンズは石板を持っているため、自分は無敵だと思っていた。ニヌルタは“稲妻の矢”をアンズに向けたが、矢はそれた。戦闘は膠着状態となり、エンキが助言した。「“つむじ風”で嵐を起こし、粉塵(ふんじん)でアンズの顔を覆い、彼の“空の鳥の羽”を逆立てるのだ!」
 エンリルはティルル(ミサイル)を造り、「“嵐を起こす武器”に取り付け、翼と翼が近づいた時、撃て!」と指示した。ニヌルタはエンキの助言に従ってミサイルを放ち、アンズは地上に落下した。そして、アンズを捕虜とし、石板を取り返した。反逆していたイギギらは降参した。

 なお、この部分はシュメール神話では次のように記述されている。翼が墜ちたズウがアンズである。

【シュメール神話】
 ある時、エンリルがプールで水浴びしている最中に、ズウと呼ばれる者が、王の証である「神々」と人間の運命を定めた運命表“運命の平板”を奪った。ズウはムウ(空飛ぶ機械)で遠くの場所に隠れた。「神々」は緊急会議を開き、ズウを逮捕して処刑することを決定した。(中略)ニヌルタは任務に就いた。矢をズウに放ったが、ズウは“運命の平板”を持っていたので、矢はズウに接近することができなかった。そこで、エンキが指示した。チルルム(ヘブライ語でミサイル)を撃ち込め、と。チルルムは命中し、ズウの翼は墜ちた。ズウは逮捕され、“運命の平板”はエンリルのもとに戻った。

【ギリシャ神話のイカロスの話】
 ダイダロスはイカロスの父で、細工の名人であった。ダイダロスがミノス王のためにラビュリンス(迷宮)を造った。ダイダロスは後にミノス王から見放され、息子のイカロスと共に、ある塔に閉じ込められてしまった。
その塔を抜け出すために、鳥の羽を集めて、大きな翼を造った。大きい羽は糸でとめ、小さい羽は蝋(ろう)でとめた。翼が完成した。二人は翼を背中につけた。父ダイダロスは、息子のイカロスに言う。
「イカロスよ、空の中くらいの高さを飛ぶのだよ。あまり低く飛ぶと霧が翼の邪魔をするし、あまり高く飛ぶと、太陽の熱で溶けてしまうから。」
 二人は飛んだ。農作業中の人々や羊飼いたちが二人の姿を見て、神々が空を飛んでいるのだと思った。イカロスは調子に乗ってしまった。父の忠告を忘れ、高く、高く飛んでしまった。太陽に近づくと、羽をとめた蝋(ろう)が溶けてしまった。イカロスは羽を失い、青海原に落ちてしまった。以後、その海はイカロスと名づけられた。


アンズの裁判-------------------------------------------------------------------------------------------------

 その後アンズは、ニップールのアヌンナキの最高裁判所において有罪判決をいい渡された。その裁判は、アヌンナキの最高位にいる7名によって執り行われた。エンリルと配偶者のニンニル、エンキと配偶者のニンキ(前名ダムキナ)、ニンマー、ニヌルタと、エンキの息子マルドゥクという一族のトップによって行なわれた。
 当然ながらニヌルタは、アンズの卑怯な行為を主張したが、マルドゥクは不当に扱われているイギギの苦しみについてを訴えながら微妙にアンズの肩をもつような発言をした。けれども結果として、アヌンナキとイギギの両方を陥れようとしたアンズの悪事は厳しく裁かれた。
「アンズに死刑を言い渡す。アンズの遺体は火星(ラーム)に葬ることは許されない。ハゲタカの餌食となるのだ。これで、この一件は終了。」
 エンリルはそう皆に言い渡した。アンズに対する死刑宣告にアヌンナキ全員が同意した。しかし、遺体をハゲタカに処分させるのは残酷すぎるとエンキとマルドゥクは主張し、最終的に彼の遺体は火星(ラーム)の洞窟近くに埋葬された。

 この作業を終えた後、エンキは息子マルドゥクに向かってこう言った。
「お前はそのまま火星(ラーム)に残りなさい!アンズの後を継いで、火星(ラーム)の司令官としての任務に着くのだ!エンリルもそれを望んでいる。」
 マルドゥクは、これをある程度予感していたので、素直に従い父に別れを告げた。


処刑されたアンズとその後--------------------------------------------------------------------------------

 アンズが死刑されたのは、アヌンナキが地球に定住してから25番目のシャル(地球時間で9万年)が過ぎようとしていたころだった。裁判により、アンズは殺害光線(レーザー)により処刑された。同じ先祖の種子を受け継ぐアラルの横に埋葬すること、マルドゥクに遺体を運ばせて彼を火星(ラーム)の司令官とすることをエンキが提案した。エンリルはそれを認めた。

 その後、マルドゥクがイギギの不満を抑え、火星(ラーム)の基地が再び順調に機能を果たすようになるまで、さらに数シャルが経過したが、まだまだ安定期は訪れる気配はなかった。今度は地球のあちこちで、アヌンナキが反乱を繰り広げるようになったからである。

 そのころ再びニビル星が太陽系に接近してくる時期だった。ニビル接近につれて地球は日照りに襲われ、十分な食料をアヌンナキの労働たちに配給できなくなった。これが原因でアヌンナキ労働者の反乱はさらに本格的になっていった。このパターンは残念にも現在の地球も受け継いでいて、まったく変わりはない。ニビル星とバイナリースター(伴星)であるかぎり、地球の人間も彼らと同じような道を辿る運命にあるのかもしれない。
 やがて、アヌンナキの指導者や労働者階級が水面下で組織を形成し、アヌ一族に刃向うようになった。またしても、エンリルにとって頭の痛い災いが降りかかってきた。


裁判にかけられたエンリル--------------------------------------------------------------------------------

イナンナは語る。
「あの出来事は、アヌンナキにとっても決して忘れることができません。それは灼熱の太陽が降り注いでいた真夏のことでした。」

 エンリルはある時、レバノン杉に囲まれた場所にある城から森の中を散歩していた。そのあたりにはニンマーが創立した病院があり、その辺一帯の谷間を彼女は「シュルッパク」と名づけた。低地には大きな湖が広がっていた。その畔に病院は建っていた。

 アヌンナキへの看病が目的で、ニビルから地球にやってきたニンマーと一緒に地球に来た美しい乙女の看護婦たちがいた。彼女たちは夏の暑い盛りにはよく、湖畔に着ものを脱ぎ捨てて水浴びをした。
 ちょうどエンリルがそのあたりにさしかかったときも暑い夏の盛りで、彼女たちは笑いながら水浴びをしていた。エンリルは足を止めるとその光景に見とれ、身を木陰にひそめてじっと眺めていた。舞を踊るように水の中で戯れるまさしくニビルの女神たちの姿は、彼をほとんど陶酔状態にしてしまうほどの光景だったので釘づけになってしまった。

 そのとき、一人の乙女が白い砂浜に上がってきた。その乙女は、「スド」といい、ニンマーが特に可愛がっている看護婦であるが、年齢はなかでもいちばん若く、まだ幼さを残していた。もちろんエンリルは全裸のスドに心を奪われたまま、総司令官という立場も忘れて彼女に近づいていった。湧きあがる感情をどうにか抑えようとして、彼は何気ないふりをして彼女に近づいた。
 とっさのことにスドは悲鳴をあげそうになった。慌ててなんとか近くに生えていた大きな葉で身を隠したが、硬直したままだった。そんな彼女をなだめるように見ながら、エンリルは彼女の前にひざまづいた。そして優しい声で自らの名を名乗り出ると、彼女の手を取ってキスをした。
「怖がらないでおくれ。ニンマーは私の妹さ。私の城には、ニビルのとっておきの果実酒がある。さあ、ドレスを身につけなさい。一緒に飲むのを付き合っておくれ?」
 しばらくのあいだスドは茫然としていたが、徐々に和らいでいった。
(エンリル様って、怖い方だと思っていたけれど・・・こんなチャンスはまたとないかもしれない・・・)と、スドは思った。

 エンリルの優しくて落ち着きがあり、なんとなく高貴さが漂う話し方にスドは魅力を感じていたが、エンリルのほうはすっかり自分が地球総司令官の立場にいることなどすっかり忘れ、彼女にひたすら惹かれていった。スドはというと、ニンマーが、「アヌンナキの男神には、くれぐれも注意するように」と、常に彼女たちに忠告していた事も無視して、エンリルについて行った。その道のりで彼らは楽しそうに会話し、レバノン杉の森をぬって、エンリルの城まで歩いてやってきた。

 いつのまにかエンリルは、スドの手をしっかりと握っていた。城の中に導かれたスドは、窓からの景色が美しい部屋に案内された。エンリルは彼女に、豪華な椅子に腰をかけるように勧め、特別なニビルの果実酒を取り出し、彼女に注いだ。
(なんて、美味しいんだろう!ニビルを離れてから、こんな味は忘れていたわ・・・)
 スドはそんなことを思いながら、たちまちグラスを空にした。するとたちまち湧き上がるような幸福感に満たされた。そして次の瞬間には、目を閉じてぐったりと彼女は椅子に倒れかかった。

 彼女が目を覚ましたときには、事のすべてが終わっていた。スドはわめき泣きながら、エンリルの城を去った。まだほんの乙女にすぎないスドが受けた打撃は大きかった。この出来事で彼女は、エンリルの子を身ごもってしまった。
(このことはいずれ、ニンマー様にもバレてしまう・・・いったい私はどうすればいいの?)
 スドは思い悩んだ末、すべてをニンマーに打ち明けることにした。その時点では彼女も、これが一族の大騒動を引き起こすことになるとは思ってもみなかった。

 ニビル星人の妊娠期間は地球時間に換算すると約9日間という至って短縮妊娠であり、分娩も人間のように苦しみを伴わない。それにしても、スドからこの出来事を打ち明けられたニンマーは、エンリルを許せなかった。彼に対する思いがまだ残っていたこともある。なにしろ彼らは、「ニヌルタ」という息子までいる仲である。ニンマーはこの事件に対していくら冷静に対処しようとしても怒りが収まらなかった。
「ふしだらな男!強姦(ごうかん)は重罪よ。この犯罪行為がバレないとでも思ってるのかしら!」
 ニンマーは哀れなスドを抱きしめると、ニンマーの胸の中でただすすり泣きするだけだった。
「もう泣くのはおやめ、スド。必ずあなたが納得する措置をとります。悲しむのはやめて、安心して元気な子を産むのです!」
 ニンマーは自ら自身を落ち着かせてスドにそういった。
「あのとき、私が兄にあげたあの薬草エキスのせいでこんなことが起こったのかしら・・・!?」
 ニンマーはエンリルだけを責められない気持ちも少し感じていた。しかし結論をいうと、この事件によってエンリルはアヌンナキ最大事件として裁判にかけられることになる。


ニビル星のトゥルバの木-----------------------------------------------------------------------------------

イナンナは語る。
「エリキシル(特効薬)の力を借りることは、ニビルの女神たちにとってごく普通のことで、その力を借りて男たちを誘惑するのです。これに関しては、私たちニビル星人の女たちには、まったく悪意のかけらもなく、ただ無邪気な戯れにすぎません。けれども、度が過ぎるのだけは許されないのです。だから、あのときのエンリルのように、レイプは私たちにとってどれほどの重罪であるか、その頃から問われていたのです。地球の男性の皆さんにもぜひこれをしっかりと理解してもらいたいのです。」

 ニンマーは、デルムンの丘に建てた地球初の病院で、金の発掘現場で怪我を負ったアヌンナキたちを熱心に看病した。その上彼女は、アヌンナキらが地球という異なる環境の中でどうやって生き延びていくかという研究に力を注いだ。彼らが地球環境に馴染むことができるように、ニンマーはさまざまな薬草を調合しては、彼らに与える地上初の薬剤師であることは確かだった。


 そのころの地球はまだ、さまざまな危険が満ちていた。すっぽりと宇宙塵(ダスト)に包まれた星だった。ニンマーは、さっそく地球の大気圏を調べた。それからその星の住民のDNAを研究した。彼女もエンキに負けず、遺伝子学にかけてはすばらしい博士であり、そんな姿の女神をあまりだれも想像できない。
 彼女の遺伝子に関する詳しい発見があったために、アヌンナキはニビル星以外の星で暮らせることができたといっても決しておおげさではない。ニンマーはまた、種(スピーシ)がどのようにして進化していくかに関心があった。さらにいえばニンマー(ニンフルサグ)は、アヌ一族のDNAに秘められた謎を明かすことに心を捧げた。

 ニビル星から地球に移住するアヌンナキがニビルにいる者と同じように、どうしたら若々しさを保つことができるか、それについての研究に彼女は捧げていた。ニンマーが作ったエリキシル(特効薬)は、金の発掘現場で過酷な肉体労働を課せられているアヌンナキに配給された。それは、地球特有の病原菌やウイルスに打ち勝つことができるように、ニビルから取り寄せた薬草で配合されたものだった。
 その薬は、エンキから特別にもらったme(メ)の攪拌機(かくはんき)を使ってニンマーは作った。このエリキシル(特効薬)を、ニンマーはいつも腰にかけているポーチの中にしまっておいた。いざというときには、それを必要とする者に与えた。エンキは、その攪拌機(かくはんき)のme(メ)以外にも、愛する妹のために幾つかのme(メ)をニンマーに贈ったという噂は、アヌンナキの間でも生き続けている。

 さて、そのニンマーが作る特効薬のもとは、ニビル星のトゥルバという木である。地球と同じようにニビルにも木がある。その木からは赤いリンゴのような実がなり、その果実には毒がある。よって彼らはそれを食べない。しかし、その「トゥルバの樹」は、季節を問わずその大きな赤い見事な花を咲かせている。だからニビル星ではそれを観賞し、楽しむ樹としている。
 トゥルバは大きな大木で、森の中に育つ。その太い幹には、たいてい濃い紫色のツタが周囲には絡んでいる。それがトゥルバの樹の赤い花の色と妙につり合いを見せ、なんともいえない調和を醸し出すので、ニビル星人はトゥルバの樹を好み、森に出る。トゥルバは、ニビル星の森ならどこにでも見つかり、また丈夫に生息している木である。

 ニンマーは、このトゥルバの実から搾った汁を発酵させ、そして、ツタの幹から採れる樹液を混ぜ合わせた。その混合物をあの攪拌機(かくはんき)にかけると、ニンマーのご自慢のエリキシル(特効薬)が完成する。その薬は摂取する量によって、様々な効果が現れた。量によっては幻覚を起こさせることもある。意識を失わせることもできる薬なので、ニンマーはほんの少しでも量を間違えないように常に気をつけていた。
 このエリキシル(特効薬)によって、深い眠りから永久に目覚められなくなることもある。それは大抵の場合、この上ないほどの幸福感を伴う幻想夢に次から次へと誘う、きわめて危険な薬ともなりうる。
 そんなパワフルなエリキシル(特効薬)を、エンリルはニンマーからもらっていたので、それを酒に混ぜてスドに飲ませてから、強姦したという罪の重さにニンマーは責任も感じていた。しかしながらニンマーは、どうしてもエンリルを許すことができなかった。
(エンリルは、許されない罪を犯した。この事件はきっと宇宙連合のソ・ラーラさまは知るはず。どちらにしても兄のエンリルは裁かれるべきなのです・・・)

 個々の自由意志を無視する「強姦(レイプ)」は、プレアデス星やニビル星では堅く禁じられている行為である。それは本来は、地球に移住したアヌンナキも当然、女の許されない星「火星(ラーム)」のイギギたちの間でも同じことで、許されないことなのである。
 やがて文明化とともに地球人にもこの罪の重さは伝えられた。これは宇宙連合に所属する存在たちが定めた、宇宙で統一されている掟であるということを彼らはたしかに知っていた。
 ニンマーはついに、エンリルの卑劣な行為を公にした。それによってエンリルは、裁判にかけられることになった。エンリルは自分のヘマは認めたがすでに遅すぎた。
 この事件が公表されると、たちまち普段からエンリルに反感を抱いていたイギギが騒ぎ出した。わざわざ火星(ラーム)から駆けつけてきてその裁判に立ち会った。アヌンナキの指導者も含めて、傍聴席に50名もの裁判人が並んだ。
「運命の石板事件」でのアンズに死刑を言い渡したあの七名のアヌンナキたちが前に並んだ。その裁判の結果、エンリルは地球を追放され、操縦士アブガルによって火星(ラーム)に連れていかれた。エンリルは火星(ラーム)の“戻れない土地”といわれている場所に放置された。しかし、操縦士のアブガルは去る前に、エンリルに一言いっておいた。
「ただ罰するためだけの理由で、王であるあなたを偶然ここに残していくのではありません」
 とただ彼はそういって、またシェムに乗って去っていった。それから数日間、エンリルは戻れない地を彷徨い歩いた。そして彼はある洞窟に辿りついた。その中で彼は驚くべきものを発見している。
「おお、なんと、やっと見つけたぞ!これはあの噂の「恐怖の武器ガンディバ(核兵器)にちがいない。しかも7機もある。」
 明るい声でそう叫んだエンリルは、疲れが吹き飛ぶほど喜んだ。7機のガンディバは、エンキが自分の義理の父であるアラルが生きていたころに、特殊運搬用シェムで2人で火星(ラーム)にニビルから運び込み、その洞くつの中に隠しておいたものである。死刑になったアンズの遺体近くにその洞窟はあった。火星(ラーム)にある不毛の地の洞窟になら、決して誰にも見つからないだろうとエンキは思ったからだ。

 ニップールでは、エンリルの二回目の裁判が開かれた。本人の出席なしにスドの証言だけでそれは執り行われた。内容はいたってシンプルな裁判となった。
「スド、おまえは、エンリルを配偶者として認めるか?」裁判官の質問はこれだけだった。いうまでもなく、背後にはアヌの計らいがあったからで、スドは少しためらったが、「はい」と答えた。
 こうして、ニビルの若い女神によってエンリルは救われ、早速、迎えの者たちが火星(ラーム)に迎えに向った。この裁判の取り決めに従ってエンリルはスドを娶(めと)ると約束させられた。エンリルはレバノン杉に囲まれたニップールの自分の城に彼女を迎え入れた。

 エンリルは総司令官である自分の面目を取り戻すために、派手な結婚式を開いた。そしてその披露宴では親族だけでなく、もちろん大勢のアヌンナキの労働者たちも招待した。エンキとニンマーは、スドに豪華な金製の記章を贈呈した。
 そしてその日からスドはエンリルの王妃として、「ニンリル」“総司令官のレディー”とよばれるようになった。スドはやっと、今までの苦しみから解放された。果たしてこれは、最初から彼女の陰謀だったのか、それとも、純粋無垢な女神に運ばれてきた幸運だったかもしれない。このようなかたちでアヌンナキの主体の神さまであるエンリルとニンリルは結ばれた。そしてあの時スドが辱(はずかし)めを受けて身ごもった子が、イナンナの父ナンナールであった。彼は、初めて地球で誕生したアヌンナキの皇子だった。彼はエンリルとニンマーが生んだニヌルタとは、母違いの弟になる。ニヌルタは、父とニンリルが結ばれる宴の隅のほうで複雑な気持ちになり、遠くから幼い弟のナンナールを見つめていた。


エンキの誘惑-------------------------------------------------------------------------------------------------

高官イシムド:エンキに仕える忠実な僕
マルドゥク:エンキの長男。エンキがニンキと結ばれる以前にヘビ族のラクササスの皇女と結ばれて生まれた。宇宙征服の野心を持ち、エンキテ(エンキ一族)の中で力をつけて、イナンナに対抗する。後にラーの神(光の使者)、アムン(隠れた神)と呼ばれる

エリドゥ:第一の都市。アラルにエンキが与えた領土で、アラルの死後エンキは王妃ニンキ(ダムキナ)をニビルから迎えてそこに移り住む。第一の都として栄えた都
シュルッパク:第四の都市。エディンの近くで、エンリルが自分の城近くに建てたニンマーの病院周辺をいう。大洪水後そこはニンフルサグによってアダブと改名される
ニップール:第五の都市。シュルッパクに隣接したエンリルの領土。大洪水後は「キシュ」と呼ばれる。新しいネフェル(アヌンナキ)の首都に定まる


 ニンマーはエンリルとニンニルが結ばれてからというもの、やっと自分の心にも整理がつき、仕事に専念することができた。そんなある日、突然エンキから招待状が届いた。
 エンキはアラルに次いで、二番目に地球に到着したアヌンナキであり、義理の父のアラルが死んだあとは、自らがアラルの都だった「エリドゥ」を治めていた。そこに豪華な神殿を構え、女神ニンキを迎えて暮らしていた。

 エリドゥから遠く離れた新たな開拓地アブズを、エンキは拠点とした。そこには、金を発掘するためにニビルからやってきた多くのアヌンナキ労働者たちがいて、地球最大規模の金の発掘現場となった。その地は「アブズ」とよばれ、彼はニンキをおいてそこに単独で移住した。そして彼は、アブズとエリドゥを自家用シェムで常に往復していた。これはアラルの死後、数シャルが経過したころである。

 エンリルはというと、レバノン杉に囲まれた城にニンニル(元スド)を迎え入れてからは、その都を「ニップール」と改名した。比較的平和な時期が続いた。それを見計らったかのように、エンキはシュルッパクにいるニンマーにある招待状を送り、ニンマーを誘い出そうとした。
『愛する妹、ニンマーよ。久しく会っていないが、お互いの研究成果を報告し合わないか?ぜひ、アブズに来てほしい。君が訪ねて来てくれるのを、僕は首を長くして待っているよ』
と、そう書かれていた。
 ニンマーはエンリルとの一件があったあと寂しかったので、喜んでエンキの誘いに応じることにして、アブズへの旅の準備をした。
 エンキが最初拠点としたエリドゥの館は絢爛豪華(けんらんごうか)だったが、アブズの屋敷は比較的簡素に建てられていた。それでも、湖の畔に建っていて、巨大なコラム(円柱)がそびえ立ち、各々の台は、煌びやかなモチーフがあしらわれていて、湖面はその装飾の宝石でキラキラと輝きを映していた。屋敷の床には、ラピスラズリが張り詰められていた。そこは、ひっそりとして落ち着いた住処だった。エンキは、いつの日かニンマーがここを訪れることを知っていたからだろう。
 中央の広間には、天を突き刺すような塔がそびえていた。その塔の目的は、エンキだけが知っていた。ニンマーが訪れると、エンキは大喜びして館を案内した。
「もっと粗末な住まいを想像していたわ。なんて美しいんでしょう!」
 エンキはニンマーにそっと近づいて囁いた。
「エンリルのことなんか、もう忘れなさい。僕は君の永遠の恋人だということを、思い出しておくれ!」
 エンキは彼女を引き寄せてキスをした。エンキはエンリルのように巧妙な手口で誘惑するようなことはできなかったが、相手の心の深いところに届く魔力を持っていた。ヘビ族の母親イドから生まれたエンキは、ヘビ族の目で狙った獲物は必ず仕留めることができた。その奥深くから輝く鋭い目で見つめられると、ほとんど女は皆、骨抜きにされる。そんな魅力をエンキはもっている。
 ニンマーも最初はたじろいでいたものの、次第に彼の目力の虜になっていった。ほどなくして、二人はアブズのエンキの屋敷で情事を交わした。そのときから9日目に、ニンマーは女児を出産した。それにしてもニンマーとの間に男児をもうけたかったエンキは、再びニンマーを誘った。またしても9日目に女の子が生まれた。
「どうか、お願いだから息子を産んでおくれ!」
 エンキはニンマーについ本音をこぼしてしまった。ちょうど彼女をまた誘おうとしていたところだった。
「とんでもないわ!近寄らないで!」
 ニンマーはエンキにすっかり憤慨(ふんがい)させられた。エンキに純粋な愛を求めていたからだ。エンキと子をもうけることには抵抗なかったが、彼には正式な妃ニンキがいて、すでに右腕となるマルドゥクまでいるのに、どうして自分との間にまだ息子を欲しがるのと、ニンマーは理解できなかった。ニンマーは、自分がはめられたような気がしてみじめになった。そして、夕食のテーブルで、ふとあることを思いついた。
(エンキを懲らしめてやろう・・・)
 彼女は自分の腰につけていたポーチから小さな瓶を取り出し、料理が盛られた皿の上にこっそりと瓶の中の液体を数滴垂らしておいた。
「さあ、あなたの大好物よ、召しあがれ!」
 ニンマーが優しくそう誘ったので、エンキは喜んで皿の上の大好物の鶏肉を平らげた。食事後、ニンマーはさっさとシェムに乗り込み、屋敷から去っていった。
(ヘビ族の血が流れているエンキは頑強だから、たった数滴の毒なら命には別状ないはず・・・でも、あの瓶には、いざというときのための強力なトゥルバが入っている・・・)
 そのころエンキは、床に倒れてもだえ苦しんでいた。毒は数滴含むだけですぐさま全身に広がり、内臓を燃え尽くすほどの威力がある。その激しい痛みに耐えられずのたうち回っていると、ちょうどそこにエンキの部下の高官イシムドが入ってきた。
「ご主人様、どうなさったのですか!」
 声をかけても動かないエンキを、イシムドは抱きかかえて寝室まで運んだ。しばらくすると意識は少し戻ったものの、まだ続く激痛の中で声を絞ってイシムドにエンキは伝えた。
「ニンマーを呼び戻すのだ、急いでくれ!」
 イシムドは、ニンマーの後を追ってシェムを走らせたが、彼女はすでにシュルッパクに到着していた。徐々に怒りはおさまったものの、今度はエンキのことが少し心配になってきた。ちょうどその時、エンキの使いのイシムドが現れた。ニンマーは彼を見るなり一緒にシェムに乗り込み、再びアブズのエンキの屋敷へと向かった。寝間(ねま)では、今にも息を引き取りそうなエンキが横たわっていた。
 驚いたことにその場には、ニビルからわざわざアヌが到着していた。彼ばかりではなく、ニンキやニヌルタまでが駆けつけてきていた。そのときになってニンマーは、自分が大変なことをしてしまったと悟った。皆が、じきに訪れるエンキの死を沈黙の中で悲しんでいた。アヌが一言、ニンマーに頼んだ。
「もうこれ以上、兄を苦しめないでくれ、お願いだ、毒を消してやっておくれ!」
 アヌの頼みは断れない。いわれるまでもなくニンマーは、治療方法を考えていた。まず、体に回った毒を取り去るための呪文を丹念に唱えはじめ、それを7回彼女は繰り返した。それから自分の腰につけていたポーチから、生命の水が入った小さなボトルを取り出し、7滴ほどエンキの口に含ませた。すると、毒で黒ずんでいたエンキの皮膚はみるみるうちに生気を取り戻し、彼は息を吹き返した。そのタイミングを見計らって、ニンマーはエンキにひと言とどめを刺した。
「二度と私を誘わないで!あなたとはもう会うこともないでしょう」
 そういうとニンマーは、一目散にシュルッパクへ戻っていった。途中で彼女は、やっぱり自分はアヌから処罰を受けたとおり、夫を持つことができない運命なのかと悲しんだ。


 あの事件のあと回復したエンキは、すぐにニンキが待つエリドゥに戻っていった。エンキは妻のニンキとの間だけでなく、方々の愛人たちとの間にも子を多くもうけた。長男のネルガル、ニナガル、ニンギシュジッダ、そして末っ子のドゥムジの五人の息子を、ニンキは産んだ。
 エンリルの方は、ニンマーとの間にニヌルタをもうけてから、ずいぶんたってから正妻ニンニル(元スド)との間に、地球で初めてのアヌ一族の王位継承者となるナンナールをもうけた。ナンナールこそイナンナの父である。そのあとイシュクルという弟君も生まれた。

 このエンキの出来事はエンキの執念を表しており、本来、エンキが王位を継承すべきところを、弟のエンリルに取られた出来事は、聖書では兄よりも弟に継承権が与えられ、日本の古代では王位は弟が継承していたことの元になっている。聖書の伝統では、いつも兄よりも弟の方が神の祝福を受け継ぐことになっている。カ・インよりもアベルが、エサウよりもヤコブが神の祝福を受け継いでいる。


アブズのアヌンナキの反乱--------------------------------------------------------------------------------

 紀元前36万年頃にアンズは裁きを受け処刑され、イギギの不穏は鎮圧されたが、それはまだくすぶり続けていた。イギギの精神を高揚させるために、そして彼らの安寧に注意を払うために、マルドゥクは火星(ラーム)に送られた。
 地球上ではエンリルとエンキが変更すべき内容について話し合い、反乱を避ける方法を彼らは考えた。地球の滞在期間が長すぎる、彼らは互いに言った。彼らはニンマーに助言を求めたが、彼女の顔つきが変わったので彼らは警戒した。ニンマーは地球の公転周期の影響で、歳をとり、シワも増えていた。
「金はより早急にニビルへ運ばねばならない、救いはもっと迅速にもたらされねばならない。」ニヌルタは惑星の内部について学び、目上の人たちに彼は智恵の言葉を語った。
「金の原石を精錬・精製するために、金属の町が創設されますように。そこから、今までよりも軽い荷物を地球から運びます。ロケット船でもっと多くの金を運べますし、ニビルへ帰るアヌンナキのための部屋も設けられます。疲れた人はニビルへ帰し、新しい人を代わりに地球へ呼びましょう!」
 エンリルとエンキとニンマーはニヌルタの提案が気に入り、アヌに相談し彼の承認を得た。

 エディンでは「金属の町」が計画され、エンリルはその場所を主張して譲らなかった。ニビルからの資材によりそれは建設され、ニビルからの道具をそれは備えていた。建設は1万800年継続した。バド・ティビラという名前がそこに与えられた。提案したニヌルタがその最初の司令官になった。ニビルへの金の流れがそれで容易になり時間も縮まった。地球と火星(ラーム)へ「前の時代」の初めに来た者たちはニビルへ戻った。アラルガーとアブガルとヌンガルもその中にいた。彼らの代わりに来た新来者は若くてやる気満々だったが、地球と火星(ラーム)の周期やその他の苛酷な条件に彼らは慣れていなかった。ニビルでは、大気の割れ目が癒されていた。

 惑星と天における大災害を若者たちは知らなかった。彼らは黄金の使命の中で特に刺激と冒険を大切にした。ニヌルタが考えたように、原石はアブズから運ばれ、バド・ティビラで精錬・精製され、ロケット船により火星(ラーム)へ送られ、天の戦車で火星(ラーム)からニビルへ純金が運ばれた。ニヌルタが考えたように、アブズからニビルへ金が流れた。ニヌルタが考えなかった事は、アブズで苛酷な労働に携わった新来者アヌンナキによる不穏な動きだった。
 実を言うと、エンキも不穏な動きに注意を払っていなかった。アブズで他のことに彼の注意は向けられていた。アブズで成長し生活しているものに彼は魅了され、地球とニビルとの違いを学びたいと思っているように見えた。地球の周期と大気により何故病気が起きるのか彼は発見したいと思っていた。アブズでは、水が湧き出る所のそばに、実に素晴らしい研究所を彼は建設した。あらゆる種類の道具や設備を彼はそこに備え付けた。彼はその場所を「生命の家」と呼び、そこに彼の息子ニンギシュジッダを招待した。命と死の秘密を持っている聖なる公式、小さいMEを彼らは作り、地球の生き物に関して生死の神秘を解明したいと彼らは願っていた。

 ある生き物にエンキは特に魅了された。それは高い木々の間に生活し、前足を手のように使っていた。背の高い草の中に変わった生き物を見つけたが、彼らは直立で歩いているように見えた。エンキはそういう研究に熱中し、アヌンナキの間で起きていることに気付かなかった。最初に問題に気付いたのはニヌルタで、バド・ティビラで金の原石が減少していることに彼は気付いた。エンリルは何が起きているかを知るために、ニヌルタをアブズへ派遣した。第1指揮官であるエンヌギが、発掘場所まで彼に付き添った。アヌンナキの苦情を彼は自分の耳で聞いた。彼らは中傷し嘆き悲しんでいた。発掘場所で彼らは不平を漏らしていた。「労働は耐え難いほどに苛酷だ!」彼らはニヌルタに言った。ニヌルタはこれを彼の伯父さんであるエンキに報告した。「エンリルを呼ぼう!」エンキは言った。

 エンリルはアブズに到着し、発掘場所の近くの家に駐留した。
「家にいるエンリルを怖気(おじけ)づかせよう!」
 鉱山労働をしている英雄たちは叫んだ。
「我々を重労働から解放させよう!戦争を宣言し、戦いによって救済を得よう!」
 他の人たちは叫んだ。発掘場所のアヌンナキは煽動的(せんどうてき)な言葉に耳を傾け、彼らは道具に火をつけ、斧に火をつけた。彼らは鉱山の第1指揮官であるエンヌギを悩ませ、彼をトンネルの中で襲い、彼らはエンヌギを伴って、エンリルの住居の戸口の所まで進んだ。それは夜だった。視界があまり良くなかったが、エンリルの住居を彼らは取り囲み、道具をかがり火として高く掲げた。門口(かどぐち)の守衛であるカルカルは戸口の錠を閉め、ヌスクを起こした。エンリルの大臣であるヌスクは彼の主人を起こし、寝床から起き上がらせた。そしてこう言った。「主よ、家が取り囲まれています。戦闘的なアヌンナキが門の所まで来ています!」
 エンリルはエンキを呼んだ。エンリルはニヌルタをその場に呼び、「私が見ているものは一体何だ!これは私に反対してなされているのか?」と言った。
 エンリルは彼らにこのように言った。
「戦闘行為の扇動者は誰だ?」
「我々全員が戦争を宣言した!」
と答えた。
「労働は過酷すぎる、仕事は辛い、疲労困憊(こんぱい)している!」
 そう彼らはエンリルに言った。事件の報告をエンリルはアヌに発信した。
「エンリルは何を非難されているのか?」
 アヌは尋ねた。
「エンリルではなく、仕事が問題の原因です!」
 エンキはアヌに言った。
「嘆き悲しみは大きく、私達は毎日苦情を耳にします!」
「金は手に入れなければならない!」
 アヌは言った。
「仕事は継続しなければならない!相談のためエンヌギを開放せよ!」
 エンリルは敵意を持ったアヌンナキに言った。エンヌギは釈放され、指導者たちに彼はこのように言った。
「今まで以上に地球の熱は上がっています。労働は苛酷で、耐え難いほどです!」
「反乱者たちをニビルへ帰しましょう、その代わりに新しい者たちを来させましょう。」
と、ニヌルタは言った。
「新しい道具を作ることはできないのか?」
 エンリルはエンキに言った。
「アヌンナキの英雄たちがトンネルを避けられるような?息子のニンギシュジッダを呼ぼう、彼と私は相談したい!」
 エンキはそのように応えた。彼らはニンギシュジッダを呼んだ。「生命の家」から彼はやって来て、エンキは彼と体を寄せ合い、彼らは言葉を交わした。

 ニンギシュジッダは古代ローマではアイオーンと呼ばれ、エジプトではトト、南米ではケツァルコアトルやククルカンと呼ばれた。

「解決は可能だ!」エンキは言った。「重労働を代わりに行わせるために、原始的な労働者ルルを造ろう。その生き物にアヌンナキの重労働を代わりにやってもらおう!」
 驚いたのは悩んでいる指導者たちだった。彼らは言葉が出なかった。アヌンナキの仕事を行える労働者、生き物を、新たに創造するなどという話を誰か聞いたことがあるか?癒しと救助に造詣(ぞうけい)の深い人、ニンマーを彼らは呼んだ。エンキの言葉を彼らは彼女に繰り返し、「そんな話を誰か聞いたことがあるか?」彼らは彼女に尋ねた。「そんな話は聞いたことがない!」彼女はエンキに言った。
「全ての存在が種から生じた。一つの存在は他の存在から測り知れない長い年月をかけて発達した。無から生じたものは今までにない!」
「妹よ、あなたは正しい!」
 微笑を浮かべながらエンキは言った。
「アブズの秘密をあなたに明かそう。私たちが必要とする生き物は、既に存在している!私達は私達の生命の要素の目印をそこに置くだけでいい。それだけで原始的な労働者ルルが創造される!」
 そうエンキは彼らに言った。
「ここで決定を行おう、私の計画に祝福を与えよ。原始的な労働者を創造すること、私達の生命の要素の目印で彼を形作ることを!」


原始的労働者「ルル・アメル」開発計画---------------------------------------------------------------

 エンキは、“原始的労働者”たるものを人工的に創造し、アヌンナキたちの代わりに働かせるという計画を思いついた。その計画の可能性を見抜いていたエンキは、「生命の家」の研究所所長を務める自分の息子のニンギシュジッダに依頼して親子の共同研究がスタートした。
「生命の家」にはたくさんのme(メ)が置かれていて、その中にはマイクロスコープのようなものもあった。その小さな筒を通して見れば、地球のあらゆる生物の生態を、DNAレベルで知ることができた。これはエンキがなによりも大切にしている、アヌ直々にもらった一族の宝物だった。
 エンキは、このme(メ)の研究材料を求めてあちこちを旅していた。ある日、ラボから100キロ北の平原地帯に珍しい生き物がいるという噂を耳にしたのでエンキは行ってみることにした。そして、その平原で目を疑うような生き物に遭遇した。一見、四足動物に見える生き物は、前足を手として使い、後足で直立していた。おまけに、立ったまま歩いていた。彼らは群れをなし、平原地帯の茂みでひっそりと暮らしていた。
 エンキは彼らに知性があることを直観した。少し離れたところから、気づかれないように彼は、me(メ)の筒を通して観察した。その生き物こそが、後に「ホモ・エレクトス(直立人間)」として知られるようになる人類の祖先だった。エンキは彼らの生態を詳しく知るために、この平原に何度も通い、彼らの生態に虜になっていった。
 (なるほど・・・この動物をプロトタイプにして、我々のDNAと掛け合わせればいい!そうすればアヌンナキの代わりに肉体労働ができる生物を生むことができる。なんとか完成させてみせるぞ!)
 彼はそうつぶやき、茂みに隠れたままme(メ)を覗き込んだ。そのときから数十シャル(数万年)もの時が流れて、ついにエンキは、原始的労働者ルル・アメルのプロトタイプを完成させることができた。

 エンキはその研究を、「ルル・アメル(原始的労働者)プロジェクト」と名づけた。しかし、この成功にはどうしてもアヌンナキの女神の協力が必要だった。それも、ニンマー以外のだれでもないことをエンキは知っていた。しかし、あのような別れ方をしたあと、彼女になにかを頼むというようなことはエンキにとって不可能だった。それでもエンキはどうにかして彼女の援助を求めようとした。まず彼女に会ってみるべきなのだ。そのためには、アヌの協力が必要だった。
 ちょうどそんなとき、ニンマーの誕生日が近づいていたことを思い出したエンキは、アヌが彼女に向けて打つ祝電に自分の気持ちを盛り込んでもらおうと考えた。もちろんアヌはこれを承諾した。

「愛する我が娘、ニンマーよ。おまえは神々の誇り高き守護天使であり、偉大な女神。おまえは地球を豊かにして命で満たす。おお、知性高く、美しい女神ニンマーよ。しかし、おまえの地球での使命は命をたくさん授けること。偉大なる大地の母であることにもっと目覚めて欲しい。さあ、地球に労働者をどんどん増やしなさい!エンキと一緒にその研究に取りかかっておくれ。それが成功した暁には兄エンキによって、エンリルの重い荷も下りるだろう。すばらしい子供たちがいて、私は幸せ者だよ。地球人の労働者を多く誕生させることができれば、神々は肉体労働から解放されるだろう。優秀な娘ニンマーよ、お前の力をぜひ、兄のエンキに貸してやっておくれ。至急、兄に会いに行きなさい。アヌより」

 アヌのメッセージが、ラピスラズリのタブレット(石板)の表面に彫られ、ニンマーに届けられた。彼女はエンキには会いたくなかったが、その文面には動かされた。
(ひょっとしたら面白いことがありそう。まあ、兄上の顔もしばらく見ていないし、行ってみることにしよう。)
 考えてみるとエンキと別れてから、すでに数シャルが経過していた。地球時間にすると、約5万年ほどであるが、幸いにも二人とも長寿のニビル星人である。

 ニンマーがアブズに到着すると、エンキに「生命の家」のスタッフ一同が総出で出迎えてくれた。エンキは、ニンマーを自分の屋敷に招くとすべての計画を打ち明けた。けれども、ニンマーは納得がいかない様子であった。
「そんなことを、本当に父上が望んでいらっしゃるかしら?あなたの思惑に父上が乗せられているだけじゃないの?命は、創造主から与えられるものであるし、自然の摂理はよくわかっているはずよ。だから、このようなことに関わるべきではないと思うわ。」
 彼女はエンキを責めるような厳しい目つきで言った。
「ニンマー、君のいうことはもっともだ。しかしながら、我々が必要とするのに相応しい生き物は、すでに発見されている。ただそれに、我々のエッセンスを加えるだけだ。それだけで、ルル・アメルは誕生するんだ!どうしても成功させてみせる。だから、どうかこの実験につき合って欲しい。君の協力が必要なんだ。」
 エンキは頭を下げて頼み込んだ。そのあまりにも大胆な計画に、ニンマーは戸惑い、独りになってじっくり考えてみることにした。よくよく考えてみれば、ニビル星人の祖先も同じだった。プレアデス星人がニビル星で生息していた自分たちと似ている生物を発見して、その星に順応できる自分たちの祖先を誕生させたというニビル星に伝わる神話をアンツが話してくれたことがあった。(エンキが言うように、この惑星で原始的な労働者、ルル・アメルを誕生させることも不可能でないはずだ。それが、父の意志でもあるならば協力すべきかしら……)
 実は、ニンマーも重労働を課されているアヌンナキの奴隷制度を、一刻も早く廃止したいと考えていたところだった。そんな奴隷制度などといったことは、ニビル星ではとっくの昔に廃止されている。それなのに地球では、ニビル星人が奴隷同然の立場に置かれているのは許せないと、彼女は考えていた。
 金の発掘現場で大ケガをして運ばれてくるアヌンナキを看病するのが仕事であるニンマーは、過酷な重労働を課せられている彼らのことをよく理解していた。一日も早くアヌンナキの労働者たちを解放しなければならないと常々思っていたのである。
 ついにニンマーは、エンキのプロジェクトに加わる決心をした。一旦シュルッパクに戻ると、長期滞在用の荷物を持って、アブズに向けて一路シェムを走らせた。
(アブズの彼のラボからそう遠くはないところに、見たこともない生き物が生息しているなんて。その生き物の生態を研究できることは、滅多にないチャンスだわ。)
 ニンマーは、期待に胸を膨らませてシェムから下を見下ろした。アブズの真ん中あたりに湖畔が広がる景色が視界に入ると、針のように空を突き刺す塔やエンキの館が見えてきた。

 アフリカのアブズにいた人類の祖を遺伝子工学で改良する。これが現代の人類の祖はアフリカという説に行き着くことになる。これは人為的な生物系統樹の操作である。つまり、神々アヌンナキは本当の「神」ではなかった。彼らも“万物の父”、“すべての創造主”として、創造のエネルギーを崇敬していた。エンリルは創造主にしか許されていないことに手出しすべきではないと主張していて、その考えは正しかった。


原始的労働者「ルル・アメル」開発計画 その2-------------------------------------------------------

 アブズのある湖畔に建てられた高い塔がある屋敷をエンキは建てた。そこに隣接された「生命の家」がある。そこに到着するやいなやニンマーは、広いホールの真ん中に大きな檻が設置されているのに気づいた。そしてその中にはすでになんと、直立して檻を前足で叩く生き物が入れられていた。その生き物は、フーフーと鼻息を荒くさせていて、唸り声を上げていた。二頭が檻の中にいっしょに入れられていた。それに驚いたニンマーが思わず悲鳴を上げると、檻の中の獣もニンマーの声につられて雄たけびを上げた。どう見てみても、言葉は話せなさそうだった。
「これが、あなたが言っていた動物なの?言語能力があるとは思えないのだけれども・・・。こんな動物に私たちのDNAをかけあわせるおつもり?!」
「ニンマーさま、まあそういわずに面白いものをお見せしましょう」
と、「生命の家」の所長ニンギシュジッダは彼女の気をそらせようとした。彼はニンマーを別の部屋に案内した。その部屋に置いてあった小さなme(メ)を覗き込むようにと、ニンギシュジッダはニンマーにいった。言われるようにして彼女が見たものは、彼女の好奇心をそそったので、少し笑顔をとりもどせた。

 2匹のヘビが絡み合うように螺旋状を描いていた。その2本のヒモのようなものは、規則正しい螺旋を描き不思議な光を放っていた。自分たちとまったく同じ螺旋のヒモが、その生き物にもあるということを彼女は確認した。
 DNAは2匹の蛇が絡み合っているようで、アヌンナキのものと酷似していたのを発見したのは、天才科学者のニンギシュジッダだった。彼はエジプトのトート神で、中南米のケツァルコアトルでもあり、日本では導きの猿田彦であった。そのシンボルはカドゥケウスの杖で、「生命の樹」そのものであり、現在の病院のマーク=医療の象徴となっている。そしてニビルには存在しなかった蛇も、彼のシンボルである。蛇と言えば、父エンキのシンボルの1つが蛇でもある。エンキは水神でもあり、後に人類は神々に長寿を祈願したので、長寿の爬虫類の亀もまたエンキのシンボルである。しかし、いくらDNAが酷似していても、いきなり異種間交配は不可能だった。


「これなら、いけるかもしれない・・・わかった!ここに我々の生命のエッセンスを加えればいいのね。そして、これを雌の卵に移して産ませるのよ!」
 当然ながら、生命のエッセンスとは、遺伝子の暗号を秘めたDNAのことである。ようやくニンマーは、エンキの目論みがみえてきた。
「このプロジェクトには、母なる女神が必要よ。私と優秀な技術をもっているあなた方といっしょにやれば、きっと成功するわ。」
 ニンマーは反対どころか、エンキとニンギシュジッダを励ましてしまった。
「でも生まれてくるのは、ルルなんていう奴隷ではなく、尊い命を宿すアメル(人間)であるべきよ。獣ではだめよ!」
「わかった。わかった。この計画でアヌンナキが楽になる日が訪れるのなら、試してみる価値はあると思うよ。ニンマー、どうもありがとう。」
 エンキは彼女を抱きしめてそういった。一方で、ルル・アメルの実験を知ったエンリルは、強く反対した。エンリルはエンキに比べると、どちらかというと保守派で、自然に存在していない生き物が創造されるということ自体、万物の父である創造主の意に背くことと固く信じていた。よって強く反対するエンリルを誰かが説得する必要があった。それでニンマーはエンリルのいるニップールに向かった。

「お兄さま、エンキはただ創造主によってすでに誕生している生き物を、より私たちの姿に近づけるために実験をしたいだけです。創造主は私たちを完璧な姿に作ってくださいました。これは、私たちに託された能力を最大限に活かすためではないでしょうか?創造主は、私たちニビル星人に素晴らしいme(メ)の数々も授けて下さいました。天の乗り物であるシェムもそうです。ありとあらゆる魔法の道具を私たちに下さいました。そして、私たちの生命のエッセンスによって今、新たなる生命が誕生しようとしているのです。それを誕生させることこそ、創造主が望んでいらっしゃることではないでしょうか?ぜひとも応援して頂きたいのです!」
 このように説得するニンマーのことばをエンリルは黙って聞いていた。ニンマーがいう通り、ニビル星人の優れたテクノロジーは、すべて創造主からの授かりものだった。さらには、あの恐怖の武器ガンディバ(核兵器)さえも、創造主から宇宙連合を通してニビル星人が授かったものである。
 ニビル星人はたしかに地球からの金を運び込み、同じガンディバで単分子化することもできた。そうして金を、ダストとしてニビルの大気圏にばら撒く。そうして彼らの惑星の大気圏の亀裂を修復させられた。

 保守的で、アヌンナキの地球への関与を最小限にとどめたかったエンリルも、自身の考えと自分たちがしていることとの矛盾には気づかざるをえなかった。それにしても彼がいちばん気になっていたのは、エンキがニンマーと一緒にプロジェクトをスタートさせることだった。これが面白くなかった。これこそ、エンキの真意にちがいないとエンリルは疑った。
 兄のエンキと彼女が仲良く実験室にいる光景を浮かべただけで、エンリルは胸騒ぎがした。なにかよからぬ予感を覚えたが、それをなんとか抑えて、彼はニンマーにこう質問した。
「ニンマー、これはアヌンナキがすべきことなのか?私の中では完全に納得できないので、このプロジェクトを開始することを許すわけにはいかない!」
 エンリルは総司令官として率直な意見を言った。


アヌンナキの会議-------------------------------------------------------------------------------------------

 ニビル星の住民が地球に降り立ってから、彼らが本格的に地球に腰を下ろす時期が来ていたが、アヌンナキの労働者による反乱は、もう抑えようのないレベルにまでなっていた。
 そこで、アヌ一族は、これらの問題や生命の家でスタートする新しいプロジェクトについても話し合うべきであると、一族の会議を開くことになった。ニビル星のアンツの宮殿がある都アカデには、アヌを筆頭にアヌの三本柱となる神々、エンリルとエンキ、そしてニンマーがすでに到着していた。他にもアヌの孫たち、ニビルの識者や指導者立場にいる者たちが、総勢50名ほど集まった。

 最終的に、原始的な労働者、ルル・アメルを創造するプロジェクトに関しては多数決で受け入れられた。現実的にニビル星を救うには、もはやルル・アメルを必ず創造しなくてはならないところまできていた。さらには、このプロジェクトを確実に成功させなければならなかった。
 なぜならば、重労働に慣れないニビル星人にとって、この仕事は過酷すぎて出来るようなものではなく、結局はアヌンナキにやってもらうしかない仕事なのだ。皆の賛成を得て、エンキもニンマーも喜び、互いに抱き合って歓喜の声をあげた。二人は胸を弾ませて地球に戻り、アヌも満足げにアンツの宮殿に帰っていった。アヌンナキたちも皆、地球のそれぞれの持場に戻っていった。

 ニンギシュジッダは、会議から一足先にラボに戻ると早速研究に取りかかった。その後すぐに、エンキにニンマー、そしてアヌの命令で実験に加わることになったニビルの学者数名がラボに集合し、実験が開始された。けれども、彼らの情熱を無視するかのように、檻の中の生き物は順応しようとしなかった。学習している様子も見られず、餌を与えると歯をむき出してよだれを垂らし叫び声を上げるどう猛な生き物だった。その様子を見て、ニンマーはため息をついた。
「これじゃあまるで、怪物じゃない!私たちの種と違いすぎるんじゃないかしら?」そして、ある不安な思いが頭をよぎった。
(たとえ“生命のエッセンス”がマッチしたとしても、誰が一体、その怪物の子を産むのだろう?)
 実は、エンキはここの部分をニンマーに委ねたかったのだ。それが彼の当初からの狙いだった。自分の娘を二人も産んでくれた母なる女神であり、最高の医者でもある彼女に、ここの部分を任せたかったのである。
 そしてニンマーも、今さらプロジェクトを放棄できなかった。ニンマーはニンギシュジッダの力を借りて、エンキの持っている小さなme(メ)の使い方を学びはじめた。さらに、檻の中の生き物の生命のエッセンスを採集して調査した。彼女が注目した点は、その生き物が二本足で直立できることだった。檻の中で直立しながら、鋭い目つきでアヌンナキたちを睨む生き物の目の奥には、確かに知性が潜んでいた。


生命の家------------------------------------------------------------------------------------------------------

 アヌはあるときニビル星に、宇宙の隅々から科学者たちを招待した。これが年がら年じゅう、つまり永久に続いているのがアンツの宮殿で、あるときいつものように恒例の祝賀会が開かれた。アヌご自慢のニビルの果実酒やご馳走がアンツの宮殿の大広間に並べられた。賓客たちの会話で会場はざわめいていた。
 今回、アヌがパーティを開いた目的は、宇宙一すばらしい科学者を表彰することだった。アヌは、定期的にこのようなパーティを開催することによって、自分にとって有益な情報を収集していた。アヌは突然、自分の手に持っていたゴブレットを鳴らして、皆の注目を集めた。
「みなさん、ようこそニビル星へ・・・」
 アヌはそう挨拶すると、彼らしく早速本題に入った。
「私たちアヌ一族は最近、地球を植民地としました。そこで今新しい実験が繰り広げられています。ご関心のある方は、壁にあるme(メ)のスクリーンをご覧ください。リフレッシュメントも用意していますので、じっくりお楽しみください!」
 そうゲストたちに挨拶するとアヌは、ゲストの一人である蛍光色の虹色に輝く巨大イモムシのような形をした生きものと会話していた。しばらくするとアヌは、表彰式は担当者に任せて、自分はアンツの宮廷のどこかに姿を消した。アヌは、地球から遠く離れたニビルにいながらも、いつも地球の事を頭においていた。そして、あのエンキとニンマーの共同プロジェクトを陰ながら応援していたのである。

「生命の家」では、宇宙中から収集された生き物や、それぞれの「生命のエッセンス」のサンプルが並べられていた。ニビル星には存在しない生き物や、地球のあらゆる種類の生き物のエッセンスが保管されていた。地球は比較的新しい星ではあるが、多くの生物が宇宙のあらゆるところから地球に辿り着き、順応しながら生きていた。
「生命の家」ではラボの外にも、ハンター兵士によって生け捕りにされたさまざまな動物が飼育されていた。ハンター兵士とは、ニビルから地球に派遣された兵隊で、彼らは細長い青いビームを放つ鞭(むち)のようなme(メ)を腰にぶら下げていて、それを巧みに操りながら狙った動物を生け捕りにしてはラボに持ち帰ってきた。

 ニンマーは、研究に疲れると気分転換に平原に行き、ハンターたちの動物狩りの様子を木陰からよく観察していた。
(色々な動物がツガイで捕獲されている。種が違うものを交配させて、品種改良を続けるだけがエンキの目的かしら・・・?)
 ニンマーは、エンキの目的はだだのジーン(遺伝子)の紐(ひも)の操作と思っていたが、実際には、エンキは、ニンマーの想像を超えるようなことを頭の中で考えていた。つまり、クローニング(遺伝子を単子化すること)を構想していた。捕獲した生き物のプロトタイプを他の生命体にオートメーションで複写することによって、ロボットのようなルルを大量生産することを考えていた。すでにそのための工場の場所まで見つけていた。エンキにとっては、ロボット化された労働者こそ、「ルル・アメル」のモデルなのである。

 生命の家の床からは、地下深くに続くトンネルがあった。むろんそのトンネルは、エンキの屋敷とも繋がっていた。エンキは、仕事を終えて帰宅する暗いトンネルの中で、いつもいいアイデアが思いつく。これもきっと彼のヘビ族の血が流れているせいなのかもしれない。
(できるだけ、便利な場所に工場を建てよう。そして、輸送には地下ルートがいいだろう。地下ルートの開発には、ヘビ族の各長(おさ)に話をつけて交渉すればいい。)
 エンキはこんなことを真っ暗なトンネルの中で眼を光らせながら考えた。
 生命の家の外に運び込まれた動物たちは、それぞれ一匹ずつ仕切った檻の中で飼育された。それらの中には、アブズのサバンナ平原を猛スピードで走るガゼルの原型のような四本足動物もいた。ほかにも、ものすごい力で物を持ち上げることができる猿類の仲間や、強烈な顎の力で肉を切り裂く大猫類や、地球の地下で暮らす爬虫類も混じっていた。
 驚いたことには、ある檻の中には、宇宙彼方の星からやってきたドラゴン族の子まで捕獲してあった。ヘビ族も、ドラゴン族も鋭い知能が備わっているので、捕獲するのは簡単ではなく、また檻の中に捕らえておくことも困難である。

 ドラゴンは、地球のはるか上空から地上に舞い降りてきて、その長くて太い尾っぽを引きずって歩き回る生き物である。そして彼らは、平原地帯に生息している直立獣を見つけては、火を噴いて脅かし、失神させてから口にくわえて、空に舞い上がり、連れ去る。ときとして彼らは、異次元へのポータルを越えて、獲物をくわえたまま遠くに消えてしまう。
 ドラゴン族は、異次元を住処にしているどう猛な生き物であり、機嫌を損ねると火を吐きつけてくる。そんなドラゴン族の子供のツガイが、生命の家の外の檻の中に入れられ、細心の注意が払われて飼育されていた。ドラゴン族は、ニビル人もほかの生き物同然に魔法にかけて捕らえることができるので、特に厳重にme(メ)のベールが掛けられていた。

 ラボ内の各檻は、夜になると黒いベールが掛けられていた。しかし決して静かではなく、捕らえられている地球の動物たちが寝静まったあと、別の次元から連れてこられた生き物がいる部屋やニビル星の生き物がいる部屋からは、この世のものとは思えないあやしい空気が漂っていた。

 エンキは、ドラゴン族を捕獲し研究することで、ルル・アメルに、空を飛べるという機能を与えるという夢があったからだ。そうなれば、シェムの必要もなくなる。つまり人類の可能性として、飛ぶということが加わっていたのかもしれない。そのためにエンキはドラゴンをはじめとする、さまざまな鳥類の生命のエッセンスを研究した。
 しかし、そのためにもドラゴン族のどう猛さをエンキはクリアせねばならなかった。実際に、この実験が成功していれば、人類の歴史もまったくちがったものになっていたはずである。しかしながら、創造主はしっかりと背後からアヌンナキを監視していた。


ルル・アメルが誕生するまで-----------------------------------------------------------------------------

 ニンマーは、異なる細胞を融合させる実験に熱中していた。これは、あえて染色体を融合させるのではなく、細胞同士を融合させて、新しい細胞をつくる試みであり、2つの核と染色体を倍持つ“スーパー細胞”なるものを完成させようとしていた。
(スーパー細胞が分裂していくと、新しい遺伝子の生物が誕生する。その遺伝子を移植すればいいんだわ……)
 ニンマーは、エンキとはまた違う角度でルル・アメルを完成させようとしていた。エンキとニンマーたちが、ルル・アメルのプロジェクトに費やした時間は、ざらに20シャルを越えていた。それは地球の時間にしておよそ7万2千年という長い期間だった。生命のエッセンスを混ぜ合わせる実験によって、奇想天外ともいえる生き物たちが誕生した。それらは、

● 幾つもの目や顔を持つ猿類
● 翼を持つライオン
● 体を背合わせに共有する生き物
● 男女の二つの顔をもつヘルマフロディテ(両性具有)
● 角を持ち、人間の顔の四本足の生き物
● 馬の足を持つ直立人
● 牛の頭を持つ直立人
● 人間の頭をした巨人
● 猫羽のある直立巨人

などであった。

 それらの中には、火星(ラーマ)に送られて飼育されるものもあれば、危険でないものは、生命の家の外の目に見えない檻の中で放し飼いにされたり、逃がされる生物もいた。しかし、実験室で生まれたほとんどが魂を宿しておらず、生き延びる術も知らなかった。
 彼らには、魂という重要なエレメントが欠けていたために、しばらくすると死んでしまう者も多かった。うまく魂を宿し、頭脳をもった者の中には、自らが神であると装い、後に誕生するルルたちを操作するようになった生き物もいた。もちろん、中にはアヌンナキやルルに使われる従順な奴隷となる生き物たちもいた。

 やがてやってきた古代エジプト時代には、寿命が長いそういった生き物の中には、崇拝される者たちも現れた。確かに彼らは、アヌンナキの生命のエッセンスが掛け合わされているかぎり、神といえば神なのである。魔力で人を魅了させては操る、悪魔の落とし子とさえいえる生き物が彼らの実験の結果生まれた。

 後の時代のメソポタミア北部の王国アッシリアやアケメネス朝ペルシア帝国の都ペルセポリスには、人頭有翼獣像(じんとうゆうよくじゅうぞう)が見られる。これはアッカド語でラマッスと呼ばれ、人間の頭部、鳥の王たるワシの両翼、牡牛の身体やライオンが組み合わせられている。頭にはアヌンナキの三重冠(さんじゅうかん)をかぶっていることから、アヌンナキの血が流れた崇拝される立場にあったことがわかる。

 実験の最中には、エンキもニンマーもルル・アメルを完成させることに熱中していて、これらの副産物まで誕生させていたことにはあまり気にしていなかった。


メキシコのアカンバロの土偶-----------------------------------------------------------------------------

 メキシコのアカンバロという村から恐竜のような土偶や、二足歩行を行う不思議な生物をかたどった土偶が発見されている。
 1968年、ニューハンプシャー州キーン州立大の地質学者だったチャールズ・ハプグット教授は、土偶のサンプルを三種類用意してニュージャージー州の年代測定専門会社の研究所に調査を依頼し、C14法(ベータ線計数法)で測定したところ、紀元前1000年から紀元前4000年という結果が出たとされる。土偶の造形の中には、ティラノサウルス・レックスが直立しているものや、半人半獣の象人間、ワニ人間や翼を持つ竜など、空想の産物としか考えられないものも多数存在している。つまり、アヌンナキによる実験によって作られた生き物が、各地に広がった可能性がある。

■紀元前30万6000年頃

ルル・アメル(人間)の誕生---------------------------------------------------------------------------------

 ようやく彼らの実験は、最終段階に近づいていった。やっとルル・アメルと呼べるような原始的労働者のプロトタイプが誕生した。実験開始から約20シャル、地球時間で約8万年かかったことになる。50万年前にアヌンナキが地球に到来し、40シャル(地球の時間で14万4千年間)もの間、金の採掘作業はアヌンナキの労働者だけによって続いたが、しかし、エンキがアブズのサバンナ地帯で発見した直立原人(ホモ・エレクトス)の生命エッセンスとアヌンナキのものと掛け合わせた結果、やっとルル・アメルとよばれる原始的労働者が誕生した。実際にこれが今の人類のプロトタイプとして、地球上にいちばん最初に現れたということである。


お産の家「シムティ」-------------------------------------------------------------------------------------

 ニンマーは、その器の中に混ぜ合わされたアヌンナキと地球人のエッセンスを垂らし、さらには直立人の雌から抽出した卵子をそっと入れた。そうしておいたあとニンマーは、me(メ:この場合はアヌンナキの精子のこと)の器の温度調節を確かめた。しばらくそのままにして置いた後ニンマーは、受精卵の入ったその容器から液体を取り出し、自分の子宮に注入するというプロセスを何回も繰り返した。残念ながら人間たちには、女神のそんな側面はあまり知らされていない。
 エンキは研究熱心なニンマーのために、「生命の家」に隣接して、「シムティ」とよばれる彼女専用のラボを新しく設けた。シムティとは、「心地よく出産できる家」という意味である。
 ニンマーは、自らの子宮を提供しての実験を繰り返したが、それとはまた別に、受精卵を入れた粘土(猿人の卵子)を小さく捏(こ)ねり、地球のその生き物の雌の子宮に注入するという実験も繰り返した。奇想天外な結果を生みだすことを繰り返しながらもついにそれは成功した。


 ここでの地球の粘土から作った容器といっても、素焼きの土器などではなく、フラスコのようなガラス容器である。粘土はアッカド語で“ティト”で、泥を意味する。その同義語はビサ=湿地、ベサ=卵なので、粘土は“猿人の卵子”をも意味する二重語義となる。粘土にはケイ素が豊富で、その化合物の酸化ケイ素は光学活性を有する。生命体の根源であるアミノ酸は光学活性があるので、酸化ケイ素の光学活性が効いていた。

 女神ニンマーとエンキ、そしてニンギシュジッダが中心となって、ニビルの科学者らも交えた、アヌンナキの神々のルル・アメル(原始的労働者)を誕生させるというその実験から、ようやくアヌンナキの姿をした、つまり立派な両手両足がある生命体が誕生した。そのときは、実験に関わったアヌンナキ総勢でその誕生を祝った。
 ニンマーは、「ついに成功しました!これからメスのおっぱいに近づけましょう!」といって、生まれたばかりの直立原人の赤ちゃんをそのメスの乳房に近づけたが、メスは恐怖と警戒から歯をむき出し、野生の本性を露わにした。自分の子に近寄ろうとはしなかった。そこでニンマーは、その子の母親代わりとなって育てることにした。その子は、ニビル星人の新しい命と比べると成長が遅く、言語を発達させる能力がないこともすぐに明らになった。そこで彼らは再び実験をし直した。その実験に対してもニンマーは自分の肉体を提供した。
「怪物が生まれるかもしれないのに、他に子宮を貸してくれる女神なんていないわ!」
と、彼女はため息をついた。心配になったエンキはどうにかしようと考えた。
「もうこれ以上君に苦労をかけたくない。次は、ニンキに生命の家に来てもらうことにしよう!」
「それはだめよ、エンキ。こんな危険なことを彼女にさせるなんて!この実験は、私たちがスタートしたのだから、私が責任を持って果たすわ!」
と、ニンマーはエンキに返した。エンキは、心の優しい妹を自分に引き寄せた。そして彼女の耳元で申し訳なさそうにうなずいてみせた。
 このようにして、エンキとニンマー、神・女神の献身的な努力の末、今の人類のプロトタイプが誕生した。ついに彼らの実験である体外受精は成功した。
 地球の雌の卵をニンマーに注入することで、ようやく彼らが「ルル・アメル」とよべる、男の新生児が生まれた。地球のメスの生命のエッセンスと、選(え)り抜かれたアヌンナキの男神の生命のエッセンスが掛け合わせることに成功して生まれた作品、それが「ルル・アメル第一号」である。
 しかしながら、そのメスの生き物の妊娠期間はどれくらいだっただろうか。ニビル星の女神たちのように9日間なのか、それとも地球の人間のように9カ月間なのだろうか?
 それは地球の9カ月よりも短く、ニビルの9日間よりも長かった。しかし、結果としてニンマーは健康な男の子を出産した。そして、その子を最初に腕に抱きかかえたのは、他の誰でもなくエンキだった。実はそのメスの卵に受精させたのは、当の自ら自身の生命のエッセンスであることを、エンキはしばらくたってからニンマーにうち明けた。それを聞かされたとたんにニンマーは怒りがこみ上がってきたが、エンキが元気に泣き叫ぶ男の子を満面の笑みで抱く姿を見たときに、彼女の怒りもどこかへ飛んでいった。嬉しい気持ちでニンマーは満たされた。
「エンキ、私があなたのために、初めて産んであげた男の子よ!」
「ニンマー、きみは勇気のある女神だ。これからは君のことを尊敬の意を込めて、“ニンティ(人類誕生の母)”と呼ぶことにしよう!」
 それ以来、女神ニンマーは、「ニンティ(偉大なる人類の母)」とよばれるようになった。ニンティはアヌンナキたちが地上での使命を達成するために、なくてはならない存在としてさらなる尊敬を得るようになった。


ルル・アメルとアダマ(アダム)第一号の誕生の物語---------------------------------------------------

シュルッパク:第四の都市。エディンの近くで、エンリルが自分の城近くに建てたニンマーの病院周辺をいう。大洪水後そこはニンフルサグによってアダブと改名される

シムティの家:エンキのラボ「生命の家」に隣接したニンティ(ニンマー)のお産の家

ニンギシュジッダ:エンキの息子の一人で、マルドゥクとネルガルの弟。「生命の家」の所長を務める。双子山(エジプトのピラミッド)の設計士。南米ではケツァコアトル、エジプト時代には、トート(朱鷺の神)と呼ばれる

エディン :北にエンリルの城があるレバノン杉に囲まれた森林地帯

ニンマー:俗に、「ニンフルサグ」とよばれる、プレアデス、ニビル、シリウスのヒーラー。アークチュール星人とアヌとの間に生まれた(ハトホルとも呼ばれる)

エンキ:アヌの第一子で、いちばん最初に地球に派遣される「水の神」、アヌが妃アンツ(妹)を娶(めと)る以前に、ニビルからヘビ族が支配する惑星を探検したとき出会ったヘビ族帝国のプリンセス「イド」との間に生まれる。

me(メ):ニビル星人たちがもっているプレアデスのテクノロジーが生んだ魔法のツール。さまざまな種類がある


 生まれてきた男の子は、生命の家の学者らによって注意深く毎日観察された。その子の姿は、直立原人のように毛むくじゃらではなく、皮膚もアヌンナキのようにブルー系統ではなかった。アブズの粘土のように茶褐色だった。また、彼の血液も同様にアヌンナキのブルーブラッドとも、ヘビ族の深緑色とも違っていて、赤色をしていた。さらに言えることとして、その男の子の陰茎部の包皮は、胴体と区別がつかなかった。
 これをデザインしたのはエンキであり、わざとそうしておいた。ここにルル・アメルとアヌンナキの相違点を明らかにさせたかったからである。エンキはルル・アメルに生じる可能性のある諸々の問題点を避けるために、あえて肉体労働以外の機能を発達させないように苦心した。
 こうして生まれた人類第一号(アダマ)の容貌は、現在のアラブ系やインド系であった。ちなみに、ニンマーは古代バビロニア文書では“助産婦、利口なマミ”と呼ばれており、“ママ”の語源となった。


 さて、ニンマーの腹を借りて生まれてきた乳児は、ラボの研究者が毎日行なう身体検査に疲れてしまい、つい泣きじゃくった。するとニンティは、その子を抱きかかえて自分の乳首を含ませてやり、なだめた。それを見てほっとしたニンギシュジッダは、ラボの全員を集めて労(ねぎら)の言葉をかけた。
「皆さん、ご苦労様でした!長らく頑張ってくれましたね。でもこれからが本番です!」
 エンキは息子のスピーチが続く間、じっとニンティを見つめていた。彼の目が捉えたニンティは、科学者というのではなく、やさしい母親の笑顔だった。
「ニンティ、その子に名前をつけてはくれないか?」
「そうね、粘土から生まれた地球の子どもだから、“アダマ(粘土:アダム)”とでも呼びましょうか」
 生命の家の研究員一同の視線が集まる中、ニンティは赤ん坊の頭をなでながらそう述べた。エンキはアダマを原始的労働者、ルル・アメルのプロトタイプ(ひな型)第一号と呼んだ。そして、第一号の生命のエッセンスは、アヌンナキの科学を誇る貴重なサンプルとして大切に保管された。

 ちなみにその「人類第一号」ともいうべきアダマ(アダム)は、幸いにも肉体労働を課されることはなく、シムティの家のニンティのもとで可愛がられて育った。
 一方、ニンギシュジッダはというと、父エンキがいつアダマの大量生産に入るか、気がかりに待っていた。なぜならば、金採掘の労働をめぐってアヌンナキの反乱が抑えられなくなっていたからである。そこでその、「ルル・アメル計画」の次のステップを彼らは検討する運びとなった。あらゆる地域からアヌンナキの代表たちが集まり、またもや会議に召集された。そして、ニンティはその場をかりて素晴らしい提案を発表した。
「シュルッパク」の病院から看護婦に来てもらうことにしましょう。代理母に相応しい候補者を何名か推薦しましょう!」
ということで、ニンティのすばらしい提案が受け入れられた。早速、ニンティはシュルッパクから「シムティの家」に若い看護婦たちを送った。


ティアマトの誕生-------------------------------------------------------------------------------------------

 ニンマーは、シュルッパクにいる女性治療者たちを呼び寄せ、課せられた任務を説明した。そして、強制ではなく希望を募った。すると、7人が任務を引き受けた。その名をニンギシュジッダが記録した。ニニンマ、シュジアンナ、ニンマダ、ニンバラ、ニンムグ、ムサルドゥ、そしてニングンナである。今度は、アダマから生命エッセンスを抽出した。そして、ニンマーはアダマの男性生殖部分に切込みを入れ、血を滴らせた。
「これを“生命の印”とし、肉体と魂が混ぜ合わされたことを、永遠に宣言させよう!」
彼女はそれぞれの容器に、血を1滴ずつ落として混合物に加えた。ニンマーは、
「この粘土の混合物の中で、地球人とアヌンナキが結び付けられんことを!」
と言って、呪文を唱えた。
「この2つのエッセンスに統一あれ!1つは天の、1つは地球のものが一緒にされ、地球のものとニビルのものが、血によって血縁関係を結ばれんことを!」
ニンギシュジッダは、この言葉も記録した。
 出産のヒロインたちの子宮に、卵子は挿入された。受胎があり、出産があり、7人の男児が誕生した。そして、“正常”であった。しかし、この方法は過酷すぎるし、時間も掛かりすぎた。そこで、雌(めす)を創ることをエンキが提案した。地球人自身で生殖させるのである。アダマ(アダム)の対を成す者を創るためには、もう1人のアヌンナキの子宮が必要であることをニンギシュジッダが述べた。今度はニンマーではなく、ニンキを呼び寄せ、彼女が任務を引き受けた。“調整”はニンギシュジッダが行った。ニンキの子宮に卵子が挿入され、受胎したが、割り当てられた時に出産の印は来なかった。更に月を数え、10ヶ月目、“邪悪な宿命の月”と彼らは呼んだが、ニンマーが帝王切開して取り出すと、女の子が誕生した。彼らは新生児の手足、容貌、各器官の機能を調べ、いずれも問題なかった。頭髪は浜辺の砂のような色で、毛むくじゃらではなく、肌は滑らかでアヌンナキの肌の滑らかさと色だった。
「この子は君に姿がそっくりだ」
とエンキが言った。そして、ニンキが名付け親となり、ティアマト、“生命の母”とされた。地球の大元となったあの古い惑星に因んで。

 このアダマから生命エッセンスを抽出する儀式が、現代の割礼の原型となった。アヌンナキには包皮が無く、地球人には包皮があり、これがアヌンナキと人類を区別する印である。男子の性器の包皮の一部を切除することが割礼であるが、そうすることにより、容貌はまさしくアヌンナキ=「神々」そのものとなる。これこそが、割礼による“選ばれた民”の真意である。ユダヤ教では、割礼はブリット(ברית/Brit)と呼ばれ、ヘブライ語で「契約」を意味する語である。ユダヤ教徒の家庭に生まれた乳児および改宗者は、割礼を行わなくてはならない。
 この他、イスラム教、昔のキリスト教、そしてアフリカ・オセアニアの諸民族などでは風習として行われ、オーストラリアのアボリジニーの間では尿道の下部を切開する「尿道割礼」が行われていた。またミクロネシア連邦のポナペ島の住人や、南アフリカ共和国からナミビアにかけて居住するホッテントット族の間では、片方の睾丸を摘出する「半去勢」が行われていた。


 またティアマトの浜辺の砂のような栗毛色の髪に合う肌色は、黄色味を帯びた肌、モンゴロイドのような色で、つまりアヌンナキの肌はモンゴロイド系である。よって神の系譜はモンゴロイドなのである。その証拠が蒙古斑で、これが後に誤解されて“青い肌”となった。更に、その直系は遺伝子的に特別なYAP(ヤップ:Y染色体ハプログループ)遺伝子である。
 アフリカ北部・地中海沿岸(エジプト・イスラエル・レバノン・シリア)やヨーロッパのオーストリアなどに父系を通じて広がった集団がハプログループEであり、分岐後東方に向かい、ジャラワ族・チベット・ヤオ族・フィリピンのマクタン島・グアム島・日本列島などに父系を通じて広がったのがハプログループDである。


 こうして、「ティ・アマト(イブ)」は、母なる地球のエレメントである粘土と、アヌンナキの「生命のエッセンス」、そして、直立人のメスの卵子から誕生したのである。さらにいうと、血液とアブズの国の地の粘土が混じり合ったことによって、しっかりと魂も宿すことができた。アダマはアヌンナキの学者たちから教育を受けて育ち、また、アヌンナキと同じように神にほぼ等しい長寿を授かっていた。やがて彼は、130才を迎えたとき自分よりもあとから生まれたティ・アマトと結ばれた。


 そのあともニンティの実験は続いた。ティ・アマトの生命のエッセンス+アブズの粘土で、7名の出産の女神に代理母をさせた。別の7名の女神には、ティ・アマトの「生命のエッセンス」だけを自らの受精卵と掛け合わせて女神たちに産ませた。それで男女計14名のルル・アメルが誕生し。ニンティは、アヌンナキの遺伝子を強く受け継いだルルを創造するために、特別にアダマ第一号と第二号はすべて女神自身で産むという工夫を凝らした。


急増しはじめたルル----------------------------------------------------------------------------------------

アダマ(アダム):(アダマ一号)粘土という意味。エンキが自らの生命のエッセンスをホモ・エレクトスの雌に与えて生まれた男。原始的労働者ルル・アメルのプロトタイプ第一号

ティ・アマト(イヴ):生命の母という意味。アダマの生命のエッセンスからクローニングして生まれた女。原始的労働者ルル・アメルのプロトタイプ第二号

「生命の家」の周囲には、目に見えないme(メ)のドームがはり巡らせられた。ドーム内には、14人のルルたちが快適的な生活できるような環境設定がなされていて、彼らの生態を観察できた。
 ようやく役目を終えて自由になったティ・アマト(イヴ)とアダマ(アダム)は、エンリルの居城近くの「エディン」という場所に送り込まれることになった。が、エディンにも、生命の家と同じように、いやそれよりかは2倍も広い、目に見えないドームのバリケードが張られていた。

 しかしながらアダマとティ・アマトは、あることを教えられていた。それはそのエディンの端までいくと、すなわち、バリケードの境界近くまで行くと、恐ろしいことが起きるということだった。実際には、このドームは彼らを展示するための機能を備えていて、モニターを通してアヌンナキたちが彼らを観察する場所で、動物園のような役割をした。
 アヌンナキや火星(ラーム)のイギギまでが、その珍しい生き物のつがいを見学しようと、遠路はるばるやってきた。2匹のルル・アメルを一度見物したいとエディンに押し寄せてきた。エンキの長男のマルドゥクまでもが、わざわざ訪れた。ニビル星でも、ルル・アメル第一号アダマと第二号のティ・アマトは噂の的となった。しかし見学者たちは、高度な学習能力をもつ彼らに気づかれないようにと、モニターを通して始終彼らの動きを捕らえていた。
 あの目に見えないme(メ)のドームは、単にバリケードの役割を果たすだけではない。me(メ)が制限する範囲内で、今も人間は世界を我が物顔にしているのである。そろそろその事実に気づくときである。そのような巧妙さを備えているのが、アヌンナキのテクノロジーである。

 ついにエンリルも、妻のニンニルとニヌルタを連れてティ・アマトとアダマの見物にエディンを訪れた。最初は、このプロジェクトに大反対だった彼も、ルル・アメル第一号の見事な出来には驚かされた。エンリルは、このプロジェクトを称えて、地球の総司令官として一同に演説した。
「愛する兄エンキと妹のニンティ、そしてニンギシュジッダ、生命の家の諸君、よくぞ頑張ってくれた!アヌンナキの女神である君たちの力によって、原始的労働者ルル・アメルプロジェクトは成功したといえよう。皆に私から、栄誉の勲章を与えることにしよう!」
 エンキはこの任務に一息ついたことで自分の屋敷に戻り、家族と一緒に過ごすことにした。ニンティとニンギシュジッダは、さらに研究を続けるために生命の家に戻ることにした。
 しかし案の定、生命の家ではある問題が浮上していた。me(メ)のドームの中で放し飼いにされていたルル7対が、茂みの中でつがっているのが確認されていたにもかかわらず、雌は子を産まず、ルルの数は増えていく様子がないということが明らかになったからである。これを知ったエンキは、生命の家に早速戻ってくることになり、再び彼の指揮の下で対策が練られることになった。
 一方で、金の方はというと、エンリルの尽力で火星(ラーマ)を経由せずに直接ニビルに届けられるようになった。しかし、肝心の労働者は未だにアヌンナキであることには変わりなく、逆に地球に精製場の建設ラッシュが訪れて以来、アヌンナキの仕事は増え、不満の声はさらに高まっていた。
 常にどこかで暴動や事件が起こり不安定な状態が続く中、ニビル星からは大気圏を安定させるために、もっと多量の金が必要だと催促が届いた。エンキたちはこの悪循環を解決するためにも、一刻も早くルルを増やす方法を見出さねばならなかった。エンキは、改めて小さなme(メ)の設定を確認し、アダマとティ・アマトの生命のエッセンス、そしてアヌンナキのものを掛け合わせるという実験をし直すことにした。こうして「ルル・アメル計画」は第二段階を迎えたが、その鍵はといえば、それはアヌンナキとルルの生命のエッセンスの違いを完璧に理解するしかなかった。
 遺伝子工学の研究においては、ニンティの右に出る者はいない。なんといっても彼女は、地上で最初に螺旋状の二本の紐を操った女神である。
「この地球上に科学をもたらしたのは女神である」と、いってもおかしくはない。ニンティが実験に取り入れたのは、ニビルやプレアデスのサイエンスだけでなく、呪術もふんだんに取り入れた。

 満月の夜に、彼女は月の光を浴びながら歌を歌ったり、舞を踊った。これも彼女の「妊娠の儀式」のひとつだった。このようなニンティのユニークな科学者としての側面は、後に魔術や錬金術と呼ばれるようになるが、それでも近代科学のもととして実にニビルの女神ニンティが種を蒔き、いつまでも科学の知られざる影の側面として存在し続けることになる。
 魔法とは、実際には「真法(まほう)」といった方が正しいのであり、それを自由気ままに操ってきたのが、ニビル星人たちである。そこには、遠く彼らの祖先にあたるプレアデス星人から受け継がれたものもあれば、アークチュール星人から受け継いだ叡智も含まれている。さらには、創造主から意志を直接取り入れる魔法もニンティは知っていた。
 ただしニビル星人のすべてが、ニンマーのように魔法が使えるというわけではない。これは、アヌの血を引く純粋なアヌ一族の特権であり、この魔法と彼らが持つパワフルなme(メ)はうまく共鳴し合った。

 さて、生命の家では、アヌンナキの生命のエッセンスが、男と女別に皿に振り分けられて、それぞれがティ・アマトとアダマのものと比較された。小さな me(メ)を通して観察すると、絡まった2本のヘビのようなものが見え、それをさらに拡大させると、“生命の樹”であるDNAの連なりの染色体の上に、22本の枝がついていた。これが、いわゆる彼らとアヌンナキとの決定的な違いであり、これに気づいたニンギシュジッダは、エンキに言った。
「これでは、生殖能力は持てない!男と女を決定的に分ける2本が欠けているのです」
 時を同じくして、ニンティもこのことに気づいていた。そこで、エンキとニンティとニンギシュジッダの三人は、新しい実験を試みた。ニンギシュジッダはエンキ、ニンティ、アダマ、ティ・アマトにトゥルバのエリキシル(特効薬)を飲ませて、深い眠りに誘導し、エンキの肋骨から抽出した生命のエッセンスを、小さなme(メ)にかけてアダマの肋骨に抽入した。同様に、ニンティの肋骨から抽出したものがティ・アマトの肋骨に注入されて手術は完了した。
「成功しましたよ。彼らの生命の樹に枝が2本加わりました!」
 ニンギシュジッダは嬉しそうに、眠りから覚めたエンキとニンティに告げた。

 体外受精による異種交配種アダマとティアマトには生殖能力が無かった。その原因は、性染色体が存在しなかったことによる。ニンギシュジッダは、肋骨からの“骨髄移植”により、生殖能力付加に成功した。22本の枝とは染色体のことであり、2つの小片(しょうへん)が性染色体(XY、XX)である。
 ここで「生命の樹」が登場した。「生命の樹」とは染色糸である。細胞核の中に染色糸があり、それが細胞分裂の際に染色体となる。染色体はDNAとタンパク質の結合物である。22本の枝=染色体は、カッバーラの「生命の樹」におけるパスの数の原型である。
 また実質的に人類を創成したのはエンキではなく、ニンギシュジッダである。エンキは監督者、リーダーである。
 今の人類は天才科学者ニンギシュジッダ無くしてあり得ない。そして、「生命の樹」を基盤とするカバラもニンギシュジッダということである。よってエジプトのトートのような知恵の神となる。
 また男性のY染色体はエンキ、女性のX染色体はニンマー由来である。よって人間は皆、神々アヌンナキの子なのである。約30万年前のことである。
 聖書のアダムは“赤い土”や“人間”を意味するが、“血”も意味する。これは、人類の血と神々の血=遺伝子が混ぜられたことを意味する。ニンフルサグはニンティとも呼ばれ、シュメール語の“ティ”は“生命”と“肋骨(ろっこつ)”の意味なので、アダムの肋骨からイブが創られたことに対応する。そして、後に“礼拝”として訳される言葉“avod”は“仕事”の意味だが、神を礼拝するのではなく、人類が神々の労働力として働かされていたことを表す。


アダムとティ・アマトのアフリカのアブズへの追放--------------------------------------------------

 その後再び、アダマとティ・アマトはエディンの展示用ドームに戻されたが、それまで裸で無邪気に遊んでいた二人は羞恥心(しゅうちしん)というものを覚えたのか、大きな葉で陰部を隠す姿がモニターに映った。

 偶然にもそのときエンリルが生命の家を訪れ、モニターの画面に集中しているニンティとエンキに近づいた。その瞬間、モニターにアダマとティ・アマトに映った。彼らはいかにも見られていることを知っているかのように片手で陰部を隠しながら、もう片方の手をつなぎながら森の中に逃げていった。
「君たちは一体、何をしているんだ!奴隷を創造するという目的を忘れたのかね?次は服を着させて楽しむのかい?我々ニビル星人の大切な生命のエッセンスをどこまで無駄にするつもりだ!私は最初から反対だった。“創造主”のような振る舞いに、私は反対だった!ニンマーとニンキを危険に曝し、君の作品は失敗したのに関わらず、我々の生命エッセンスの最後の小片を、これら畜生に与えてしまったのだ!ことによると、我々と同じ生命サイクルを授けてしまったのかもしれないぞ!」
 エンリルは苛々して大声で怒鳴った。
「エンリル様、私たちの"寿命の枝"までは与えてはおりません。どうかご安心ください!」
 ニンギシュジッダはオロオロしながら弁解した。しかし、これがさらにエンリルを怒らせてしまった。
「あの奇妙な獣たちをエディンから追放しろ!エディンの展示ドームはこれで廃止だ。さっさと奴らをアブズの現場に送るんだ!」
 地球総司令官エンリルは、厳しい口調でそう命令してから帰っていった。

 エンリルが果樹園を散歩していたので、聖書に於けるエデンの園は「知恵の樹」と「生命の樹」にある果実の例えとなっている。知恵の樹に絡まる蛇とは、責任者としてはエンキ、実質の実験者としてはニンギシュジッダ。「我々に似せて人を創ろう」と言った主はエンキだが、エデンの園において、アダムとイブを追放した主はエンリルのことである。決して、唯一絶対神などではない。エンキのシンボルは、魚と水瓶、水鳥、三日月、そして、ここでの蛇である。水は洗礼や「生命の水」に関係する。

神話における神々と人間の交配について---------------------------------------------------------------

 ここで、「神々」と人間の交配について、シュメール神話と旧約聖書の創世記を比較する。

A:シュメール神話
“10万年前に神々の子らと人間の娘が交配した。”

B:創世記
“当時もその後も、地上にはネフィリムがいた。これは、神の子らが人の娘たちのところに入って産ませた者であり、大昔の名高い英雄たちであった。”
 どちらも、神の子らと人間の娘が交配したことになっている。創世記から、神の子らとハイブリッド人類の女性との間で発生したのがネフィリムである。ヘブライ語のネフィリムはシュメール語ではアヌンナキと同意語であり、意味は“降りた者たち”である。よって、区別するなら「神々」がアヌンナキであり、アヌンナキと人類の女性とのハイブリッドがネフィリムとなる。表現上、ネフィリムは「神の子」の子なので「名高い英雄たち」となる。

 また、創世記でイブが蛇に唆(そそのか)され、アダムとイブがエデンから追放される様子は、次のようにある。
“主なる神が創られた野の生き物のうちで、最も賢いのは蛇であった。蛇は女に言った。「園のどの木からも食べてはいけない、などと神は言われたのか」女は蛇に答えた。「私たちは園の木の果実を食べても良いのです。でも、園の中央に生えている木の果実だけは、食べてはいけない、触れてもいけない、死んではいけないから、と神はおっしゃいました」蛇は女に言った。「決して死ぬことはない。それを食べると目が開け、神のように善悪を知る者となることを、神はご存じなのだ」女が見ると、その木はいかにもおいしそうで、目を引き付け、賢くなるように唆(そそのか)していた。女は実を取って食べ、一緒にいた男にも渡したので、彼も食べた。2人の目は開け、自分たちが裸であることを知り、2人はイチジクの葉を合わせ、腰を覆うものとした。
(中略)神は言われた。「お前が裸であることを誰が告げたのか。取って食べるなと命じた木から食べたのか」アダムは答えた。「あなたが私と共にいるようにしてくださった女が、木から取って与えたので、食べました」主なる神は女に向かって言われた。「何ということをしたのか」女は答えた。「蛇がだましたので、食べてしまいました」主なる神は、蛇に向かって言われた。「このようなことをしたお前は、あらゆる家畜、あらゆる野の獣の中で呪われるものとなった。お前は、生涯這い回り、塵(ごみ)を食らう。(中略)人は我々の1人のように、善悪を知る者となった。今は、手を伸ばして命の木からも取って食べ、永遠に生きる者となる恐れがある」主なる神は、彼をエデンの園から追い出し、彼に、自分がそこから取られた土を耕させることにされた。こうしてアダムを追放し、命の木に至る道を守るために、エデンの園の東にケルビムと、きらめく剣の炎を置かれた。”

 この場合の“主なる神”とはエンリルであり、蛇とは人類に生殖能力=知恵を与えたエンキ(とニンギシュジッダ)である。そして「知恵」とは生殖能力だけではなく、最後の方にあるように、善悪を知り、「生命の樹」の奥義を知ることによって、魂が永遠に生きる=「神々」などの精神支配から開放される者となることでもある。「知恵」を与えた蛇は、そもそも地上を這うものなのに、「お前は、生涯這い回り、塵(ごみ)を食らう」と“主なる神”から言われ、矛盾している。これは、蛇が蛇そのものではなく、エンキだからである。エンキは人類に「知恵」を与えた賢者である。ならば、「知恵の樹」と「生命の樹」は「合わせ鏡」となる。「知恵の樹」と「生命の樹」を「合わせ鏡」とすることにより、秘密(封印)を解く鍵とした。これらはすべて、エンキの「知恵」によるものである。「合わせ鏡」によって、男神イエスが女神アマテラスに変化したように、呪われた蛇は「生命の樹」では呪いが解ける。そして、「合わせ鏡」ではないが「知恵の樹」の蛇は地に落とされて堕天使ルシファー=サタンの象徴とされてしまったが、実はサタンではなく、「生命の樹」を上昇して至高世界に達する蛇神(へびがみ)である。
「生命の樹」では、マルクトからケセドまでの7個のセフィロト、6本のパス、合わせて13の段階を経ることにより、「知識の門」の前に達する。これ故、13は神聖数字なのである。そして「知恵」を身に付けることにより、「知識の門」を通過して精神的に神界=至高世界に達する。まさに、「知恵(の樹)」があってこその「生命の樹」と言える。エンキは人類に対する慈悲、エンリルは厳しさ、そしてアヌ(アン)は天空の大神なので、「生命の樹」の各柱の対応は次のようになる。

「峻厳(しゅんげん)の柱」エンリル
「均衡(きんこう)の柱」アン
「慈悲(じひ)の柱」エンキ

 エンリルの目はすべてを見通すことができ、エンキは“ニニギク(目の清い神)”と言われたことから、「生命の樹」の至高世界から覗く目は“すべてを見通す目”とされた。ただし、「生命の樹」においては、後ろ向きのアダム・カドモン(カバラの言葉で神によってつくられた神の写し、人間の原型)の右側(慈悲の柱)が重要であるから、ヤハウェ=イエスに反映される“すべてを見通す目”は後ろ向きの右目=正面向きとした場合の左目の形であり、これが“エンキ=ニニギクの目”である。対して、左目=正面向きとした場合の右目は“エンリルの目”であり、人類に対する厳しさを表す。これが、後に改竄されて“エンリルの目”は“ルシファーの目”となった。生命の樹の上部3つのケテル、コクマー、ビナーからなる三角形は、至高の三角形と呼ばれ、ロゴスの三角形と呼ばれることもある。


 また、“主なる神”エンリルは天使ケルビム(アヌンナキの見張り)をアヌンナキの居住区に置き、人類が浸入できないように、きらめく剣の炎で守らせた。この剣は、レーザー光線銃あるいは司令塔から照らされるサーチライトの光である。


オーストラリアのウォルフ・クリーク・クレーター--------------------------------------------------

 この時期、オーストラリアの奥地に隕石が衝突し、直径約900m、深さ30mのウォルフ・クリーク・クレーターができる。


■紀元前30万6000年頃

増えてきたアダムとティ・アマトの子孫----------------------------------------------------------------

 エンリルの命令でエディンからアブズへ、アダムとティ・アマトは追放された後、木々の間の囲いの中にエンキは彼らを置き、互いに知り合うように彼は彼らをそこに残した。ニンギシュジッダの行為の実現を、喜びを持ってエンキは見た。ティ・アマトの妊娠をとても喜んでいた。ニンマーは出産を見にやって来た。息子と娘の双子が産まれた。驚嘆の目でニンマーとエンキは新生児たちを見つめた、彼らの成長・発達は驚きだった。何日かは何ヵ月かのようで、地球の何ヵ月かでニビルの何年分もが経過した。アダムとティ・アマトが他の息子や娘たちを産むころまでには、最初の子供たちは自分の子供たちを産んでいた。ニビルの1シャル(3600年)が過ぎる前に、地球人たちは急速に数が増えていた。

 原始労働者たちは理解力を与えられ、命令を彼らは理解した。彼らはアヌンナキと一緒にいたいと願っていた。食料配給を得るため彼らは苛酷な仕事も良く行った。熱も塵も彼らは不平を言わなかった。骨の折れる仕事にも彼らは文句を言わなかった。アブズのアヌンナキは困難な仕事から解放された。大切な金がニビルへ送られて来て、ニビルの大気は徐々に癒されていたので、地球の仕事(ミッション)は誰もが満足する方向に進んでいた。


 天から地球へやって来たアヌンナキの間でも、結婚や出産があった。エンリルとエンキの息子たちは、妹や異母姉妹から、癒しの英雄たちから、配偶者を得た。地上で彼らに息子や娘たちが産まれ、彼らはニビルのライフサイクルを与えられていたが、地球の周期によりそれが速められていた。ニビルではまだおしめをしている赤子が、地球では子供になっていた。ニビルでは這(は)い始めたばかりの幼児が、地球で産まれると走り回っていた。ナンナルとニンガルに双子が産まれたとき特別の喜びがあった。娘と息子だった。彼らはニンガルによりイナンナとウツと名付けられた。彼らにより、第3世代のアヌンナキが地球に存在するようになった。

 この三世代揃うことの喜びは、神宮式年遷宮の最初の大きな行事である“宇治橋渡り初め”が三世代揃った夫婦によって始められることの原型となる。
 渡り初めの先頭は、渡女(わたりめ)という老女。渡女は旧神領民の内から選ばれるが、3世代の夫婦が揃って元気ということが条件である。白衣を被った渡女は、夫、子供夫婦、孫夫婦を従えて、新しい橋を東から西へと渡る。



■紀元前30万年頃

 地球上のアヌンナキとリラ人の間で戦争が勃発した。最終的にはリラ人は戦争に敗れ、地球がアヌンナキの領土となった。この戦いは核戦争にまで発展した。敗れたリラ人は太陽系を離れ、プレアデスに新しい住居を見つける。


■紀元前25万3700年頃

初期王朝時代I(大洪水以前)--------------------------------------------------------------------------------

 アヌンナキよって作り出され、その中から選ばれた子孫達であるアルリム王が、メソポタミアにあったシュメールのエリドゥを支配し始める。それによってシュメール王朝の最初の王となったアルリムは、王権を手にした。
 ここより大洪水までの24万1200年は、下記の王達が都市を変えながらシュメールを支配していく。

エリドゥ王アルリム(在位28800年間)
エリドゥ王アラルガル(在位36000年間)
バド・ティビラ王エンメンルアンナ(在位43200年間)
バド・ティビラ王エンメンガルアンナ(在位28800年間)
バド・ティビラ王ドゥムジ(牧神)(在位36000年間)
ララク王エンシブジアンナ(在位28800年間)
シッパール王エンメンドゥルアンナ(在位21000年間)
シュルッパク王ウバル・トゥトゥ(在位18600年間)
紀元前12500年頃、大洪水


■紀元前25万年頃

イタリアのネアンデルタール人---------------------------------------------------------------------------

 1930年にイタリアのラツィオで発見された頭蓋骨を調査した結果、紀元前25年頃、イタリアにはネアンデルタール人が存在したことがわかった。

■紀元前22万4900年頃

 この頃はメソポタミアのシュメール王朝のエリドゥの王が、アルリムからアラルガル(在位3万6000年間)へと変わる。

■紀元前20万1600年頃

地球の氷河期と人口減少-----------------------------------------------------------------------------------

 そして地球は氷河期(ヴェルム氷河期)に入る。気候の厳しさにより、地球上の生物は総じて退化した。気候の寒冷化によって飢饉が発生した。飢餓にあえいだ人類は、創造主であるエンキに救いを求めた。エンキはさまざまな人類救済策を提案したが、すべてエンリルによって棄却された。気候の厳しさにより、人類も退化を余儀なくされた。そしてこの時期に人口が激減した。

■紀元前18万8900年頃

 この頃、メソポタミアのシュメール王朝がエリドゥからバド・ティビラへ、そしてアラルガル王からエンメンルアンナ(在位4万3200年間)に変わる。



■紀元前17万4500年頃

 この頃の人工的に作られたネアンデルタール人の洞窟の中から、40cmほどの円筒形のスタラグマイトが発見された。この洞窟はフランスのブリニケルにあり、入り口から336mあった。
 
■紀元前16万9200年頃

太陽系へのニビルの接近-----------------------------------------------------------------------------------

 この頃、3600年周期でニビル星が太陽系に接近していた。指導者たちの子孫に、任務が割り当てられるようになった。昔の雑用がいくつか分担され、子孫たちにとっては仕事が楽になった。昔の雑用には、新しい任務が付加された。
 地球では気温が上昇し、植物が繁茂し、野生動物が土地を蹂躙(じゅうりん)した。雨は多くなり、川は勢いよく流れ、暑さが増していった。そして、南極では氷が解け始め、ゴロゴロと地球が鳴っていた。海では砂洲(さす)が無くなった。陸地では火山が噴火し、地面が震えた。アブズの先端“下の方の世界”に、エンキは観測所を設置し、息子のネルガルとその配偶者エレシュキガル(イナンナの姉)にそこの指揮を委ねた。未知のことが起ころうとしていることを、ネルガルはエンキに告げた。
 “下の方の世界”とは、アフリカ南端である。それは、エリドゥなどから見て下の方、ということである。そして、“天界”のニビルに対して、“冥界”の原型となった。つまり本来は冥界とは地獄界のことではなかった。

 考古学者のマイケル・テリンガーは、紀元前20万年から前16万年の間の無数のストーンサークルやストーンカレンダーを、南アフリカのムプマランガなどで発見している。ここはジンバブエ(アブズ)の南に位置している。


 世界中にあるストーンサークルなどは、アヌンナキが作ったものである。紀元前900年頃のストーンサークルの役割は第1に神殿、第2に天文台、第3がアヌンナキへの人身御供(ひとみごくう)の場だった。

ムプマランガのストーンサークル(グーグルマップ)
Carolina -- 25 55' 53.28" S  30 16' 13.13" E
Badplaas -- 25 47' 33.45" S  30 40' 38.76" E
Waterval -- 25 38' 07.82" S  30 21' 18.79" E
Machadodorp -- 25 39' 22.42" S  30 17' 03.25" E


 ニップール(ニブル・キ)では、エンリルが天の周回路を観察しており、天空に混乱が起きていることに気付いた。火星(ラーム)からは、マルドゥクがエンキに不平をもらした。「強い風がかき乱しています。厄介な砂嵐です。“打ち出し細工のブレスレット”で混乱が生じています」その後、地球では空から硫黄が降ってきた。それらは空で爆発し、燃え盛る炎となった。
 晴れた日に、それらは暗闇を引き起こし、嵐と共に邪悪な風が暴れまわった。石のミサイルのように、それらは地球を攻撃した。月と火星(ラーム)も大破壊を被り、3つの星は顔が数え切れない傷で覆われた。エンキとエンリルは、アヌに緊急のメッセージを発信した。


 ニビルから返答があった。「天空で、地球を含めた7つの星が一直線に並んでいる。ニビルが太陽に接近したことにより、“打ち出し細工のブレスレット”から細々したものをずらしてしまった!」天の棒を無くし、金星(ラハム)は水星(ムンム)と太陽の側にうずくまり、彼女の壮麗な住まいを捨て、天空のニビルに引きつけられ、天の女王になろうとしていた。彼女を鎮めるため、ニビルは天の深遠から、かつてのティアマトの衛星を出現させた。空の地平線から中心に掛けて、火を吹くドラゴンのように、その尾は伸びていた。日中、それは地球の空を暗くし、夜には月の表面に呪いを掛けた。金星(ラハム)は天体の兄たちに助けを求めた。すると、月(キングゥ)、かつてのティアマトの保護者が応じた。ドラゴンを捕まえるため月(キングゥ)は急いだ。衝突は凄まじく、大嵐が巻き起こり、衝撃で慄(おののき)き震えた。その後、ニビルは遠く離れた住まいに戻り、天空は落ち着きを取り戻した。

 ニビルの接近が原因で、軌道をずれた小惑星が地球、月、火星に降り注いだわけだが、それによって金星はニビルの重力に捉えられ、自転方向が逆転した。そして、かつてのティアマトの衛星が月に激しく衝突し、月の表面はクレーターだらけとなった。月の中は空洞であり、大気も無いため、震動がなかなか減衰しない。

 エンキ、エンリル、マルドゥク、ニヌルタが大惨事の調査に取り掛かった。エンキは地球の土台を調べ、ニヌルタは渓谷(けいこく)が揺れた場所を調べた。ニヌルタは、硫黄ミストと瀝青(れきせい:アスファルト)を発見した。マルドゥクは火星(ラーム)を調べ、大気がダメージを負っていた。彼は地球に帰りたがった。エンリルは火星(ラーム)の中間ステーションを捨て、エディンに“二輪戦車の場所”を設置するよう主張した。それは、最初の着水から数えて、80シャル(28万8000年)過ぎた時のことだった。



エンキとマルドゥクの月へ旅行--------------------------------------------------------------------------

「金属の町バド・ティビラの近くに、戦車の場所を建設しましょう。そこから戦車で金をニビルへ直接運びましょう!」
 そうバド・ティビラの司令官であるニヌルタは、彼らに言った。エンリルは、彼の息子ニヌルタの言葉に注意を払った。彼は自分の息子の智恵を誇りに思った。

 アヌ王へエンリルはその計画を早速伝えた、彼は次のように言った。
「天の戦車の場所をエディンに建設しましょう、金の原石を精錬・精製する場所の近くにそれを造りましょう。純金を戦車で地球からニビルへ直接運びましょう、ニビルから地球へ英雄たちや供給物資が直接来るようにしましょう!」
「弟の計画はとても素晴らしい!」
 エンキは彼らの父アヌに言った。
「その中核に1つ大きな欠点があります。地球の網の引力は火星(ラーム)のそれよりはるかに大きいので、それを乗り越えるだけで我々の力は消耗してしまうでしょう!急いで決める前に、代替案を検討してみましょう。地球は近くに伴侶を持っています。月がそれです!網の引力は小さく、そこからの上昇・下降には努力をほとんど要しません。それを中継基地にすることを考えてみましょう。私とマルドゥクにそこへ旅させて下さい!」

 アヌ王は2つの計画を御前会議のメンバーたちと賢者たちに提出し考慮させた。
「まず月を調査しましょう!」
 彼らは王に助言した。
「まず月を調査しよう!」アヌはエンキとエンリルにその決定を発信した。エンキは大いに喜んだ。というのは彼はいつも月に魅了されていた。どこかに水が隠されているのではないか、どういう大気を持っているのだろう、彼はいつも考えていた。眠られぬ夜、その銀色の冷たい円盤を彼は惚れ惚れしながら観察した。その満ち欠け、太陽と一緒に行っている遊戯、それを彼は不思議な現象の一つとして考えていた。「始まり」からどんな秘密が隠されているのか彼は発見したいと思った。

 ロケット船に乗ってエンキとマルドゥクは月へ旅した。彼らは地球の伴侶の周りを3度回り、龍が引き起こした深い傷跡を観察した。多くのくぼみが、粉砕の悪魔の手細工として、月の表面に印されていた。なだらかな丘のある場所に彼らはロケット船を降ろした。その中央に彼らは着陸した。その場所から彼らは地球と、天の広がりを観察した。鷲のヘルメットを彼らは身に付けなければならなかった。呼吸するには大気が不十分だった。楽々と彼らは歩き回った。いろいろな方向に彼らは行った。悪い龍の手細工は乾燥と荒廃だった。
「火星(ラーム)と違います、中継基地としては適していません!」
 マルドゥクは彼の父に言った。
「この場を見捨てて、地球へ帰りましょう!」
「息子よ、慌てるでない!」
 そうエンキはマルドゥクに言った。
「あなたは地球と月と太陽の天の踊りに魅了されてはいないのか?ここには視界を邪魔するものはない。太陽の居所(いどこ)もすぐ近くに見える。地球は何もない空虚の中にぶら下がっている球のようだ。我々の装置で遠くの天を走査できる。"あらゆるものの創造者"の作品をこの孤独の中で我々は賞賛できる。留まろう、周回を観察しよう、月が地球の周りを回る様子を、地球が太陽の周りをどのように回っているかを!」
 そうエンキは、眺めに興奮しながら息子のマルドゥクに語った。父親の言葉にマルドゥクは説得され、ロケット船の中に彼らは住まいを造った。地球の1周の間、月の上で3周の間彼らはそこに残り、地球の周りの動きを測定し、1ヵ月の期間を計算した。地球の6周の間、太陽の周りを12周の間、彼らは地球の年を測定した。2つがどのように絡み合い、輝きを失う原因を作っているのか、彼らは記録した。
 それから太陽の方に注意を向けた、水星(ムンム)と金星(ラハム)の道を彼らは研究した。
「地球と月と共に、火星(ラーム)は太陽の第2の場所を構成している、6つは"下の水"の天体である。」
 そうエンキはマルドゥクに説明した。6つは「上の水」の天体である。かんぬきである「砕かれた腕輪」の向こうに、それはある。「土星(アンシャー)と木星(キシャー)、天王星(アヌ)とヌディンムド、冥王星(ガガ)とニビル」、これがその他の6つである。全部で12である。太陽とその家族は12から成る。

 最近の大波乱について、マルドゥクは彼の父に尋ねた。
「どうして7つの天体が一列に並んだのですか?」
 そう彼は父親に尋ねた。太陽の周りの回転についてエンキは考えた。彼らの先祖である太陽の周りに大結束している、それをエンキは注意深く観察した。太陽の子孫ではないニビルの動きに従って、大結束の幅の外郭を彼は描いた。アヌ王に因んで「アヌの道」と、エンキはそれを名付けることに決定した。
 奥深い天空に広がる数多くの星を父と子は観察し、その互いの距離の近さと星の集団にエンキは魅了された。天の周回に従って、地平線から地平線まで、彼は12星座の像を描いた。大結束「アヌの道」の中の太陽の家族12の各々と彼はペアを作った。それぞれ彼は位置を指定した、それぞれ名前で呼ばれるように。

 地球からの初の月面着陸は、エンキとマルドゥクである。米国がアポロで着陸したが、米国の象徴は"鷲(わし)"もしくは“双頭の鷲”で、エンキとマルドゥクがつけた鷲のヘルメットである。米国は、このようなシュメールの史実を知っているのである。だからこそ、シュメールのあったイラクに駐留し、関連資料を根こそぎ略奪している。

 現在約205ヵ国の国章のうち、鷲一匹が約29ヵ国、二匹の鷲か双頭の鷲は5ヵ国である。また現代だけに限らず、紀元前1450年からのトルコのアラジャホユックやローマ帝国の時代からも使用され続けてきている。これにはイスラエルの12支族も関係するが、これらを使用しているのは、いつの時代もイルミナティである。

  
 またエンキは月の満ち欠けに魅せられたので、三日月が象徴である。東洋のお月見は、エンキに端を発するのである。エンキの思想は、東洋で脈々と受け継がれてきた。黄道12星座などもエンキが決めたのであり、歳差運動などもエンキが観測した。


 それからニビルが太陽に接近する「アヌの道」の下の天に、帯状の道を彼は作図した。それを彼は「エンキの道」と指定した。その形に基づいて再び12の星座を彼はそれに割り当てた。「アヌの道」の上の天「上の層」を彼は「エンリルの道」と呼んだ、そこでも彼は星を12の星座に集めた。星座は36で、それは3つの道に振り分けられた。
「今後、ニビルが接近し離れるとき、地球から星の位置によりそのコースを知ることができる。太陽の周りを回る地球の位置もそうなるだろう!」
 周期の開始、天の時の測定について、エンキはマルドゥクに教示した。
「地球に到着したとき、終わりに近づいている位置を私は"魚の位置"と命名した。私の称号"海の人(彼)"に因んで、私はそう呼んだ!」
 そうエンキは満足感と誇りを持って息子マルドゥクに言った。
「あなたの智恵を天は抱擁(ほうよう)します。あなたの教えは私の理解を広めてくれます。しかし地球とニビルでは、知識と支配権は分かれています!」
 そうマルドゥクは父親に語った。
「息子よ!何をあなたは知らないと言うのか、何を知りたいのか?」
 エンキは彼に言った。
「天の秘密、地球の秘密を私はあなたと分かち合った!」
「ああ、父上!」
 マルドゥクは言った。悲痛な声だった。
「アヌンナキがアブズでの苛酷な労働を終え、あなたが原始労働者を造られたとき、援助のために呼ばれたのは、私の母ではなくニヌルタの母ニンマーでした。私ではなく私より若いニンギシュジッダが、あなたの援助のために招かれ、あなたは私とではなく、彼らと、生命に関する知識を分かち合われた!」
「息子よ!」
 エンキはマルドゥクに応えた。
「あなたにはイギギと火星(ラーム)の最高権威者になる命令が与えられた!」
「ああ、父上!」
 マルドゥクは彼に言った。
「私達は宿命により最高位を剥奪されています!父上、あなたはアヌの長子(ちょうし)です。しかしあなたでなく、エンリルが法的継承者です。父上、あなたは最初に着水されエリドゥを設立されました。しかしエリドゥはエンリルの領土であり、あなたの領土は遠隔地のアブズです。私はあなたの長子です。あなたの正妻によりニビルで産まれました。しかし金はニヌルタの町で集められ、そこから送るか送らないかによりニビルの命運は彼の手の中にあります。私の手中にはありません。今私達は地球へ戻ろうとしていますが、どういう仕事が私を待っているでしょう。有名になり、王位に就く運命でしょうか?それとも又面目を失墜するのでしょうか?」
 エンキは黙って彼を抱きしめ、荒涼とした月の上で彼に約束した。
「私から剥奪されたものがあなたの未来になるであろう!あなたの天の時はやって来る。あなたの位置が私の位置に加えられるであろう!」


■紀元前15万8400年頃

シッパールの建設-------------------------------------------------------------------------------------------

 シッパールの建設は81シャル(紀元前15万8400年頃)に始まった、それはエンリルの計画に従った。ニップールがその中心だった、それは「地球のへそ」とエンリルによって指定された。いくつかの円上に位置や距離によって昔の町が配置されるに従い、下の海から山の方に向かって指している矢のようにそれらは配置された。アララテ山の双子の峰の上に、北の空の方に向けて、彼は線を引き、矢とアララテ山の線が交わる所に、地球の戦車場、シッパールの場所を彼ら印した。そこへ矢は真っ直ぐ導き、それはニップール(ニブルキ)から等しい円により正確に配置された。その計画は素晴らしかった。その精確さに誰もが驚嘆した。

 ■紀元前15万4800年頃

シッパールと天への門の完成-----------------------------------------------------------------------------

 シッパールの都の中心部には、「ニビル・キ」と名付けられたアヌンナキの中枢機関が置かれることになった。シッパールの都は、そこから四方に広がるように開発は進んだ。最終的には、エンリル自らが運命の石板で新しい港の設計をして、ニビルのアカデに負けないくらい整った都市が形成されていった。
 エンリルの息子ナンナールに生まれた双子の兄妹の兄、ウツがシッパールから少し離れた場所に新しく建設された、「天への門」の神となった。エンリルは、自分の可愛い孫が大役を引き受けたことを誇りとした。「シッパール(sippar)」は、エンリル自らが進んで開拓した都である。ニビルに通ずる重要な港都市がシッパールである。

 アヌは、「天への門」が完成したと聞くといち早くニビルから飛んできた。そのときアヌは、シッパールの神ウツとそこのアヌンナキたち全員に、鷲の紋章が入った制服を記念に贈った。到着したアヌは、その管制塔の素晴らしさに両手を叩いて喜んだ。
「最高の出来ではないか!ウツ、よくやってくれた!」
 アヌは、皆の前でウツを褒め称えた。そのとき開港式が開かれた。この機会にイギギがマルドゥクの命令により、火星(ラーム)から地球へやって来た、着陸場所とアブズからもアヌンナキが集められた。背中の叩き合いと歓声、祝宴と祝賀会が催された。

 そのとき一人の踊り子が、会場の舞台に現れ、アヌのために舞を披露した。さて、そのときの踊り子こそが、ウツの双子の片割れの妹、イナンナだった。
 イナンナは、二つの翼の紋章(ニビルの象徴)が付いたヘルメットをかぶり、シェム用のゴーグルをかけてニビルの操縦士の姿で登場して皆を驚かせた。彼女が、皆の間を巧みにすり抜けながら踊ると、誰もが失神させられそうになった。イナンナは自分が奏でる横笛のリズムに合わせて体をくねらせている。そのしなやかな動きに、アヌはもちろんのこと、アヌンナキの男の神々は皆、一瞬にして若きイナンナの虜になってしまった。イナンナは武装姿であっても、女性性に満ちた曲線美で皆を魅了した。アヌンナキの男神たちは、足元から勇気が湧いてくるような感覚を覚えた。

 アヌは彼女にキスをした。「アヌの愛する者」という意味で、彼は彼女に愛情をこめて、アヌニトゥと呼んだ。出発の前に、アヌは男女の英雄たちを集めた。「新時代が始まった!」そう彼らに言った。
「金の救いが直接提供され、苛酷な労働の終わりが近づいている!ニビルの保護のために十分量の金が貯えられるならば、地球での労働は減少し、英雄たちは男性も女性もニビルへ帰るようになる!」
 このようにアヌ王は集まった人々に約束し、彼らに大きな希望を与えた。苛酷な労働が2~3シャル(7200年〜1万800年間)続いた後、彼らは故郷へ帰るようになる。前よりはるかに壮観ななりでアヌはニビルへ戻って行った。金、純金が彼と共に運ばれた。

 ウツは新しい任務を大切に行った。バド・ティビラのニヌルタは指揮権を保持した。マルドゥクは火星(ラーム)へは帰らなかった。また父親エンキと一緒にアブズへも行かなかった。天の船で地球を把握するために、あらゆる大地の上を彼は徘徊したいと思った。イギギに関しては、ある者は火星(ラーム)に、ある者は地球に、ウツがその指揮者とされた。

 アヌは地球を去る前に、イナンナと二人だけになれる特別な時間をとった。シェムに乗り込む直前にも、イナンナを引き寄せて別れの熱いキスを交わした。アヌからエンリル、そしてナンナールからイナンナと、これだけ世代が離れているのに、その関係性は深遠な仲でもあった。アヌは一族たちに別れの挨拶をした。
「諸君、アヌンナキの新たなる時代がやっと訪れた、おめでとう!金がスムーズにニビルに運ばれると貯蔵することが可能になる。そうすればもっと楽になるだろう。それまでの辛抱だ。では、また!」
 アヌはシェムに乗り込み、瞬く間に天への門から出港していった。

ウツとニビルのシンボル-----------------------------------------------------------------------------------

 シッパールの指揮権が与えられたウツのために鷲(わし)のヘルメットが作られ、彼は鷲の翼で飾られた。



 シッパールには、ウツの神殿エバブバラ(光り輝く住宅)があった。そこは文明がシュメールで花開いた時、公正な法律の場所であり、ウツ自身が人々を裁いている姿も残されている。シッパールはシュメールの最高裁判所でもある。ハンムラビはウツの律法を石碑に記したが、それがハンムラビ法典であり、石碑の一番上にはウツが描かれている。


 ウツは正義を保証して圧迫を防いだので、“旅行者の保護者”と見なされた。ハンムラビはウツのことをアッカド語で“シャマシュ”と呼んだ。セム語では“太陽”という意味で、ウツは“メソポタミアの太陽”に相応しい神だった。ウツの別名が“バブバル=光り輝く者”であり、光を注ぎ、“天と地球を照らす者”だった。
 この名こそが、天照大神の元なのである。そして、ウツが転じてウヅ、ウジとなる。太陽神ウツである。
 “ウツ”とは正確には“輝き進む者”の意味で、アッカド語ではシェム・エシュと言う。シェムは“ムーであるもの”=空飛ぶ機械、エシュは“火”なので、シェム・エシュは“火を噴くジェット機、ロケットの男”という意味である。ウツが管理していたシッパールは“鳥”を意味し、宇宙空港だった。
 また、シャマシュは“シェムと鷲たちの離着陸の場所を管理する神”という意味でもあり、ウツら神々は鷲の紋章を付けた制服を着用していた飛行士でもある。頭の鷲のくちばしのように見えるのはゴーグルである。
 その図をA、Bに、併せて着陸地点の印をCに、そして神々の星ニビルの象徴をD~Iに示す。Aは太陽神ウツ。両手首に巻かれたものはBのような図形で、菱形の部分が中高世界、並ぶ3つの菱形が3本の柱を表す「生命の樹」。上部の至高世界には、12人の神々を表す十二紋菊が描かれている。着陸地点の印は大きく見て“丸の中に十字”で、十字の周りは六芒星=ダビデの星をデフォルメした図形である。

 そして、アヌはあん=阿吽で、阿(あ)は開いた形で丸、吽(ん)は閉じた形で十字がシンボルなので、“丸の中に十字”は大神アヌとニビルの象徴である。アルファでありオメガ、も同じことである。そして、日の丸も同じである。また米国軍や宇宙飛行士の鷲のマークは、これら粘土板の絵が元だった。

 そして、芸能の女神であり、日本最古の踊り子アメノウズメノミコトが天岩戸の前で歌い踊ったことの原型は、イルニンニ(イナンナ)が大神アヌの前で歌い踊ったことだったのである。

兄のウツ------------------------------------------------------------------------------------------------------

イナンナは語る。
「古代シュメールやバビロニアの文献には、私の兄であるウツは、「法の神」と記録されています。確かに彼は、法の神様として崇められてきました。ただ、私はアヌンナキのヒエラルキーには賛成できません。しかし、私はいつも兄に恋心を抱いていたことは確かです。」

 イナンナには双子の兄、ウツがいた。エンリルと正式な妻ニンリル、風の神と風の女神との間に生まれたのが、月の神ナンナールである。ナンナールが月の女神ニンガルと結ばれて生まれたのが彼らである。

 ウツはイナンナよりも先に母親の外に出た、ということで兄なのである。ただそれだけが理由で、アヌンナキ社会においては、ウツにはイナンナよりも、ずっと多くの特権が与えられていた。彼が地球総司令官であり、アヌの王位を受け継ぐエンリルテ(エンリル一族)の皇子なのである。
 ウツはルルたちに法を教えた。大きな使命を担ったウツの方が、イナンナより条件の良い領土を与えられていたのも当然ではある。けれども、ウツはイナンナのような野心は持ち合わせていなかったので、イナンナは特に兄を相手に戦うこともなく、兄妹仲は良好だった。
 そういうことからイナンナは、ウツへの特別な配慮も含めて、いたって封建的で、能力主義ではないアヌンナキの制度に不満を抱いていた。特に領土分配はナンセンスなヒエラルキー(階層)によって歪められていると常々感じていた。そのような理屈に合わない風習自体が気に入らなかった。
(アヌンナキの非合理な習わしにはわたしは従えない!誕生の前後によって左右されるなんて、まっぴらごめんだわ……)
と、イナンナはウツに対して思うこともあったが、しかしウツ自身は、イナンナ同然、月の神と女神の子だけあって美しく、輝くブルーの光に包まれていた。ウツはイナンナよりもおおらかな性格をしていた。
 よってイナンナは、ウツに対して敵対心を抱くことはなく、それどころか、恋心を常に抱いていたくらいである。ウツに比べてイナンナのほうは、戦士として男神にひけをとらないほど優秀だった。このようなことからイナンナは、常に能力主義を訴え続けた。


 しかしながら、イナンナにとってはどうにもならないアヌンナキのヒエラルキーがあるおかげで、宇宙の秩序も保たれている、ということも確かであった。
「愛の女神」と呼ばれるイナンナは、とにかく自分の実力を試したかった。どれほどの可能性があるのかを追究することに彼女は夢中になった。野心に燃えるイナンナにことごとくストップをかけるのが、アヌンナキのヒエラルキーであり、それはイナンナの不満を募らせる原因となった。「野心」こそが、イナンナをイキイキさせてくれる源である。けれどもそれによってイナンナは、不幸な結果を生み出すことになる。その血縁関係が悲劇を生み、その終わりなき戦いはルルたちにも受け継がれていった。

イナンナは語る。
「アヌ一族の悲劇が、今のような地球の状況にしたといっても決して過言ではないのです。けれども、この物語を通してシンボルを拾い集め、コードとして読み取ってください。重大なメッセージが託されているでしょう。そうです、いちばんはじめのはじめを知ることによって、さまざまな気づきに導かれます。いろんな謎が解けた暁には、きっと本格的なシフトが訪れることでしょう。そのとき、愛する者たちが住む惑星地球は戻ってきます。まるで電球がついたかのように、あたりはパッと明るくなるでしょう。さらにいえることとしてその光は、太陽系全体を明るくし、銀河系にも連鎖して照らし輝くでしょう。今まで暗かったこの世界がぱっと明るくなる・・・これをあなたは体験します。」

イナンナの冥界入り----------------------------------------------------------------------------------------

エレシュキガル:イナンナの姉でナンナールが、ニンガルと正式に結ばれる前に、ヘビ族のラクササスの皇女と結ばれて生まれたイナンナの姉。魔法を使ってライオンなどに変身できる。ネルガルと結ばれて、アンダーワールドを支配している
グガランナ:エレシュキガルの母。ヘビ族のラクササスとシリウス星人のハイブリッド。
ニンシュバル:イナンナの召使
ネティ:エレシュキガルに使える黄泉の国のゲートキーパー

シュガルラ:シェムに乗る時や戦闘する時にイナンナが頭につけたヘルメット
サッカル:僕・召使を意味するアヌンナキの言葉
ガンゼル城:黄泉の国のエレシュキガルの城


 イナンナは、滅多に姉のエレシュキガルと会うことはなかった。なぜならば、エレシュキガルが自分に嫉妬していることを知っていたからだ。ふたりの父であるナンナール(月の神)は、イナンナの母ニンガルと結ばれる前に、アブズの果てに旅して、そのときにラクササス帝国のプリンセス「グガランナ」と恋をして結ばれた。ラクササス族というのは、地球が誕生するや否や、ほかの星から移り住んだ、地上でいちばん古いヘビ族で、その血が流れるのがエレシュキガルである。

 エレシュキガルの母グガランナは、イナンナの母親にひけをとらないくらい美しい姿をしている若き姫で、魔力を秘めた美しいグリーンの瞳をしていた。ナンナールはグガランナの美しさに一目ぼれして、結ばれて生まれたのがエレシュキガルである。ナンナールはイナンナの母、ニンニルと結ばれたあとも、グガランナと交際を続けた。

 イナンナより先に生まれたエレシュキガルは、あとから生まれたイナンナに対して強い嫉妬心があった。まず自分が、イナンナのように純粋なアヌの血を受け継いでいないことがひとつで、”me(メ)”の数はイナンナに負けることなど、なにかとイナンナを恨んだ。

 エレシュキガルの母親は、誇り高きラクササスの皇女(プリンセス)、「グガランナ」であることにはちがいなかった。そんなすぐれたハイブリッド宇宙人がグガランナであり、自身も父方のシリウス系のブラッドラインを引いていることから、アヌンナキの間でも高次の存在として知れわたっていた。しかし、母グガランナに起きたある不幸が原因で、娘(エレシュキガル)とは会えなくさせられた。ということでエレシュキガルは、生まれてからすぐラクササス帝国の王家に引き取られた。
 ラクササス族はヘビ族の中でも、いちはやくから地球にやってきた。彼らの大半がスネークの特徴を持ち合わせていて、人間界ではいわゆる悪魔や鬼の姿で現れるといわれている。とくに人類の創世記においては、聖書よりももっと古い時代シュメールにおけるルルたちには、特に恐れられていた存在なのである。だがラクササス族の特徴は、変身する力を持っていたことである。見るからに母親ゆずりのラクササスの血の濃いエレシュキガルは、別の姿で現れることもあり、魅力的な女戦士の姿で現れたり、ライオンの姿で現れたりすることができた。
 エレシュキガルは、妹のイナンナと比べても、まったく姉妹には見えないほどちがっていた。エレシュキガルはイナンナよりも、体格がひと回りほど大きく、筋肉質で、見るからにパワフルだった。そんな姿で彼女はたまにアヌンナキの会議に姿を現す。あまり姿を現さない彼女のこれが、ほんとうの姿だった。

 彼女はイナンナのように、体全体からブルーの光を放つプレアデス系の宇宙人ではなかった。エレシュキガルは、ラクササスのグリーンの目をしていた。肌はシリウス系特有の虹色の光沢があった。
 エレシュキガルもまたほかのアヌ一族の女神たちと同じように、自分の魅力を大いに活用して、たとえばエンキを仕留めたりしてパワーを追い求めていた。そんなエレシュキガルは、アヌンナキの女神の誰よりもいち早く、エンキの二男ネルガルを見事に仕留めて、妃となっていた。しかし、そこはアヌンナキの女神で、エンキともイナンナよりずっと前から親しい関係が続いていた。


 エレシュキガルは、ラクササスに伝わる奥義である「クンダリーニ」とよばれる、エネルギーソースにいつでもタップインできる術を知っていた。まさしくそれがヘビ族に伝わる秘宝であり、それは彼らヘビ族特有の長い脊髄(せきずい)を使う魔法をもって、遥々銀河の果ての惑星からドラゴン族に追われるようにして地球に辿り着いた異星人なのである。
 彼らは瞬間的に一関節ごとに宇宙の壮大なエネルギーを伝達する術を知っていて、中でもエレシュキガルはその達人であり、彼女は自分の頭からと、尾っぽから同時にエネルギーを吸い込んでは、コロコロと変身することができる。

 エレシュキガルは、宇宙のどの星の生き物よりも変身は器用で、複雑な生き物に変身する。しかしながら彼女の弱点というか、凶器というか、それは「怒りの感情」であり、これは人間には比べものにならないほど激しいものである。彼女は地底で眠っていた恐ろしい悪魔を呼び覚ますこともできる。みるみるうちにエレシュキガルは恐ろしい猛獣に変身して、カニバル(人喰い)としても知られ、アヌンナキの男神たちの間でも、本当の彼女の正体を知っている者たちから恐れられていた。
 筋肉質の美女戦士ともいうべき姿が普段のエレシュキガルであるが、そのような女神の極端な半面は、ニビルの女神たちならみんな持ち合わせている特徴だった。
 エレシュキガルの夫であるネルガルは、実際にエンリルテ(エンリル一族)の女神たちの憧れの的で、決してイナンナも惹かれていなかったというわけではない。女神たちから見ても、もっとも安心できる魅力的なポストにいたのがネルガルである。いうまでもなくエレシュキガルは、ネルガルを自分のいちばんの宝とした。

 エレシュキガルはネルガルと結ばれてからすぐに、エンキから「黄泉の国」の守護神となる大役を仰せつかった。夫のネルガルと共にエンキテの土地のアブズの南の果ての領土を任せられた。そこは場所的にいうと、アフリカの南端から南極にかけての土地で、そこは現代の地図では探すことのできない幻の大陸だった。
 当時地球に降りたったアヌンナキらによって、そこら一帯は、「地界(アンダーワールド)」と呼ばれた。そこにはやたら毒ヘビや昆虫が多く生息し、木一本さえ生えない乾燥した砂と崖だらけの土地だった。誰も足を踏み入れない知られざる場所に、エンキはアヌンナキの大切な宝物をたくさん隠しておいた。そして、そこを守るという大切な任務をエレシュキガルに委ねた。
 よって彼らは、つまりエレシュキガルとネルガルは、追放処分を受けてアヌンナキの都から遠く離れた土地に移り住んだのではない。「地界(アンダーワールド)」は、エンキの秘密の宝物がたくさん隠されている「黄泉の国」への入り口で、アヌンナキの女神の中でも、決してイナンナにひけをとらないくらい重要なポストにいるのが、黄泉の国の女神、エレシュキガルなのである。

 アブズの最南端からネルガルとエレシュキガルが支配する「地界(アンダーワールド)」が広がっている。そこは、現在の地図でいえば南極あたりであり、そこに「黄泉の国」の入り口があった。エレシュキガルは、その場所に「ガンゼル城」と自らが称す立派な城を建てた。彼女はたいていは、その中で過ごしていた。
 ガンゼル城は、クリスタルや宝石が豊富に施され、広大で美しい。が、その城には死人以外誰も訪ねてこないので、淋しい雰囲気を漂わせていた。その大きな城のどこかに、エレシュキガルはいつもひっそりと身を隠している。そして彼女は、自分の部下にしっかりと黄泉の国の入り口を守らせていた。ガンゼル城のどこかに黄泉の国に下る扉がある。その奥にエンキは誰にも知られてはならない大切な宝物を隠した。
「地界(アンダーワールド)」は、恐ろしくて誰も近づかない。それはアヌンナキだけではなく、ルルたちも同じであり、そこにいくとヘビの魔物が出てきて喰われてしまうと伝えられていた。そんなガンゼル城の中のあらゆる場所にエンキの宝物は隠されていた。地球でいまだかつて発見されたことのないような珍しいダイアモンド鉱石の種類やサファイア、そしてもちろん、特上の金の塊がその壮大なスケールの城のどこかに収納されているということを、イナンナは以前にエンキから聞かされていた。

 ではなぜ、エンキの宝の隠し場所が、「黄泉の国」なのか?それは、エンキとエレシュキガルだけが知っている秘密なのである。おそらく彼らは、死んだアヌンナキの魂を、なんらかの魔法によって甦らせるというある種の錬金術的な方法で、他次元への旅へと送りだすことをしていたにちがいない。アヌンナキの尊い魂が無事にこの世を離れ、次なる星でも永遠の命を授かるようにと、彼らはきっと準備するために黄泉の国を創ったのだろう。
■紀元前15万1200年頃

ニビル星に戻っていったアヌンナキ---------------------------------------------------------------------

マルドゥク:エンキの長男。エンキがニンキと結ばれる以前にヘビ族のラクササスの皇女と結ばれて生まれた。宇宙征服の野心を持ち、エンキテ(エンキ一族)の中で力をつけて、イナンナに対抗する。後にラーの神(光の使者)、アムン(隠れた神)と呼ばれる
ニヌルタ:エンリルの第一子。エンリルが若い頃、ニンマーと駆け落ちして生まれてきた男神

 ウツがシッパール近くの「天への門」を司る神となった頃には、マルドゥクはイギギを引き連れて地球に移住した。そうして地球にやってきたマルドゥクは、父エンキが住むアブズにも立ち寄ることなく、早速それまでの念願だった地球放浪の旅に、ひとり自家用シェムに乗って去った。
 そのころの地球はというと、今までずっと重労働に身を投じてきたアヌンナキが、やっとニビルへの引き上げが許可される時期を迎えていた。アヌンナキが地球に降り立ってから、すでに人口は増え、ニビル星人を全員一度に帰すことは到底できないことだった。そこで、ヒエラルキー(階層)の上位から、ニビルに帰還することになった。しかし、これに腹を立てたのは、現役で重労働を課されているアヌンナキの労働者たちだった。不満の声は、ニヌルタの管理下にある「バド・ティビラ」で事件の発端となることが起きた。彼は父であるエンリルに、
「父上、なぜ、アブズだけにルルが配給されるのですか?バド・ティビラには、ルルをいつ送ってくださるのですか?」
と、不満をぶつけた。しかし、この問題は複雑で単純には解決できそうもなかった。やがてあちこちの都で、アヌンナキのピラミッドのいちばん底辺にいる労働者階級が暴動を繰り広げた。

 金属都市のバド・ティビラは、地球ニビル間のルート改正後、最も発展した都市である。この都市を任されたのが、エンリルテの王で兄のニヌルタである。それにしてもアブズでは、アヌンナキの労働者の任務が終わり、次々と上層階級からニビルに引き揚げているにもかかわらず、バド・ティビラでは、未だにルルが不足していてアヌンナキが重労働に苦しんでいた。これにはニヌルタも我慢がならず、彼自身も労働者階級を扇動して暴動を企てた。ニヌルタは「戦争の神」とルルたちから呼ばれている通り、彼自らも武装してアヌンナキの遠征隊を指揮した。そして、アブズに攻め入った。ニヌルタは、現地で増えたルルを網で捕獲しては、金属都市バド・ティビラに近いエディン地方まで連れていった。ニヌルタのこの謀反(むほん)に対してエンリルは怒った。
「ニヌルタ、お前はなんてことをしでかしたんだ!私があれほど苦労してアダマとティ・アマトをエディンから追放したのに!」
「父上、違います!原始的労働者が生まれる以前にアブズで起きたような暴動が、バド・ティビラでも起きるのを恐れたのです。だからルルをエディンに連れて帰ったのです。でも、こんなことはもうすぐどうでもよくなります。そんな時代がやってくるのです。ですから、この一件はお見逃しください!」
 ニヌルタは必至で弁解したが、そんな言葉に納得させられるエンリルではなかった。
「勝手にするがいい。私は一切お前のしたことに責任は持たないし、援助も差し伸べないからな!」
 エンリルから見放されてもニヌルタは、捕獲したルルをエディンに連れてきた。ニヌルタは、彼らがあらゆる雑用をこなせる召使となれるように訓練した。ルルたちはまだ服も与えられていない全裸の状態で仕事をさせられていて、あとは放し飼いにされていた。欲情に任せて草木の茂みでルルたちは絶えずつがっていた。そして、1シャル(3600年)が過ぎるころにはルルたちは増えて、四世代目、五世代目が誕生してから地球の人口は徐々に増え始めていた。


 ■紀元前14万5700年頃

 この頃、メソポタミアのシュメール王朝のバド・ティビラの王が、アラルガルからエンメンガルアンナ(在位28800年間)に変わる。


■紀元前12万9600年頃

 この頃、地球人の繁殖にエンキは喜んでいた。アヌンナキの分担ははるかに軽くなり、彼らの不満は減少した。地球人の繁殖により、アヌンナキは労働を止め、人間の労働者たちは奴隷のようになっていった。7シャル(2万5200年)の間、アヌンナキの分担はずっと軽減された。彼らの不満は少なくなった。


■紀元前11万8800年頃

捨て子のアダパとティ・ティ------------------------------------------------------------------------------


 この頃、3600年周期でニビル星が地球に接近していた。地球上のルルたちの人口が増加していた。ついに、肉体労働を課せられているアヌンナキはほぼなくなり、暴動や不満の声も消えたものの、それもつかの間だった。こんどは、ルルが食糧危機に直面するという事態が起きた。
 アヌンナキが創造した、「ルル」と彼らが呼ぶ原始的労働者たちが増えていったことによって、自然界の食べ物だけでは不足するようになった。それにしてもまだ、ルルたちは海の幸を糧とする知恵がなかった。金の採掘を課せられている彼らは、重労働の合間に野山で食料を漁(あさ)るような生活をしていた。
 エンキは、そんなアダマ(アダム)の子孫たちの姿を観て、能力開発の必要性に気づいた。ルルは従順で、ある程度の道具を使いこなせても、まだ協力し合って食べ物を育てたり、備蓄するような能力はなかった。とはいっても、その頃の地球はまだ農業の概念さえ生まれておらず、家畜の原形となる動物(羊類)さえもニビルからまだ運ばれてくる前だった。そんな時代に、ルルたちの都であるエディン周辺で暮らすアヌンナキには、一家庭に必ず一人は、ルルの奴隷がいた。

 このようにある程度の安定が見られた頃に、またもやニビル星が接近してきた。接近するにしたがって、いつものように地球は異常気象に見舞われた。
 アブズ以外の5つの都市でもルルが増え続け、栄えていった。ニヌルタの都「バド・ティビラ」にも食糧危機が襲ってきた。エンキとエンリルは、またもやこの緊急事態を乗り越えるために、シナイ半島を中心に散らばっていた自分の子供たちや子孫を召集して、アヌンナキの会議を開いた。その会議では、最初にエンリルがエンキを厳しく責めた。
「そもそも君のせいで、こんな事態になってしまった!ルルだけではなく、我々アヌンナキの食糧まで不足するとはどういうことだ?!この解決策は君が考えるべきだ。」
「確かに、私に責任があるかもしれない。でも、ルルの誕生によってアヌンナキの労働が軽減されたことも事実だ。あれから7シャルが経ち、最近ではルルが魚や野生動物を捕獲できるようになったことも観察されている。もちろん、それでもまだ十分ではないだろう。だから、今度は彼らに穀物の種を蒔かせ、羊を飼うことを覚えさせようと考えているところだ。」
 エンキのアイデアには誰もが賛成した。エリドゥに戻ったエンキは、ルルたちのジーンになにが不足しているのか、そのために彼らの「生命のエッセンス(DNA)」を徹底的に再調査した。
 エンキは高官イシムドと共に、フィールドワークに出かけた。そこでアブズの発掘現場で働くルルたちや、エディンの森で野性的に暮らしているルルたちをまず観察してみることにした。

 調査を通してわかったことは、ルルたちの子供に顕著に現れていた。ルルの子は進化するどころか、なんと退化しているということがわかった。これにエンキは大ショックを受けた。
 群れになって荒野に生息する彼らは、濃くなる血縁関係が原因で、遺伝子に異常を生じさせていた。このあたりが、彼らとアヌンナキとの決定的な違いであることは言うまでもなかった。これはアヌンナキが人間に人工的な操作によって起こさせた欠陥でもあった。アヌンナキにはプラスに働く近親相姦(きんしんそうかん)が、ルルたちの場合は反対に働くということをエンキははっきり確認した。
 野生化したルルの中には衰弱しきっている者たちもいて、エンキは哀れな彼らの姿を見るたびに心を痛めた。そんなエンキはあるとき、ルルを観察するために、ユーフラテス川を上流へと上った。野生のルルが生息するエリアを探した。しばらく舟を漕いで行くと、ルルの子供たちが楽しそうに水浴びをしている光景にエンキは遭遇した。その中に二人の若い娘が混じっていた。その小さな胸の膨らみからするとまだ少女で、エンキはそのはつらつとした野性美に目を奪われてしまった。エンキは彼女たちにちょっと挨拶がしたいとイシムドに頼んだ。
「もちろん、お好きになさいませ。舟を寄せましょう」
 イシムドは心よく返事して、乗っていた舟を岸辺につけた。アヌンナキの神々は人間よりも性には奔放だ。調査という任務をすっかり忘れたエンキは舟から飛び降りると、そのふたりの野生のルルの娘たちに近づいた。エンキに気づいた少女たちは、驚き目を丸くしてその場に立ち尽くした。エンキは、携えていた箱の中から首飾りを取り出して、一人の娘の首にかけてやった。するとその子は喜んでエンキの後について森の中へと消えていった。

 エンキが足を止めるとその子は、近くの木から果実をもいで差し出した。エンキはその可愛らしい所作(しょさ)に感動して思わず娘の腰を引き寄せ、キスをした。それから、二人は涼しい木陰で無邪気に戯(たわむ)れ、やがてエンキの神聖なエッセンスは彼女に届いた。もう一人の娘は、この様子を覗いていたのか、その子も野原から摘んできたベリーを彼に差し出した。エンキはその娘にも首飾りをあげて、同じように再び駆り立てられた。その後エンキはイシムドが待っていた舟に戻り、彼に言った。
「君はあの娘たちとしばらく一緒に留まって、妊娠するかどうか確かめておくれ。しかし、このことを誰にもしゃべるな。二人だけの秘密だぞ。」
そう託(かこつ)けるとエンキは、停泊させてあった舟に乗り込み、ユーフラテス川を下るとニンキが待っているエリドゥの城へ帰っていった。

 イシムドはというと、エンキに頼まれた通りに、二人の娘を注意深く観察していた。するとエンキが去ってから4日目には娘たちの腹は膨らみ、9日目を迎える頃にはどちらも出産した。一人は男の子を産み、もう一人は女の子を産んだ。明け方に生まれた男の子の方をイシムドは、曙(あけぼの)と名づけた。そして、夕暮れに生まれた女の子を、黄昏(たそがれ)と名づけた。そのあとイシムドは、エンキにme(メ)のスピーカーで一部始終を報告した。
「母親たちがその二人の子に乳を飲ませたら、すぐにエリドゥまで連れて来てほしい。くれぐれも内緒にな。」
「もちろんです。私はあなたの忠実な家臣、イシムドです。」

 イシムドは離乳が終わった二人の子を連れて、エンキの屋敷に戻ってきた。その頃には子供はすっかり少年と少女に成長していた。さすがにアヌンナキの血を引くだけあって、ふたりの子供が成長するスピードは速かった。エンキがその子たちを嬉しそうに見ているとニンキが現れて、驚いた顔でイシムドに訊ねた。
「可愛いわね。アヌンナキの子供?」
「これはこれは、ニンキさま、いつものようにお美しい。はい。この二人は、パピルスの茂みで発見しました。草で織(お)られた籠(かご)に入れられていました。ここまで流されてきたのです。」
 イシムドは、とっさのことに上手い口実をいった。
「私、その可愛い子どもたちを育てたいわ。男の子を“アダパ(捨て子)”と名づけ、女の子のを“ティ・ティ(命を宿す子)”と名づけましょう。」
 ニンキは微笑みながら、エンキの手を取った。エンキも嬉しそうにした。

 アダマとティアマトは、猿人の卵子とエンキらのエッセンスを含んだ精子による体外受精で生まれたが、ここでは、エンキ自身がアダマとティアマトの子孫を妊娠させることができたのである。つまり、エンキが「神」ならば、人類は祖先を辿ると、誰もが「神の子」ということになり、これが“人は神の子”と言われる所以(ゆえん)である。

 そして、“パピルスの茂みの中で、葦(あし)の籠に入っている彼らを見つけた”ことが、モーゼ誕生場面の原型である。
 またアダパがティティを知ったことは、アダマとティアマトが男らしさと女らしさを知ったことに重ねられている。

文明化したルルの誕生--------------------------------------------------------------------------------------

 アダパとティ・ティの成長は、普通のルルの子供とはかなり違っていた。ニビル人のように幼少期はすぐ終わり、一旦、青年期に達すると、そこから老化することはなかった。特にティ・ティは、日毎に美しさを増し、ルルの分厚く丸い指先とは違う、細長い指ときれいに生え揃った爪を持っていた。ティ・ティは、その手先の器用さをニンキからいつも褒められた。彼女はパピルスで籠を編んだり、アヌンナキの女神と同じように工芸に親しみ賢い乙女に育った。そんなティ・ティをニンキは可愛がった。

 アダパの方はエンキが直接教育し、天体の観察や文字の読み書きなどを教えたりした。エンキは、教養が身についたアダパを自分の助手として育てた。エンキはイシムドを城に呼んで、彼らの成長具合を報告することにした。ちょうどそのとき、ティ・ティが薬草を入れた茶をイシムドのために運んで来て、礼儀正しくサーブした。
「なんと器用な!驚きですなあ」
「さあ、ティ・ティ、お得意の歌を披露しなさい」
「では、母上ニンキ様から教わった歌を一曲お聞かせいたしましょう」
 ティ・ティは、丁寧にお辞儀してから歌って聞かせた。
「いやはや、なんとも美しい声で。殿下、驚きました!このイシムド、殿下のお計らいが今、ようやく理解できました。実に、奇跡としか申しようがありませんな」
 イシムドはさらに頭を低くして、エンキの前に跪(ひざまず)いた。
「まさしく、アダパとティ・ティが“文明化したルル”なんだよ。ついに私は完成させたのだ!私自らが種をまいた傑作には違いないがね。いずれ、彼らの子孫が食物を自分たちで調達できる日が来るよ。もうすぐニビルから家畜のサンプルも届くので、地球に適した羊を育て、羊毛を取ったり、乳を搾ることもできる。これからが本格的な人類の実験だよ。彼らには、我々アヌンナキと同じ知性が備わっている。やがてこの地球は、文明化したルルで溢れかえるんだ!」
 イシムドは、深々と頷(ひざまず)いた。
「さすがですね。まさに、アヌンナキとそっくりな種を創造なさいました!」
「イシムド、それにしても、あの秘密はしっかりと守っておくれ!あと、エンリルに一度見学に来るように誘ってくれないか」
「かしこまりました」
 イシムドは一礼して退散すると、その足でエンリルの所にシェムを飛ばした。彼はエンリルに会うと、早速、アダパとティ・ティのことや文明化したルルについてを興奮しながら聞かせた。エンリルは話を黙って聞いていたが、その内容には疑心暗鬼だった。

 エンリルは顎に手を添えて少しの間考えたあと、イシムドに質問した。
「そんなことはありえない!突然変異でも起きたというのか?ルルから新種が誕生する確率はゼロに等しいんだよ」
「エンリルさま、その新種は学習能力に優れていて、農業もできれば牧羊や工芸もできます。殿下、姿形も我々と変わらないのです。これは、宇宙の創造主であるクリエーターの成せる技としかいいようがございません」
 イシムドはうまく切り抜けようとしたが、エンリルは決して信用しようとはしなかった。
「どちらにしてもこの件は、まだ誰にも言わないでおくれ、イシムド。アヌには私から直接知らせておく。兄にその旨を伝えてくれ」
 エンリルはそう言うと高官イシムドを帰した。エンリルからこの知らせを受けたアヌは大喜びした。
「前代未聞だ!地球のアヌンナキと労働者を飢餓から救う手が見つかったか!アダマからこんなに早く新種が登場するとは、まさに奇跡だ!」
 アヌは側にいた家臣の高官イラブラトに興奮して言った。アヌは祝いにと穀物用の種子を数種類と、ニビルでしか存在しない四足の毛のふさふさした動物のつがいを地球に送ることにした。その動物こそ、その後、羊の原型となる動物だった。
 ニビルから与えられた小麦などの植物、羊などの動物が地球でも生育することが可能だった理由は、地球誕生がニビルから生じた衛星“邪悪な風”と“北の風”がティアマトに衝突することより生じたことに理由がある。つまり、太古の大惨事により、ニビルから“生物の種(たね)”が地球にばら蒔かれ、それが理由でニビルと地球の生物種が類似していたからだった。
 
「ところでイラブラト、アダパとティ・ティに繁殖能力があるかを確かめてほしい」
  まさに、ちょうどその頃、エリドゥではルルのアダパとティ・ティが成熟期を迎えて互いに好意を抱き、ティ・ティが妊娠して、あっという間に、双子の男の子を産んだところだった。この繁殖可能のニュースにアヌははしゃいで喜び、すぐにも文明化したルルたちに会いたくなり、イラブラトに頼み込んだ。
「アダパを、至急ニビルに連れてきてくれないか!」

高官イラブラトが地球へやってくる---------------------------------------------------------------------

アダパ:ニンキによって「捨て子」と名づけられたエンキと野生のルルとの間に生まれた半神半人(男)

 エンリルは、高官イラブラトがアヌの命令で地球にやってくることを知ると、早速、出迎えの準備を始めた。
(そもそもエンキが、原始的労働者生産プロジェクトを始めたことが間違いだった。我々を真似た化け物が生まれたなんて、なんて危険な。知能もあるなど、今後、取り返しのつかないことになるに決まっている。しかも父上は、きっとアダパにあの長寿の果実酒を勧めるに違いない。そうなれば、彼らは我々とまったく同じになる。手遅れになる前に、なんとかしなければ……)
 このことを快く受け入れられないのは、エンリルだけではなかった。エンキも、アダパとティ・ティの二人はまだまだ実験対象であり、ニビルに連れて行くのは時期尚早(じきしょうそう)だと思っていた。

 そこで、エンリルとエンキは互いの心の内を明かしあった後、ニンティ(ニンフルサグ)にも相談することにした。三人は、生命の家に集まることにした。
「アヌの命令は無視できないわ。そこで対策として、私たち一族の若者2名をつき添わせて、アダパをニビルに送ることにしましょう。今、アダパに恐怖心を植え付けることは避けた方が賢明よ。出発まで少し時間をかけて、アダパに宇宙の旅について教育して準備させましょう」
 ニンティの思慮深い対応に、二人は考えを改めざるを得なかった。
「アダパの付添人として、生命の家から代表者のニンギシュジッダを送り、もう一人は、私の末の息子ドゥムジをどうだろう?」
 そんなエンキの対応にニンティは応えた。
「どちらにしても、彼らには長寿の果実酒を与えないと。今、彼らの身体は、地球のサイクルに順応しようと必死で戦っているけれどもね。それに、私たちの子供の世代はニビルを忘れかけているから、その意味でも、ニンギシュジッダとドゥムジを送ることには賛成よ!」
 エンリルはエンキに反対するつもりでいたが、ナンナールもニヌルタもニビルを近々訪ねることになったので、しぶしぶ賛成ということになった。
「それからもう一つ。ニンギシュジッダもドゥムジもそろそろ年頃でしょ。ニビルで花嫁を見つけて連れて帰るのもいいわね」
 ニンティが微笑みながら言うと、エンキは少し戸惑った様子で彼女の顔を見つめた。

 ちょうどその頃、アヌの家臣の高官イラブラトは無事に生命の家に到着し、アダパとティ・ティと対面する時を迎えていた。
「実に驚きですなあ!我々とそっくりじゃないですか!」
 イラブラトは、驚きの言葉を発した。続いて、アダパとティ・ティから生まれたアダマから三世代目にあたる双子の息子たちも紹介された。最後にエンキは、ニンギシュジッダとドゥムジに引き合わせた。
「アヌンナキの若き英雄プリンスたちです!」
 エンキは自慢の息子たちを紹介した。
「僕たちがアダパにお供します。よろしくお願いします!」
 爽やかな口調で二人の若者は挨拶すると、イラブラトに深く頭を下げた。イラブラトも軽く一礼して返した。
「イラブラト殿、これは大役を引き受けられましたな。なにしろ、地球人初の宇宙旅行となるのですから」
「アヌ様もお喜びになられるでしょう。アダパだけではなく、可愛い孫たちにまで会えるのですから」
「ありがとう、諸君の成功と無事を祈る!乾杯!」
 エンキが杯を掲げた。

人類初の宇宙旅行-------------------------------------------------------------------------------------------

 間もなく、アダパの宇宙旅行の準備が整い、彼らは、天への門に向かうことになった。ニンギシュジッダとドゥムジには火星のアヌンナキのイギギの宇宙服が与えられ、神々しい鷲のように装われた。アダパのボサボサの髪は剃られて鷲のヘルメットを与えられ、腰巻の代わりに、体にぴったりした礼服を着せられた。


 身分の高いアヌに謁見するためにアダパは髪を剃られたが、これが神や仏に仕える者の多くが、剃髪(ていはつ)する原型となる。


 出発前に、エンキはアダパを呼び寄せて一言伝えた。
「お前はこれから、我々がやって来た惑星ニビルに行くことになる。我々の王アヌの前に引き出され、紹介される。お前は跪(ひざまず)くのだ。そして、尋ねられた時だけ手短に答えるのだ。お前には新しい服が与えられるので、それを着るのだ。そして、地球では見当たらないパンを与えられるが、そのパンは死だ、食べてはならぬ!聖杯に入った万能薬も勧められるが、その万能薬は死だ、飲んではならぬ!お前と共に、ニンギシュジッダとドゥムジが旅をする。彼らの言葉に従えば、お前は生き延びられる!」

 エンキは彼の肩をぽんと叩いた。
「しかしなぜ、アヌ様がそんなことをなさるのでしょうか?」
 アダパは不思議そうな顔でエンキに尋ねた。純粋無垢なアダパは、エンキのことばを神の言葉のように受け取っていた。
「心配するな。ニンギシュダッタとドゥムジも一緒だし、安心して宇宙の旅に出かけなさい!今話したことだけ注意していれば、楽しんできていいんだよ。無事に地球に戻ってきたらティ・ティや子供たちと幸せに暮すことも保証されている。しばしの辛抱だ」
「そのお言葉を肝に銘じておきます!では行ってまいります」

 万能薬は聖杯に入っているらしいが、これはイエスの聖杯伝説の原型である。


 しかし、エンキと別れたアダパは、高官イラブラト他、乗組員が待つ大型シェムになかなか乗り込んでこない。実は、アダパはシェムを見た途端に、そのスケールに圧倒されて腰が抜けてしまったのだ。前もって訓練したことと、実際に今から体験しようとすることには、あまりの違いがあった。そんな脅えるアダパに、仕方がなくトゥルバの眠り薬が飲まされ、シェムに運び込まれることとなった。

 シェムには、地球での任務を終えて、一刻も早くニビルに帰りたいアヌンナキの労働者たちも便乗していた。しかし、シェムが「天への門」から離陸する瞬間、アダパが目を覚ましガタガタと震えだしたので、ニンギシュジッダとドゥムジが、両脇から彼の腕を抑え、なだめながら状況を説明した。
 ニンギシュジッダは、この計画は上手く行くのだろうかと少し不安になった。案の定、離陸後、激しく振動する機体の中で、再びアダパは、今まで一度も発したことのない猿のようなキーキー声をたてて泣き叫び始めた。
「翼のない大鷲が舞い上がっていく、なぜなんだぁ!」
 困り果てたドゥムジは、なぐさめるように説明した。
「アダパ、心配するな。翼のない大鷲はきちんと飛んでいるだろう?ほら、外の景色を見てごらん」
 アダパは少しは落ち着いたのか、恐れながらシェムの窓から下を眺めた。機体は上空にさしかかり、下方には曲がりくねった河川や、森の風景が広がるのを確認することができた。その向こうに青い海が続くと、しばしアダパはその景色に夢中になった。それからシェムはさらに上昇し、やがて、アダパの目に映る地球は、淡いブルーの玉に変わっていった。機体は、再び大きな爆音と共に大きく揺れた。
「うわぁっ!ここから出してくれぇ!」
 アダパは、またもや発狂して叫び、シェムの内側の壁を叩きはじめた。この様子にニンギシュダッタは耐えかね、ドゥムジにアダパを抑えさせてアダパの口の中にニビルの薬草エキスを一滴垂らした。するとアダパはなんとか沈静化して、“文明化したルル”に戻った。
「兄上、これは大変な任務だね」
 ドゥムジは、ニンギシュジッダにあきれかえった顔で笑っていった。

 その後、彼らを乗せたシェムは無事にタイムゲートを通過し、ニビル星の海中に入ると潜水艦に変化(へんげ)し、海底から浮かび上がると滑り込むようにアカデ港に入港した。一行は、ニビルの兵隊や政治家たちに盛大に出迎えられながら、アヌとアンツが待っている神殿へと一路向かった。そしてアダパは、まず高官イラブラトが自分の屋敷に連れて行き、身なりを整え良い香りのする香油までつけて、想像を絶するハンサムに変身させておいた。

 イブライトは、アダパをアンツの神殿に連れていった。一行はちょうどアヌと挨拶を交わしていたところだった。特に、二人の孫を愛おしそうに抱きしめていた。アヌは、他のニビル星人と比べても、一回りも、二回りも大きい体格をしている。ギリシャ神話に例えると、ゼウスに値する神のようなニビルの主神である。また、老いることを知らないアヌのその存在感には、誰もがひれ伏し拝謁(はいえつ)した。そんな神に仕える忠実な僕の高官イブライトに連れてこられたアダパを、アヌは上から下まで舐めるように見た後で語りかけた。
「そなた、もし話せるのなら、自分の名前と職業をいってみなさい」
「はい、殿下。私の名前はアダパと申します。エンキ様の召使として働かせてもらっています」
 アダパは知性を感じさせるキリリとした声で答えた。するとアヌは、王座から立ち上がり、両手を叩いて大喜びした。


長寿の果実酒とパン----------------------------------------------------------------------------------------

 アヌは、無事ニビル星に地球から到着したアダパとその一行を前に乾杯の音頭をとった。
「これからの地球のめざましい発展に乾杯!」

 宴の席では、アダパはアヌが座る玉座の横に座らせてもらった。アヌは、ニビルの果実が盛られた皿の横に置いてあるボトルを召使いに持ってこさせた。そして、そのボトルの中身を金色に輝くゴブレット(聖杯)に注ぐと、アダパに差し出し、それから彼の耳元で囁いた。
「これは美味しいぞ!さあ、ぐっと飲んでごらん」
 アダパはゴブレット(聖杯)を握ったまま、硬直してしまった。
(これがエンキ様がいっておられた、あの飲み物だ……)
 エンキの言葉を思い出したアダパは、グラスを口にしようとはしなかった。アヌはしばらく黙って様子を見てからまた別のものをアダパに勧めた。
「このパンは、ニビル一の料理人が特製の窯(かま)で焼いたものだよ。アダパ、食べてごらん」
 アヌの勧めに、アダパはドゥムジの方を振り返ると、彼の目は要注意のサインをアダパに送っている。アダパは、地球を離れる前にエンキと約束したとおり、それにも手をつけなかった。するとアヌは、少し気分を害した様子を見せた。それを見てニンギシュダッタは、慌てて自分のポーチから卵型のme(メ)のクリスタルを取り出し、アヌに差し出した。
「おそらく、この件に関して、何かわかるはずです」
 パーティーがお開きになるのもそこそこにアヌは部屋に戻り、そのme(メ)のクリスタルをデスクの上の装置にはめ込んだ。すると、エンキからのメッセージがクリスタルの中心から走馬灯のように外に流れはじめた。
「父上、アダパは私の生命のエッセンスではなく、自分の種子(たね)を、直接、野生のルルの雌に分けて生まれてきたのでございます。ティ・ティも同じように、私が別のルルに生ませた子です。私が父親なのですから、アダパが私によく似ているのはなんの不思議もありません。しかし、あの子たちには私たちのような永遠の寿命は与えてはなりません。どんな反応を起こすかわからないので、長寿の酒とパンだけはお与えにならないでください。アダパが地球の仲間たちの所に戻ると、自分だけが特別だと問題が生じます。アダパは自分と同じだけの寿命の子孫を増やし、彼らの手で羊を飼って増やし、食をまかない、彼らの子孫によって地球から飢餓を無くさなければなりません。そのためにも、アダパをそのまま送り返してください。父上、どうぞよろしくお願い致します。」
 アヌは、流れるメッセージを見つめながら、ため息をついていった。
「女癖の悪いのは自分とそっくりだな」といって苦笑いした。

 アダパにとってニビル星での経験は、すべてが目新しく楽しい時間だった。彼らがそろそろ地球に戻るというときにアヌは、アダパとニンギシュダッタは地球に戻し、ドゥムジだけはニビルに留まるように命じた。

 無事に一行が地球に辿り着くと、エンキはなぜアヌがドゥムジだけをニビルに残らせたのか、不思議に思った。しかし、エンキは「アダパの宇宙旅行」の報告会を、まずは行なうべしとした。それでニンティとエンリルを招いてアヌンナキの会議が招集された。
 その場でエンキは覚悟して、皆にアダパとティ・ティの秘密を明かした。それをアヌが知ってしまったかぎり、アヌンナキ全員にばれてしまうのはすぐなので、それならば自分から告白すべきだと思った。しかし、正直なエンキの話が終わらないうちに、エンリルは腹を立て、口を挟んだ。
「エンキ、お前はなんてバカなことをしたのだ!とり返しのつかない大ミスを犯したじゃないか。そのことに気づいていないのか?それとも、ルルへの肉体的交渉が禁じられていることを忘れてしまったのか?今度という今度は、見過ごすわけにはいかない。アヌンナキの法を無視することは、たとえあなたであっても許されない」
「私は法など破ってはいない。ただ、どうやって食糧危機を乗り越えられるかを思案していただけさ。これは創造主からの啓示以外のなにものでもない。つまりだ、私の前に二人の天使たちが現れたわけだ。結論的にいうと、これで食糧危機の解決策が生まれたということだ。アヌさまも納得してくれた。なあ、弟君よ、もうそう腹を立てるな」

 エンキの言い訳ともつかない言いぐさにエンリルはさらに腹をたて、あきれ返った様子でその場を去った。それからこの1件は噂としてアヌンナキの間で広まるとエンキの行動に対して不満の声もたしかにあった。とくにアヌンナキの女神たちからの非難は大きかった。
「エンキともあろう方が、はしたない真似を……」
 彼女たちも陰で口々にエンキの大胆さを侮辱した。だが、アヌンナキの男神たちは、エンキを褒めたたえた。エンキの行為はむしろ誇らしいことであり、英雄的行為と見なした。そしてなによりもエンキのお陰で、堂々とルルと交際できることになり、この風潮がひろがっていった。

 こうしたアヌンナキの一連の変化に、エンキの妻であるニンキ(ダムキナ)は、胸騒ぎを覚えた。それで、なんといってもエンキのいちばんの息子であるマルドゥクに生命の家のアダパがどのよう生まれて育ったか、真実のところを確かめてほしいと頼んだ。
 そのころアヌは、アダパのニビル訪問によって、さらに文明化したルルに興味を持つようになった。すぐにもルル・アメル大量生産プロジェクトを開始するようにエンリルとエンキに催促した。

■紀元前11万6900年頃

 この頃、メソポタミアのシュメール王朝のバド・ティビラの王が、エンメンガルアンナからドゥムジ(牧神・在位36000年間)に変わる。


■紀元前11万5200年頃

アダパの子、カ・インとア・バエル---------------------------------------------------------------------

 エリドゥにマルドゥクがやって来た。父親と2人の弟の奇妙な活動の真実を突き止めようと、母ニンキに呼び寄せられたのである。エンキとニンギシュジッダは、マルドゥクには秘密を隠しておくことにした。アヌは“文明化された人”に魅了され、すぐに地球を満たさせるよう命じた、と彼らはマルドゥクに言った。マルドゥクはティティに感銘を受け、その息子たちが気に入った。そして、ニンギシュジッダがアダパを指導している間、自分に彼らの教師をさせてくれるよう、エンキとエンリルに頼んだ。エンリルが「マルドゥクに1人を教えさせ、もう1人はニヌルタに教えさせよう」と言った。ニンギシュジッダはアダパ、ティティと共にエリドゥに留まり、数や書くことをアダパに教えた。


 双子のうち、最初に生まれた方をニヌルタは自分の都市バド・ティビラへ連れて行き、水路を掘ることや種蒔き、刈り取りなどを教えた。彼のことを“田畑で食べ物を育てる彼”、カ・インと呼んだ。
 もう1人の兄弟は、マルドゥクによって牧草地に連れて行かれ、馬屋の造り方を教えられた。そして“灌漑(かんがい)された牧草地の彼”ア・バエルと呼ばれるようになった。彼らは牧羊を始めるため、ドゥムジの帰りを待った。

 ドゥムジがニビルから戻ると、羊のエッセンス、雌羊を連れて来た。しかし、これまで地球上には羊がおらず、子羊は天から地球へ落とされたことが無かった。雌の羊は一度も子を産んだことが無かった。“創造者”らは、“創造の部屋(遺伝子工学と家畜化施設)”と“形作る部屋(作物と家畜のための遺伝学研究所)”を“着陸場所”の純粋な土手に設置し、そこで穀物と雌羊の増殖が始まった。
 その後、ニヌルタとマルドゥクの指導の下、カ・インによって種蒔きと刈り取りが、ア・バエルによって牧羊が始められた。最初の作物が刈り取られ、最初の羊が成熟した時、初物の祝いをするよう、エンリルが布告を出した。

 現在も残るその季節に初めて収穫した野菜・果実・穀物を祝う“初物(はつもの)の祝い”の習慣や、宮中祭司の新嘗祭(にいなめさい)などは、エンリルの布告によるものである。
 新嘗祭(にいなめさい)は宮中祭祀のひとつで、収穫祭にあたる。11月23日に、天皇が五穀の新穀を天神地祇(てんじんちぎ)に進め、また自らもこれを食して、その年の収穫に感謝する。宮中三殿の近くにある神嘉殿(しんかでん)にて執り行われる。

 小麦も突然進化しているのは、このように地球外からもたらされたからである。耕作がカ・イン、牧畜がア・バエル由来なら、日本はカ・インの影響が根底にある。神社の神饌(しんせん)として供えられるのは米と魚、家禽(かきん:鳥)類で、牧畜系の物が無いのは、カ・イン由来だからである。

 また羊飼いと馬屋(うまや)はイエスを暗示し、羊が神々の星から降ろされたから、“神の子羊”と言われる所以(ゆえん)である。


文明化したルル初の犯罪者--------------------------------------------------------------------------------

 ある日、ア・バエルはマルドゥクに連れられて、エンキに子羊を奉納するためにエリドゥを訪れた。ちょうど同じタイミングで、ニヌルタもカ・インを連れて、収穫したての稲穂をエンキに届けにやってきた。

 エンリルとエンキの足下に、ニヌルタに導かれてカ・インが自分の供え物を置いた。また、マルドゥクに導かれてア・バエルが自分の供え物を置いた。エンリルは彼らに祝福を与え、労働を褒め称えた。エンキはマルドゥクを抱きしめ、皆に見えるよう、子羊を掲げて言った。
「食べるための肉、着るための羊毛が地球へやって来た!」
 この祝いの後、カ・インはむっつりしていた。エンキの祝福が無かったことを、不当に思ったのである。ア・バエルは、自分こそがアヌンナキを満たしていると自慢した。カ・インは、パンは自分によって供給され、魚と家禽(かきん)でアヌンナキの食生活を豊かにしているのは自分だ、と主張した。

 彼らは冬の間中、口論し続けた。夏が始まると雨が降らず、牧草が減っていった。そこで、ア・バエルが群れを率いてカ・インの畑に追い立て、水路で水を飲ませた。彼らの間で喧嘩が始まり、拳で殴りあった。怒り狂ったカ・インは石を手に取り、それでア・バエルが倒れるまで何度も殴り、彼から血が噴出した。カ・インは血を見て、「ア・バエル、我が弟よ!」と叫んだが、ア・バエルは死んでしまった。
 虫の知らせで、ティティはア・バエルの血が見えた。それは、カ・インの手に付いていた。恐ろしさ故に、ティティはアダパに話し、彼らの居場所に向かった。すると、死んだア・バエルの側にカ・インが座っていた。ティティは絶叫し、アダパは頭に泥を被った。

 二人の親のアダパとティ・ティもエリドゥからバド・ティビラに駈けつけてきた。二人が見たのは野原をさ迷いながら、泣きじゃくっていているカ・インだった。カ・インは、黙ったまま二人をア・バエルの死体がある場所まで連れていった。ティ・ティは、変わり果てた息子の姿にすがりついて泣き崩れた。

 とにかく、このことはとりあえずエンキに伝えなければと、二人は悲しみに打ちひしがれながらも、エリドゥのエンキの所へ行き、一部始終を打ち明けた。
「ア・バエルの亡骸(なきがら)を、アヌンナキ同然に正しく葬るのだぞ」
 エンキは彼らに助言した。その言葉通り、アダパとティ・ティはア・バエルを埋葬した。高台の丘の上の穴の中に亡骸は置かれ、その入り口は大きな石で塞がれるという形の墓が作られた。その後、アヌンナキによる30日間の弔(とむら)いが過ぎていった。一方、カ・インは捕らえられ、エリドゥに連行された。そこでアヌンナキの裁判にかけられることとなった。マルドゥクは、自らが手塩にかけて育てたア・バエルを失ったことへの怒りを抑えることができなかった。
「カ・インも、アンズと同じ運命だ!死刑を宣告せよ!」
 マルドゥクは、悔しそうな表情で訴えた。
「息子よ、しかし、カ・インまで死なせることは出来ない。わかっておくれ、マルドゥク」
 エンキはなんとか彼を説得しようとした。エンキの意見には、ニンティもエンリルも同意した。こうして、カ・インは死刑を逃れることが出来たが、弟殺しの罪は重くエディンの東の“罪を犯したルルたちの場所”へ追放されることになった。また、追放の前には、ニンギシュジッダによる特殊な手術も施された。つまり、カ・インの生命エッセンス(DNA)は、変更させられたのである。

 カ・インは、文明化したルルが誕生して初の犯罪者となった。実は、彼に下された償い方法は死罪以上にきついものであった。要するに、生命のエッセンス(DNA)も変えられてしまったことで、子孫までもが差別されることになったのだ。彼の血を少しでも引く者は、顔には髭が生えなくなるという操作がされていたのだ。これは彼らにとっては恥ずべきことだった。
 また、追放された場所も、エディンの東のサタンがいるとされている恐怖の地が選ばれた。カ・インは、死ぬまで放浪の旅を続けたという噂しか残されていない。

約束------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 エンキは、カ・インとア・バエルの不幸を受けて、つくづく自分は正しかったと胸をなでおろしていた。
(あのときアダパが、アヌが差し出した長寿の果実酒とパンに手をつけなくてよかった……)
とはいえ、エンキの血を引くカ・インは、他のルルと比較しても長寿の果実酒やパン無しでもかなり長生きはできていた方だった。

 一方で、ア・バエルを失くしたマルドゥクの落ち込み様は酷いものだった。今までの不公平の恨み辛みが、だんだんと復讐の念に変わっていく様子を察知してか、エンキはマルドゥクを訪ねて行き、息子をなだめながら説得した。
「マルドゥク、お前の苦労は私が一番わかっている。ア・バエルの死をお前が何故そこまで悲しむのか、その理由には秘密があるのだ。それを今日は聞いてもらおう」
 マルドゥクの顔色を確かめながらエンキは、ゆっくりと語りはじめた。エンキは、かつて旅の途中で二人のルルの娘たちに出会い、彼女たちと結ばれ、それぞれから生まれた子たちがアダパとティ・ティだったことを彼に打ち明けた。
「文明化したルルというのは、実にお前の兄弟さ。ア・バエルは、お前の甥なんだよ」
「なんと!他の皆は知っていたのですか?」
「知っていたよ。お前はアヌ一族と距離を置いていたからな。アダパもティ・ティもお前の弟と妹であり、私が二人の父なのだ。そして・・・彼らの子孫で、この地球は満ちていく。これをアヌ様が望まれておられたのだよ、マルドゥク。でも、お前が大事にしていたア・バエルはもう死んだのだ。しかし、カ・インまで死なせたらどうなる?地球には、たちまち飢餓が押し寄せてくるだろう。そうなると、アヌンナキの暴動はさらに激しくなるだろう。どうか、もうこれ以上辛く当たるな。おまえにはもうすぐ日の目を見る時がやって来る。それまでの辛抱だ」
 エンキは、そう言いながら、マルドゥクの肩を抱きしめた。
「わかりました。父上」
「これからまた、アダパとティ・ティに子を増やしてもらおう。楽しみに待っておれ。真っ先に、産まれた子をお前に届けると約束しよう!」
「父上、ありがとうございます。楽しみに待っています」
 マルドゥクは父に頭を下げ、落ち着いた気持ちで帰っていった。

■紀元前10万8000年頃

カ・インとその子孫の移動経路と南米のインディオ系の誕生--------------------------------------

 エリドゥでカ・インへの判決がエンキにより宣告された。
「カ・インはその悪い行いにより東方の放浪の地へ出発しなければならない。彼の命は見逃され、彼の子孫は肉体的に区別されるべきだ。」
 ニンギシュジッダはカ・インのDNAを変え、顔にはひげが生えないようにした。カ・インは黒人の祖ではなく、髭の生えていないインディオ系の祖となった。

 妹アワンを配偶者としてカ・インはエディンから出発し、放浪の地へ方向を定めた。カ・インの追放の地は、現在の南北アメリカ大陸である。インディオ系はラテンアメリカの先住民族の総称の一つで、先史時代には陸橋となっていたベーリング海峡を通ってユーラシア大陸からアメリカ大陸に渡ったアジア系人種(モンゴロイド)の末裔である。カ・インは日本も通過し、縄文人の祖ともなる。これはミトコンドリア・イブ説と呼ばれ、アフリカから始まり、メソポタミアを経てアジアやヨーロッパへと拡散していった。
  現在、縄文人の歯からのDNAの解析から、東アジア人と東南アジア人より以前に縄文人は分岐して、日本列島にたどり着いたという結果が出ている。また後述している「東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)」では、ケモト(カ・イン)、女はタキ(アワン)という若い2人が、凍り付いているはるか彼方の地より、数千キロメートルの陸路をたどり、東日流(つがる)にたどり着いた、とある。彼らが南北アメリカ大陸を目指していたということと併せて考えると、縄文人の移動ルートは中央アジアからロシアを通って日本へやってきた可能性もある。一般的な世界地図ではなく地球儀でメソポタミアからアイヌ(北海道)の最短距離を描いてみると、中央アジアを通って最後にロシアを通るルートとなる。




 2015年10月14日にNatureに報告された中国南部の洞窟で出土した歯化石によって、ホモ・サピエンスが紀元前10万年頃には中国に到達していたことが明らかになった。それまで多くの研究者は、この年代にホモ・サピエンスがアフリカから遠く離れた地域に達していたとは考えていなかった。
 中国湖南省の道県には石灰岩洞窟(鍾乳洞”しょうにゅうどう”)が数多くある。その中の1つ、3キロ平方メートルにわたって広がる福岩洞(Fuyan Cave)の洞窟系で発掘が行われ、ハイエナや絶滅したジャイアントパンダなど数十種の動物の骨化石とともに、ヒトの歯の化石が47本発見された。石器は発見されていないことから、この鍾乳洞(しょうにゅうどう)はヒトが住居として利用していたものではなく、捕食動物が遺体を引きずり込んだ場所だと考えられている。

 2007年にはインドネシアの南スラウェシ州タレプ(Talepu)から、紀元前10万年頃の石の道具が、オーストラリアのウーロンゴン大学のヘリット・ファンデンベルグ博士(Dr Gerrit van den Bergh)によって発掘された。それまではインドネシアを通ってオーストラリアへ人間が住み始めたのは、紀元前5万年頃からだと考えられていたことが大きく覆った。こうしてカ・インの子孫はアメリカ大陸だけではなく、東南アジアにも広がっていった。

 2011年9月22日号のScience誌に掲載された記事によれば、遺伝子の解析に基づき、研究チームはアボリジニの祖先は人類がアジアに広がって行った初期の頃である70,000年前に遡る事ができ、少なくとも24,000年前には現在のヨーロッパやアジア全域に分布した事を立証した。この事実が示すところは、現在のアボリジニは50,000年も以前に最初にオーストラリア大陸に移り住んだ人類の直系の子孫という事である。
 この研究プロジェクトは、20世紀初頭に、西オーストラリア州ゴールドフィールド地域に住むアボリジニの男性から英国の人類学者に寄贈された髪の毛の束に端を発する。それから100年後、研究チームはその髪の毛の束からDNAを抽出単離し、最初のオーストラリア人の遺伝子解析と太古の人類がどのように地球上の各地に移り住んだのかの研究に活用する事となった。このDNAからは、近代のヨーロッパ系オーストラリア人特有の遺伝情報が含まれていない事から、このアボリジニ男性の祖先が、現在の他の人種の64,000−75,000年前の祖先から分化した事が明らかとなった。よって、アボリジニは現在の探検家の「はしり」とも言え、その昔アジアに移住し、50,000年にオーストラリアに辿りついた人種を、直接の祖先とする。つまりアボリジニは彼らが今日居住する地帯に最も長い歴史を有している事となる。
 アボリジニのヨルング族に伝わってきた神話を踊りで表現する儀式では、男性のダンサーが虹蛇(Rainbow Serpent)を象徴する2本の特別な棒を持っている。2匹の蛇、つまりアヌンナキのニンギシュジッダを表す歌であり、アボリジニの文化もアヌンナキ由来である。


 さてアヌンナキは座り、お互いに語り合った。
「ア・バエルもいない、カ・インもいない、誰が私達のために穀物を育てパンを作るのか。誰が羊を飼い、雌羊を殖やし、衣類のための羊毛を提供するのか?アダパとティティにもっと子供たちを産ませよう。」
 そうアヌンナキは言った。

アダパとティティからサティ(聖書のセツ)--------------------------------------------------------------

 カ・インとア・バエルがいなくなったので、アヌンナキは食糧不足の危機を心配した。そこで、アダパとティティにもっと子を産ませることにした。ずっと娘が続いたが、95番目(34万2000年目)のシャルにようやく息子が生まれた。“再び命を結び付ける彼”、サティ(聖書のセツ)と名付けられた。アダパとティティには、全部で30人の息子と30人の娘が誕生した。
 聖書に於けるアダムとイブの大元はアダマとティアマトである。しかし、“文明化された人”としてのアダムとイブはアダパとティティであり、この2人から“文明化された人”としての人類が始まった。
 彼らのうち土地を耕す者と羊を飼う者がアヌンナキのために労働した。彼らによりアヌンナキと地球人は再び食に満ち足りるようになった。

■紀元前10万800年頃

サティと配偶者アズラの間にエンシ(聖書のエノシュ)-----------------------------------------------

 97番目(34万9200年目)のシャルに、サティと配偶者アズラの間にエンシ(聖書のエノシュ)、“人間らしさの長”が生まれた。アダパは彼に、書くこと、数、アヌンナキ、ニビルのすべてについて教えた。彼はエンリルの息子たちによってニップール(ニブル・キ)に連れて行かれ、アヌンナキの秘密を教えられた。どのように香(かぐわ)しい油を塗るのか、ナンナルが教えた。どのようにインブ果実(ブドウ)から万能薬を調合するのか、イシュクルが教えた。

 またアヌンナキが誰なのか、それからニビルについて全てをエンシはアダパから聞いた。それ以来、アヌンナキは“文明化された人”から“神々、主”と呼ばれるようになり、アヌンナキ崇拝の儀式が始まった。
 油の塗り方を教えたのはナンナル(シン)だが、シンは中東やインドで崇拝されており、そのような名を持つ人も多く、彼らは体に油を塗る習慣がある。


ケモト(カ・イン)とタキ(アワン)が日本へ-------------------------------------------------------------

 のちに日本で阿曽辺族(あそべぞく)と呼ばれる一族の男女、男はケモト(カ・イン)、女はタキ(アワン)という若い2人が、凍り付いているはるか彼方の地より、数千キロメートルの陸路をたどり、東日流(つがる)にたどり着いた。この2人はメソポタミアのエディンを追放されたカ・インとその妹で妻のアワンであった。
 この2人の男女が渡って来た時代は、日本列島は支那(しな:中国)、韓国との間、また渡島(北海道)と本州の間の海はすべて凍りつき、歩いて往来できた。
 この時期、ニビルの太陽系への侵入などにより、東日流(つがる)の遠い祖先ケモト(カ・イン)とタキ(アワン)の故郷の天地に異変が起きて北方の地より凍結がはじまり、大地に張った氷や積もった雪が溶けてなくなった。木や草は深い雪と氷の下に埋まり、それを食料にしている多くの鳥や獣が死んだ。
 この時、東方より豊かな草木の香りが、かすかに風によって運ばれて来た。生き残った若い鳥や獣たちは、その香りのする地を求めて帰ることのない移転の旅に出た。
 長い旅の途中、精根、体力ともに尽き果て多くの鳥獣が死んだ。その後を追って来たものがあったがそれは、虎、狼、人間の順で飢えをしのぐためだった。
 草を食べる鳥獣を食べる鳥獣が追い、肉を食べる人間はその後に続き、途中で死んだ鳥獣の屍を食べて飢えをしのぎ、はるか遠い東日流(つがる)、流鬼(りゅうき)、渡島(北海道)、越(こし)、出雲(島根県東部)、筑紫(つくし)へと移っていった。

東日流外三郡誌

東日流(つがる)開闢(かいびゃく)-------------------------------------------------------------------------

 ケモト(カ・イン)とタキ(アワン)が東日流(つがる)の地に着いてみると、その地は冬は暖かく、また海の水も暖かかった。山には天を幽閉(ゆうへい)するような大森林が繁り、鳥獣、珍しい幸が、海には魚貝、藻(そう)の幸が無尽蔵にあった。
 その土地へ初めて移り住んだのがケモト(カ・イン)とタキ(アワン)で、その後に2人の故郷より多くの民が移ってきた。
 無人の東日流(つがる)に初めて移り来て一時的に定住したのはケモト(カ・イン)とタキ(アワン)だったが、一族の子孫は確実に増えていった。西方より移り来て定住した地は、出雲(島根県東部)、伊止、越(こし)にまで及んだ。


東日流外三郡誌

阿曽辺族(あそべぞく)--------------------------------------------------------------------------------------

 ケモト(カ・イン)とタキ(アワン)が東日流(つがる)の地に定住し、阿曽辺族(あそべぞく)となる。この一族の祖は中国東北地方及びロシア沿海(えんかい)地方に住んでいた粛慎族(しゅくしんぞく)とも言った。

 阿曽辺族(あそべぞく)の暮らしは、代々狩猟が主で、東日流(つがる)安東浦の無尽蔵な幸によって太平な暮らしを続けていた。寒さに強く、狩りを得意とし、安住の家を持たない民だった。体形は頭が小さく、顔面は骨ばり、眼はくぼみ、あごは強く、口は閉ざしていても牙は少し出ていた。毛がはえているところは顔、手、足をのぞけばあとはすべて毛深く、背は猫背で、腕は長く胴長で、足は股より下が長かった。その様子は猿が立って歩くようだったが、わずかに人間に近かった。言葉は少なく、身振り、手振りで思ったことを伝えるのがふだんの会話で、緊急の場合のみは声を出していた。

 東日流(つがる)は寒冷地であったが、当時、東日流(つがる)中央部にある阿曽辺平野(津軽平野)の地中からは温泉が湧き出ていた。一族は冬になるとそのあたりに集まって冬を過ごすことから、阿曽辺族(あそべぞく)と呼ばれるようになった。
 夏は樹の上に大小の枝を折って敷き並べてねぐらとし、冬が来れば大きな樹の根本を掘って穴を造り、そこをねぐらとして火を使うことは知らなかった。
 着る物についてふだんは、毛皮をまとっていたが、飢えた時にはその毛皮も食糧にした。

東日流外三郡誌

カ・インとアワンの一族はアイヌを通って南北アメリカへ-----------------------------------------

 ケモト(カ・イン)とタキ(アワン)の2人に続いて一族で渡来して来た同族のほとんどが、狩りができる地を求めて更に南東へと分布していき、陸続きのベーリング海を渡って北アメリカから南米へと渡り、インディオとなっていく。
 オレゴン大学の人類学者、デニス・ジェンキンス氏が、アメリカのオレゴン州ペイズリー洞窟での2007年の発掘で、この当時としては最も古いアメリカ人の痕跡とされている紀元前12500年頃の人糞(じんぷん)を発見した。この排泄物からDNAを採取し調べたところ、アジア人だと判明した。つまり、カ・インとアワンの子孫はアジアを通って南北アメリカに広がり、紀元前12500年頃までの数万年間、原人として洞窟に住むなど原始的な生活をしていた。



 アメリカのワシントン州で紀元前7500年頃のケネウィック人の頭蓋骨が出土した。その歯のDNA調査で、ケネウィック人の祖先はアジアの東側のアイヌに起源を持つことがわかった。そして、その祖先は北米に来る前には、シベリアとアラスカの間くらいに住んでいたことがわかっている。




■紀元前9万7200年頃

エンシと妹ノアムからクニン-----------------------------------------------------------------------------

 エンシと彼の妹ノアムとの間に息子が産まれた。クニン(窯"かま"の人)がその意味だった。彼はバド・ティビラで、ニヌルタに炉(ろ)と窯(かま)について学び習った。瀝青(れきせい:アスファルト)で火を起こす方法、精錬や精製の方法も彼は習った。彼と彼の子孫はニビルのために金の精錬・精製の仕事を行った。




■紀元前9万3600年頃

クニンとムアリトからマラル-----------------------------------------------------------------------------

 99番目(35万6400年目)のシャルにクニンに息子が生まれ、マラル、“演奏する彼”と名付けられた。彼は音楽に優れていた。彼のためにニヌルタがハープとフルートを作った。マラルはニヌルタに賛美歌を演奏し、娘たちと一緒にニヌルタの前で歌った。
 ニヌルタは彼のために弦の付いたハープを作り、フルートを彼のために作った。マラルは聖歌をニヌルタのために奏でた。娘たちと一緒にニヌルタの前で彼は歌った。マラルの配偶者は父親の兄弟の娘で、ドゥンナがその名前だった。


アヌンナキと人類の雑婚が始まる------------------------------------------------------------------------

 3600年周期でニビル星が地球に接近していたこの頃、地球の気候は再び暖かくなり始めていた。地上ではネアンデルタール人が増え、アフリカから分かれてアジア人やヨーロッパ人が生まれていった。地球にやってきた異星人達は、再び人間の娘を妻に迎えて子孫を増やしていった。地球に帰化したアヌンナキと人類との雑婚も始まった。

「さて地上に人が増えはじめ、娘たちが生まれた。神の子らは、人の娘たちが美しいのを見て、おのおの選んだ者を妻にした」――『創世記』第6章――


■紀元前9万年頃

マラルとドゥンナからイリドが生まれる---------------------------------------------------------------

 地球での計算が始まって以来100シャル目(36万年目)に、マラルとドゥンナに男の子が産まれた、彼らの初子(はつご)だった。「甘い水の人」という意味で、イリドと母親ドゥンナが名付けた。彼にはドゥムジが井戸の掘り方を教え、遠くの牧草にいる羊の群れに水を提供した。羊飼いと乙女たちが集まったのはそこの牧草地の井戸だった。そこで文明人の結婚と繁殖が次々に行われた。

 彼の時代、地球へイギギが以前よりもしばしば訪れるようになった。天からますます熱心に地球を観察するようになり、地球で起きていることをますます見たがるようになった。エンキはマルドゥクに彼らと共に火星(ラーム)にいるよう懇願した。マルドゥクは地球で行われていることをますます見たがるようになった。

 牧草地の井戸でイリドは彼の配偶者に会った。バラカが彼女の名前だった、彼女は彼の母親の兄弟の娘だった。
■紀元前8万2800年頃

イリドとバラカからエンキメ(聖書でエノク)が生まれる---------------------------------------------

 102番目(36万7200年目)のシャルに、イリドに息子が生まれ、エンキメ(聖書でエノク)は、“エンキによってメを理解した”と名付けられた。彼は賢くて、数をすぐに理解した。そして、天空と空に関するすべてに彼は興味を抱いていた。エンキは彼を気に入り、かつてアダパに明かした秘密を教えた。太陽の家族と12の空の神々について、月や年の数え方について、ニビルによるシャルの数え方について、エンキがどのように天空に星座を割り当てて12の位置を配したか、などである。エンキメはしきりに天空を探索したがったので、彼は2回、空の旅に出た。1回目はマルドゥクが同行し、ロケット船で月へ行った。そこでマルドゥクは、エンキから教わったことをエンキメに教えた。
 エンキメは地球に戻ると、“二輪戦車の場所”があるシッパールのウツの下に送られた。ウツは自分の“明るい住まい”に“地球人の王子”を落ち着かせた。彼は習ったことを書くためのタブレットを与えられた。そして、彼は儀式を終え、聖職の仕事が始まった。エンキメは異母妹であるエディンニと共に、シッパールに住んだ。


 俗説の多いエノクの原型はエンキメだった。アダパと同じように、宇宙旅行をしたのである。よってエノクが天空に旅立って留まったことにされている。
 エンシは聖書でエノシュ、エンキメはエノクであり、非常に似た名前である。これは、両者がアヌンナキから知恵を授かり、聖職の原型となった象徴である。


■紀元前8万900年頃

 この頃、メソポタミアのシュメール王朝がバド・ティビラからララクへ、そしてドゥムジ王からエンシブジアンナ王(在位28800年間)に変わる。

■紀元前7万5600年頃

 3600年周期でニビル星が地球に接近していたこの頃、地球では新氷河期が始まる。気候の寒冷化によって人類は再び退化した。このころ、ヨーロッパ、西アジア、北アフリカでネアンデルタール人(旧人)が出現した。ネアンデルタール人は、猿人から自然に進化した種であり、3万年前まで存在したため、その間、現生人類と共存していた。

エンキメとエドゥナットからマトゥシャルが生まれる-----------------------------------------------

 104番目(37万4400年目)のシャルに息子が生まれ、マトゥシャル、“明るい水の側に住む者”と名付けられた。

 エンキメの2回目の空の旅にもマルドゥクが同行した。彼らは太陽を周回してから火星(ラーム)へ行った。イギギはマルドゥクから、“文明化された人”について学んだ。“年代記”では彼について、天空に旅立った、死ぬまでそこに留まったと記されている。エンキメは天空に出発する前に文書に記録を残し、息子たちに知らせようとし、長男マトゥシャルに託した。ラギムとガイガドと共に学び、守るように、と。マトゥシャルの息子はル・マク、“強力な人”と名付けられた。ル・マクの時代、地球の状況は厳しくなっていた。ノルマを強化し、分け前を削減するために、アヌンナキは彼を労働監督の長に任命した。

 エンキメは地球へ帰還したとき、シッパールのウツと一緒になるため、戦車場へ送られた。そこで彼が学んでいた文字用の板をウツがエンキメに与えた。ウツは彼の明るい住居に地球の王子を住ませた。そして彼に祭司の仕事を始めるために儀式を教えた。
 エンキメはシッパールで、彼の腹違いの姉妹であり配偶者でもあるエディンニと一緒に住んだ。


■紀元前5万7600年

アダパの死と聖書の関係-----------------------------------------------------------------------------------

 自分の生涯に終わりが近づいていることを悟ったアダパは、息子やその子孫全員に集まるよう言った。カ・インも連れて来るように言ったので、サティはエンキに父の願いを申し出た。そこで、エンキはニヌルタを呼び寄せ、彼が教師役を務めたカ・インを連れてくるよう命じた。ニヌルタはカ・インを見つけると、アダパの下に届けた。

 カ・インとサティが父の前にやって来ると、カ・インがアダパの右に、サティが左に並んだ。アダパは視力が衰えていたので、識別するために息子たちの顔を触った。髭の有無で識別は可能だった。アダパは左にいるサティの頭に右手を置いて祝福した。
「お前の種子で地球が満たされるように。そして、3本の枝を持つ樹として、お前の種子の人類は、“大いなる惨禍”を生き残るであろう」
 次に、右にいるカ・インの頭に左手を乗せて言った。
「お前はその罪のために、生得権を剥奪された。だが、お前の種子からは7つの国が現れるだろう。彼らは、取り除けておいた領域で繁栄するだろう。遠く離れた国々に、彼らは居住するだろう。ただし、お前は弟を石で殺したので、お前は石によって終わる」
 これらの言葉を言い終わると、両手を垂らし、溜息をついて言った。
「私の伴侶ティティと息子と娘たち全員を呼びなさい。私の魂が離れたら、川の側の私が生まれた場所に運ぶのだ。そして、私の顔を昇り来る太陽の方へ向けて、埋葬するのだ」と言い終えると、アダパの魂は去った。ティティは泣き叫んだ。カ・インとサティは遺体を布で包み、遺言どおり、父を埋葬した。
 アダパは93番目のシャルに生まれ、108番目の終わりに死んだ。アダパは16シャル=約58,000年生きたことになり、地球人にしては長生きだが、ニビルの寿命は持ち合わせていなかった。アダパが死んだ108番目のシャルは、煩悩の数の原型となる。
 アダパが埋葬されたあと、カ・インは母親と兄弟に別れを告げた。ニヌルタは天の鳥で放浪の地へカ・インを戻した。そして離れた領土で彼は息子たちや娘たちをもうけ、彼らのために彼は町を建設した。そして建設中、落ちてきた石で彼は命を失った。エディンではル・マックが労働監督者としてアヌンナキに仕えた。ル・マックの時代にマルドゥクとイギギは地球人たちと(惑星間)結婚をした。

 3本の枝を持つ樹とは、“大いなる惨禍”、すなわち大洪水を乗り越えたジウスドラの3人の息子セム、ハム、ヤフェトのことである。当然、「生命の樹」における3本柱の原型でもあり、22本のパスは染色体を意味したので、まさにこの3人が大洪水後の人類の祖となって広がっていったということで、「生命の樹」の原型と言える。
 カ・インの子孫は遠く離れた地、南北アメリカ大陸でマヤやアステカ文明の祖となる。その後、時代を経るにつれ、文明の中心地から隔絶されていたので、退化して密林の原住民と化した者もいた。

 このアダパの死の場面は、聖書における次の場面の原型、というよりもそのものである。そして、ここまでのアダパの主要登場“息子たち”はカ・イン、ア・バエル、サティ、エンシ、クニン、マラル、イリド、エンキメ、マトゥシャル、ラギム、ガイガド、ル・マクの12人であるから、イスラエルの十二支族とイエスの12人の使徒の原型である。

 “ヨセフは2人の息子のうち、エフライムを自分の右手でイスラエル(ヤコブ)の左手に向かわせ、マナセを自分の左手でイスラエルの右手に向かわせ、2人を近寄らせた。視力が衰えていたイスラエルは右手を伸ばして、弟であるエフライムの頭の上に置き、左手をマナセの頭の上に置いた。つまり、マナセが長男であるのに、彼は両手を交差して置いたのである。そして、ヨセフを祝福して言った。
「私の先祖アブラハムとイサクがその御前に歩んだ神よ。私の生涯を今日まで導かれた牧者なる神よ。私をあらゆる苦しみから贖(あがな)われた御使いよ。どうか、この子供たちの上に祝福をお与えください。どうか、私の名と私の先祖アブラハム、イサクの名が彼らによって覚えられますように。どうか、彼らがこの地上に数多く増え続けますように」
 ヨセフは、父が右手をエフライムの頭の上に置いているのを見て不満に思い、父の手を取ってエフライムの頭からマナセの頭へ移そうとした。「父上、そうではありません。これが長男ですから、右手をこれの頭の上に置いて下さい」ところが、父はそれを拒んで言った。「いや、解っている。私の子よ、私には解っている。この子も1つの民となり、大きくなるであろう。しかし、弟の方が彼よりも大きくなり、その子孫は国々に満ちるものとなる」
 その日、父は彼らを祝福して言った。「あなたによってイスラエルは人を祝福して言うであろう。『どうか、神があなたをエフライムとマナセのようにして下さるように』」彼はこのように、エフライムをマナセの上に立てたのである。”

 似たような場面に、イサクが2人の息子エサウ(兄)とヤコブ(弟)に祝福を与える際、ヤコブがエサウとイサクを騙まして祝福を得た場面がある。その後、エサウは父イサクがヤコブを祝福したことを根に持って、ヤコブを憎むようになった。この場面はアダパの死の場面ではなく、あくまでも弟が兄よりも優先された、ということの象徴である。つまり、ニビルにおける王位継承争い、何よりも、兄エンキよりも弟エンリル及びその子孫に継承権が与えられたことを、悪く象徴した形である。エンキ自身の態度からは、あまり根に持っている感ではないが、マルドゥクの恨みは凄まじいものがある。
 なお、アダパが如何にも預言しているような記載になっているが、実際のところは違う。これは、核戦争後の後世になって、エンキがエンドゥブサルに記述させたタブレットである。だから、起こった事実を基にして、あたかもアダパが預言したかの如く書かれている。


マルドゥクは地球人女性を妻とする---------------------------------------------------------------------

 ルーマックの時代にマルドゥクとイギギは地球人と惑星間結婚をした。当時地球には艱難辛苦(かんなんしんく)が増えていた。当時火星(ラーム)では、乾燥とほこりが惑星を覆っていた。
 運命を決定しているアヌンナキ、エンリルとエンキとニンマーは、相談し合った。地球と火星(ラーム)で何が変化しつつあるのだろう、彼らは考えた。太陽のフレア(太陽面爆発)を彼らは観察した。地球と火星(ラーム)の網の力に混乱があった。アブズでは、「白い大地(南極)」に面しているその突端(とったん)に、彼らは観察機器を設置した。エンキの息子ネルガルとその配偶者エレシュキガルに、その機器の責任が託された。ニヌルタは山の多い土地に「天地の絆」を設立するために、「海の向こうの地(両アメリカ大陸、カ・インの子孫がいる)」で任務を与えられた。

 火星(ラーム)ではイギギが不平を言っていた、彼らをなだめるためマルドゥクが任務を与えられた。何が艱難辛苦を引き起こしているのか分かるまで、火星(ラーム)の中継基地は維持しなければならない、そう指導者たちはマルドゥクに言った。

 運命を決定する3人は相談し合った。彼らは互いに見つめ合った。何才になったのだろう、互いに相手の年齢を考えた。アダパの死を悲しんでいたエンキが、最初に口を開いた。
「私がここに到着してから100シャル(36万年)以上が経った」
 彼は兄弟と姉妹に言った。
「そのころの私はさっそうとした指導者だったが、今ではひげも伸び、疲れた老人になっている。私は情熱的な英雄だった、いつでも命令に応じ冒険することができた」
 そうエンリルは言った。
「今では私の子供たちにはその又子供たちがいる、皆地球で産まれた。我々は地球で年を取った、しかし地球で産まれた者たちはもっと速く年を取っている。」
 そうエンリルは兄と妹に悲しそうに言った。
「彼らは私のことを年取った羊と呼ぶ」
 そうニンマーは物足りなさそうに言った。
「他の者たちは行ったり来たりして、交代で地球の任務を行っているが、我々指導者はずっとここに留まっているので、そろそろここを立ち去るときではないのか?」
 そうエンリルは言った。
「私もよくそれを考える」
 エンキは彼らに言った。
「3人のうち1人でもニビルに一時帰国したいと願っても、そのたびにニビルからは私達の訪問を妨げる言葉が返ってくる。その件は私も不思議に思っていた」
 エンリルは言った。
「それはニビルの事が原因なのだろうか、地球の事なのだろうか?」
「ライフサイクルの違いが関係しているのではないか」
 ニンマーは言った。
「何が起きるのか良く見ておこう」
 3人の指導者は決定した。

 その時は宿命だったのか、それとも運命だったのか?事の成り行きは自然だった。その後すぐにマルドゥクが父エンキの所に来たからである。重大なことを父エンキと相談したいと思った。
「地球ではエンリルの3人の息子が配偶者を選びました。ニヌルタはアヌの若い娘バウを配偶者にしました。ナンナルはニンガルを選びました。イシュクルはシャラを選びました。エンリルの孫娘エレシュキガルをあなたの息子ネルガルが配偶者にしました。
 私マルドゥクはあなたの初子(はつご)として配偶者を待っていますが、ネルガルは待ちませんでした。他の4人は敬意を表して私の結婚を待っています。花嫁を私は選びたい、それが私の願いです」
 そうマルドゥクは父エンキに言った。
「それを聞いて私は嬉しい」
 エンキはマルドゥクに言った。
「あなたのお母さんも喜ぶだろう。結婚したい相手というのは、癒しや救助を行っている乙女の一人なのか?」
 エンキは質問した。
「彼女はアダパの子孫です、ニビルではなく地球の人です」
 マルドゥクは優しく囁くように言った。エンキは困惑の余り言葉が出なかった。それから我を忘れて叫んだ。
「ニビルの王子、継承権を持っている初子が、地球人を配偶者に選ぶのか?」
「地球人ではありません、あなたの子孫です」
 マルドゥクは彼に言った
「天に連れて行かれたエンキメ(聖書のエノク)の娘、サルパニットが彼女の名前です。」

 エンキは配偶者のニンキを呼び、彼女にマルドゥクのことを話した。母ニンキに、マルドゥクは自分の願いを繰り返した。
「エンキメが私と一緒に旅行し、天と地球について私が教えていたとき、父上が以前私に言ったことを、私は自分の目で見て、そして納得しました。この惑星の原始的な生き物を、少しずつ私達のようにするため、造り変えてきた。文明化された地球人は我々の形と姿に似ている。但し長寿は与えられていないと。エンキメの娘が私の心を捕らえました。彼女を配偶者にしたいのです」
 ニンキは息子の言葉を考えた。
「その乙女はあなたの気持ちを理解しているのか?」
 そう彼女はマルドゥクに尋ねた。
「はい理解しています」
 マルドゥクは母親に言った。
「これは考えるに値しない」
 エンキは声を張り上げて言った。
「我々の息子がそういうことをすれば、彼は配偶者と共にニビルへは決して帰れなくなる。ニビルでの王子の権利を彼は永久に失うことになる。」
 その言葉にマルドゥクは苦々しく笑いながら応えた。
「ニビルでの私の権利などありません。地球でさえも初子としての私の権利は踏みにじられています。これは私の決定です、王子が地球の王になります、この惑星の主に。」
「そうあれかし」
 ニンキは言った。
「そうあれかし」
 エンキも言った。

 彼らは花嫁の兄マトゥシャルを呼んだ。マルドゥクの願いを彼らは彼に伝えた。マトゥシャルは謙遜(けんそん)したが、実は喜びで圧倒されるほどだった。その決定を聞いたエンリルは、激怒した。父親が地球人たちと交わることと、息子が地球人と結婚し、彼女に支配権を与えることとは全く違う次元の話だ。その件を聞いたニンマーは、とても失望した。
「マルドゥクは私達の惑星の乙女を配偶者に選ぶことができる。エンキとの間に産まれた私の娘を選ぶことさえ可能だ。王家の習慣として、腹違いの姉妹と彼は結婚できるはずだ」
 そうニンマーは言った。
 エンリルは怒ってその件に関するメッセージをニビルのアヌへ発信した。
「行き過ぎた行為です、許されません。」
 アヌ王へエンリルは言った。

 ニビルでアヌはその件を緊急に話し合うために、御前会議のメンバーたちを招集した。規則書にはそういう件に関する規則を彼らは発見できなかった。アヌはその件の重大性について話し合うために賢者も呼んだ。
「その乙女の先祖であるアダパは、ニビルには滞在できませんでした」
 彼らはアヌに言った。
「だからマルドゥクが彼女と一緒にニビルへ帰還するのは、永久に禁じなければなりません。実際、地球の周期に慣れてしまっているので、彼女なしでもマルドゥクの帰還は無理かも知れません」
 そう賢者たちはアヌに言った。御前会議のメンバーたちもそれに賛成した。
「決定を地球へ発信させよう。」
 アヌは言った。
「マルドゥクは結婚できる。しかし彼はニビルではもはや王子ではない。」
 その決定をエンキとマルドゥクは受け入れた。エンリルもニビルからの言葉に頭を下げた。
「結婚式を挙げよう、エリドゥで行おう」
 ニンキは彼らに言った。
「マルドゥクとその花嫁はエディンには居られない」
 司令官エンリルは宣言した。
「マルドゥクとその花嫁に結婚の贈り物を挙げよう。彼ら自身の領地、エディンから離れた所、別の土地へ行かせよう」
 そうエンキはエンリルに言った。

 マルドゥクを遠くへ送るということに同意すべきかどうかエンリルは考えた。
「どの土地へ、どの領地のことを、あなたは話しているのか?」
 エンリルは兄エンキに言った。
「アブズの上の領地、「上の海(地中海)」に達する土地に、エディンとは海により隔てられている所、船で行ける所」
 そうエンキはエンリルに言った。
「そうしよう。」
 エンリルは言った。エリドゥではニンキがマルドゥクとサルパニットのために結婚式を準備した。地球人との結婚により、マルドゥクは完全にニビルから追放された。

 銅の太鼓により結婚式が発表された。7つのタンバリンを鳴らしながら、彼女の姉妹たちが花嫁をその配偶者に提供した。文明化された数多くの地球人がエリドゥに集まった。彼らにとってはその結婚式は戴冠式(たいかんしき)のようだった。若いアヌンナキも出席した。イギギも火星(ラーム)からたくさんやって来た。
「我々の指導者の結婚を祝うために。ニビルと地球の一体化を実際に見るため、我々はやってきました」
 そうイギギはたくさんやって来たわけを説明した。


イギギの地球人の娘たちの誘拐--------------------------------------------------------------------------

 イギギは数多く火星(ラーム)から地球へやって来た。火星(ラーム)に残ったのは彼らの中の3分の1だけだった。地球には200人やって来た。彼らの指導者マルドゥクと一緒にいるため、彼の結婚式に参加するためにが、その説明だった。彼らの秘密はエンキとエンリルには知られていなかった。実は地球人の娘を誘拐し結婚するのが彼らの狙いだった。彼らは、子供も持たない苦痛と孤独だけの生活から開放されたかったのである。地球の指導者たちには知られないようにして、数多くのイギギが火星(ラーム)に集まった。
「マルドゥクに許されることが我々から剥奪されるべきではない」
 彼らは互いに言い合った。
「苦しみと孤独はもう十分だ、子孫は一人もいない」
 これが彼らのスローガンだった。火星(ラーム)と地球を行き来する間に、地球人の娘たち、それを彼らは「アダパの女たち」と呼んだが、彼らは彼女たちを見て欲情を抱いた。そして陰謀家たちは互いに言い合った。
「アダパの女たちの中から妻を選ぼう、そして子供たちをもうけよう。」

 彼らの中の一人、シャムガズが彼らの指導者になった。
「誰も同意するものがいなくても、私は独りでもそれをする」
 彼は他の人たちに言った。
「この罪のために罰が下されようとも、私一人が全員のためにそれを負おう。」
 次々にこの陰謀に加わった彼らは、一緒に行おうと誓った。

 マルドゥクの結婚が行われるまでに、彼らのうち200人が着陸場に降りた。「杉の山」にある“着陸場所”に到着すると、地球人の群集にまぎれて、そこからエリドゥに行った。労働している地球人の間を彼らは通り過ぎた。地球人の群衆と共に彼らはエリドゥに着いた。

 マルドゥクとサルパニットの結婚式が行われた後、シャムガズは予め決められていたサインを他の人たちに与えた。イギギはそれぞれ地球人の乙女を捕まえ、力ずくで彼らを誘拐した。「杉の山」の着陸場にイギギは女性たちを伴って行った。砦の中に彼らは場所を取り、指導者たちに挑戦状を突きつけた。
「損失は十分過ぎるほどで、子孫もいない。我々はアダパの娘たちと結婚したい。あなた方はこれに祝福を与えなければならない、そうしなければ我々は火で全地球を滅ぼすだろう!」
 動揺した指導者たちはイギギの司令官であるマルドゥクに、責任を持つよう要求した。
「その件の解決策を私に求めるのであれば、私の心はイギギに賛成です」
 そうマルドゥクは他の人たちに言った。
「自分が行ったことを彼らから奪うことはできません。」
 エンキとニンマーは首を振り、いやいや合意を表明した。エンリルだけが納得せず激昂(げきこう)した。
「一つの悪い行いから別の悪い行いが生まれる。エンキとマルドゥクの姦淫(かんいん)をイギギが真似した。我々の誇りと聖なる使命は風に飛ばされ捨てられてしまった。我々自身の手によりこの惑星は地球人で溢れるようになるだろう!」
 エンリルは嫌悪感を露わに話していた。
「イギギと彼らの女を地球から去らせよう!」
「火星(ラーム)の気象状態は耐えられなくなっています。生存は可能ではありません」
 そうマルドゥクはエンリルとエンキに言った。
「エディンに彼らは居られない」
 エンリルは怒鳴った。嫌悪感を露わに彼は集会を去ったが、エンリルは心の中でマルドゥクと地求人たちに対する陰謀を企んでいた。

 この時、火星(ラーム)から全イギギがやって来たわけではない。マルドゥクにより全イギギ300人が地球上のアヌンナキ600人に対して反逆したと象徴される。火星(ラーム)の指導者マルドゥクはエンキやエンリルに反論してまで、ニビルの権利をすべて捨ててまで(掟に反してまで)、地球人女性を正式配偶者とした。これは、イギギの反逆として象徴される。
 この話は、アンズがイギギと共に反逆した話と合せて、天使の1/3を味方につけたサタンが天界で反逆したことの原型となる。地上に降りてきたので、堕天使とされた。
 彼らは地球人の群集にまぎれてエリドゥまで行けたので、地球人とアヌンナキの見た目の区別はできない。地球人は男性器の包皮が被っている点を除けば。


マルドゥクの息子たち--------------------------------------------------------------------------------------

 イギギと女性たちは“着陸場所”に隔離された。彼らに子供が生まれ、“ロケット船の子供たち”と呼ばれた。マルドゥクとサルパニトにも子ができた。最初の2人の息子たちはアサル、サトゥと呼ばれた。マルドゥクは、イギギをアブズの上の方の領地に呼び寄せた。“着陸場所”に残ったものもいれば、彼らの子孫の中には遠い東の土地、高い山々の土地へ行った者もいた。こうしてイギギはアフリカ、中東、ヒマラヤに散って行った。

 神の子らとハイブリッド人類の女性との間で発生したのが、ネフィリムの正体である。ヘブライ語のネフィリムはシュメール語ではアヌンナキと同意語で、意味は“降りた者たち”である。よって区別するなら神々がアヌンナキで、アヌンナキと地球人女性とのハイブリッドがネフィリムとなる。表現上、ネフィリムは“神の子”の子なので、聖書では“名高い英雄たち”となっている。特に、ヒマラヤにはシャンバラ伝説があるが、これは、彼ら神々とのハイブリッド人類を神々の直系の子孫と見なしているからである。それはイギギの子孫ということである。


■紀元前5万4000年頃

ジウスドラ(ノア)の奇妙な誕生---------------------------------------------------------------------------

 エディンではル・マックが労働監督だった。割当量を達成するのが彼の義務だった。地球人の配給量を減らすのが彼の任務だった。彼の配偶者はバタナシュ。彼女はル・マックの父親の兄弟の娘だった。彼女の美しさは際立っていて、エンキは彼女の美に魅了された。エンキは息子マルドゥクにメッセージを伝えた。
「あなたの領土にル・マックを呼びなさい。地球人に都市の建設方法をそこで彼に教える。」
 そしてル・マックがマルドゥクの領地に呼ばれたとき、「避難の町」シュルッパクにあるニンマーの家へ、配偶者バタナシュを彼は連れて行った。それは腹を立てている地球人の群衆から守れるように、そして安全のために。


 その後エンキはシュルッパクにある妹ニンマーの家を急いで訪問した。住居の屋根の上でバタナシュが水浴びをしていたとき、エンキは彼女の腰を捕まえ、口づけをし、彼の精液を彼女の胎内に注いだ。バタナシュは身ごもった。彼女の腹部は本当に膨れ上がった。シュルッパクからル・マックへメッセージが送られた。
「エディンへ戻れ、あなたに息子が産まれた!」
 エディンへ、シュルッパクへ、ル・マックは戻った。彼にバタナシュは息子を示した。彼の肌は雪のように白かった。彼の髪は羊毛の色だった。彼の目は空のようだった。彼の目は光り輝いていた。こうして彼は白人の祖となる。ル・マックは驚き恐れ、彼は父親マトゥシャルのもとへ急いだ。
「地球人のようではない息子がバタナシュに産まれました。その誕生に私はひどく困惑しています!」
 マトゥシャルはバタナシュにやって来た。彼は産まれたばかりの赤子を見た。その容貌に彼は驚いた。
「イギギの一人がこの男の子の父親なのか?」
 マトゥシャルはバタナシュに真実を要求した。
「あなたの配偶者ル・マックにこの男の子が彼の息子かどうか、真実を明かしなさい!」
「イギギの誰もこの子の父親ではありません、それは命に賭けて誓います!」
 そうバタナシュは彼に応えた。それからマトゥシャルは息子ル・マックの所へ戻り、慰めるため腕を彼の肩の上に置いた。
「不思議な事だ、しかしその奇妙さの中にある前兆があなたに明かされている。彼はユニークだ、ユニークな任務のために運命によって彼は選ばれた。その任務が何であるか私は知らないが、適当な時期に、それは知らされるであろう!」
 そうマトゥシャルは息子ル・マックに言った。地球にやがて起きようとしていることを彼は仄(ほの)めかしていた。

 当時地球の苦しみは増していた。気温は日々下がっていき、空には雨雲が立ち込めていた。しかし雨は降っていなかった。畑の穀物は少なくなり、羊小屋には雌羊はほとんどいなかった。
「あなたがもうけた息子は尋常ではないが、それは苦痛からの解放が間もなくやって来る前兆だ!」
 そうマトゥシャルは息子ル・マックに言った。
「彼の名前を"苦痛からの解放"としよう!」
 バタナシュはマトゥシャルとル・マックに息子の秘密を明かさなかった。「長くて明るい人生の人」という意味で、彼女は彼をジウスドラ(聖書のノア)と呼んだ。

 彼はシュルッパクで育てられた。ニンマーはその子を守り、そして愛した。彼には優れた理解力が備わっていた。知識は彼女により与えられた。エンキはその子をとても可愛がり、アダパの書き物を読めるように指導した。祭司の儀式の守り方や行い方をその少年は若くして学んだ。ジウスドラは110シャル(39万6000年目)に産まれた。シュルッパクで育ち、エムザラを妻とし、彼女は3人の息子をもうけた。彼の時代に地球の苦しみは更に増し、地球は疫病と飢餓で苦しんだ。

 白人のようなジウスドラの容貌は、旧約偽典とされるエノク書に記載されているのとそっくりである。

“さて、しばらくした後、私の息子マトゥウサレク(マトゥシャル)を妻に娶り、(妻は)息子を生み、その名前をラメク(ル・マク)と呼んだ。正義はあの日まで低くされた。そこで、年頃になった時、これに女を娶り、これに子どもをもうけた。その子が生まれた時、身体は雪よりも白く、バラよりも赤く、髪は真っ白で羊毛のように白く、縮れ毛で、光輝に満ちていた。しかも、眼を開けると、家は太陽のように輝いた。そして、産婆の手を離れると、口を開いて主を祝福した。そこでラメクは怖れをなして逃げ出し、父マトゥウサレクの下に赴き、言った。
「変わった子が生まれました。人間に似ず、天使たちの子(に似ているの)です。(中略)自分の子ではなく天使の子では、と。(中略)だから、どうかお父さん、お願いです。父祖ヘノーク(エノク、エンキメ)のところに行って下さい、そして尋ねて下さい」
 (マトゥウサレクは)私のところに、大地の極にやって来た。(中略)その時、私は答えて言った。
「主は地上の配置を改新されるのであろう。その同じ仕方を私は生子に見たし、そなたに示した。というのは、私の父イアレド(イリド)の世代に、(人々は)主の言葉を、天の契約を踏み外した。そして、見よ、(人々は)罪を犯し、習慣を踏み外し、女たちと交わり、これとともに罪を犯し、彼女たちから子をなし、そして霊にではなく、肉的なものに似た者らを産む。かくして大いなる怒りと、大洪水が地上に起こるであろう。そして大いなる破滅は1年間、続くであろう。しかし、生まれたこの子は生き残るであろう。また彼の3人の生子も、地上の死ぬ者らの内で救われるであろう。こうして、そこ(地上)における堕落から大地を(神は)和らげられるであろう。今こそラメクに言え。義(ただ)しく、神法にかなった汝(なんじ)の子である。その名をノーエと呼べ」”

 エノク書はエノクが幻の中で神を見て、“200人の天使”が天から降り、天上、地上、地下の世界を巡って世界の秘密を知らされる内容を記しているとされるが、まさに原型はこの話である。“200人の天使”とは、マルドゥクと人間サルパニットとの結婚の際の“200人のイギギ”である。天から降りてきて禁を犯したので堕天使である。そして、後にサタンという概念が生まれる。
 またジウスドラが生まれた大洪水直前の110番目のシャルに因んで、現代では110番は緊急の電話番号とされた。

■紀元前5万2100年頃

 この頃、メソポタミアのシュメール王朝がララクからシッパールへ、そしてエンシブジアンナ王からエンメンドゥルアンナ(在位21000年間)に変わる。


■紀元前5万2000年頃

インドネシアのホモ・フローレシエンシス-------------------------------------------------------------

 紀元前5万2000年のこの頃、インドネシアのフロレス島の洞窟には、ホモ・フローレシエンシスと呼ばれる小型のヒト属が住んでいた。身長は1mあまりで、それに比例して脳も小さいが、火や精巧な石器を使っていたと考えられている。そのサイズからホビットという愛称が付けられている。


インドへの隕石の衝突-------------------------------------------------------------------------------------

 紀元前5万2000年頃、隕石の衝突によってインドに1.6kmのロナール・クレーター湖ができる。

■紀元前5万400年頃

 この頃、アメリカのアリゾナ州に隕石が衝突し、バリンジャー・クレーターができる。

■紀元前3万2000年頃


ヒーリングの効果があるボスニアンピラミッド複合体の地下トンネル---------------------------

 ヨーロッパのボスニア・ヘルツェゴビナにボスニアンピラミッドがある。10年以上の調査で驚くべき結果が明らかになっている。ボスニアンピラミッドがあるヴィソコの地下のラヴネのトンネルでは、健康上の利点があることを、サム・オスマナギッチ博士と他の調査チームが発見した。オスマナギッチ博士はこれが紀元前3万2000年頃に作られたと主張している。


 このトンネルでは、効果的な一定の電磁気の存在が測定されている。同様に28kHzの超音波と、7.83ヘルツのシューマン共振(きょうしん)もあった。
 シューマン共振(きょうしん)は、地球の地表と電離層との間で極超長波(ELF)が反射をして、その波長がちょうど地球一周の距離の整数分の一に一致したものをいう。これは人間の物理的、精神的、精神的な能力において最高のエネルギーである。
 また異常に高い濃度のマイナスイオンが検出された。これは立法センチメートル当たり最高6万という数値で、例えるなら山の森の10倍であった。
 この環境では、人間の細胞は再生のための自己修復プロセスを開始すると、科学者たちは述べている。そして次のような効果がある。

1.肺活量の増加
2.血糖値の正常化
3.血圧の正常化
4.体全身の状態の改善
5.オーラの改善

●肺活量
 17歳のスロバキア人、ベロニカ・ブランコは、ニトラからピラミッドがあるボスニア・ヘルツェゴビナの町ヴィソコへやってきた。というのは、彼女は気道に問題があったからで、ピーター・ハイデュク博士の進めでやってきた。この博士はプラハの肺疾患のクリニックの専門家である。

 彼女の話は、2013年に始まる。乳腺が詰まって分泌物が溜まる嚢胞(のうほう)と息切れを起こし、肺機能の容量が47%に減少した。病気のためベロニカはすぐ後に右肺の手術が必要と診断される。術後の回復のプログラムは、ハイデュク博士による天然物とビタミンCを使用するバイオ共鳴療法に基づいていた。そしてリハビリテーションプログラムには、ビソコへの旅行も含まれていた。それはラヴネ(Ravne)の地下トンネルで見つかった高濃度のマイナスイオンが目的だった。
 ビソコへの2回の旅行とラヴネのトンネルでの治療を受け、若いスロバキア人の彼女は、健康の改善を感じた。そして2年ぶりに、彼女は長い間苦しんでいた胸のズキズキする痛みを感じなくなった。先史時代のラヴネのトンネルへの2回の旅行での治療において、最終的に元の容量47%から現在の84%にまで、彼女の肺容量の増加をもたらした。

●血糖値
 チェコの出版物「WMマガジン」の協力である団体が、「人間の血糖値の測定を研究」をするために、2015年頭にビソコにやってきた。その中の一人、58才のプラハからやってきた実験参加者ユルキは、ラブネのトンネルに入る45分前に血糖値を測定した。その時点で、レベルは7.8mmol/L(危ない範囲)であった。そしてラブネのトンネルに入った後、彼の血糖値は5.1mmol/L(正常レベル: 危なくない範囲)に下がった。また別の参加者のカレルも同様の実験で、10.5mmol/Lから5.7mmol/Lに下がった。
 チェコのプラハに戻った参加者の報告で、彼らの血糖値は14日間効果を保ち続け、その後、血糖値はわずかに増加し始めた。

●血圧
 トルコのイスタンブールからの女性セヴィム・ムヘヴィアは、年齢が54歳で、2004年から2014年に常に高血圧の問題があった。彼女の血圧レベルは220/135mmHgだった。そして彼女が定期的にボスニアのピラミッド複合体の先史時代のトンネルを訪問し始めた後、血圧は140/90mmHgよりに上に行ったことがない。

●オーラ
 スロベニア人のエンジニアであるヤネス・ペルコは、人体の周りのバイオエネルギー層、または領域である人間のオーラを取り込むために、ロシアのウラジーミル・コロトコフ教授(サンクトペテルブルク大学)の画期的な機器を使用した。研究では、(男性と女性、老人、若者、観光客、ボランティア、正社員など)160人の参加者の代表的なサンプルが含まれていた。
 結果は、先史時代のラヴネのトンネルでの1時間の滞在後、82%の人物のエネルギーや免疫枯渇を保護するオーラの改善につながっていることを示した。


ボスニアンピラミッド複合体もアヌンナキが作った-------------------------------------------------

 ボスニアンピラミッドやラヴネのトンネルでは多角形の石畳や石積み、ピラミッド型の出土品、巨石も見られる。

 ボスニアンピラミッドからは、黄金比の渦模様がある石も発見されている。つまりアヌンナキが関係していることがわかる。

 また同じ地域から丸い石球も出土しており、これも世界中でも見られる。つまりアヌンナキによって作られたという結論。


ドイツのホーレ・フェルス洞窟--------------------------------------------------------------------------

 2009年、ドイツ南西部シェルクリンゲンにあるホーレ・フェルス洞窟の遺跡から、紀元前3万2000年頃の後期旧石器時代の人類がマンモスの牙で作った「世界最古のビーナス像」を発掘したと、独テュービンゲン大のニコラス・コナード教授が英科学誌ネイチャー(Nature)に発表した。
 同じくホーレ・フェルスからは、1931年に発掘された高さは28cmで直径は約6cmのライオン・レイディ(The Lion Lady)の像も発見されている。
 ビーナス像はアヌンナキのイナンナを表し、ライオン像もアヌンナキが変身した姿である。


■紀元前3万1100年頃

 この頃、メソポタミアのシュメール王朝がシッパールからシュルッパクへ、そしてエンメンドゥルアンナ王からウバル・トゥトゥ王(在位18600年間)に変わる。ウバル・トゥトゥ王は、大洪水前の初期王朝時代1の最後の王となる。

■紀元前3万1000年頃

ドイツの白鳥の骨製フルート-----------------------------------------------------------------------------

 ドイツのガイセンクレステレ洞窟からは、紀元前3万1000年頃の骨製フルートのフルートが発見されている。楽器のルーツもアヌンナキにあり、このフルートも当時の原人が作ったというよりもアヌンナキから与えられたと考えられる。


■紀元前2万3000年頃

オーストリアのイナンナ像--------------------------------------------------------------------------------

 オーストリアのヴィレンドルフからもイナンナの特徴を持ったヴィーナス像が発見されており、紀元前2万3000年頃のものと推定されている。胸が出ている、胸を触っている、下半身が太い、おへそが描かれている、などがあげられる。


エスキモー系諸民族イヌイット---------------------------------------------------------------------------

 エスキモー族は、インディアンのうちでは一番後にアメリカに到着し、その文化は、シベリアからグリーンランドまでもの広がりを持っていた。エスキモー族には、インディアン系では希有で種族全体を統一する組織がなかった。あったのはクジラ漁をしたり、トナカイの狩りをしたりする時に作られる共同作業の集団であった。このような経済活動に基礎を置く集団は、どれに属してはならないというような規則はなく、個人の自由が大幅に認められていた。内陸でトナカイをおっていた者が、海岸の集団に移ることもあり、その逆もあった。
 彼等の中で、権力者と呼ばれる者の尺度は女性で決まっていた。つまり、女性を通じて人を動かす影響力を持っている者がそれに値した。その背景には、社会での力関係の拡張=自己勢力圏の拡大の意図があり、結婚を味方の増加目的とするものがあった。また、結婚は一夫一妻とは限らず、一夫多妻も多夫一妻もあった。若い男女がセックスの関係を結び、お互いに充足した時に結婚が成り立つとされた。しかし、子どもができるまでは正式に決まったものとは考えられなかった。そして、二人の間に不和が生じたときは、簡単に離婚は成立した。時として若い男の妻を、年上の男が盗むことがあった。このような場合、妻を取りかえす為には、親族の応援による力関係の逆転が必要で、これが不可能の時、妻は年上の男の第二もしくは第三の妻となってとどまった。また、更年期がすぎると、女は魔法を使うことができると信じられていて、その力で熟女が若男を夫にすることができた。この夫が、後に別の女と結婚して、一夫二妻になることもあるが、一家の力(労働力)を増加することになる為、一番目の妻は反対することはない。

 セックスについての彼等の見解は、実にあけっぴろであった。子どもに隠れて性行為をすることも、子どもがセックスについていろいろと実験をするのを止めることもなく、純潔を尊重する習慣もなかった。少女が妊娠しても、その相手の可能性がある男性数名全員が、結婚を承諾するのが普通であった。お腹が大きくなったということ、子どもが産めるということを実証したことになり、歓迎されたのである。
 上記より、エスキモー族は経済活動を基礎にした組織体制であったといえる。そして、彼等にとって結婚とは、愛や恋とは無関係のものであった。女は、狩りに出て獲物をとり、舟を作り、犬の世話をする男を必要とし、男は、皮をなめし、肉を貯蔵し、炊事をし、衣服を作る女を必要とした。男と女は、担当する仕事の種類こそ異なれ、同様に働く意義は家族の充足にあった。

 ニビルのイナンナは、エスキモー族にも接触していた。アラスカから出土した土偶は、世界各地で見られる女神像(イナンナ)との共通点があり、イヌイットが使用した遮光器は青森県で出土した遮光器土偶(イナンナ)と同じ形である。


東南アジア、西ジャワ州、グヌン・パダン遺跡のアヌンナキ---------------------------------------

 グヌン・パダン遺跡は海抜885メートルにあり、ヒンドゥー教や仏教が伝来するはるか以前に存在した。ここにも多角形の石積みが見られることからアヌンナキが作ったとわかる。またこの遺跡から少し東のガルトには、ピラミッドが存在する。この遺跡はアメリカの年代測定専門機関であるベータ・アナリティック・ラボ社によれば紀元前2万3000年頃から紀元前1万4500年頃のものだとされている。 グーグルマップ(7°10'45.36"S 108° 2'37.58"E)。

Hiloyuki Kubota / 久保田 啓敬
Situs Gunung Padang

■紀元前2万1000年頃

ロシアのブリャンスク州のイナンナ像------------------------------------------------------------------

 ロシアのブリャンスク州からも、イナンナ像の特徴を持った紀元前2万1000年頃の女神像が発見されている。これも胸がを触っている、下半身が太いなどの特徴があげられる。

ANCIENT ORIGINS

ロシアのマルタのイナンナ像-----------------------------------------------------------------------------

 同じ時期、ロシアのマルタからも女神像が発見されており、イナンナ像の特徴が見られる。